小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

桧山+完封トリオ、サッカー界の“ゲルマン人の大移動”、泳げエイシンテンリュー

2006-05-28 10:35:52 | スポーツ
雨のサンデイ・モーニング。今日はかなり原稿を書かねばです。
撮影~中学生のテスト勉強とよく働いた昨日、帰ってパソコンに向かうも文字は打てず。ねこが雨を避けて入って来た蛾に興奮する中、J-SPORTSで再放送していた西武:阪神、W杯前に活性化する欧州サッカー移籍市場、そしてダービーと、スポーツ情報をチェックしている間に寝てしまいました。

まず桧山。今年はすっかりパートタイム・プレイヤーですが、出た時の活躍ぶりが光ります。ロッテ戦のHRに続き、昨日の左方向も見事。
このくらいになると、時々の出場がいい結果に結びつくのかも。片岡とともに、川藤、佐野、八木の領域に達してほしいものです。
江草~藤川~久保田の完封リレー、よかったぞ。
なお、ねこども画面のトラッキーにケンカを売ってました。

最近、DIVANAhttp://www.divinanet.com/というサッカーサイトの「移籍『噂』情報」をよくみますが、なんか史上最大のトランスファーイヤーになりそうです。
嵐の中心は不祥事に揺れる伊の名門2チーム。なぜか3強のもう1つもあおりを受けそうです。シェフチェンコはじめ固定メンツがどんどん流出しそうで、英、西の金持ちチームへの資本の集中は確実。
これはもう、サッカー界の“ゲルマン人の大移動”。ゲルマンがユーヴェ、ミラン、ローマ帝国はチェルシー、レアルでしょうか。このローマ帝国は分裂しないまでも、もう1チームできそうです。
わがアーセナルでは、アンリ残留には思わずモニターの前で右手を突き上げましたが、ピレス、レジェス移籍はさびしい。
しかしロシツキ加入には右手を高く上げました。ゲームメイカーとしては今世界でもっとも好きな選手かも知れないチェコの若き司令塔の加入は、弱みだった中盤に効果大。新スタジアムに新たな快楽を届けてくれそうです。

そしてダービーは、下位に低迷するPOG、最下位指名ながら最後の希望として出走する大外18番エイシンテンリュー。
母父が重の凱旋門賞を勝ったキャロルハウスで、メンバー中もっとも重上手といわれるこの馬が14番人気でしめしめ。まあ、この成績では当たり前ですが。
雨は大歓迎ですが、青葉のような後ろからではいくら何でも無理。エビショーには、雨中にマクった武豊の水仙賞のような、天気は違えどキングカメハメハを負かしに行ったハイアーゲームのような競馬を期待します。昨日は中1女子とエビちゃんの話で、これも追い風か。
3連単は3着でも10万円以上。18-17-6 でも34万円の1着づけも買うぞ。
府中の2400、泳げエイシンテンリュー。
といってまったくの不発の可能性も大なので、人気低過ぎのNHK馬ロジックも少々と及び腰の午後3時40分です。

(BGMは、ねこどもがばたばた落とすモニター横CD山で、たまたま一番上に来ていためったにきかないマディー・ウォーターズのベスト。「泥だらけの水」がエイシンテンリューの激走に)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

roses rose rosily

2006-05-24 13:54:18 | 週間日記
ちょっと開いて先週日記です。

15日(月)昼の仕事中、ねこどもが先週書いたバッタの集い。夜、塾に大学に入ったF君現る
16日(火)塾にOB、I君、M君登場。マンガ論など。その後I君と、上柴TSUTAYAに行き、最後の100円セールでCD10枚借りる
17日(水)昼はテープ起こし、夕方から出張授業のはしごとよく働く。夕飯は途中、M君、または同級生Mさん宅で。深夜にはCLフィナーレと充実の一日
18日(木)昼、熊谷へ。B叔父と昼食
19日(金)夕、豊里・永来でもやしそば。塾にいるとOG・Cさんが旦那と兄を連れて来る。ビールも来て軽い宴で、彼らの持ってきたギターで少しセッション。その後、自衛隊員Y甥から家まで乗せてってくれと連絡あり、ちょうどいいので合流させ帰宅
20日(土)昼、撮影。途中で夕立嵐。夜は同級生M君宅に出向き、制服論や戦隊もの論、映画『歓びを歌にのせて』、小説『リプレイ』などの話とDVDでウルトラセブン。帰宅後、買ってあった馬券、東京メインの3連単9千円当るを確認
21日(日)昼、撮影。中学校勤務時代の生徒Nさんに遭遇。夜は画像処理の仕事や原稿のコンテンツづくり

降ったり暑かったり。空気が不安定だと、からだの恒常性に考えが至ります。
先ほど、新たに買ったシャベルで穴を掘り、ねこども排出物を畑に埋めていて、あっという間におじぎをしてしまったつつじに代わり、いつの間にか咲き踊っていたバラの樹に驚き。この樹がこんなに花をつけたのは初めて見ました。
それすら、本当に数年来にない咲きようなのか、あるいはただこちらが気がつかなかっただけか、はっきりはしませんが、「日が昇る」などの意味の rise の過去形が rose だなと思って見直す白い花。
もちろん、ねこどもにとってはバラなど環境の外でしょう。

(写真はそのバラの樹。BGMは Randy Newman "sail away"。花が美しい時にまわりをないものにしてしまう有様は、いい歌の作用に似ています)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢を見、夢が覚め、夢は続く~最高の敗者、アーセナルを称える

2006-05-19 01:51:33 | スポーツ
アーセナルと、そして我々ファンの夢だった欧州制覇は、急に降り出したパリの雨に消えた。

文句なく、最高のフィナーレである。世界最強のクラブであるカタルーニャの雄に対して、変革期にあり、しかも傷だらけのガナーズはこの上ないファイトを見せた。

もしレーマンがエトーに飛びつかなかったら……。いや、あのシーンでドイツ代表正GKがラフプレーで止めていなければ、17分で先制点を挙げたバルサが3-0で圧勝し、最強チームが豪快に勝つ、つまりありふれたシーズンの結末になっていただろう。

アンリが2度の決定機を逃していなかったら……。確かにそうだが、それよりもうるさいメディアの雑音の中、故郷フランスで見せてくれた世界のロナウジーニョを上回るパフォーマンスに、そしてコーナーキックでしゃがみ込んでしまうほど走り回ったそのエスプリに感謝したい。そう、MIPはパリ近郊レズリ生まれのこの天才だ。

フレブの強烈シュートがネットに突き刺さっていたら……、セスクが最後まで」出ていたら……。いや我々にとって、これからのアーセナルを背負う彼らの成長以上のプレゼントがあるだろうか。

プレミア最終戦で見せた好調さを発揮する前にピッチを去らなければならなかったピレス、ラストマッチをずっとベンチでみていなければならなかったベルカンプ、ロナウジーニョに絡みつき、ボールを持てば前へ前へと突き進んだリュングベリ、意外なヒーローになり損ねたキャンベル、負傷前の堅実さが戻っていたA・コール、いつものかっこつけをかなぐり捨ててアタックしたレジェス、そして普段通りの堅さを発揮したG・シルバ、トゥレ、エブエ、フラミニ、そして急遽の登場となったアルムニア。
決して忘れることはないであろうこの夜の彼らのプレーに、何度も涙がこみ上げてきた。

時間を待ってテレビの前に座り、ビールを飲みながら過ごした至上の時。特に前半37分以降は、夢が近づく幸福なリズムを感じていた。
ハーフタイム。若いサッカーファンにメールを送った後、UEFAコムのライブチャットをのぞき、「Ah! Pires.」と書込みまでした。
最強軍団の怒涛の攻撃を受けるスリルを味わいながら、昼間にちょっと働き過ぎたのと、待ちながらなめたスコッチの影響で、少しずつうとうとし始める。本当に夢はかなってしまうのだろうか、まだ早過ぎるのではないだろうか。そう、飢えた雪山で眠りに落ちる時の満足感は、ひょっとしたらこんな感じかも知れない。
そして次に目を開けた時には、雨のサンドニが異様な空気に包まれ、カメルーンのエースが駆け回っていた。文字通り、ぼうっと画面を見ていると、今度は王者の泣きどころだったはずの右サイドバックがスウェーデンの英雄からのボールを押し込んでいた。
夢が覚めると、今度は夢のない眠りにつく。

夜が明けて夢の中身をもう一度確かめようと、延々と放送しているスカパーのリピートを見直した。いつもながらCLのディレクションはパーフェクトだが、特に今回の後半31分、八塚アナが「後15分の……」と口にした後の流れは、計算され尽くした演出の舞台劇のようだ。
あっという間の同点弾の後で、キャメラは静かにスタンドを回り、超スローが追いつかれたエースのアップを捕える。繰り返されるゴールシーンは、サム・ペキンパーのスローのように残酷で美しい。
そして、我らの夢が砕けたピッチでお互いを称え合うヒーローたち。ここでもアンリのアティテュードは一際目を引く。

そう、強かったのはバルセロナなのだ。強さと楽しさを両立させた画期的なチームの栄光を、ここは素直に称賛したい。それがわかっていながらも我々は夢を見、それから覚めたというだけである。

前回の記事で私は、「我々アーセナルファンはきっと、試されている」と書いた。それは、昨年までとまったく姿を変えてしまったガナーズ、そして来期はさらに変わっていく彼らを愛し続けられるだろうかという、甘っちょろい疑いから発した言葉だ。

だがこのビッグマッチの後で私は、彼らがどんなチームになっても応援し続けるだろうと確信している。ならば今、感謝すべきなのは夢が続くことに対してなのかも知れない。バルセロニスタたちは、決して“初欧州制覇”を味わいえないのだから。

夢を見、夢が覚め、夢は続く。
5月のパリ、アーセナルは“最高の敗者”だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

"I were there."~24時間後、アーセナルCL決勝を欧州最強バルサと

2006-05-17 03:22:12 | スポーツ
我々アーセナルファンはきっと、試されている。

ヴィエラが去った今シーズンの最初、不安はあったものの若手が伸びるから大丈夫だと、自らにいいきかせていた。
けれども不安は的中する。プレミアでの意外なほどの不振。不評だったセットプレーでのゾーンDF陣は何度も立ちつくした。インプレーでも、キャンベルが大きなからだを揺らしながら相手アタッカーを止めるでなく追いかけ、レーマンがなすすべもなくネットの前に横たわるシーンに、テレビの前でもういいよと何度頭を垂れたことか。
しかし守備のことはいい。ファンにとって大きな悲しみだったのは、わくわくする美しいリズムが止んでしまったことだ。
世界最高のボランチがいた昨シーズンまで、4番が相手からボールを奪うことは、自陣ゴール前であってもそこは限りなく相手ゴールに近かった。何人もの攻撃陣が一斉に走り出し、いくつかの素早く強いワンタッチパスが快いサウンドを奏で、誰もいないスペースに向かってボールが弾道を伸ばし、恐ろしいスピードの14番がそれに追いついてゴール前にボールを送る。そんな至福の数秒を、今シーズン最初の彼らは忘れられていたのだ。
もうこれは、私たちの知っているアーセナルではない、ただのチームだ。誰もがそう思い、エンジのジャージを呪った。

というところまで書いて、CLダイジェストを観。いや、おもしろかった。
G・シルバやアンリ、レーマンは英語だが、もう2年いるはずのセスクはスペイン語。「2対1でアーセナルが勝つ」そうだ。レーマンの英語は実に英語らしかった。I took it. A couple of minutes later... つって、意外に知的な感じだ。
故郷レズーリの人々が、「Je ne connaitais pas c'est ca. こんなにすごいプレイヤーになるとは思わなかったね。」というアンリの特集。思わず頬がゆるむキャプテンの思いが伝わり、Allez Henry! Allez Henry! と叫ぶ少年たちがまぶしい。
アーセナル・コムもけっこう読んだ。「父に満足してはいけないといわれた」というアンリ発言はいろいろな意味にとれるが、まあそれは今日はいうまい。スペイン紙からという戦力分析は興味深い。飛び出したサイドバックの裏を突け、とはまあ定番だが、かつてのチームメイト・セスクが何より恐いという。ダイジェストでは、「みんないい人だよ、メッシとはよく連絡を取ってる」といっていたが、何を話しているのだろうか。
「バルサが最強のクラブなのは確かだけど、強いチームが必ず勝つわけじゃない。ロナウジーニョと相対するのは初めてだけど、酸素不足になっても I don't care.」とG・シルバもいっていた。

そう、これは私たちの知っているアーセナルではない。エンジのジャージの彼らは、1シーズンのうちに姿を変えた。
キャンベルがどっか行ってA・コールが休んでる間に最堅最終ラインが結成され、レーマンは、実は中にカニサレスあたりが入っているんじゃないかと思うくらい読みが当り始める。失点がなくなると同時にコンビニで立ち読みでもしていそうなセスクやフレブがアーセナルのリズムを身につけ始め、アンリほか旧戦力とマッチしてきた。
ウィリアムヒルでは、バルサ1.5倍にアーセナル2.5倍。シャビは帰ってきたし、メッシも今日の練習を見て出否を決めるという。望むところだ。どうせバルサとやるのなら、ベストメンバーでやってほしい。
こっちもキャンベル、A・コールが戻ったし、10番も He got a ticket to ride. だ。
先々週に歴史の幕を閉じたハイバリー。一度も足を踏み入れなかったのは、クイーンを見ておかなかったことと同じくらい心残りだがしかたない。
その日のハイバリーのファンは、"I was there." と書かれたシャツを着ていた。もじっていえば、"I were there."。心はサンドニにある。
でも、私のアーセナルはテレビで十分。スカパーは川勝・八塚か。これまた十分。
こんなに待ち遠しいゲームは、私の観戦人生でもかつてない。Je l'attends.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつもいつの間にか

2006-05-16 01:30:27 | 週間日記
4日連続更新ならず残念。先週日記です。

8日(月)中学の同級生M君と太田イオンでT・マリック久々の新作『ニュー・ワールド』
9日(火)夕、自宅映画E・ルビッチの33年作『生活の設計』。晩、M君宅に
10日(水)連休からずっとの暴飲がたたり、朝から深夜まで何も食えず。久しぶりに一晩アルコール抜きで、明け方UEFAカップ決勝観
11日(木)打ち合わせで市ヶ谷出張。その前に時間ができ、一番好きなラーメン屋三鷹・江ぐちに。幸福。~終わって日比谷シャンテでF・オゾンの新作『ぼくを葬る』。すごい~時間合わせで松屋・デザインギャラリーをぶらぶら、OB・I君熱烈推奨の日産ギャラリー美女を確認に行くもどの人かわからず~上野・大山でコロッケ・焼き鳥・ビール~帰路、町田健『チョムスキー入門』読了
12日(金)前夜と起きてからハイバリー・ラスト・マッチ、アーセナル:ウィガン。感動。それから自宅映画P・ルコント『列車に乗った男』。夕、時間なく山田うどんで天ぷらそば。深夜、中古CD、Dagmer Krause ・ Anthony Moore ・ Peter Blegvad [・・・] "CAMERA" 初聴
13日(土)昼、撮影~恒例の籠原・福龍で大盛味噌ラーメン
14日(日)昼、撮影。馬券買って出ると、ヴィクトリアカップ3連単1万ちょい的中で3週連続万馬券の快挙。地上波放送のFAカップを待ちながら寝てしまい、起きてから観戦

まだ余裕あり、劇場、自宅2本ずつ映画観。UEFA&FAカップ決勝、ラスト・ハイバリーと3ゲームのサッカーや野球もよくみたし、NHKスペシャル『プラネット・アース』も4回中3回みました。
でも画面より、長くみているのはねこども。今日の昼間、パソコンに向かって仕事中、外から来たカミーラがフ~。母ねこが来ると者ども集まりますが、今回はほぼ全員集合といった大騒ぎでした。何だろうとみると、カミーラの口にあおいバッタが。
それからカミーラ本体はバッタを口から離して満足したように悠然といすの上に横たわり、ほかのメンバー間でもとくに争奪戦が起こるでもなく、すでに子どももいる暫定名たぬきがひとりで咥えると、憐れバッタはあっという間に姿を消してしまいました。
謎1)ねこが獲物を咥えてくるのはめずらしくないにしても、なぜあのフ~によって獲物があるということが他のやつらにわかったのか、謎2)なぜスムーズにバッタの譲渡が行われたのか、謎3)みていただけの多くのあいつらは「ただみに来た」のか、謎4)持ち込んだカミーラにとって「開陳」や「贈与」は、「摂食」より満足度が高いのか。まったくの謎です。
それからねこども、まったく跳ねたところは見なかったと思うのですが、なぜか部屋の中でみんな、昼中ずっとぴょんぴょん跳ねていました。生きているのは、元気なのはいいことだと沁みいます。
今日十五日は、数えたら多分立春から百夜目。いつもいつの間にか、いくつもの時が過ぎています。

(写真は机下を占領する暫定名ひだりきょうだいの1頭に机上に出て来てもらいました。こやつらまだ小さく、バッタの集いには不参加。BGMは、寒くもなく暑くもない時期の夜によく合うジョン・コルトレーンの佳作 "blue train")
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今、「脳」についての説得力とは~茂木健一郎『「脳」整理法』

2006-05-14 01:05:39 | 読書
今日は読書レビューの番、というのもおかしく、半年前に読んで細かい部分は忘れている本について書くのもどうかと思いますが、とにかくどんどんいきましょう。

【introduction】
塾OB・I君によれば、「最近テレビでもよくみます」の茂木氏。とはいえ、スポーツと映画、たまにニュースくらいしかみない私は画面で拝見したことはありません。
新聞書評などで読んだ「クオリア」という概念には興味を持っていたものの、著書に触れるのは初めて。多くの作がある著者のものを初めて読む場合は最新の手頃なものを選ぶという個人ルールに従い、本著に手が伸びました。

【review】
という個人ルールは、完全な失策。私が知りたかったクオリアについてはほとんど知見が深まることはなく、「ひらめき」「偶有性」「『他人』との関係」などから、「脳」を整理するためのハウトゥー本のようでした。私はとくに自分の脳を整理したいわけなどではなく、クオリアの正体がよく知りたかっただけなのです。
「最新の科学的知見をベース」にしたといいますが、何だかはぐらかされた感じ。よくみないで買った私が愚かでした。
それにしても、私が最初に脳に関する本、といってもほぼブルーバックスどまりですが、そんな本を読んだ頃からこの20年くらいの、脳科学の進歩はすごいものだなと改めて思います。右脳だ左脳だというあたりから扁桃核などの構造。CD批判で脳波のα波が注目を集めた時代もありました。そしてMRIだの、名前は忘れましたが温度で色が変わる装置など新テクノロジーの導入。そのほかドーパミンがどうしたという脳内分子とか、A10神経はじめ神経の構造や発展のしかたがどうのとか、いろいろなアイテムがかけめぐってきました。
おそらく私が感じた本書の物足りなさは、そういった“科学的”なアイテムなしに、先の「ひらめき」「偶有性」「『他人』との関係」のような、きわめて文系的なタームで語られていることへの、いくらか的外れな“違和感”なのでしょう。そして茂木氏が支持されているのは、まさしくクオリアというキーワードで脳の置き場を文系側に引き戻したことなのではないかと思います。
近年読んだ中でもっとも刺激的だったのは酒井邦嘉氏の『言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか』ですが、同じ学際的な成果でも素人目には、酒井氏の場合は理⇒文、茂木氏の場合は文⇒理という印象あり。もはや、科学的なデータだけでは人々の脳への欲求は満たせないのかも知れません。
脳に対しての私の個人的最大テーマは、例えば中学生に歴史を伝えようとしている時、なぜ“物語”が効果があるのか、それが脳にどう関わっているのかということです。この問いに対する答えを探していつも脳に関する本を読んでいるのですが、今のところもっとも納得したのは、10年以上前に読んだ養老孟司氏『唯脳論』で見つけた「脳がそうなっているからだ」という一説。この謎の関わりそうなクオリアの正体を知るため、そのうちほかの茂木氏の著書を読んでみましょう。
ところで、最初に書いたI君との会話。「いまひとつだったな」という私にI君が、「あれ、センセイ、前におもしろいっていってましたよ」。やはり、脳の整理は必要なようです。けれど、脳は常に上書きされるものだともみなさん書いてますが。

05年11月4日読了。上野駅ブックガーデンで購入

(BGMは、スラップ・ハッピーのメンバーによるテレビ向けのオペラという00年作 "CAMERA" 。めったに活性化しない種類のクオリアが刺激されます)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“定型”の効果と限界~ポール・ハギス『クラッシュ』

2006-05-13 01:50:16 | 映画
やはりずいぶん開いた映画レビュー。追いつくのは難しそうですが、とにかくどんどん書きましょう。

【introduction】
本年度アカデミー作品賞。前年の『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本家ポール・ハギスの監督作で、LAが舞台の「クラッシュ」をキーワードにした群像劇です。

【review】
表現には、時間とともに思いが深まるものと反対に薄まってしまうものがありますが、私にとって本作は後者。当日の日記には「アカデミー作品賞は十分」と書いてありました。けれどもそれは今、アイロニーにさえ読めます。
ひとつひとつのエピソードは申し分ありません。意外な展開があって、どうしようもない何かを抱える登場人物たちがそのドラマの中で変わっていき、それを突き放さずに眺める“映画の視点”が存在する。J・デュヴィヴィエの『巴里の空の下セーヌは流れる』を思い出し、51年のパリと50年以上後のLAの違いということも考えました。
といってもデュヴィヴィエはいささか古過ぎるので、本作でよく引き合いに出される『マグノリア』と『トラフィック』、それから構成はちょっと違いますが複数のストーリーが交錯する『アモーレス・ペロス』と比べてみましょう。
このうち『トラフィック』と『アモーレス・ペロス』は最近みた中でももっとも好きな映画で何度も誰かに語るうちに思いが深まり、一方の『マグノリア』や本作『クラッシュ』は最初の印象は次第に薄れています。
その違いを考えて、“定型”の扱い方ということに思い当たりました。
例えば『トラフィック』での刑事の静かな怒りや絶望、『アモーレス・ペロス』の元革命家の罪悪感や後悔は、もちろん“定型”としての刑事や友人、革命家や父として描かれていますが、それはストーリーが進むとともに意外なかたちに深まり、ついには思いも寄らない方向に動いて、それが他にはない感動につながっています。
これらに対して、本作での父の介護を続ける悪徳警官、母と彼女が大事にする不良の弟との葛藤に悩む優秀な刑事の兄、『マグノリア』の自己啓発マッチョやクイズ少年は、“意外な人物像の定型”に寄りかかり過ぎていて、深まることがなかったように思われてしかたありません。物語には欠かせない“定型”の効果と限界。そんなことを考えさせられました。『ミリオンダラー・ベイビー』をみた時に感じた物足りなさの正体は、これだったのでしょうか。
ドン・チードル他豪華俳優陣は見事。

3月16日 新宿・武蔵野館にて

(BGMは本作のエンディングでかかっていたステレオフォニックスの01年作 "just enough education to perform" でした)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

たけのこ、つつじの休み

2006-05-12 16:26:22 | 週間日記
開いてしまいました。連休の日記です。

1日(月)昼、撮影。夜、I君宅で飲むが、帰り本当にしばらくぶりの野外嘔吐を駐車場やら畑やらに
2日(火)DVDレコーダー。よく買ってる20枚1680円ビクター・メディア、コピー失敗が続き、20枚1780円TDKを購入。1枚はOKだったが、二枚目失敗。ハード不調か
3日(水)昼、裏で筍掘りをしていると叔母2名現る。夕、中学の同級生M君、O君と上柴・和音~粋季へ。その後、M君宅に
4日(木)昼、体調すぐれず。夜は阪神:巨人。不思議なサヨナラ勝ち。昼もMLBと野球はよくみる。その後、B叔父と飲む
5日(金)この日は朝から読書に精を出し、放っておいた保坂和志『カンバセイション・ピース』残り半分を読了。その後、自宅映画56年イタリア作『芽ばえ』と充実し、夜はM君宅でN君一家らと大飲み
6日(土)昼はI君と会ってから買い物、馬券買ったらまたも最終で2万7千円3連単当り、夜は塾OBら6人とこの夜も大飲み
7日(日)土曜に元気がなくなっていたことに気づいた黒太っちょどんどん弱まり、朝からずっと腹の上に置いて手で温めたが、夕方動かなくなる。先週の土曜も帰って来たらいつの間にか1頭死んでいたのだが、こっちはいろいろやってみただけにうなだれる。朝まで手元に置き、休みが終わり明るくなってから埋葬

というわけで、近年稀にみる仕事時間の少ない連休。遠くに行くこともなく、近場で十分に楽しみました。サッカーはチェルシー:マンU、サンダーランド:アーセナル、マンC:アーセナルだったか。
5月のやわらかな光と風のもと、庭はたけのこを生やしたり、つつじを咲かせたりと忙しいですが、ねこどももそれぞれの“仕事”をこなしているようです。

(写真は何とかつつじとねこを同じ絵に入れようと待ち構えるも、関心のないやつらはなかなか射程圏に入らず。葉っぱを揺すったりホースを振ったりもまったく効果なく、物足りぬ絵数枚であきらめかけていたら、八の字がちょうどいいところを通りかかりこれを採用。BGMは本年度上位候補の cat power "the greatest"。ポワポワ声にアーシーな音が心にしみこみます)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五月風(さみふき)だのジミー・ペイジだの

2006-05-04 13:23:45 | 週間日記
数年ぶりのゆったり連休。先週日記です。

24日(月)桜ヶ丘・けんちゃんでタンメン
25日(火)ずっと働く。風邪悪化
26日(水)何も食えないまま、集計仕事完了。さらにふらふらする中、I君宅で資料作成
27日(木)起きてCL2戦連続観。満足の結果。夕、何とか上柴・正田庵もりそばで炭水化物食。夜、OG・Cさん来塾。途中M君が、さらにテーブルを借りたいとT君も現る
28日(金)ずっと働くが、夜に困難発生
29日(土)昼:撮影。昼、駅そば、夜、恒例の籠原・福龍、大盛ラーメンで、出かける前の自宅食、深谷名物・高柳うどんと麺類グランドスラム達成で炭水化物みどりの日に。その後、テーブルを借りに来たT君と話す
30日(日)前回記事通り、ゆったり日曜でディープインパクトに呆然としつつ、東京最終8万3千3連単で大喜び。外に出ると父親が離れ周りの草を刈っていたので、しかたなく自テリトリーだけ交代。草を刈る感触というのは、なかなか重みがあっていい。その後、夜はまず父親と戦後社会と「格差」について議論した後で軽く中華丼ほかをつくり、帰ってきた甥らに。巨人・ニ岡には驚嘆

サッカーは確か、アーセナル:トッテナムに、CL2ゲームだけだったか。
昨夜は酔っ払い、起きて昨夜録画のレッド・ツェッペリンを所々視聴。やっぱりすごい。何といっても音がいい。
と思って外に出て、熱さをはらみながら心地よい、この季節の風を浴びて、室内のこねこでなく、外に出てきたティーの姿を携帯で。
こんなにすばらしい五月の風を表わす単語がないのは不思議。「五月雨」が「さみだれ」ならば、「五月風」は「さみふき」とでもいえばいいかと思いつつ、「さみふき」だのジミー・ペイジだの、世界にはどうしようもないもの多いけど、すばらしいものも山ほどあると実感。
風邪はひいても、そのうち治る。

(BGMはそのツェッペリン映画で『幻惑されて』。タタンタタンタタ、ダカダカダカ。ウワ~ン・ウワ~ン・ワン。アーア、アー)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黄金週間NHK-BSの“ロック黄金映画”特集

2006-05-02 13:27:33 | 音楽
日曜はゆったりの一日。ディープインパクトすごい、リンカーンって名前の割りに哀しくていい感じになってきたなとか、馬券当んねえなとか思ってたら、東京最終で8万3千円3連単100円的中。ここしばらくの負けが漸く戻ってきました。夕飯つくってみた巨人・ニ岡にも驚き。

といって週明けで、先週日記のタイミングですが、NHK-BSで黄金週間というのにこれといった予定のないロック老若男女にまたとないプレゼントの“ロック黄金映画”特集があるので、ここはシリーズ化しつつある“自らの old days からみる音楽名作”としてこの5作について。

だったのですが、下書き途中で寝てしまったため、もう初日のボウイは終わっちゃいました。
当然ながらの長文。

●1日 デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』
実はこの名作、初めから終わりまでみ通したことなし。とはいえ、断片的にみたどのシーンにもこの頃のボウイのかっこよさは十分伝わっていたから、今回いい機会だからみ直してみよう。
もちろん後追いできいたアルバム版。いい曲が多いということでは、ボウイ作中でもナンバーワンか。starman は時々カラオケで歌わせてもらっています。
ボウイのライブは一度だけ。売れに売れた『レッツ・ダンス』の頃、大学に入ったばかりの横浜球場。初めて行ったスタジアム・コンサートだったが、現在のようなでっかいビジョンもなく、豆粒くらいで動いているのがボウイ本人でなかったとしても、まったく気づけなかったことだろう。
直近アルバム2枚はきいたがまあまあ。それでも、数年前にみたグラストンベリーでのライブは健在だった。もっとも好きなアルバムは、ロバート・フィリップが参加して高校の頃初めてリアルタイムできいた "scary monsters"。

●2日 フー『キッズ・アー・オールライト』
これは存在こそ知れどまったくの未観。今回が楽しみだ。
黒っぽさのない、独特のタイム感が奇妙な印象のフーはそんなに思い入れのあるバンドではありませんが、映画『トミー』や『さらば青春の光』、『ウッドストック』や『ワイト島』でみたビジュアル面はやはりかっこいい。実際の映像をみる前の高校の頃、写真でみる『さらば青春の光』のモッズにはぶちのめされました。
2年前のロックオデッセイにも、ポール・ウェラーもいるなら安いとみにいき、その夏、何度かカラオケで『マイ・ジェネレーション』を歌って息を切らしました。

●3日 レッド・ツェッペリン『狂熱のライブ』
“世界最強”といわれるたZEPのライブ映画。ビデオでも持っていて、何回みたことか。志ある塾生どもも、歓喜の一本です。
高校の最初の頃、中学の同級生F君に借りたⅡとⅣを録音した90分のSONY・AHF。5歳下の弟も、「(私が大学へと去った後)あれはよくきいたな」といっていたこのテープは、数年前にデッキに入れてみたら健在。アナログ記録は頑丈です。
本映画を最初にみたのは、高1だったか、「ぴあ」をみて行った三鷹オスカー。F君らと行ったのですがその多分79年の名画座では、オープニングのジミー・ペイジのクレジットに拍手が巻き起こっていました。その6年後か、この映画館まで歩いて5分のアパートに住んだ私は、3本立て1000円の夢の時間を何度もこの暗やみで過ごすことに。
さて、テルミン、ボーイング奏法、Wネックギター、龍の刺繍の衣裳などペイジ得意のこけおどし、J・P・ジョーンズのわけのわからぬ中世の騎士ごっこ、ボンゾのスピード狂、そしてセクシーなプラントのGパンと魅力満載の映像は、宇宙人にも誇れる地球の20世紀文化の結晶です。
購入ビデオとは違って、前にみたNHK放送版は歌詞対訳つき。10年ほど前か「王様」がきかせてくれたバカロック歌詞が、本人たちの映像と同時に味わえるのも一興です。
ZEP関連で行ったライブは、90年代のカヴァーデール&ペイジとペイジ・ペラント×2。初めてペイジのお姿を拝んだ前者、武道館で新作~ホワイトスネイクときた1、2曲目に微動ともしなかったネクタイ族が、ダタタ・ダタタ・タタ、ダタタ・ダタタ・タタ、の Rock'n' Roll のイントロ一発で一斉に立ち上がったシーンは、忘れることのできないロック幸福の一瞬でした。

●4日 ローリング・ストーンズ『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥギャザー』
ZEPは“最強”ならこっちは“世界最高”。しかし、すみません。彼らについても、世のストーンズ・ファンといわれる方々と比べて、そう熱意を持ち合わせているわけではありません。
とはいえこの映画は、大学の最初の年か、新宿コマ前のどこかでロードショーでみました。圧巻は『ホンキー・トンク・ウイメン』の美女続々シーン、ある行為をするロン・ウッドのいい人なところが印象的です。
多分、大学のレコード売り場だったか、知らないやつらの、「だってストーンズの映画だぜ! みんな黙って座ってるはずねえじゃん」という発言が記憶に残っていますが、高校・大学と一緒だったB君といっしょに行ったコマ前で、多くのストーンズファンは、キース・リチャーズのクレジットにも拍手も送らず。79年から82年の間に、ロックファンに変化があったのでしょうか。
思い起こせば、彼らのアナログはほぼ誰かにか、レンタルで借りてきいたよう。現存するのは、この映画のサントラである still life だけです。個人的には、この公演での under my thumb のオープニングから、let's spend the night together という流れや、重めのギターの音は好きです。白眉はやはり time in on my side 。
ストーンズのライブは、1回目と2回目の東京ドームに。「たーあああいむ・イズ・オン・マイサイッ って歌いてえよな」といった大学時代の友人I君や、「under my thumb って、久しぶりにやった曲なんだよな」っていってた高校の友人K君、under my thumb でB面が始まる gimmy shelter を貸してくれた今は亡き高校の友人H君ら、思い浮かぶ顔は多。それがストーンズの魅力でもあるでしょう。
おお、うっかり。3年間、中学校で英語を中心におしえていた私の授業プリント・タイトルは、「Let's spend the lesson together」でした。ストーンズ風訳なら、「授業をぶっ飛ばせ!」。

●6日 ジョン・レノン『イマジン』
最後を飾るにふさわしいこの作品。時間を置いてつくられたドキュメント映画の最高峰の一つと思います。
たとえば『バックビート』。若きレノンの周辺を描いた傑作ですが、どんなに似ていてもジョンじゃないやつがジョンを演じているのには我慢がならず、やはりみたいのは本物のジョンなのです。キャバーンなどでの熱い映像。現代のバンドならお手軽なビデオでもっと多くの映像が残されているかも知れませんが、当時の「貴重な映像」感がぐっと気を引き締めます。
これは大学を卒業してから、高校の友人の友人で、よく学生時代に飲んでいたM君と、やはり新宿コマ前のどっかの劇場でみた憶えがあります。
編集が見事。アスコットの「イマジン」収録当時から時代を自在にかけめぐるこの手法は、実に効果的です。
そして、何といってもビートルズ。ビデオがなかった私たちの世代で、中2の頃隣町、熊谷会館でみた、ベイ・シティー・ローラーズが中心のフィルムコンサートでみたビートルズのワシントンDCははじめてみた動くビートルズでしたが、その時みた同じ公演や、『レヴォリューション』、そしてルーフトップライブなどは、この時新たなものとして胸に刻まれました。
"God"をはじめ演奏シーンでないソロ時代の曲も、編集のすばらしさに思いがたぎります。
さすがにレノンのライブには届きませんでしたが、90年に息子のショーン他を迎えて東京ドームで行われた "happy birthday John" には行けました。

(BGMは前回からずっとパソコンに入ってたレイ・デイヴィスの新作。キンクスは、ここに入ってるべきだぞNHK、というわけで)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする