小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

【未完成投稿】私にとってのエリック・クラプトン~「人生十二年周期説」と

2009-02-22 13:23:50 | 音楽

さっき

気持ちのいい日曜、にゃんにゃんにゃんの日。
これからエリック・クラプトン+ジェフ・ベックをみにさいたまスーパーアリーナに行くことになりました。ともに、みるのは初めてです。
そこで、このタイミングで書くのがベストといえる、二十数年前に思った、私にとっての、ある象徴としてのエリック・クラプトンについて書くことにします。ジェフ・ベックさん、すみません。でもきっと、後半のレビューで触れます。
なお、人生十二年周期説は、もちろん干支が関係ありますが、やはり十数年前に読んだ西部邁が『生まじめな戯れ』で主張していた「人生十五年周期説」が参考です。

・・・
クラプトンはもちろん好きです。かっこいいです、すごいです。最初に知ったのはいつかも思い出せません。ビートルズ、while my guitar で、えっ、クラプトンが弾いてんのと思った記憶はありますから、多分、ギター雑誌かなんかで「三大ギタリスト」の話を読んで知ったのではないでしょうか。

おそらく、たとえば『愛しのレイラ』のリフをきいて、かっこいいということを否定するやつはいたとしてもたぶんものすごく少ないのではないでしょうか。『ワンダフル・トゥナイト』をきけば、レイドバックなんて概念を知らなくても、いやあ、大人の音楽っておしゃれだな、と思うだろうし、ずっと後、『ティアーズ・イン・ヘヴン』をきいて、というか、息子さんの悲しい事件を知って、人生っていろいろだな、クラプトン渋いな、と思わない人はむしろ少ないと思います。

もちろん私も、クラプトンファンの一員です。
アルバム単位でいえば一番好きなのは『461 オーシャン・ブールヴァード』かなと思いますが;予断ながら、多くのファンと同じようにずっとカタカナで Blue Bird と思ってました、どの時期がいいかときかれたらやっぱりクリームの頃かな。なんといってもあのギターですからサポートやっても一流で、昨年二枚しか買わなかった新譜の一枚、ブラインド・フェイスの盟友、スティーヴ・ウィンウッド nine lives の dirty city のオブリガートなんかは、いやあ、かっこいい人っていうのはいつまでもかっこいいんだなと舌を巻いたし、たとえば大好きなケイト・ブッシュはブルースロックのクラプトンのイメージからは遠いですが、93年作の red shoes、and so is love では、もはやラテンロックのサンタナと同等の"そのままいればマッチする性"を感じさせて圧巻でした。
そして、何より支持層の厚さ。ロック好きでクラプトンが嫌いな人はいないといっていいですから、当然クラプトンの話をすることは多く、とくに彼らの中で評判のいい『ベルボトムブルース』、『いとしのエリー』は姉の名と「エリック」からとったといわれるほどで「エリック・クプトソ」の変名もあるサザン桑田もフェバレットにあげるこの曲、じゃあ、一番好きなのは『ベルボトムブルース』だろとファンにいうと、「どうしてわかるんですか」と応えられたことは多分二度以上はあったと思います。

そんな中、むむ、ひょっとしたらおれはそれほどクラプトンが好きではないと気づき始めたのは二三歳、大学を卒業した頃でした。

私と付き合いの長い方はおそらく同意していただけると思いますが、私は何に対しても「好き嫌いのコントラスト」があまりない方で、それはいいかどうかはともかく、生き方に大きく関係しています。
じゃあ、なんでそんなにいつもラーメンばっか食ってんだ、秋にはさんましか食わねえじゃねえかといわれれば、すみません、というしかありませんが、ちょっとここで触れるといつまでたっても進まないのでまたの機会にしますが、反論はできます。ただ、食べ物でも何でも、とくに嫌いなものもないし、好きなものも、世間のひとほど頓着しないというのが、基本的なスタンスだと思っています。「おたく」「マニア」はある意味、憧れなのです。

そんな私にとってクラプトンファンたちの話が二四歳の頃、なぜか「違う」と思われたのです。こちらはずっと、はっきり好きといえる、たとえばレッド・ツェッペリン、ジミー・ペイジなどと違って、クラプトンの話をしている時の私は、それほど嬉しそうではないのではないかと何となく気づいた、そしてそれは当時の偉大なロックアイコンのうち、ローリングストーンズなどにも感じ始めていました・・・

13:16

あっと、もう出かけなければなりません。
うれしい。
続きは今日帰ってきてから書きます。

・・・『ベルボトムブルース』をききながら
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「なごり風」 02/09~15+acv「面接」

2009-02-17 17:50:05 | 週間日記
ちっちゃな花 ホワイト
ちっちゃい鼻 ホワイト
 いっしょな sight
  ウィンド Whyと
         02/16 15:36


火曜更新。先週日記です。アーカイブは、今年はちょうど今です。「建前」について考える面接』(http://runjuku.yu-yake.com/simpleVC_20090217163157.html)。

●2月
9日(月)前夜の自宅映画を観了し、少しグラミー賞も~スマーク伊勢崎で『ヤング@ハート』~末広ラーメン*で大盛~ここでUEFA.COM ANUAL PASS 29.99ユーロ購入。画質は引くと少し苦しい。早くテレビ~忘れてた前週、スーパーボウル、ブルース・スプリングスティーンのハーフタイムショーをみるが、夜の録画だからか2曲しかやらず、しかたなく録画グラミー賞で、このへんは前回に詳しく
10日(火)公立前期発表で合格者からメールあり~昼は買い物+ラーメン。新装なった太田・麺之助で塩ラーメン+餃子ランチ800円~コジマでDVDバームクーヘン50枚1780円~ブックマンズアカデミーで厳選2冊:前田英樹『独学の精神』、中上健次『紀州』~晩は塾~電話取材~原稿
11日(水)昼前は続きの原稿~東方・長崎ちゃんめん~PC救援要請あり叔母宅へ~リバプール:チェルシー
12日(木)夕、同級生M君と深谷シネマでご当地映画『傘』~雷文へ。OB・Y君も来る
13日(金)午後は連日深谷シネマでニキータ・ミハルコフ『12人の怒れる男』。ササイでウィスキーはフォアローゼス1050円+ベル980円~塾に高1M君で使用不能文具を整理したりグラミー賞などみたり
14日(土)昼は撮影~Mixi経由、太田のK氏、久々に歌うというので太田へ。朝から何も食ってなかったので、まず、駅北、華月でタンメン+餃子~会場のカフェ・スコアへ。多くのファンを持つ還暦K氏のさわやかな一夜~帰り、ブックマンズアカデミーで、前から読んでみようと思い、前回一瞬買おうと思ったが見送った『教養主義の没落』と「BRUTUS」の農業特集~深夜、トッテナム:アーセナルは苦しい状態続く
15日(日)競馬二月に入って全然だめ。もう当たらないかも、といつものように思う~連週おでんは関西からのアドバイスあり味覇入れたらコクが出た~ベティス:バルサを前半だけ。ベティスのなんとかオリベイラってのはいい~黒澤『生き物の記録』み始めるが途中で寝る

【カウンター09】
ラーメン4/22(*1/10) 外飲み1/12 アウェイ飲み1/3 読了書1/2 ライブ11/1 劇場映画3/9 自宅サッカー2.5/9 購入ウィスキー2/10

まず、前回以降で気になった言葉を羅列。

◆15日晩、風呂に入りながらきいた「ラジオ版 学問のススメ」旭山動物園・小菅正夫さんの話

 柔道をやっていたとかで、体育系の方で迫力があった。
 普段しない動物の生態の撮影の話もおもしろかったが、今後の人口爆発で動物が生き残るには動物園しかないという逆説、そして何より、
「子どもが育つにはまわりに動物が必要。「人間」はほかの動物を見ることによって自分は人間ということを知る」
 という指摘に感銘。ねこどもをみる限り、周囲のねこを自分と同属とは判断していても、ほかの動物を見て「自分はねこだ」とは思わないだろう。だいたい、やつら、最近来るウー=スカイドンのような個体は、どう理解しているのだろうか。
 東南アジアの国々のように、ねこや犬どころか、そこらへんに牛や馬がうようよいて、何が困るのだろうか。そういう自治体が出てきてもいいのではないか。
 まだですが、そのうちMP3もアップされるそう(http://www.jfn.co.jp/susume

◆16日毎日夕刊 渡辺裕「考える耳」―「中央」で作られるご当地ソング

 ポストモダン的視点から音楽を社会的に考えるこの連載は楽しみにしていて、昨年は著者の単行本『聴衆の誕生』も読んでみたが、この「中央⇔地方」論は新鮮だった。
「地方の時代」がいわれる中、昭和初期の「新民謡」創作の動きから、それが実は「中央」主導だったことを、北原白秋+町田嘉章;はじめて知った:作の静岡『ちゃっきり節』などを例にあげながら明らかにし、ドリフで有名な『いい湯だな』が群馬のご当地ソングから全国化していったことに触れ、「歌そのものがもともと全国どこでも歌える性格をもっており、だからこそヒットしたと言うべきだろう」とする。
 引用しよう。
「文化の個性などという考えが成り立つこと自体、外からのまなざしとの関わりにおいてであり、そうである以上、そこには必然的にある種の普遍性志向が伴うことになる」
 へえ、そうなんだ、と思いつつみうらじゅん+安西肇を思い出したら、ちゃんと、「ずいぶんテイストは違うが『中央』の側からの視線という点では同じである」。
 思い出したのは、今までに読みききした次の断片。

・↑)の旭山動物園の話
・「民族」はフランスに対抗すべく、ドイツが創作した「フィクション」という山崎正和
・「個性」などというものは、最初からあるわけではない。たまねぎみたいなもので、皮をむいたら何もない。皮が個性をつくる、という養老孟司
・竹下ふるさと創生以降、宇都宮餃子、佐野ラーメン、松山やきとりなど、各地に出てきた「名物」が、統計的に「創造」されていること

 では、「地方」とは、「個性」とは何だろう。

・・・

というわけで、「初夏並み」といわれた週末から一転。月曜からは赤城おろしが吹いている。でもごうごういう中、ガラスで守られた車の中は半そででもいいかも知れないほどだ。

誰もが春を待っている。暖冬とはいえ寒いのはこりごりだ。あったかい方がいい。
そう思うのはうそではないが、夜、脚に毛布を巻き、ねこをひざに乗せてごうごうをきいていると、こう思うのもうそじゃない。

そうだ、二月は風が強いんだ、そんなにあったかくなっちゃ二月じゃないだろ。

冷たい風さえなごりおしい。安心する。
そうだ、これは「なごり風」。

われら世代の伊勢正三ファンの多くが知っているNHK-FMの「風 スタジオライブ」(http://www.youtube.com/watch?v=WePmrjbaxX0)で、伊勢自身が考えた言葉という『なごり雪』を私は二〇世紀最高のスタンダードとしてのうた、二曲のうちの一つと思っているが、この「なごりおしい」という思い、今あるものから離れたくないという気持ち、さらには「なつかしい」というよろこびは、「世界」の「地方」としての「日本」、そのもののような気がする。

前に進むだけでは必ず行き詰る。ねこだって、後ずさりはしないけど方向は変えるだろ。
「国家」だって、「市場」だってそう。進んでばかりいられないことになぜ気づかない。

(BGMはAccradioで、Eric Hofbauer & the Infrared Bandという現代ジャズみたいだが、"Hidden Haiku"は「隠された俳句」ということか)

群馬と埼玉の県境。左から新上武大橋、赤城山、小さいけど右に日光富士男体山 02/16 14:29


華月の餃子。その魅力については後日、「店去っても味残る」(仮題)に 02/14


陽当たっても風当たらず。マエシンのきょうだい「ミシビシ」 02/16 15:34


「初夏並み」日の最高殊勲花 02/15 12:56


「風をみていた午後」 02/11 13:29
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風と陽だまりのあやうい季節に(02/02~08)+『パンク』

2009-02-11 19:49:29 | 週間日記
シャッター速度1/15、北北西、10分毎の最大瞬間風速17.9m/sだとするとこの間、空気は1.19m動いた。なのに青い空は動かない 02/08 14:52


Mixiで噂の「最近は更新がありません」を初めてみました。長くなって書きかけが続き、水曜にもつれこんだ先週日記です。
アーカイブは第2期連載も8/11回。今回の付録に関係した内容になりました。1998年当時の若者の『パンク』です。http://runjuku.yu-yake.com/simpleVC_20090211190421.html

●2月
2日(月)起きてスーパーボウル。終盤の二転三転にあっけにとられる~急遽入った調査仕事で朝方まで
3日(火)晩は塾~同級生M君に誘われ奥方と雷文に~このあたりは2月4日分に~明け方、長山靖生『いっしょに暮らす。』読了
4日(水)大泉の、同じ学校ではなかったが高校から知ってるK君宅に。羆・龍舞店で味噌ラーメン~塾は中3に面接の話などきく
5日(木)晩は同級生M君宅で、くさや、おでんをごちそうになる
6日(金)朝少し仕事~風呂に入ったついでにアーセナル:ウェストハムの続きは苦戦続く~余裕あったので熊谷マイカルに『チェ 39歳 別れの手紙』。むう、第2部もこれだけストイックとは~大麻生・四華郷で坦々麺~塾では高1M君に高校生に、印刷工場の職業インターンシップや、高校生に人気のファイル共有サービス「トレントJP」などの話をきく~その後少し作業~入浴後、結果知っちゃってたから前半だけで止まってたクラシコの後半を観。意外にもすごくおもしろかった
7日(土)競馬は午前にPO馬ウォーエンブレム新馬勝ちを電話ラジオで。これで今年度はまだ2頭2勝目、さあ、これから逆転だ~夕、同級生M君の企画で地元一回り若い2名とワイン・マーケット・カゴハラへ。途中、医師組2名も登場し、思わぬ盛り上がり
8日(日)お昼に満帆・太田店*でつけめん~ついでに酒のえばらでティーチャーズ998円~ベルクで買い物~競馬散々~大相撲トーナメントみながらおでん作成~なんとなくNHK-BSでやってた「史上最強の男」を姉の次男と観。前にもみたが笑ってしまうほどシンプルでいい~自宅映画、成瀬巳喜男『あらくれ』み始めるが途中で寝て翌朝観了

【カウンター09】
ラーメン3/18(*1/9) 外飲み2/11 アウェイ飲み1/3 読了書1/2 劇場映画1/6 自宅映画&長編ドラマ1/4 自宅サッカー1.5/6.5 購入ウィスキー1/8

というわけで二月もあっという間に10日経ちましたが、昨日、日米、というかおもにアメリカ文化について考えたので、すでにシリーズ化の様相を呈してきた「日本人とはどういう人々か」の一環として、今日はそれを書いてみます。

朝起きて、まず前夜途中で寝てしまった成瀬巳喜男『あらくれ』を最後までみる。

◆高峰秀子の<デ・ニーロの『キング・オブ・コメディ』>

 ヒロインが運命の命じるままに各地を転々とするプロットは、当時の日本映画としてもめずらしくはない。趣はだいぶ異なるが川島雄三が若尾文子の奔放さを存分に引き出した『女は二度生まれる』などとともに、1950年代~60年代の「女性の時代」を考える上でも興味深いといえる。だが、何よりも本作は女優・高峰秀子が、体当たり、アクションありの「あらくれ」演技に挑んだということで記憶されるべきだ。
 木下恵介の名作『二十四の瞳』や『喜びも悲しみも幾歳月』の印象が強い高峰秀子は、思えば意外なほど役柄の守備範囲が広い。思いつくだけでも、はすっぱな『浮雲』、大石先生的な貞淑さが乱れる『乱れる』といった成瀬作、やはり木下との『永遠の人』での元・恋人を想い続ける強い妻、増村保造『華岡青洲の妻』での嫁役・若尾文子とのなりふりかまわぬせめぎ合いなどの「強い女性」像はいいにしても、見事に主演田中絹代を立てた進歩的女学生だった成瀬『流れる』、これはもう「おきゃん」とでもいうほかないコメディエンヌぶりを発揮した小津安二郎『宗方姉妹』などみせられると、その演技のもののけぶりにうなるほかない。
 と、ここで思い出すのは、ハリウッドの現役演技の怪物、ロバート・デ・ニーロだ。多くの傑作があるマーティン・スコセッシとのコンビに『キング・オブ・コメディ』という怪作があり、これは『タクシードライバー』を期待するおもにデ・ニーロ初心者の度肝を抜くが、私はこの作品について、いや、これがあるからデ・ニーロのキャリアは一層凄みを増すのではないか、といつもいっている。そう、高峰秀子にとって『あらくれ』は<デ・ニーロの『キング・オブ・コメディ』>ではないか。
 それは成瀬演出にとっても同様。NHKもタイトル写真に使っていたホースのシーンは明らかに得意でないこと、いってみれば攻撃主体のサッカークラブが退場者ばかりになって全員自陣で守っているような不確かなおもしろさがある。
 男優陣も多彩だが、ひどい男・上原謙、だめな男・森雅之、どうしょうもない男・加東大介のおもな三人で、一番よかったのが洋服屋の加東大介。『陸軍中野学校』のなんだかわからない教官と並んで好きな役だ。
 なお余談だが、ジョン・カビラのルックスは『キング・オブ・コメディ』のデ・ニーロを意識したものではないかと以前から思っている。
 (NHK-BSで録画)

・・・

と、日本映画の佳作に酔いしれたところでお午が近づきトーストでいいや、おっ、ずいぶん前に買ったキウイが発見されたのでこれをサンドウィッチにしてみようと製作、そうだ、今日はグラミー賞だったとテレビをつける。
おお、ポール・マッカートニー、I saw her standing there か;これは夜にみ直してフー・ファイターズのやつのドラミングにしびれた+ついでにいうと前日かの特集でみたカーリー・サイモンのカバーも、このバンドらしい堅実さがいいような、つまらないようなだった、スティービー・ワンダーの superstition みたいなハードなファンクでも、アメリカの若いやつはいっしょにやっちゃうんだなあ、最後のロバート・プラントには、おお、ここに来てこんなすごいことになるのか;夜みた時、「40年ぶりのLAは…」などといってて驚いた:などと感心して、なんか眠くなったので昼寝に入り、気づいたら夜。暇だったので時間を調べ、『ヤング@ハート』をみに利根川を越え、スマーク伊勢崎に映画にくり出した。

◆"expand my horizon"

 予告編やサイトをみれば、本作の主人公たちがいかにすごいかはわかる。ここでもいつものように、「物語」でなく「映画」のつくりから語りたい。

 まず、編集、構成のすばらしさを称えたい。そしてそれはこの稀な音楽集団の仕掛け人ボブ氏の、卓抜した選曲やアレンジとまったくの相似形といえる。
 お年寄りの歌うロック、というとオールドロックを思うかも知れないが、どっこいそうではない。オープニングのクラッシュ SHOULD I STAY OR SHOULD I GO、キーとなるソニック・ユース SCHIZOPHRENIA などバンク以降の曲まで、原曲のきわどさを保ちつつ、シャウト、コーラスなど年季を活かしたきどころがロックファンにはこたえられないが、メインライブステージの SHOULD I STAY OR SHOULD I GO からカットバックし、"難曲" SCHIZOPHRENIA が仕上がっていく過程はまさにドキュメントの醍醐味だ。
 ドキュメントらしい手持ちカメラに、なぜかインタビューなどはきっちりつくりこまれた絵になっていたりする。要所で見せるハイファイ映像も、メリハリがついて効果満点だ。
高齢者の音楽ドキュメントといえば、ダニエル・シュミットがミラノにある音楽家のための養老院を描いた『トスカの接吻』があるが、シュミット作品が老音楽家たちの怪物的超人性を驚きのこもったカメラで丹念に追った「芸術作」だったのに比べると、こちらは実にアメリカらしいエンターテインメント・ドキュメントだ。おっと、ヴェンダースのこれも傑作『ブエナ・ソシアル・クラブ』もあった。やはりこちらも技術的なギミックが多いだけで、『トスカの接吻』の流れにあるといえる。
 といっても、ドキュメントとして一級品であることに変わりない。ブルース・スプリングスティーン DANCING IN THE DARK でスタートした「もっとも難しい観客」という刑務所のライブ、もはやこの曲ですら知らないような悪童たちが最後には「あなたたちのことは忘れない」となるシーン、ハイライトのコンサート会場の、ずっとローアングルからの観客席は名番組「バーンスタインの Young People's Concert」を思い出させた。悲しいバスのシーン。仲間たちの顔は見せず、音声だけの扱いはハリウッドの美しき伝統を感じさせてよかった。

 それにしても、ほんとにこういう人たちがいるんかよ、と素直に驚いたのは確かです。音楽以外もたとえば、Still Sexy Beast の人形、"超人"ジョー氏ファッションの赤の使い方に、さすがアメリカのおしゃれなお年寄りは違うとうならされ、誰だったかなぜロックなのかの問いに応えていった、expand my horizon の言葉などに心うたれたのはいうまでもありません。

・・・

というわけで、映画が終わると同じモールで日曜のおでん補充のダイコンと野菜天など買ってラーメンを食べて家に帰り、そうだ、2月から決勝トーナメントだと、このタイミングで UEFA.COM の Annual Pass 29.99ユーロの手続。「1年」というのは申込日からとわかり、ならもっと早くてもよかったかなとユーロの相場を確認し、得だったのかなあ。明細をみると3,606円引かれてました。

・・・

と、火曜にここまでしか書けず、放っていったん仕事に入り深夜まで。
入浴後、強化おでんなど食べて、前日ポールマッカートニーまでで寝たグラミー賞を最後までみたら、あまりにおもしろかったので当初の予定を変更してそのことを書きます。ついでなんで、さっき少し書いたアーティストについても補足しましょう。

・・・

パフォーマンスのトップは、すでに忘れていましたがU2でした。2年前の来日公演も涙ものだった、同世代のスターです。
ただ、こういう場面で出てくるのはこちらももう慣れっこ。これはボノ自身の言葉を借りれば、「私たちの活動について批判的な人もいるが」というまさにそういった大風呂敷活動の一環でしょう。曲はこの時期に合わせてきたかと思わせる Get On Your Boots。あちこちで耳にしますが、前作 Vertigo がストーンズなら Brown Sugar にあたるような転換期の快作だっただけに、二匹目のドジョウ狙いな感じです。

プレゼンターで出てきて、ああ、やっぱりスターなんだなあと思ったのがホイットニー・ヒューストン。「まさかホイットニーから」とグラミーを受け取ったのは確かジェニファー・ハドソンで、『ドリームガールズ』しか知りませんでしたがボリュームいっぱいの歌声は、なんかこう、今もまだ可能なアメリカンドリームをみたようでよかったです。

ええっと、スティービー・ワンダーといっしょにやっていたのはジョナス・ブラザーズというかっこいい若者でした。これは前日か、WOWOWの特集で誰か芸人だったかがいっていた「あんな若いのが、スティービー! なんて呼び捨てにして、わてらにとってみれば○○;誰だか忘れたけど大物芸人:に、おい、○○っていうようなもんでしょ」の通り。これは数年前、スーパーボウルでスティーヴン・タイラーと肩を組んでいたブリットニー・スピアーズだったかな、とか、この間みた『シャイン・ア・ライト』でミック・ジャガーと共演したクリスティーナ・アギレラなどもう慣れっこですが、やはりわれら日本人には驚きです。

これはよく知りませんでしたがボ・ディドリートのリビュートのベテラン、若手二人ずつのギターカルテットも同様。バディ・ガイ、B・B・キングといったすごい人たちといっしょにジョン・メイヤー、キース・アーバンの若手もいきいきとプレイしていました。
一方、これはともに若いマイリー・サイラスとテイラー・スウィフト。まわりにギターやベースがいるステージは、なんとなくアルフィーを従えた研ナオコ『窓ガラス』を思い出しましたが、歌はあまずっぱい青春ソング。それでいて技術がしっかりしているところが米国音楽産業のすごさです。

黒人音楽やルーツ音楽はうといのでよくわかりませんが、フォー・トップス・トリビュート・ライブというのは実におしゃれなものでした。
ポール・マッカートニーと会えて感激していたカントリーの女王は、日本でいえば若手女性演歌歌手が大滝詠一に会えて感激というところでしょうか。何しろ歴史が違いますので、こういうたとえは難しいところです。
そのポール・マッカートニーとドラムで共演のフー・ファイターズ、名前は今調べたデイヴ・グロール。すでにしびれたと書きましたが、職人的なうまみと同時に、いつもロックに大事な何かがかけている感じもします。確か元ニルヴァーナだったと記憶していますが、ハードロック界のTOTOといえるような立ち位置になっているのでしょうか。

同じようなことをずっと感じているのが、英国勢として気を吐いたコールドプレイです。
どの曲をきいても、よくできてるなとは思うのですけど自分からきこうと思わない。でも、ラジオやテレビできくと、おお、いいじゃないか、となるのです。なんとなく、こういった英国ロックの上澄みだけすくって並べてみましたという感じ。このへんは私は、日本だとラブ・サイケデリコやミッシェル・ガン・エレファントに同じような感じを抱いています。
今回のマッカートニーに「サージェントペーパーズの服装をパクってごめんなさい」といいながらのパフォーマンスも、なんか熱そうだけど温度が上がらない印象で、昔、「夜のヒットスタジオ」でみたデュランデュランあたりのような物足りない感じがあるのです。
そういえば、WOWOWでは「パクって」と訳していたところ。私には「recyle wear」ときこえましたが、「リサイクル」のこうした用法はあるのでしょうか。

さて、反対に意外なほどよかったのがレディオヘッド。
アルバムは全部持ってるファンで2001年にはライブにも行ったということもありますが、どっかのマーチングバンドとのセッションはみごたえ、ききごたえ十分でした。一時のピーター・ガブリエルを思い出させる、なんというのでしょうかドラム・アンサンブル、このあたりは数作前からみせていた、初期クインシー・ジョーンズを思い出させるブラスのビッグバンドに、大舞台でも目が泳いでるトム・ヨークと、一瞬の静粛の中、先ほどまでのゴージャスな音の洪水から一変のチープな、すみません、名前は知りませんギターのカッティングは、これはもう、ストラトキャスター協奏曲と呼んでいいでしょう。ロックの持つ、あやうさ、幻想性、ふてぶてしさ、それらが渾然となったステージにはみとれるばかりでした。そうか、フー・ファイターズやコールドプレイにないのは、このうち、とくにあやうさなのではないでしょうか。

ということで、パフォーマンスのトリは、今回のアワードを席巻したロバート・プラントとアリソン・クラウス。いやあ、ロバート・プラントこそ、あやうさそのものでしょう。
すみません、名前はよくきいてますが顔は初めてみたT-ボーン=バネットといっしょのパフォーマンスはあやうさにも風格があるのだなということをよくおしえてくれます。インタビューでプラントがいった、「クラウスがちゃんとした歌い方を根気よくおしえてくれた」というのにも笑いました。
北京でベッカムと whole lotta love を弾いたジミー・ペイジと半年越しの勝負は、いまのところプラントがリードです。まさに expand his horizon。

なお、ドレスについても触れておきましょう。
普段着のロバート・プラントはあやうい人なのでいいですが、一般おしゃれのの中ではグウィネス・ケイト・パルトローの何の変哲もないスパンコールが一番でした。

・・・

そんなわけで、またしても宿題としてシリーズ「日本人」が持ち越しになりましたが、ライブ感を出すためにそのまま更新します。予告編として、書こうと思っていたことを羅列します。
1)拍手と歓声のディレイ感、2)『まぶだち』のアクセント、3)日本人の「幕の内弁当志向」、4)小泉文夫が論じた中東の音楽と生活、などです。
なお、「radiohead grammy」「radiohead 15 Step」で検索のYoutubeではたくさんのニセモノがヒットしたのにも驚きましたが、どうやらそういう世の中のようです。

風と陽だまりのあやうい季節に

(BGMは Accuradio から、今はNHKで録音のレディオヘッドBBCライブ)

陽だまりで、世が良がヨガ 02/03 10:22


久しぶりに現れたウーはなぜか巨大化していたのでスカイドンと呼ぼうかと思っている 02/03 10:23


凍ってたの、おぼえてるか 200mm単焦点マニュアル02/07 12:34
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冬の終わりから春の始まり―This pens is good.01/26~02/01+自分の歴史

2009-02-04 18:05:24 | 週間日記
「春」の池、10時18分 02/04 10:18


先週日記は水曜の更新となりました。
アーカイブは、これも生涯テーマである「なつかしい」の十代のかたちを考えた『自分の歴史』です。
http://runjuku.yu-yake.com/simpleVC_20090204111342.html

●1月
26日(月)朝からスマーク伊勢崎で『ぐるりのこと』は橋口演出はもちろん、キャメラがまたすばらしい~手延べ勘助ラーメン*は大盛800円~前日の競馬で口座の残高が増えてしまい、しかたがないので減らそうと再びスマークへ。まずユニクロに入り、これはいつぶりか購入のズボンはバーゲンのコール天1980円。無印の黒を数年前に買ったが、冬は上着が重い色が多いので履く気が起きないこともあってオフホワイトに決定。サイズは29で入ったがももが少しきつく、30でいいが冬だしルーズフィットにしようとウェストはぶかぶかの31を購入~本屋でミュージックマガジン+レコードコレクターズ~翌日の記念品にアジア品の店でカエルと飛んでるブタの木彫りと、こっちは自分のコースター2枚。カードつくったらお香を2本くれた~帰って電話取材と原稿
27日(火)新宿・熊楠家*でニラそば~武蔵野館で『シャイン・ア・ライト』~仕事先事務所、Yさんの送別会で新橋・魚金~デザイナーM君と二次会はなんどきや~事務所泊
28日(水)起きてM君が「築地朝ごはんもいいですよ」というので回り、一大*という店でラーメン~帰って叔母の家に前週写真のCDを持っていくと、いろいろPCの操作についてきかれる~ウィスキー、フォアローゼス1050円+ホワイト&マッカイ980円~晩は塾。公立高前期試験の倍率をネットで知ったのは初めてのこと~マジョルカ:バレンシアは前半で3点入ってやめた
29日(木)晩に深谷シネマで『おくりびと』~原郷・雷文
30日(金)晩は尾島・松よしでもやしラーメン
31日(土)昼は競馬当たらず~翌日の記念品はと考え、鬼瓦職人の卵OB・T君宅に行き作品選び。その前にウィスキー、フォアローゼス1050円+カティサーク980円~ともに伊勢崎・ちなりで塩ラーメン~帰宅後、前日と分けてエバートン:アーセナルはやっと引き分け
●2月
1日(日)朝から同級生M君一家と出撃~東伏見の農業体験農園見学。園主、体験者の興味深い話をきく~帰国するスペイン人研究者Bさん送別会でYさん宅に。そしたらBさんが使っていた無印アイロンを置いていくというので、ちょうど壊れ始めたからといただく。Bさんのアイロン、T君の唐獅子、拙者の代金が「三角貿易」のかたちとなって、唐獅子はイベリア半島に向かい、無印アイロンは拙宅へ

【カウンター09】
ラーメン5/15(*3/8) 外飲み2/9 アウェイ飲み1/2 劇場映画3/5 自宅サッカー1.5/5 購入ウィスキー4/7

なんのかんのと暮らしてるうちに、一月も過ぎて今日は立春だという。
一日早く春の陽気となった昨日三日は前夜朝まで仕事。九時過ぎに弟が来て起こされ、じゃあ、と庭に出てねこどもと写真など撮っていると、最近よくマエシンが入っている箕のところになつかしい釈迦の絵が乗っていた。

そうそう、これは、今確かめたら学研が出していた「母と子の世界名作絵物語全集17巻 現代日本の物語」。1968年とあるから五歳の時か。全集マニアともいえる父が買ってきたものだった。今思えばジャン・バルジャンもトム・ソーヤもギリシアの英雄たちも最初に知ったのはこのシリーズからだったが、中でもこの「17巻現代日本の物語」は大好きだった「おもちゃのこうもり」「ぶたのきょうだい」などが収められて、高校の頃かなんかに探したことがあって、その時は確かいい加減な母親が、あれはM江ちゃん;従妹:とこにあげちゃったんじゃなかったっけ、などというものだからあきらめていたのが、昨年、西のバラック;うちでは物置をこういう:を片付けていた時に出てきて、その時は心の中だけ思いがけない再会を狂喜したが、何しろ炎天下汗だくの作業中だったから後でゆっくりみようと母屋の軒の下に放っておいたのだ。それがねこどもが入っていた箱を動かし、箕の中に入っていたのだろう。

とくに「おもちゃのこうもり」は、けっこう後に記憶だけで中学生の頃か、感想文も書いたことがあるほど好きな話だった。おもちゃ屋がつくったこうもりが空に上りたいのだがなかなか達せず、おもちゃ屋のところに来て「天が高くて登れない」といい、じゃあ、と何度もぜんまいをつけ直して天をめざし、やがて胸が締めつけられるようでほっとする不思議なラストを迎えるという、他愛ない話だ。
何度も思い出したぽわんとした切り絵に詩的な物語。誰だったかな、後で知った文学知識からすれば大正ロマン派かな、と思っていた原作者は佐藤春夫だった。三十数年ぶりに見つかったこの個人的な児童文学の傑作については、また後でゆっくり書くとしよう。

そうこうするうちに姉の次男が数時間後の妻と来て、これから市役所に婚姻届を出しに行くという。そうか、では記念に写真を撮ってやるぞ、「じゃあ、庭園をバックに」ということになり、ねこどもも来たのでいっしょに写真に写り、じゃあ行ってくる、とやつら出発。まあ、送っておくかと写真をPCから「おもちゃのこうもり」はおぼえているかどうかの姉と、ついでに弟にも送っておいた。

昼になるとよく布教冊子を置いていく、キリスト教のある宗派の人たちが来たので多神教とアニミズム、利己的遺伝子説の話をし、ここで入浴して少し寝直し。気がつくと、この冬の最後の陽は落ちていた。

おっと、とコーヒーをいれて飲み、ちょっと掃除して中1塾。
いろいろやっていたが途中で休んで、最近のテレビやなんかの話をきいて、アニメ『WHITE ALBUM』、Hey! Say! JUMP、中学生男子にとってのカッコイイファッションなどの話は勉強になり、後は彼ら学校提出用の作業の合間、数学、というか算数として毎日新聞「脳トレ」にあった、人と犬が合わせて17います。足は全部で54本、さて人間は何人いるでしょう、というツルカメ算を方程式に直す問い、作業の単語に these があったので、This pens is good. という謎の文法間違い文を、1)単語1個直し、2)単語2個直しという問いを考えさせたりして2時間を過ごした。

中1を送ると、いつの間にか同級生M君からメールが来ていて、よくある「軽く雷文に」と書いてあったので「とくに問題なし」と返信。奥方と来た車に乗り、彼らの小2の娘の算数の位取りの話が出たので、「わかる」というは「概念」の獲得であって、それがいつかわかるかでと、先ほどの人と犬の問題や This pens is good. の話をして雷文に着き、前週の日曜に行った体験農園や身近な農地のこと、日曜に持って行った唐獅子の瓦職人の若者のこと、節分や氏神さまのことなどを話していると、その夜は近くの神社でテキヤさんのバイトをしていたという若いバイトが残りの焼きそばとたこ焼きを持ってきたのをもらって食べ、彼らがカウンターで「中京の直線は…」などと話をしているので、ああ、競馬やるんですか、私はライターもやってて競馬の仕事もよくやってて、テレビに出てる○○さんなんかと仕事したこともあるんですよ、「うええ、そうなんですかー、ホンモノだあ~。でも、ボクら年齢的に競馬やれないんで、ゲームのなんですよ」、ゲームってダビスタじゃなく、あのゲームセンターの、でも、あれ一回みたことあるけど、おれなんかだと、もう、懐かしい馬がいっぱい出ててうれしいんだよね、「ええ、一番古くてルドルフの世代ですけど」、じゃあ、スズマッハなんかもいるんだ、はい、と、何でこいつら自分の生まれる前のダービー馬で盛り上がってんだ、と不思議に思いつつ帰り道、M君奥方がオグリキャップ惨敗のジャパンカップをみに行った話などする。

お茶でがまんの奥方の運転で家に帰ってネットをつなぐと、姉から「ありがとう、めでたいめでたい」と返信。多分こいつは「おもちゃのこうもり」はおぼえていまい、と思う間に眠ってしまった。

なぜか朝の四時頃に目が醒めるが、意外なほどあたたかい。
そうだ、と前日にきいたJ-WAVEアーカイブスが1989年のチャートで今日は90年だと、ネットラジオをつけて、もうすぐ読み終わりそうだった長山靖生『いっしょに暮らす』を開き、1990年の音楽 http://www.j-wave.co.jp/original/j-wavetop40/(2月4日付)、PHIL COLLINS や RICHARD MARX といった身のまわりの音楽ファンにはすこぶる評判が悪い、この頃のリバーブだらけでFM音源が派手に鳴るサウンドととストーンズ初来日とポール・マッカートニー再来日の話などを、そういえばこの年ストーンズは行ったけどポール・マッカートニーはいいや、とパスしたな、中学校に勤めてた頃で、小学校だった姉の息子たちが夏休みに来て、サッカー部の試合にいっしょに行ってたな、まだうちにはエアコンがなかった、などと思い出しつつ、明治の物語である漱石『こころ』ぼ「先生」と「私」、もう少し後の武者小路の「新しき村」に、さくらんぼユートピアって柳美里『命』のあの演出家が始めたのか、などという初めて知ったことがあったりしつつ、この曲は知らなかった1位クインシー・ジョーンズの頃に新書は読み終わり、サーシャがジンバブエのデノミやアメリカの太陽発電量がドイツを抜いた話をしているうちにまた眠って、起きたら立春の朝だった。

と、またも長くなった、冬の終わりから春の始まりの約二十四時間を思い出して、「今の一日」はどのくらい「今そのもの」を生きているのだろうと思った。生きてきたのは四十五年で、迎えた春もおぼえてないのも入れて四十五回。「今の一日」には自分の四十五年だけでなく、もっと前の話もいろいろまぎれこんでいる。ふと思い出したのは、何だったか、室町時代についての本を書いた人がいっていた、「九十歳の人のはなしをきくと、九十年なんてあっという間だったという、ならば五百年前なんて実はちょっと前くらいのことではないかと思って、いろいろ調べてみた」という話だ。そう、時間は、昔は、あちらこちらに偏在しているから、久世光彦が太宰へのオマージュとして書いた小説のタイトルを借りれば『早く昔になればいい』。

ふとホワイトボードに目をやると、昨日書いた「This pens is good.」。
そう、「わかる」ということは「わからない」には戻れないことなのだ。そう思うのは、冬と春の間だからだろうか。

(BGMは今回も Accuradio で、ちょうど今、マーラーでは一番好きな『大地の歌』は、おっ、Concertgebouw で、指揮は Bernard Haitink)

庭に出てきた「おもちゃのこうもり」 02/03 10:42


T君の作品は、もうイベリア半島に向かったろうか。 01/31


せつぶんのせっぷん 02/03 10:36


「小松」ティー 02/03 10:30
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