小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

「ア・サンデイ・モーニン・トリップ」~"civilians"

2008-05-31 22:06:48 | 週間日記
内陸の こがねの海を 日曜が過ぐ  *5月28日(中央、雲の陰は浅間山)


まだ一月半遅れの週間日記から。

●4月
7日(月)原稿~おおぎやで味噌ラーメン+50円券餃子
8日(火)原稿~出張授業
9日(水)急遽撮影+原稿~出張授業
10日(木)原稿~夕方何となくカレー作成
11日(金)原稿~久しぶりに山田うどんで天ぷらうどん~塾、うっかり携帯水没
12日(土)昼は撮影~携帯徐々に回復
13日(日)昼は原稿+競馬~晩は誘われた浦和の飲み会に。同級生Mト君、その友人のランナーMさん、循環器医Mさん、塾OB・M本君と、思えば自分を含めて上下どっちかにMのつく5名でタイ料理~帰深、駅からは出産を6月に控えたM本君奥さま車で帰還+長年の友である100円傘車中に忘れる

【カウンター08】
ラーメン1/23 他外食1/16 外飲み1/12

今回の付録は、五月のある日曜朝の小さな旅のこと

・・・

前日は駅に近い塾に車を置いていったので、回収に行かなければ。ついでにいうとこの日は小学校の廃品<回収>で、起きたら弟一家が来て2、3年分の一升瓶などを持って行った。車の回収は通常は父親に、「頼む」ということになが、時間は急がないので、ここは、そうだ、と一度も乗ったことのない市内コミュニティバス「くるリン」で行ってみることにした。朝の10時過ぎに最寄のバス停にくるリンらしい。
中学生の頃にはこのあたりの田舎にも関東の鉄道王、東武のバスが走っていたが、地元で乗合バスに乗るのは推定30年ぶり。市内を車に乗っているとよく見かけるが、ほんとに時間通りに来るのかなとバス停でアラン・ホブソン『夢の科学』など広げていると、時差1分もなく、見慣れた黄色いバスがやって来た。

料金は100円。券は1日有効だから、一日中市内どこに行っても100円というのは初めて知った。おっと、うっかり1000円札しかない。白手袋のあんちゃんに千円札を渡すと、ちゃりんと硬貨が。お釣りかと思ったら両替らしく、100円入れてください、すみません、と100円入れると、日付の入ったぺらぺらの一日パスが出た。

車内はそれほど広くない。20人くらいは乗れるのだろうか。先客は前の方に年配の女性、おっと、これではイメージがずれるので訂正、このあたりにいっぱいいる農家のばあちゃん、小学生なら実力者が占める最後尾には、若い父親と子ども2人がにこにこして、子どもたちは低学年らしく前に身を乗り出している。運転手のあんちゃん含め、6人で大回りのツアーはスタートした。

途中、畑の中にできた雇用促進住宅とやらで1名乗車。がたいのいい30歳くらいだが、すぐにポータブルCDプレイヤーから出たヘッドフォンを耳にあてているところをみると常連かも。そして群馬寄りの市内最北端で折り返すと、今度は田園地帯にはめずらしい色白でおしゃれな若者が一人。しかしそのおしゃれというのが、タイトなストライプのスーツにシャドウの入った襟でかシャツで、つまり、何やらホスピタリティにあふれた様子なのが不思議だけどさすがにそこはコミュニティバス。朝の空気にも溶け込み、CDプレイヤーの前に陣取って眠そうに目を瞑る。後ろの親子は、ほーらほーら、あはは。

バスは廃品回収の集合場所である浄化センターを過ぎ、街へ近づいていく。よく祖父母と年金をもらいに来た郵便局の前で、うっかりあんちゃんが行き過ぎてピンチだった農家のおっちゃんが、ああ乗れた、とばあちゃんの向かいに。
「これがあって、便利だいねえ、100円で街まで行けんだから」「若えもんに乗せてってもらってもいいんだけど、若えもんだって忙しいかんね」「なんつったってガソリンも、うーと上がってる、つーがね」「ほんとに便利だ」。知り合いなのだろうか。賭けるとすれば、知らない方に100円だな。…しゃかしゃか、ぐーぐー、ほーらほーら、ははは…。バスは市長の病院を越えて街へ入る。

最初に降りたのはおっちゃんで、中山道に入ったところ。「じゃあ」とばあちゃんに手を上げると、ばあちゃんぺこん。彼らの世代は、こういう動作がからだに染み込んでいていい。ドアに近づいたおっちゃんにあんちゃんが叫ぶ。「後ろから自転車が着てるから気をつけてくださいね」。自転車が過ぎ、おっちゃんは五街道の一つをとことこと歩く。

唐沢川を渡ると、今度は親子が降りる。わあわあドアを出ると、手を振る子どもたち。と、左側には自分と前を見たきりのばあちゃんしかいないし、減るもんでもないから手を振ると、けらけら笑いながらスイングが大きくなる。父親ぺこん。バスは動き出し親子も歩き出すが、次の交差点の信号で追いついたので、また子ども手を振り、こっちもふらふら。信号が変わって、駅に向かって加速。バーミヤンとデニーズの前で、南回りくるリンが来て、あんちゃんがあいさつする。

ぎいい。渋沢栄一像の前でバスは止まり、ばあちゃんを除くみんなは降りた。この後は市役所だが、なぜかあんちゃんがばあちゃんに「ちょっと、まっててくださいね」と耳もとで叫ぶと駅に向かい、何だと思ってみるとトイレに入っていった。エスカレーターを上って東京駅もどきに向かうと、リュックをしょった初老の団体が降りて来て、ねぎだとか渋沢栄一だとかわいわいいいながら通り過ぎる。わずか20分。日曜朝の小さな旅は終わり、自分の車で家に帰る。

日曜日はこれから。

・・・

深谷市のコミュニティバスくるリン。
http://www.city.fukaya.saitama.jp/kikakuzaisei/busjikoku/index.html

自宅近くのコースの運行は1日5本で、運営状況は以下の通りという。

 06年度は年間の経費は約二千九百万円にふくらみ、運賃収入約三百九十万円を除いた約二千五百十万円を市が赤字補てんした。(2007年10月9日東京新聞 参考:http://d.hatena.ne.jp/mimumimu36/20071011

(BGMは、最近買ったジョー・ヘンリーの昨年の盤 "Civilians"---Oh, pray for you, pray for me, Sing it like a song- Life is short but, by the grace of God, The night is long)

くるリン  *5月30日


草食肉食獣タンゲゲンタ  *4月11日


前回ティーが見張ってた今年の初きゅうり  *5月19日


ひげひかり ティーのお口と 四月の陽  *4月11日
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春の夜はNHK~"the old spring tour"

2008-05-20 01:51:56 | 週間日記
5月の風のバラ ・5月19日


おお、もう1か月半も遅れてる週間日記から。

●3月
31日(月)荏原中延、前夜のOB・TK君宅で起床~ついでに築地事務所でいろいろ仕事~帰って、車検帰りの車受取~おおぎやでもやしあんかけラーメン+50円券餃子
●4月
1日(火)昼は再校赤入れ~クロネコヤマト~新中1・初の出張授業~長崎ちゃんめん
2日(水)昼、原稿~夕、生協で間違い購入の“冷蔵”牛肉だめになりそうなので久々のハヤシライス作成。同じくあまってたキャベツも入れてうまかった~中3出張授業
3日(木)昼~夕、桜が咲いたのでわんこ散歩のOG・Eさんに便歩。唐沢沿いから仕事先ホテル関係事務所にも寄る~同級生Mト君一家と黒んぼ食堂でカレー~Mト君宅で続飲
4日(金)OB・M島君宅にCLのDVDもらいに~晩、新高1・M君と塾。宿題片づけ、新聞の数独に熱中
5日(土)Mト君一家を駅まで送る~原稿+競馬
6日(日)昼は原稿+競馬~なぜか冬の間登場ゼロのおでんをつくりたくなって作成~産直ダイコン切れでJAからヤオコーで同級生K子さんがいておでんの話

【カウンター08】
ラーメン2/22 他外食1/15 アウェイ飲み1/15

何だか仕事してるか酒飲んでるかくらいしか記憶にない日々。夜にも働いていると、阪神はどうした、朝青龍はちゃんとやってるのかと心配にもなり、23:30のNHKを楽しみにするが、気がつくともう地方ニュースになっていることもしばしば。対策として始まる前からつけておく作戦にしたが(←何と初歩的)、おかげで普段みることのない番組をいくつかみたので今回の付録はその話を。

1)4月22日 爆笑問題の番組に出てた木田元
これはいきなりだった。何の準備もなく23:25頃テレビをつけたら木田元が出ていた。
ハイデカーと現象学の木田元は何冊か読んでいる。あまり同じ著者を数読む方でないから、ファンといっていい。しかしテレビでみるのは、というか、どんな顔をしているかさえ知らなかった、いや、より正確にいえば、顔があって話をするとは考えてもみなかった。
思い出したのは10年くらい前か、「ミュージックマガジン」で誰だったかが書いていたリッキー・リー・ジョーンズのライブ評。評者はリッキー・リーがこんなおばさんになっているとは思っていなかったと驚いていて、おお、それはと写真はなかったのに納得してしまった。
その時に思い知らされたのは、自分が文筆業者や音楽業者がどんな顔をしているかにほとんど興味がないということ。たとえばそうだな、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』は大好きだけど、ブロンテがどんな顔をしていたか考えたことはなかった(←さっきwikipediaで確認。でもこんな肖像信用できない)し、思い出せば、ステレオラブなんかはCDきいただけでライブに行ってから、こういうやつらだったのかと愕然とした記憶もある。いってみれば、本やら音楽やらに関しては「顔が何だ派」として長年生きてきたわけだ。
しかしテレビの木田元には恐れ入った。何しろ最後5分なので、何だったのかはわからない太田の発言に対し、
「いやあ、ぼくがあなたのいうことをどれだけわかっているかわからないけれど…」といっていたのには、そう、レッド・ツェッペリン in the evening 途中のよくわからないコード一発をきいた時のように頭の後ろを撃たれた。[がポ、ぎゃバポポん…]
それは木田元を読んでいる時にもっとも強く感じる驚き、わかるものをわかるといい、わからないものをわからないという、「わかることの明確な線引き」とまったく同じ。自分がどちらかというと、わかっているのかわからないのかをいつも曖昧にし、それを留保することに言葉を費やしていることの対極にあるものとしてたじろいでいる種類のスタンスなのだ。それが文章でなく、顔と言葉で画面に映っているのをみるのは、文章でしか知らないステゴザウルスの絵を見たかのような新鮮な経験だった。
呆然と感動しているうちに5分みたら番組は終わり、その時に思った。自分のことを「ぼく」というのは幼稚園の時以来40年近く封印してきたが、70歳くらいまで生きていたら言い出そう、「ぼかあ、あなたのいってることが…」。おお、「あなた」ってのも歌うたう時と英語の訳くらいしかいったことがないな。
いずれにしても充実の5分間でした。

 番組サイト
http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20080422.html

2)5月13日 オーディション番組のようなパフォーの菊地成孔と尾上祐一
これは23:30前の番宣で菊地成孔が出るといっていたので、ほう、と初めてだったがみてみた。
ジャズの人菊地は音源をいくつか、ライブでも大友良英といっしょに生でみたことがあるが、話す人としては J-WAVE で去年あたりまでやっていて愛聴していた番組だけ。すでに木田例があっただけに、顔と話に同時に接するのは初めてなので期待が膨らんだ。
それで実際の話は、細身のスーツにカウボーイハットというあやしげないでたち同様に想定内だったのだが、ヒューマンビートボックスの2人組とともに菊地が選んだという、なんといったらいいか「発明音楽家」の尾上祐一には最初にジミー・ペイジのボウイング奏法をみた時のようにどきもを抜かれた。そうか、こういうのも音楽なんだ。[ウイういうウウウウウウーーーーん]
菊地が通されたマンションの一室には、24音階キーボードとか、謎めいたスチールギターのように横に置いて演奏するリボンコントローラとか、不思議な楽器に満ちていた。すごいのは発明家である尾上が、そのいずれもの特徴を活かしたこの上なく奇妙な曲を創作していることだ。
菊地がいう、「どうみてもキワモノなのに、一つひとつの音は実にしっかりしている」に得心。その音は確かに、「この楽器あってこそ」と思える。しかし、エレキギターがなければ I feel fine のフィードバックはなかったし、テルミンと出会って Good vibrations は別の生命を与えられたことを忘れてはなるまい。

 探したらあった。番組で奥様も賛辞の名曲『草原の馬乗り』
http://cgi2.nhk.or.jp/paphooo/result/search_result.cgi?action=detail&file_no=495

 こっちは個人のサイト。楽器ミュージアムもある
http://torigoya.main.jp/

3)5月15日 熱中夜話 ビートルズ
ウルトラマンあたりも評判よかった番組でやはり番宣で知ってみた。大御所の鈴木慶一、萩原健太がゲストと豪華。
しかしあまりに疲れていたため、始まってわずか、これからイントロクイズというところでいったん寝てしまって1問も記憶なし。もう20年近く前か「カルトQ」、うじきつよしもぶっ飛んでいた最初のコードクイズ(fool on the hill, help などけっこう急所を突いていた)では、いっしょにみていた弟とその後輩Y君もびびらせる正解率を記録していただけに残念。めざめた時には「ミスター・カイト」の馬の名前は? というすごい問題をやっていてこれは知らなかった。ファンの3~4割、萩原正解。
内容は↓)の通りだが、12歳や16歳なんかがメンバーの絵を描いていたりするとしみじみする。小4で carry that weight をきいてジョンの10年後を思ったという12歳はこれからどんな日々を送るのだろう。何かで出てきたらおぼえていたい。もちろん最新の……といって名前が出てこないような音楽をきく12歳はそれはそれでいいだろうが、10年後に話をするとしたらこういう子の方が通じるだろうな、同じ文化を共有するというのはありがたいな、などと勝手なことを思う。
「ハマッた一曲」に、 I feel fine のフィードバックをあげた鈴木、hello goodbye のドレミファソラシドを指摘した萩原もよかったが、さすがに戦略的な萩原発言には後ずさった。おそらく多くの人に質問しているだろう hard day's night のイントロのコードをファンにきいてみたり、最後にまとめとして、「ビートルズファンの方でいつも思うのは、ビートルズしかきかない方が多いってことなんです。でも、ビートルズしか知らないんじゃわからないビートルズのすごさがある。彼らがきいていた音楽をきくことで、ビートルズをより楽しんでください」(←引用不正確)という発言には、「音楽評論家」の職業的矜持を感じて思わず喝采。『アンソロジー』シリーズが出た時、「若い人はこれからきいちゃいけない。オリジナルを1000回きいてからきかなきゃ、『アンソロジー』をきく資格はない」(←回数は何回だったか)といっていたのを思い出す。

 番組サイト
http://www.nhk.or.jp/nettyu/2008/beatles/index.html

というわけで、何だかわからないまま過ぎていく春なのでした。
暑くなったり寒くなったり。

(BGMはNHKには関係ないがハイ・ラマズ can cladders。そういえばビーチボーイズフリークか。ハモンド、ハープ、弦のアンサンブルが絶妙のM1 the old spring tour が気に入っている)

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当該週画像

桜の頃の庭に咲いてました  ・4月2日


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最近画像

このごろよく来る暫定名ウー。この間、ついに触れました。 ・5月15日


午前7時48分、畑  ・5月15日


植えないうちにこりゃ待てんと出たきゅうりと見張り番のティー  ・5月14日
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「青空柿ノ木オフィス(時々ねこ付き)」への転勤

2008-05-08 23:47:03 | 週間日記
昼休みの留守番と。24.6℃ 南南東の風風速4m 湿度27% 1007.5hPa


あまりにうれしかったので写真だけアップして「本文はすぐ」、と書いたのにすでに2日過ぎ。少しずつ前進だ。週間日記ではもうすぐ3月も終わります。

●3月
24日(月)朝はチェルシー:アーセナルでショック~入稿作業で築地出張~着いて銀座カレーえすと~晩は編集者Oさんと女王ラーメン+餃子~帰りにOB・I君と有楽町ガード下立ちすしで、「カレー・ラーメン+餃子・すし」外食は、これまでの人生でも初めての快挙かも
25日(火)昼は思わぬ不調に苦しみつつ原稿~夜は同級生M君宅に。OG・Eさん、OB・Y君も登場
26日(水)原稿~出張授業
27日(木)同級生M君と籠原の焼き鳥屋に。なぜか、シングルモルトウィスキーが破格値で驚きお得
28日(金)うっかりしてたら愛車車検切れたので、某ディーラー勤務の中学勤務時代のOB・K君に渡す~晩は塾
29日(土)昼は撮影
30日(日)同級生Mト君一家とともに美人ランナーYさん主催の錦糸町花見に~午後3時頃雨天引き上げ~阿佐ヶ谷でOB・YK君の芝居。その同級生数名にも会う~その1名で10年ぶりくらいかなのエンターテインメント業界で働くTK君と新宿で飲み、彼のアパートに泊まる

【カウンター08】
ラーメン1/20 他外食2/14 アウェイ飲み1/14 外飲み2/11

水曜は新たな仕事関連で国立競技場スポーツ博物館と東京ドーム野球博物館に出張。おもしろかった。
そして木曜は自宅作業。天気があまりに気持ちいいのでかねてから計画していた庭支店に異動希望すると、何しろ辞令を出すのも自分だから、当然のように転勤がかなった。いつの間にか勝手に生えてきた柿ノ木が、陽射しを遮るのにちょうどいい大きさになっている。
1万0500円で買った中古ノートのバッテリーは使えないが、外ソケット100Vで電源はOK。無線LANだからほんとはもっと遠くても大丈夫だ。

新たな職場の仲間は、ずっと前からがんばってる植物どもや、無機物はジョウロさんや石灯篭君。面倒なことはいわないいいやつらだし、天井が空の仕事場は快適です。ただ明る過ぎて、ちょっとディスプレイがみにくかったけど、そのくらいはしょうがない。

でも、雨に弱い新オフィス、今日は閉まってます。

(BGMは開店時はニール・ヤング、今はウィルコのその名も sky blue sky)

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当日画像から:


今度のデスク、天井


隣の古株OL(5月3日)


地下室は秘書が占領

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当該週画像から:


3月27日。タンゲゲンタと、この春よく来る暫定勝手名ウー。この後、バトルになった


3月29日。深谷レインボーブリッジ下(某教習所教官命名)。この頃は電線にまで桜が咲いていた


3月30日。猿江恩賜公園
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「ところてんの春」~"The Saxophone Song"

2008-05-04 22:51:23 | 週間日記
トップは当該週3月22日のティー


なんと、すでに週間日記は史上最長1ヵ月半の遅れ。こうやってずいぶん前のことを書くことにどういう意味があるのだろうと思いつつ記録用なので続けてますので、最近のこととデュアルタイムになります。

●3月
17日(月)夕方、恒例電話取材
18日(火)夕方、OB・Y君来~晩は同級生M君宅に
19日(水)推定37年ぶりの虫歯歯医者~出張授業~(多分)長崎ちゃんめん
20日(木)ずっと仕事。晩に煮ぼうと作成。そろそろ最後か
21日(金)仕事の隙をついて朝から高崎行き。シネマテークでマリアンヌ・フェイスフル主演『やわらかい手』~途中、精華軒でラーメン~またシネマテークに戻り川島+若尾『女は二度生まれる』は一度録画で見たがやっぱりよかった~おやつは、すかや本店でもりそば~1年前に行った古本屋で増村+若尾の名作『華岡青洲の妻』の有吉佐和子原作を見つけたので購入~帰路、気になっていた群馬の森というところ、国道沿い謎の中国物産店を偵察~晩は塾に行き、M君の母上で同級生HさんのPCを預かる
22日(土)危険物取扱の試験を受けるので物理化学の計算をおしえてくれとOB・HT君、その同級生で競馬ファンのTT君が来。いろいろ近況もきく
23日(日)昼は急遽いろいろ発表会の撮影で本庄へ~帰りは麺や一発という店で塩ラーメン

【カウンター08】
ラーメン3/19 他外食1/12 アウェイ飲み1/13 劇場映画2/10 TV海外サッカーは後で整理

このごろ、毎日、ところてん。
ところてんが、しゃわ・しゅぱーと放たれるように次から次へと仕事が来る、と思ってから、あれ、でも「ところてん式」というのはちょっと違うような気もするなと goo で三省堂「大辞林第二版」を引くと、「ところてんを突き出すように、あとから押されて進むこと。何の苦労もしないで、押されるままに進んだり、物事を終えたりすること」とある。そうか、押されるままではあるけれど、苦労がないわけではないので、では、食べても食べても出てくる「わんこそば式」というべきかな。いずれにしてもフリーランスの身にはありがたいが、ちょっと仕事は容量オーバー気味だ。

そんな日々に実は、ところてんそのもので対抗している。
この間、10年ぶりにくらいに会ったOBで某エンターテインメント界で働くK君が goo ブログに寄せてくれたコメントによれば私は、「椎名誠の私小説に登場する、背が高く、長い手足をヒラヒラさせている沢野ひとしに似ていると思うけど…」らしいが、そのイラストレーター沢野ひとしの著作に『ところてんの夏』というのがあるという。この本は知らなかったが、このタイトルにならえば私の08年春は、後に「ところてんの春」として思い出されるに違いない。
きっかけとして考えられるのは、築地事務所で働く上州出身の若手デザイナーM君がいった、「群馬のほうって、焼きまんじゅうとところてん売ってる店ってのが、なんか多いんですよね」。坂東太郎・利根川をはさんですぐだから焼きまんじゅうは昔なら車で売りに来ていたくらいでなじみ深いが、ところてんが焼きまんじゅうと並ぶほどとは知らなんだ。
と思いつつ数日後、普段の買い物の時、久しぶり二個入りところてんを買って食べるとこれが実に今の気分や体調にしっくり。それからしばらくところてんの日々をやり過ごすため、頼りないとはいえ強力な助っ人としてところてんに毎度登場願っている。

ところてんの美点は少なくない。まずあげられるのは、どのところてんもそれほど変わらないというところだろう。
たとえば同じようにふにゃふにゃした豆腐ともなると、一丁三〇円未満から数百円のものまで幅広く、しかも味にもかなりのばらつきがある。同じ一〇〇円でも、これは五〇円くらいでちょうどいいだろとか、もしその値段なら買わないが、これなら二五〇円でもいいだろうとか思うことは多いし、何といっても特に木綿豆腐なんかはパッケージの外から見ただけで、これは買っちゃいけねえ豆腐だろうとか、いってみればボードリヤールが提唱した「シミュラークル」の世で市場原理を推進させるための差別化を、思う存分味わえるのが豆腐という商品なのだ。
しかしところてんともなるとそうはいかない。パッケージレベルで見ると、やつら一応、「秩父の清流で…」「からだにやさしい黒酢入り」などと自らの素性、特性を主張しているものの、そんなこといったってどうせ内容にたいした変わりはないから、高校の最初の授業で「秩父市立○○中学出身で……」などという生徒の自己紹介を聞く高校の世界史担当ラグビー部顧問のH先生のように、「そうか、君は秩父の水で育ったんだな、黒酢入りとはいじゃないか、さあ、次の君」などという程度にきいていれば十分。実際のところどれを買っても、これちょっと細いかな、でもあんまり変わんないからいいやくらいで、気に入ることもなければこれはだめだということもない。
この点について前出上州のM君らに話していたら、若い女性編集者が「ええ、でも、前に伊豆で食べたのはすごくおいしかったですよ」というので、へえ、そんなことも。何でも名産のわさびの水がどうのといっていたが、詳しいことはよくわからず。ほかよりおいしいところてんについては、今後の研究課題としてとっておこう。
ともあれ、この高度に発達した市場原理主義の中、これだけどれを買っても変わらない商品は、マーケットの暴力にさらされる現代人に奇妙な安堵感を与える。

さて、次のテーマは食べるタイミングだ。
別にいくら食ってもいいのだろうが、なぜか小学校の頃夏休みに買った肝油ドロップのように一日一パックと律儀なルールを決めているので、いつ食べるかは意外に重要なのだ。
最初は午後五時くらいが王道と思っていたが、意外に仕事が長引いた夜中というのが趣きがある。そういう時にはだいたいばてているので、酢の香りと辛子の刺激がありがたい。
そういえば、私はところてんを食べる時は、これは別に醤油と酢でいいと思うが、ほかに使いみちもないし、納豆のたれみたいにやり過ぎの感じもないので今はどれも付属になっているたれと、ねりからし、そして青海苔だ。実はこのねりからしのところで、今までに「えっ、七味じゃねえか」っていう人が何人かいたが、彼らは1980年より前に駄菓子屋で食べたという点が共通しており、これらから推測すると、きっと1970年のS&Bが嚆矢となったチューブ入りねりからしの登場が関係しているのではないかとにらんでいる。つまり歴史的事実から考察して、その頃まで駄菓子屋でねりからしを使うのは難しかったので七味で代用していた、と考えるのだがいかがなものだろうか。ここは一つ、専門家の意見を待ちたい。

ところで、一般的なパックところてんを食べるとなると、その手順についても少々考えねばなるまい。
まず水を出すが、これは多くの人が手で開けられれば手で、開きにくかったら包丁の根本で二つの穴を穿ち、とろとろと出していると想像する。この穴の按配がなかなか難しい。大き過ぎるとうっかり数本のところてんが流れ出して心理的に大きなダメージを受けるし、小さ過ぎるといつまでもとろとろ水が出るのを待っていなければならず、何やってんだということになる。
なお、昔はこの水は何か特別なんだろうか、一度味わってみたいと思いつつ、でもそれは豆腐の水を飲むのと同じくらいに犯すべからざる禁忌だったのだが、これは一生で最大の「ところてんの春」記念だから、ダニエル・シュミットの『今宵かぎりは…』のように日常とは違ったルールに支配されるのだろうと勝手に解釈してついにその透明な液体を一口含んでみた。うげ、味がない。そうだった、ここはスイスの古城ではない。

そんなある日、一気に水気を切る大胆な作戦を発案した。これは米を研ぐのに手持ちのざるを使う姉がヒントなのだが、小さな穴なんか開けてないでバッとざるに明ければ瞬時に、しかも水分のほとんどが切れるのではないだろうか。しかも、透明なところてんを濃色の器に盛れば、新和風料理の一皿のようで美的にも優れているではないか。
このアイディアに私は興奮したが、実際にやってみるとその作業の味気のなさに幻滅した。そうか、ああいうちょろちょろした作業もまたところてんの一部なのだな。やっぱりところてんは、おしゃれなんてめざしちゃいけない。

そんなこんなでところてん日々が続き、よく行くベルクにもなんというのかところてんのかたまりが売っているのに気がついた。そうだ、そろそろパックから、かたまりで買って押してつくるべきではないか。
そう思ってまずは検索すると、安いのはアマゾンで600円から、しかしこれは木製でないのがいまいちで、楽天などには刃にピアノ線を使っているというのまである。むう、しかしここはネットショッピングにばかり頼らず、まずは自分の目で見て買うべきでないかと、仕事が一段楽した四月二九日昭和の日、ホームセンターへと向かった。

しかし、まず入口で花だのピーマンだのの苗に心奪われ、うっかり手に取るがこれではところてんマシンが買いに行けない。外の小屋にいたホームセンターが似合う健康的なバイト少女に、中を見てきますのでここに置いておきます、中でところてんマシンを探すがなんと「押すゾウ」とかなんとかいうのが1500円もする。これではところてんが一五個も食えるとあわてて引き返し、その代わりにローズマリーやなんかが一つ98円のところ五つで398円だったのでどしどし、ついでにこの間、父親が植えていたがリスクヘッジのためのキュウリ、ナスほか野菜の種に三割引の花の球根と、つい千円以上も買ってしまった。
これもまたところてん効果といえよう。

さて、ところてんの四月ももう終る三〇日。ところてんで精一杯でろくにニュースも見なかったら、ガソリンが五月から値上げという。もっと先かと思ってたのに、道理で二九日のスタンドが車であふれてたわけだ。
三〇日は出張授業で、これからおれもガソリン入れてこなきゃと中3生にいって夜の仕事のための腹ごしらえもあって熊谷方面に出発する。最初のスタンド、バイパス沿いは121円で車が数珠繋ぎ、次の407号沿いも鈴なりで、こっちは108円と書いていった。よし待った甲斐があったぜ、あの108円で入れれば大金持ちだ、なことはないが半分近く残ったタンクを一杯にする店を決める。それにしても、世の中にこんなに車があったのかと思うくらいみんながスタンドに押し寄せているようだ。給油機の前に吸い込まれていく車の群れも、なんだかところてんに似ている。「何の苦労もしないで、押されるままに進んだり、物事を終えたり」。

三浦雅士で待って味噌ラーメンを食べて値上げ前の22時に108円へゴー。なんとみんなぎりぎりだと心配なのか、前には一台しか車がない。セルフだと思ってたら店員のあんちゃんが来て、109円の何とかコースと109円のスマイルコースどちらですか、というので安い方、スマイルですか、はい、わかりました、店員はところてんのふたに穴を開けるように給油口にでかい銃の先のようなのを入れる。

あぁーりがとぅ、ござぃましたっ! ところてん押しあんちゃんに見送られて407号へ。それから高校時代に自転車で通った道を抜けてバイパスに出る。角の121円はまだまだ鉄のところてんだらけだ。
信号を抜けて、久しぶりに腹いっぱいになった愛車のアクセルを踏む混んだ時きこえてきたのは、ケイト・ブッシュデビュー盤の一曲 "The Saxophone Song"。五年くらい前、最初にCD-Rドライブを入手した時に何枚かつくった編集盤の一つでピアノが印象的な曲を集め、"piano speaks" と題したCDがひょんなところから出てきたのできいていたのだ。
この道はできていなかったけど同じ場所を自転車で走っていた高校の頃、SONYのDUADに録音したこのアルバムは部屋を暗くして数え切れないくらいきいた。オープニング "Moving" のエンディングに狂おしい動物;さっき知ったがクジラらしい:の重く声が重なり、透き通った空を思わせるアルペジオが駆けるように流れる。そして、"Tuning in...on your saxophone..." とケイトが声を張り上げるやいなや叫びをあげるサキソフォン……

何度も繰り返しきいたサウンドが炸裂したその瞬間、思い浮かんだのは真っ黒い春の空いっぱいに広がったところてんである。
ずっとところてんマシンと呼んできたものが、実は「天突き」というらしいことも今回の調査の中で知った。一夜でガソリンの値段が25円も変わってしまい、その前にみんながガソリンスタンドのところてんになる。そんな不思議な「天を突く」とは、何ともすばらしいネーミングじゃないか。
もし人々がそれぞれの手に「天突き」を構えてところてんを天に向かって撃ち上げれば……

夜空に舞うところてんなら月と闇の間できらぴろと光って、昼間の青空に跳ぶところてんならつるきゅんと輝いて、それはきっとガソリンスタンドのところてんよりずっと気のきいた光景だろう。そんな空から落ちてくる光り物を醤油と酢、からしと青のりを用意して待っているのは、どんなにわくわくするだろう。
そんなことを思いながら、"The Saxophone Song"を四回リピートすると家に着き、ラーメンのデザートして天からでなく冷蔵から出したところてんを食べて、次の日の仕事に備えて文章を打ったりプリントしてFAXしたりしたら五月一日が来た。
ところてんの春ももう少しで、次はきっとところてんの夏。

(最後まで読んでいただいた方がいましたらありがとうございます。BGMはケイト・ブッシュ、デビュー版見つからず、なんかところてん感覚のデヴェンドラ・バンハート smokey rolls down thunder can you)

※"The Saxophone Song" は http://jp.youtube.com/watch?v=fexNR7nxk8s&feature=related
スタジオ版とはけっこう違うが、これは有名なライブ版。
http://jp.youtube.com/watch?v=Ax972P3T4ow

※S&B「ねりからし」は
http://www.sbfoods.co.jp/press/text/2007/0701kapumax.htm

===まずは当該週画像

枯草ベッドでタンゲゲンタ 3月17日


ピラミッド ひひんひひんと 彼岸雲 3月21日


3月22日


同じく3月22日


===ここから最近

ところてんマシンの代役


裏のスター


前のスター


スターに集まる輩
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