小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

阪神・桧山を中心とした9月7日、嵐の後の「嵐の金曜日」

2007-09-10 17:46:07 | スポーツ
月曜ですが、前回記事の訂正もしなければなりませんが、まず書きかけていた金曜日の長い日記を。

午前5時には、台風9号が在住市上空を通過したという金曜日。市内南部、荒川周辺には避難勧告もあったらしいが、こちら利根川方面はそれほどでもなく、風の中といっても家の中で仕事しつつ、その数時間前に疲れて眠りこみ、大嵐は視覚的にも聴覚的にも体験せずの夢の中。といって起きてから後は、年間ベスト5に入る盛りだくさんな一日になりました。
(時間は概数で)

8:00
覚醒。マイミクシィの方からのメッセージで在住市の避難勧告について知り、ほお、そうだったのかと明るくなりつつある空を見ながら、午後からの取材のための資料つくり

11:00
ひとまずシャワーで出撃

12:00
もう晴れてたので油断してたら、湘南新宿ライン運休。しかたなく普通の上野行きに乗るも浦和でストップ~京浜東北に乗換で城西へ

14:00
遅れで時間微妙だったが、チャンス逃すべからずとマイミクシィの方の絵がある野方のギャラリーkaniへ。絵も会場も初めてだが、親切そのものといえる老主人との会話、住宅地の真ん中に置かれたギャラリーのロケーションにも感入。お目当ての作品ほか、岸田劉生のリトグラフなんてあったのかという『餓鬼』に見入る。
何だかんだと時間なくなり、目をつけたラーメンをスルーして駅前立ち食いそばばで冷やしたぬきそばで取材先六本木へ。途中、中井で大江戸線乗換という技があることを知るが、あんな地底では帰って時間かかりそうと高田馬場~恵比寿~日比谷線コースをチョイス

15:20
30分遅れで到着。編集者Oさん、いやあ、台風で電車が走らなかったのもあるんですが、といったところで、ではそういいましょうとアダルトな配慮ありがたし。
正味1時間半の取材はまったく想像を超えた世界の、今書いている原稿の穴を埋める実り多い内容で、その後、ファーストキッチンで次週はベトナム出張のOさんと打ち合わせだの内田樹の話だの

18:00
Oさんと別れ、この時間では間に合わないので保留にしておいた中3M君の塾を中止。時間できたのでこういう時に連絡することになっているテレビ朝日が勤務先の大学の友人K君にメール。しかし、今の時点で返信なし。出張も多いしそんなところだろう。こういう時は野球だと、そういえばこれも本店に大学時代の友人が勤める、アトレ内有隣堂でぴあをみて、なんとドームで巨人:阪神ということを知り水道橋詣でを決意。ここでしばらくぶりに高校の友人I君から、この間別の友人であるKに会ったよというメールがあり、こういうわけでこれからドームだと返信する。

18:30
まずは腹ごしらえ。水道橋といえば愛しの神田・いもやグループがある。
http://ameblo.jp/tonkatu/entry-10004768334.html
http://www.maboroshi-ch.com/cha/kon_34.htm
http://blog.kakua.com/?eid=300418
天ぷら・天丼・とんかつ最強トロイカ体制のうち、数日前に同級生M君夫妻ととんかつを話題にしたので白山通り沿いのとんかつをセレクト。いつもながらのパーフェクトな仕事ぶりに、文庫立花隆を開くすきもない。
揚げ師の三十代風に、ご飯、お茶、しじみ汁、洗い物担当のベテラン、アナザー三十代風の三重奏。たとえばヤクルト古田のように店内すべてを支配する揚げ師が、「とんかつですか」ときくので「はい、お願いします」。メニューは700円のとんかつ定食と900円のひれかつ定食だけだが、お客をみてとんかつ・ひれかつを言い分けているのかその辺はよくわからない。在店中は、なじみなのかの小金持ち風初老の人にだけ「ひれかつですか」ときいていて、ほかは次々来るサラリーマン風には「とんかつですか」ですかだったような気が。この辺はさらに研究価値がありそうだ。
すぐにお茶担当初老が、熱い、お茶というのはこれ以上もこれ以下でもないというようなシンプルなお茶を一杯。地域の集会所の備品のようなシンプルな茶碗も清々しい。
そして夢の5分あまりを待つわけだが、揚げ師のことをヤクルト古田、つまりプレーイングマネージャー・キャッチャーというのは華麗な身のこなしだ。まずは肉に衣をまぶし、しばらく置いて油を確認。3塁ランナーを牽制するように世間話に興じるほかの2人を見やると、ささっと人数分のキャベツを皿に盛る。それがいったい何を意味するのかは不明だが、おそらく彼自身の美意識の表れだろう。キャベツの山のかたちをちゃちゃっと整えている。油の状態をみながら、ふうとばかりに店内を見回すの視線の先をめぐると、立て付けの悪かったガラス戸に難儀する客がいたので、無言のまま手がたなのかたちを心持ち左に平行移動。このサインを理解しためがねの五十代風が彼から見て右側の戸を開けて入るとものの0.3秒、揚げ師の「とんかつですか」の声が店内に響きわかる。クールだし目立ちすぎもしない、コルトレーンのバックを務めるマッコイ・タイナーのような見事なタイミングだ。
そしてこれは天ぷら、天丼に共通するいもやのハイライト、こんな単語があろうか、主役脱油の瞬間を迎える。
揚げ師が何も告げぬまま体勢に入ると、バントシフトのファースト、サードのようにほか2名がご飯としじみ汁を用意してむだのない動きで待ちわびる客の前にすすーっと。この喜びのプレリュードには、誰もが黄色いおしんこをご飯のある者は全面に、私は片隅に少しだけ乗せてプリマの登場を待つ。
すると見る間にプリマとんかつたちは油修行の数分を脱し、しばし油落しの上に。これはおそらく、油を脱したとんかつを酸素となじませ、かつ手で触れる温度まで落ちるのを待っているのだろう。時間にして5秒ほどのその時間を過ぎ、揚げ師の長い包丁が衣と肉を切り裂くのだが、嬉しいのはそのさくっさくっというサウンド。たとえるならエンターテインメントな気持ちよさではフュージョン界でも随一、スタッフ、リチャード・ティーのタッチか。
こうして並べられた、とんかつ、ご飯、しじみ汁にお茶、四つの器が創出する宇宙の至福。すみません、この宇宙を前に携帯カメラのシャッターを切ることは私にはできかねます。
これはもうこれぞからしだというからしを、とんかつの右約80度の方向に。後で加えたりするのは美しい行為ではない。ソースは別で、これはとんかつにさーっと一筋、キャベツにもざーっと。キャベツの方は下にいくと味がなくなるので、付け足していい。
しじみ汁を一口味わうとこれは食後にとっておいて、食中はお茶が私のスタイルだ。からしをのばすといよいよ数年ぶりの再会。さくり、そうだ、これぞ「隙間の芸術」なのだ。
一切れを二、三口で食べてその断面も楽しむ、というのがとんかつの作法と思っているが、ここで衣が脱落するようではすでにとんかつとは名乗れないというのは世のとんかつ好きとしては常識であろう。だからといって硬過ぎず軟らか過ぎず、ちょうどいい空気の隙間が生きているのがとんかつという食べ物の目指すところではないか。
これをもっとも端的に表す音楽はレッド・ツェッペリン『ブラック・ドッグ』のイントロ。変拍子にきこえるけど実は8ビートというが、本当に8ビートなのか未だに疑問のこのイントロの、ギター、ベース、ドラムが編み上げる奇妙でハードなキルト織り、あのたまらなくソリッドでいて、なぜか隙間を感じてこの上なく気持いい数秒間を思い出してもらえればいいだろう。そしてこのキャベツ。キャベツとソースだけでこんなにおいしいのならば、手をかけられた食べ物たちの多くは、きっとわが身を省みて懐疑派への転身を余儀なくされるに違いない。
さくっ、ぱくぱく、しゃくしゃく、ごくり。さくり、ぱくぱく。しゃくしゃく、ごくり。初老お茶担当におかわりももらい、ミュディアムテンポの8ビートが白木づくりの静かな空間をうめる、かけがえのない時間はやがてしじみ汁で終わる。前にほうれん草で書いたと思うが、しょうゆとかソースとかは食べた後の皿に色が残らないのを美しい。足していったソースもからしのキャベツの切れ端も残らないように食べ終えた。ごちそうさまでした。心からいって、水道橋をドーム方向に向かう。

19:00
ここでとんかつを食べた後、所持金が1400円ほどしかないことに気づく。セブンイレブンがあればこの間口座を開いたイーバンクで下ろせるが、ほかのコンビにではいやだな、では面倒だから立見席1000円のほか、ビールはもどきで400円に収めようなどと考えていたら、かんたんにセブンイレブンを発見。こういう時の常として、なんだつまんねえな、と思いながら現金を引き出してビール、キリンのラガー500と、差をつけて麒麟端麗生500を。たまに行くドームではこの作戦を取るがこれには理由がある。
なんといってもドームのビールは800円。これはあの悪名高き読売グループすべてに共通する、恐るべき無法といわざるを得ない。阪神ファンともなれば、読売グループの口車に乗ってあんな宇宙人みたいな格好をしたねえちゃんどもからほいほいとビールを買うことなどもってのほか。第一あの非道の極致たるトレードの資金に組み入れられては世のためにならんではないか、というわけだ。
浪人の頃などは当時流行っていた「BARCLEY」だの「BOAT HOUSE」などの大きなバックを持ってるやつに身長に隠させるようなかわいいことをしていたが、なんと見つかると親切にも紙コップに入れ替えてくれることを知り、近年ではわざとバッグのわかりやすいところに入れ、見つかって、ああ、そうですか知りませんでしたとしらを切って紙コップに入れてもらっている。これなら紙コップ×2=約7円くらいか、にっくき読売グループの懐に小さくはあるがダメージを与えることもでき一石二鳥。2本持っていたので、最初に飲むラガーを左手に2ビールで、今回は、あっ、では自分で注ぎますよといったら、「いえ、でも500だとぎりぎりなので」とやってくれた。

というわけで、紙コップ2つ持ってネット裏へ。野球場の魅力はあのサウンドもある。常連なのかビール、焼き鳥とともに場内テレビに見入るおっさんたち、あまり野球には関係なさそうでも、実は中学の時には野球部だったかも知れない色つき髪の毛に縦じまスーツのどう見てもホスト5人くらい。なんか集団家出少女のような、金色じゃらじゃらかばんを持ったこれも5人くらいの女子中学生集団もいて、席のあるスタンドより安い分だけテキトーな人がいておもしろい。名画『天井桟敷の人々』すら思い出す豪華な人間模様だ。

しかし紙コップ2杯とともに到着した5回表は、そんな観客よりはるかにエキサイティングな時間だった。往路、立花隆で知った「純粋観客」http://www.edita.jp/neo/archive/category10-new.htmlなる概念は今後、自身の思想に大きな影響を与えそうだが、阪神が前にいてはそうもいっていられない。
四球の関本をオーグルソンが送った後、鳥谷、赤星、シーツが3連打。四死球も絡めて一気に逆転する。最初うっかり1塁側に出たので、あわてて縦じまがいっぱいいる3塁側に移動。左翼スタンドから六甲おろしが響く。
そういえば、このあたりで高校の友人I君から続信。せっかくだから終わったら少し飲もうというので、わかったと返信しておいた。
それにしても、来た途端にこれじゃあ、勝利の神様だぜと2杯目の麒麟に移り、さら移動して大型テレビの前にいたら読売が高橋由のHRで逆転。おおと思ってる間に7回は桜井、矢野のタイムリーで逆転、8回には金本のタイムリーで8:6にした。
なんというゲームだ。しかしJFKがいる阪神なら、これでもう大丈夫。だが8回裏、久保田が読売のHR攻勢につかまった。
まず李がこの日3本目。こうしたケースで単調になり、連打されるのが久保田の悪いくせだ。しかし次の二岡に投げた、高めの力の入ったストレートは、私にとって生涯忘れられない1球となるだろう。意志のみなぎる、打てるもんなら打ってみろというこのボールは、精神面に弱点のある久保田の明日を変える1球と思われた。1点なら取られてもいい。2点目を取られなければいいのだ。
しかし結果は、ファンの方ならご存知だろう。決して力があったわけではない二岡の打球は、読売ファンが歓喜する右翼席へ吸い込まれてしまった。スポーツだから結果はしかたない。決意のこもったお前の1球、決して忘れないぞ久保田。

そして運命の9回。読売“今年の守護神”上原がマウンドに登る。次打者久保田の代打は桧山。実は前の回のウィリアムスの打順でウェイティングサークルにいた桧山に、周りのファンに先駆けて声援を送っていたのだ。何しろ神宮での代打満塁弾を打ったひーやんだ。
告白しよう。ランナーのいないこの場面での代打は、もったいないなと思っていた。しかしまたしても予想はすばらしい方向に覆される。
上原の投げたのは何だったのだろう。その数秒後の狂喜のせいで、どんなシーンだったかは忘れてしまっている。
決していい当たりではなかった打球が、ふらふらとではあるが右翼席に吸い込まれた。まさかこんなことが。わけのわからぬ大騒ぎで、近隣のユニフォームたちとタッチしあう。85年優勝決定の神宮にいたのが自慢な私だが、この日の桧山の決勝弾をみたのもこれからどれだけ目撃するかわからない阪神戦の中でもベスト5はくだらないはずだ。
85年当時の佐野、03年の八木と、阪神優勝の年には渋いベテランが代打の切り札と化して活躍する。今年の桧山がそのいすに座ったことは確実だろう。私は1階と2階の間の立見席から一人MVPコールを送った。
そして藤川球児登場。読売は確か2番からの好打順だったが、いつものように冷静なピッチングで3人で切って取り、阪神が3連戦の緒戦を勝利した。
I君が自宅に近い大久保でというので、高校の頃にはよく蹴られたジャイアン体質の暴力ものだけにヒーローインタビューは Youtube でいいやと小走りに水道橋駅へ。早く来たもんだから総武線に座って行けた。
思い出すのは私の世代以上の阪神ファンなら忘れられないであろう48年シーズン。読売・萩原の代打満塁弾も飛び出して9:9で引き分けた後楽園球場の死闘を当時の将・川上哲治は「生涯最高の試合」と振り返った。あれに匹敵するほどのゲームだったのではないか、そして土、日の3ゲームを終わった後でなら、この3連戦の大きさは語るまでもないだろう。

10:20
新大久保着。1年くらいぶりで会うⅠ君は、高校の頃は内容だけがジャイアンだったが、どうやら外見もジャイアンを追いかけ始めたようだ。そういえば、去年最後に会ったのはⅠ君が用意してくれた2階席の切符でみた、福原:上原の投げ合いだったような。
新大久保から歩いていけるところに住むⅠ君が案内してくれたのは、一六八という中華料理店。http://sokosoko62.exblog.jp/4810343最初に出てきたジャガイモが千切りになったサラダ、五目豆腐、なんだったか辛い煮込み、全部うまい。同級生の話などしながらビールを飲み、ラストオーダーというので餃子を食べようというと、「バカ、ここは焼売がすげえうめえんだ」とⅠ君がいうのでそれを。さっそく熱い4個が来たので定石通り2つに割ろうとすると、「何やってんだ。そんなことしたら肉汁がでちゃうじゃねええか」とえらく怒っているので、それもそうだとそのままぱくり、いや、その通り、これを割って食べるのは反則だろう。
よし最終に間に合うと、おろかな昔話しながら駅まで歩き、ジャイアンは家に向かった。

24:00
なぜか時間を間違えておぼえていたらしく、赤羽に行ったら高崎線は終わっていた。一歩のところで池袋で見送った埼京線に乗れば間に合っていたのか。でも、深谷に帰ってもこれだけ飲めば塾泊だとネットカフェ行きを決意。前回はここで魚民に入って赤瀬川原平を読んだが、今回は寒くもないしコンビニで麒麟500を買い、駅周辺の貧弱なライブに耳を傾けつつ飲み干す。それにしても、この寝転がれない棒のようなベンチは何だ。

25:00
駅前に並ぶアジア系ご婦人方のお誘いをかき分けながらネットカフェへ。前のチェックインというのかは若いご婦人で「個室」を取っておられた。こっちはもちろん「オープン」でネットを開いてメールをチェック~Mixiコメントなども書き、Youtubeで桧山のインタビューを探したがまだなく、次回来たらマンガを読もうと意気込んでいたのだが、さすがに嵐の後の嵐の一日は疲れ、モーニングに連載の『ホームスイートホーム』だけ読んで睡眠。

30:00
元気よく、なわけなく起床で高崎線に。座って起きるとまたしても深谷駅を出たところで、隣岡部駅で下車でリターンする。土曜というのに駅にうじゃうじゃ私立女子高生を追い越して車に乗って帰宅。20時間ぶりに会うねこどもがにゃん。

(Phは読売グループから略奪の紙コップ。BGMはWOWOWのネットラジオでキンクスのBBCライブhttp://radio.wowow.co.jp/bbc-rocklegends/。「この世はすべて金しだい」「きざなやつ」って邦題だったのか)
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インザーギ、"Don't stop him now"!―24 may 2007 part1

2007-05-25 12:06:12 | スポーツ
何やらもりだくさんの一日となったので急ぎで。

前夜は原稿書きながらCLファイナルを待ちつつ限界に達し27:00頃力尽き、3時間半寝て、おおおおと目覚めた。

この日は取材で都内出張。おしゃべりなスポーツ新聞から逃れられないので、見ておかなければとみはじめた決勝は、堅守の両者らしい中盤のつぶし合い。どっともほどほど好きでそんなに好きでもないクラブだったが、インザーギの野郎がめずらしく先発していたので、ついミランを応援してしまう。しかしジェラードがかっこいいしリバプールもいい。
前半終了前、これはつまらぬキッカーのピルロのFKを、インザーギのやつが触るか触らないかでミラン先制。最高のタイミングだ。しかしこれは90%ピルロのお手柄と思ったか、インザーギの大騒ぎも控えめ。この人相悪くなる一方のイケメンFWの得点パフォーマンスは、絶頂期のフレディー・マーキュリーを髣髴させる全能感に満ちていて楽しみにしているのだ。そういえば、今、「人相悪化係数国内1位」に推している同い年の横浜・工藤投手も、前日、これまでで一番長い1勝目をあげていたな。
興奮のここで何となくPCに目をやると、Mixiのニュースで「ミラン優勝」。げーっ、あれほど注意したのにインザーギのゴールで油断したか。傷心のまま、資源ごみを出しに行って結果がわかってしまった後半に。しかし十分に楽しめた。
映画でも何でも、結果なんてわかっててもいいものは見所はある。このゲーム巧者の両者攻防は、時間を追うごとに熱さを増していく。あせりの見えたリヴァプール、熱血漢ジェラードが抜群のミドルを放つが決まらない。そうした終了近く、インザーギの旦那がまったく旦那らしい抜け出しを計った。
たとえば同じように、ゴール前に張り付きっぱなしで批判される現在のチームメイとでもあるロナウド。やつがゴールを決める時は普段遅いのにやたら速い。だが、インザーギのすごいところは、あまり速くないのに抜けていく、この2点目も、3人いたリヴァプールDFをなぜ抜けられるのかわからない速さ、きっと絶妙のタイミングだからだろうで抜き去り、信じられない角度からきちんとゴールに押し込んだ。暴れろ、ピッポ、おまえの夜だ!
終了間際にピッポ交代。いつものように難しい顔で、腕を折り曲げた拍手で興奮の観衆に応えベンチと固い抱擁の後に退く。ベンチでもいちばん目立つのはインザーギですね、と西岡アナもいっていた。
その後、リヴァプールも1点を返したがそこまで。ニュースさえ目に入らなければもっとどきどきしたかもしれないが、そこは自己責任でしかたなかろう。
それにしてもこのアテネの夜はフィリッポ・インザーギのためにあった。私はヤンキースタジアム戦と並んでCLの中継は世界最高のディレクションに認定しているが、ゲーム終了後の興奮しきったような俯瞰のインザーギ追いは何だ。冷静なCLのディレクションがこんなに長く一人の選手を追うのをみたのははじめてだ。そう、勝ったのはミランではない。インザーギなのだ。
2点目が入った時、これはどっちが勝っても不思議はなかったインザーギがいたからミランなのだと思っていたら、終了後解説の川勝さんがまったく同じことをいっていた。おそらく世界のサッカーファンの多くが、同じことを思っていたに違いない。
残念ながら、周囲の若いファンのインザーギ評は最悪だ。ああいうのが前にいてオフサイドばっかじゃ後ろのやつはやる気なくなりますよと元サッカー部のO君、イケメンってガイコツみたいですよとM君、しかし私は、「100回やって99回オフサイドでも1回決めればいいっていうのがインザーギなんですよ」という国内インザーギ支持者の代表格、信藤さんの言葉通りのピッポのプレースタイルに、そしてそのゴール後のパフォーマンスに酔い、常に擁護し続けた。あれがサッカーの不思議だ、わけわからないからサッカーは美しいんだ、そしてこの日、そうしたことを誇りに思う、今日までインザーギファンできて本当によかった。
さっき初めてインザーギのwikipediaをみて次の一文に笑う。
「また、ゴールを決めた後の発狂したかのような形相と倒れ方はそのまま死んでしまいそうな程の激しさを持つ」
少しみて一番よかったのは、RHCP "by the way" が鳴るこの編集(http://www.youtube.com/watch?v=1mfq9C4LeQo&mode=related&search=)か。
ありがとう、インザーギ。でも、できれば今回も、コーナーフラッグを持ったまま走り回ってほしかったぞ、ここではカットされているが、暴れまわった末にベンチに行ったお前に絶妙のタイミングでボトルが下から生えてきて、それをひったくって2、3口飲んだ後、のしのしのしと歩いて放ったシーンを私はいつまでも忘れないだろう。お前の自信たっぷりの歩行は、"Don't stop me now" を歌っていた頃のフレディー・マーキュリーのように、世界を自分のものにした喜びで満ちている。

と、まずい、ここまでだと、ばらばらこの日の仕事の準備をし、火曜に残ったのを持ち帰ったぽてとやちゃんぽんを炒め直して、そうだとサンドイッチにして食。反省点は多いが、それはコミュニティに書こう。
そういえば、次の車は金曜といっていたが、もしかしたらと店に用意できれば帰りに寄るとメールを送り、父親に駅まで送ってもらって電車に。この間から読んでいておもしろくてしかたない橋元淳一郎『時間はどこで生まれるのか』はお預けにして、取材のための資料本を読みつつ睡眠時間を補給。神田に行って、まず編集者2人とサンマルクカフェで打合せ。それから世界をまたにかけた興味深い話を2時間きいて、さらに確認打合せ。それではと編集者と今後の方向についてドトールで話をし、再び京浜東北線に乗る。この間コーヒーばかり3杯飲んでいた……to be continued...

(Phは関係ないけど春生まれの暫定名こしま。BGMは"Don't stop me now"収録クイーンのベスト)
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「これまでにない」 "pastime paradise"~阪神連敗脱出

2007-05-10 22:41:31 | スポーツ
「週間日記」がまだですが、今日は塾の予定なしで在宅につきどん底われらがタイガースを観戦。で、久しぶりのスポーツカテゴリーです。

阪神ファンを標榜する私であるが、今シーズンはテレビでもちゃんとみたことなし。家にいて好きな福原が投げていたので、じゃあ、これみながら原稿書こうと思って在宅勤務に。
福原は成長がない。恵まれたからだでストレートも変化球もいいのだけれど、ただ投げている。この日もそれは変わらず、アップアップでものほほんと、しかしよっぽど調子がよくないとこういう感じだから安心しつつ、キレはないけど美しくだらだらするその投球をみる。
1回いきなりアニキ金本がツーラン。久しぶりのHRだが、アニキの名にふさわしい教科書のようなスイングから美しい弾道の見事な一撃だった。
しかし響かないタイプの福原が阿部の野郎に打たれる。むう。阿部うまいよな、そういえば移籍後の小笠原をちゃんとみたのは初めてで、お前、魂を売ってしまったのかと、悲しい思いがする。
こりゃ大変だと思ってたら、鳥谷がとぽーんと左に。この新1番バッターが理想的なスイングから放つ左翼への打球は本当に美しい。喜んでたら、また阿部の野郎がHR。
その後は福原と木佐貫の危なっかしいだけで緊張感のない均衡状態が続き、阪神が今年の懸念であるJFKで逃げ込みを図った。
久保田は相変わらず球走ってる。しかしこのピッチャーの場合、問題はそういうことではないのだろう。勢いばっかりでカウントが詰まると甘くなって打たれるのが悪いパターンで、こう、能力をもてあました感じは福原と同じで、どうすれば変わるのだろうと思うが、まあ、プロなら打開せねば。ジェフはまあいつも通りの投球。
そして、昨日は打たれたという藤川がマウンドへ上がる。この日の投球は、球児のストッパーとしての資質を感じさせるすぐれた内容だった。
最大の武器である高めストレートを脇において、フォークやカーブでカウントを取る。あれだけ低めへの変化球を見せられれば、ストレートはどんなに速く見えるだろう。圧巻は鈴木尚を三振にしとめた内角速球で、初めての先発という捕手・狩野がどう関係しているかは知らないが、あまり記憶にない組み立てだ。
つまんねえ、と思ってたNHKBSの解説・山本和行も、球児の投球に関する言及だけは違っていた。いや、これは狩野君じゃなくてベンチかバッテリーコーチかも知れませんけどね、普段のストレートでぐいぐい押す展開でなく、ストレートを速く見せるために変化球を使う、これはこれまでにない投球のかたちですね。み直したぞ25番のリリーフエース。
そういえば、狩野ってかっこいい。母校前橋工業は近いので、1年上の塾OB高校球児に対戦したことあるかときいたら、ないですけどすごい評判のやつでしたよと返事。あのボールとの接点が短いバッティングを私は今日、「力があって打球が飛ぶ和田」と命名したが、あのもみあげの容貌からしてただものではない。やつが里帰りして高崎HMVでCDかなかをみているところに出くわしたとしても、おそらくまさか阪神の99番とは思うまい。
と、いうわけで最後のバッター高橋由のピッチャーゴロでゲームセット。われらがタイガースは連敗を脱出した。
最後にNHKBSのディレクションも賞賛しておこう。映画のように見事なMLB、とくに悪名は高いがFOXグループのヤンキース戦の完璧なそれに比べ、日本野球界の野暮ったさには辟易としていたが、この日の甲子園はなかなか。「あっとひっとり」コールの中、この日HRを打った2人、左翼金本から遊撃鳥谷を1カットでとらえたのは、野球をよく知る絵づくりだったといえる。
そんなこともまた、山本和行が球児にいったように「これまでにない」。だから野球は、ニュースなんかじゃわからない。
よし、今日から連勝だぞ。
♪ろーこーおろーしにー さぁあっそっお、とー……

(Phは野球テレビ前の春生まれ暫定名「/2(スラッシュセグンド)」。BGMは昨日初聴のパティ・スミスの新作カバー集で、今はこれはラップで何というタイトルだったか不良横行学園もの映画の主題歌だった pastime paradise。野球観戦をアメリカでは national pastime という)
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「有馬の武豊」に一生分の“Choral(合唱)”を

2006-12-24 12:35:35 | スポーツ
24日は競馬ファンにはクリスマスより3時25分です。

久しぶりに、“武豊の有馬記念”が近づいている。
収入の中で競馬関係(もちろん馬券はマイナスです)が少なからぬ割合を占める私にとってこの一年は、仕事の上ではさまざまのいい記憶があり、馬券の上ではそれ以上にまいった覚えがあるものの、馬たちがコースで見せてくれたパフォーマンスはいつもと変わりなく。一競馬ファンとしてはそれが何より嬉しい。
そしてディープインパクト。これまでにも何度かディープのことについては書いた(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/75f53b48b2ef1a27d346727e1e9110e8 http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/edb12795f98628ec28bae6d4e81c7db4)。G1での歴代最高馬連配当の2位と3位を的中させた(100円だけ)穴党だけに馬券に関してはともかく、この馬が一生のうちに出会うサラブレッドの中で特別な存在になるであろうことは確かだ。
私のような一ファンにとってもそうなのだから、史上稀な天才騎手にとってその思いはどんなか。栄光の3歳時から唯一国内で敗れた昨年のこのを経てさらに充実した春を過ごし、無念を噛み締めたブローニュの森。帰ってきた府中で見せたガッツポーズは、ダンスインザダークの菊花賞よりスペシャルウィークの天皇賞より気持ちが入っていた。
思えば武豊の有馬での成績は意外なほどよくない。
勝ったのは「奇跡のラストラン」90年のオグリキャップだけ。スペシャルウィークは有馬史上有数のデッドヒートでグラスワンダーにハナ差屈したし、あのメジロマックイーンも、出ていたら勝っていただろうダンスインザダークやサイレンススズカは出走すらかなわなかった。そしてディープインパクトも、もっともあぶない勝利だった皐月賞、唯一の敗戦である有馬と中山は鬼門だ。
この史上最高の名馬がそのパートナーとともにもっとも苦手としている中山のグランプリを選んだのは、この12月の冷たい空気に試練を好む日本人の気質と関係あるのかも知れない。赤穂浪士も真冬の駅伝も受験勉強も、そして失意でこのレースを迎えた16年前のアイドルホースも。日本人がこの時期に聞くのを好む楽聖の9番のように名馬と天才は今、最終楽章で形式主義の当時では前代未聞だった合唱が歌われようとしている場所にいる。
きっと武豊かは思っているはずだ、この馬のような馬にはもう二度と出会えないのだと。だから私たちも、そういった決意をもってこのレースに臨まなければならない。ディープインパクトのような馬にもう出会えないなら、これからも有馬で人気馬に乗り続けるこの天才騎手を買うことはあまりないだろうから、今日こそ一生分の声援を送りたい。彼らが見せてくれるのはこれまでで一番の追い込みかも知れないし、あっと驚くマクリ、いや初めて見せる先行策すら考えられなくもない。いずれにしても天才がいうように、それが最高のディープインパクトなのだ。
そういえば「奇跡のラストラン」の日曜も、こんな風に静かで陽当たりのいい日曜だった。ただし今日私たちが目撃するだろう光景は決して「奇跡」とは呼ばれず、その存在だけが「奇跡」と語られるに違いない。
乗るのが史上最強馬だから、これからは買わないだろう「有馬の武豊」に一生分の“Choral(合唱)”を。聴こえるのはきっと、「歓喜の歌」だろう。

◎ディープインパクト
○ダイワメジャー
▲スイープトウショウ
△スウィフトカレント
 アドマイヤフジ
 デルタブルース
 アドマイヤメイン
 ポップロック
 穴党ゆえ、○▲から2着ディープも少し

(BGMはPC内の、フアナ・モリーナ、ケイト・ブッシュ、ニール・ヤング)
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もう“衝撃”ではない―ディープインパクトJC制覇+クランエンブレム未勝利勝ち

2006-11-26 23:56:20 | スポーツ
今週は競馬関連の仕事が多く、これまで週刊日記以来更新なし。土日も撮影で多忙でしたが、録画で競馬は十分楽しみました。

ディープインパクトの魅力は、何よりその走法、というより走っている様子なのだと思う。
怒涛の追い込み馬ミスターシービーの年にちゃんとみ始めて、完全無欠のシンボリルドルフの年に馬券デビューした私は、世の競馬ファンの中ではすでにベテラン初期の部類だ。どちらかといえば穴党なので好きだった馬にそれほど強い馬はいなくても、名馬たちについてはそれぞれいくつもの思い出がある。
3冠馬では先の2頭の他に豪快な野性味にあふれていたナリタブライアン、一所懸命走る姿がよかったオグリキャップ、ライバルとの名勝負にうなったスペシャルウィーク、サラブレッドらしい上品さならサクラローレル、そして競馬の快楽の究極を味わわせてくれたサイレンススズカ。どれもみな忘れられない。
けれどディープインパクトは違う。荒々しさも、手に汗握る名勝負も、品格さえあまりある方でないのに、多くの人々を引きつけてやまない。それはどうしてかというと、あのちっこいからだが直線に向くと別の生き物のように四肢を広げて加速していき、とにかく「行けーっ」と応援したくなる、そのタイム感にあるのではないかと思っている。過去の名馬でいえば、浮くように走る姿がみていてうれしかったトウカイテイオー、何を考えているのかわからないほど無謀に走っていってしまったサイレンススズカ、ちょっと名馬といえる実績はないが思いつめたようにずんずん走るツインターボらが、そんな同じようなタイム感を持つ馬だった。
逃げとか追い込みとか関係ない。問題は走っている時のタイム感。そうした馬の馬券を買うのは、何も的中させて小金を儲けるためじゃない。そうした馬の一部となってターフを走り、そのすばらしい時間を味わいたいからなのだ。
だからディープインパクトがみんなの期待を背負って出かけたフランスで伏兵に敗れた時より、その後すぐに引退が発表された時、しかも薬物トラブルに引っかかった時の方が、競馬ファンの嘆きは大きかった。あのタイム感がもう味わえないなんて。多くのファンが今日の府中に駆けつけたのは、ディープインパクトの勝利をみたいためもあったろうが、それよりきっと残り少ないあの時間をより近い場所で、少しでも強く感じるためだったのだろう。
そしてJC。史上最弱といわれたメンバーも、見事な勝利の価値に傷をつけることなんてできない。何しろこの馬には、ありきたりの名勝負なんていらないのだ。誰が走っていたって一番後ろを走り、直線に入ったらあのタイム感を創造する。それだけを繰り返してきたのだから、名コンビの円熟を迎えた天才騎手はそれを完璧に繰り返した再現しただけだった。
“衝撃”なんていったのは、もうずいぶん前の話だ。それはすでに“再現”であり、その再現こそ多くのファンがたち望んでいた時間である。
何とか来年、ロンシャンでの雪辱をともうあきらめなければならない夢を見るのがファンの悪い病気なのだが、何しろあと一度の有馬で終わってしまうのは残念。こんなに名馬の引退が惜しいのは初めてかも知れない。

さらに土日はPO馬がともにダントツ一番人気で2頭出走。土曜のダイワディライトは2着惜敗も、今日のクランエンブレムは単勝1.0倍大差勝ち。よし、来年はこの馬でいい時間を。

(BGMはJ-WAVE)
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スポーツの秋深まる―カーディナルス、新庄、クラシコ、アーセナル、天皇賞、クランエンブレム

2006-10-28 23:49:29 | スポーツ
もうすぐ10月も終わり。スポーツの世界が盛り上がります。今日はそのあれこれ。

新しい方から、日本時間今朝のWシリーズ、カーディナルス優勝。リーグCSまではあんなに強かったタイガースは、何か高校野球並みにエラーが出てあれでは勝てない。勢いとか流れとかいうのが、よく出たシリーズだったように思います。
ヤンキースやアスレチックスのジートら好きなチーム、選手が早々と敗れて気持ちはいまいちでも、なじみのない選手がいくらか覚えられました。オリックスにいた頃より数段たくましくなっても、なぜか高校生のようにバットを揺らす田口は不思議。
NHK解説はやはり長谷川滋利がすばらしい。知識なら小宮山というツワモノもいるが、それにエンターテインメントのわかりやすさという美質を備えている。いいやつの与田も悪くないが、もうちょっと切れがないと。
ジートらFA選手もいるから移籍情報も要チェックだが、野球はシーズンオフはけっこう忘れるからな。

そして、あまりみられなかったものの涙の最終打席から、昨日はめったに見ない地上波ニュースを探し、新庄の引退会見も姿勢を正して、それでも笑いながら。
私は01年に一度だけ米国に行って野球を5ゲームみましたが、ほか
の日本人も練習中の吉井、BOS時代の野茂、イチロー、佐々木といた中、おもな目的はすぐに帰ってきてしまうかもしれなかった新庄でした。確か横浜の高条件を蹴って、家賃が年俸を超えていた出来高制最低800万円でアメリカに行ったすごい宇宙人。それでいて佐々木、イチローというちゃんとした日本人メジャーがやっぱり「目標はWシリーズですね」と口を揃える中、なぜか日本人初出場し、「でもオレWシリーズとか、よくわかんなかったし」と応えていたのには、世の中というのはこれだからすごいと、神の目的と結果の塩梅具合にうなったものだ。神はサイコロは振らないかもしれないが、バットは与えるのだろう。
阪神でもNYMでもSFでも札幌でも、どういうわけか2割6分くらいという不思議な打撃。多分本気で外野手からピッチャーをめざし、一時野村監督とうまくいかずやる気をなくしていた時も、それはそれで普通人には理解されない種類の、新庄ならでは真摯さを感じたものだ。この宇宙人はきっと計算などしない。
そんなSHINJOが札幌でリーダーシップを発揮したことは、集団の謎を感じます。オシムとかゴーンのように強烈で的確なカリスマシーで集団を引っ張る人物がいれば、新庄や、06W杯でももっともまとまっていたイングランド代表ベッカム主将のように周りの一般人にとって、「あの人よくわかんねえけど、悪い人じゃないし人気もあるし、まあついてっていいんじゃねえの」という感じのリーダーというのは、とくにスポーツのような不確実性の高い分野の場合、意外に現代的でいいのではないかと最近よく思います。最初の印象では水と油の感じだった小笠原も、新庄のおかげで楽しそうだった。
そして新庄のあのグラブ。ああいうところもすごい。甲子園に届かない高校球児でも3つくらい買うのに、ずっと同じなんて元巨人の土井くらいしか思いつかず、一般人はあきれながら感心するしかない。

そんなベッカムが欧州でピンチのサッカー界。今週はクラシコでレアルが勝ったが、途中出場の貴公子に見せ場はまったくなかった。
愛するアーセナルは、新メンバーの最近知ったが“サッカー界のモーツァルト”というらしいロシツキー、ついにベールを脱いだウォルコットと目が離せず、ベルカンプらの不在もさびしさは感じない。セスクの進境が目立つ。
それに対して、チェルシー、レアルに敗れたバルサは、とくにロナウジーニョがよくないようだ。

と、野球、サッカーの話でがしがし書いてしまいましたが、明日はキングオブスポーツ、日本の象徴の名がつく天皇賞。ちょうど仕事がないので、天気が心配ながら府中に行ってみようと思っています。
ディープインパクトもハーツクライもいず、例年になく小粒なこのメンバー、応援してきたのは栗毛の馬体が好きなローエングリンですが、こうなれば北海道パワーのコスモバルクにもそろそろいい目をみてほしい。マイネル岡田代表にも。
それと明日の楽しみは、PO馬クランエンブレムがデビューすること。武豊騎乗で1番人気らしく、今年度の初勝利も期待大です。

まだまだ楽しさひろがる秋は深まり

(BGMはJ-WAVE)
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しなやかな速者、軽やかな飛者―ディープインパクトと藤川球児

2006-10-01 22:24:48 | スポーツ
ディープインパクトと藤川球児は似ている。ともに昨年大ブレイクした2つのスピード自慢について私は、そう繰り返してきた。
共通点は、何といってもまずその不思議なしなやかさ。周囲を圧倒するような余計な力強さが、両者の肉体にはない。相手をなぎ倒す「剛」でなく、どこまでも素軽い「柔」のイメージ。顔だって両者ともおっとり顔で威圧感はない。それでいて信じられないようなスピードが繰り出される、奇妙なアンバンランスさが魅力だ。口のきけないディープの代わりに武豊騎手が「飛んだ」と表現すれば、150キロのストレートを投げ込んだ後の球児は甲子園のマウンド上で勢い余って後ろに跳ぶ。重力を無視したようにターフを滑るディープの直線と、打者に近づくに連れ浮かび上がっていく球児の直球は卓抜したスピードと独特の浮遊感が共通している。しなやかな速者は軽やかな飛者なのだ。
05年に世に出た両者は翌年である今年、そろって世界に挑む。春のWBCで世界の強豪の前に苦汁を飲まされた球児は、国内のシーズンでは見事に成長した姿を見せた。一方05年ラストの有馬記念で古馬ハーツクライの前に初めての敗北を喫したディープは、無敗のまま春を過ごし秋に欧州最高峰のレースに臨む。
凱旋門賞スタートまであと2時間足らず。球児がリーグ王者に最後の挑戦を続ける中、日本競馬最大の衝撃はブローニュの森に伝わるだろうか。

(BGMはJ-WAVEで今は小林克也のオアシス特集でやっぱり1曲単位できいていい曲は多い。昼のスプリンターズSはメイショウボーラーとベンバウンで勝負。メイショウ2着づけ外国馬相手の馬券持っており、アタマ差で15万円逃し衝撃深し。凱旋門賞ロンシャン競馬場には、サクラローレルが挑戦予定だった97年に初の海外旅行として遠征。裏口から入ってターフも歩き、ディープやローレルが過ごしたシャンティイの森にも早朝に行きましたが犬しか走っていませんでした)
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日曜札幌4Rアーバニティ登場~ロケットマン、“ぜいたくな不安”とドレイク方程式

2006-08-13 04:11:19 | スポーツ
本日は夕方シャワー~ラーメン満腹で花火サウンド聞きながらよく寝、目下めったにないくっきり状態。
仕事の合間にまず、今年度のPO馬アーバニティ出走のことです。
POGは「ペーパーオーナーゲーム」。「自分の馬(PO馬)」を決めてその馬が走って賞金を得ると、ポイントが加算されるゲームです。
仕事の関係であるグループのPOGに参加してこれが3シーズン目ですが、1年目はほぼゼロ、2年目は下位に低迷しました。
今年の指名馬は以下の通り。

個人順位 馬名  性     父         母      厩舎
1 エアシャムス・牡(ダンスインザダーク×エアデジャヴー)東・伊藤正
2 ダイワディライト・牡( アフリート×ロンドンブリッジ)東・二ノ宮
4 エンプレスティアラ・牝(クロフネ×ゴールドティアラ)西・松田国
5 アーバニティ・牡(マンハッタンカフェ×レガシーオブストレングス)西・角居
10 馬名未定・牝(フレンチデピュティ×エイシンサンサン)厩舎未定
14 馬名未定・牡(タニノギムレット×プライムステージ)厩舎未定
15 ユキノシクラメン・牝(アドマイヤベガ×シークレットローズ)西・須貝
16 プロミネント・牝(タイキシャトル×プロモーション)東・和田
18 クランエンブレム・牡(ウォーエンブレム×アズサユミ)東・手塚
17 馬名未定・牡(カリズマティック×スカラシップ)厩舎未定

18人いて18位までで決着するとは、ほかの人が選ばないような、つまり勝てない馬を選んでいるのかも知れません。どうしても好きだった、前に世話になった馬の血統を選んでしまうのでしかたないところでしょう。
ひとまず明日出るアーバニティは、好きだったレガシーオブゼルダの弟。札幌1800の新馬戦はジャングルポケットなどを輩出した出世レースで強力なライバルも多いですが、2~3番人気で出走できそうです。

と、競馬に興味のない人には、何のことやらわからない話で恐縮なのでもう一つ。
私は J-WAVE のヘビーリスナーですが、最近気に入っているのがちょうど今やっているロケットマンというやつです。
ずーっと騒いでいるのがおもしろく、何だこいつはと気に入っていたユウ・ザ・ロック、そして“女ユウ・ザ・ロック”と呼んでいた竹内由美子、で正しいか、同様。騒々しさが魅力で、そこに「ジダンの頭突きを笑ってるやつ」を「クラスの合唱」で斜に構えてるやつと同じとみなし糾弾するという真摯さが興味深いと思っていました。80、90年代のいいとこどりの感じの音楽も十分楽しめます。
それでこの間、マンガのプロットのヒントをとききに来たOB・M君に、前にロケットマンにリスナーから届いた、「クラスのマドンナと親の再婚で同じ屋根の下で暮らすことになり、そこから愛が芽生えるというストーリーを出版社にどうですかというすばらしい妄想」の話をしていたのですが、先ほど調べてみたら、ふかわりょうとピチカートファイヴ・小西との組み合わせだそうです。
バラエティをみることから遠ざかって久しい私は、ふかわりょうというのは名前しか知りません。早速、前述M君にメールでおもしろいのかときくと、「すげぇつまんねえヤツですよ」との返答。ふむふむ、では一度テレビでもみてやろうかと思ったものの、そうやって誰かの出るテレビを、それが出演するまで待つのが最近はすごく苦痛で、いつもスポーツニュースで苦しんでいることだし、そういうのをすぐネットでみられるようになるのはいつだろう、などと考えて、おそらくテレビでふかわりょうをみるまでに2、3年はかかりそうだと思いました。
そこで今日のロケットマン。UFOを信じるかという古典的な議論でしたが、途中、「おれ、すごくアイディアとか出るこれは違うっていう時があって、そういう時、地球人の領域を超えてるんじゃないか、ホントは宇宙人じゃないかとと不安になることがあって、まあ“ぜいたくな不安”だけど」というのがきいていて嬉しくなりました。
番組は今終わったところですが、来週は「徹底討論。そば対うどん」だそうで、これは私も長年ひとにきいてきたテーマであり、ちょうど昨日中2M君にもきいたところ。よし来週はメールでも送ってみるかなどと考え、書こうと思っていたすばらしい宇宙人科学本『ファーストコンタクト 地球外知性体と出会う日』金子隆一著で知った「ドレイク方程式」についてはまた。ふかわりょうをテレビでみるよりは早いと思います。なお、私は「6:4でうどん」。

(写真はアーバニティ。BGMはそのロケットマンで、エンディングの多分山下達郎『ダウンタウン』のサンプリング、途中「大好きな曲」という誰かのヴァージョンのE・ガーナー作品『ミスティ』、「いっぱいやっている人はいますがこういうのもいいですね」というオスカー・ピーターソン版A・C・ジョビン『WAVE』など、普通の音楽番組としても一流。20歳頃きいて苦手な感じがしたピーターソンも、アナログを探してきき直そうか、小曽根真も絶賛だしいまきくと違うかもと、こういった番組をきくと、「自分で選んだのではない曲」をきくラジオの存在をありがたく思います。そうこの文字を書いている間も、エヴリシング・バト・ザ・ガールからスティングの見事な接続。両方CDで持ってますが、こうやってはきけません。カテゴリ、わからなくなりましたが、競馬から始まったので「スポーツ」に)
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"invisible MF"~日本蹴球愛好家の2006年7月3日(後編)

2006-07-07 11:56:07 | スポーツ
決勝は伊仏という、当たり前過ぎてつまらないようにも感じられるほどの意外な組み合わせに。0:0PKにだけはなってほしくなく、できればアンリ、デルピエロあたりのインプレーのゴールがみたいと思います。
前回前編から開いてしまい、このまま書かずになってしまうかなと思った、引退発表のナカタについての記事。

日>
思えば、ナカタについて考えたことはほとんどなかった。

たとえば、ジダンが唯一のCL優勝を引き寄せたボレーシュートをはじめ、名選手にはさまざまな名場面がついて回る。しかし私の中では、ナカタについてそんなシーンはない。
もちろんあまり日本の試合をみないということがあるにしても、好きな小野や柳沢の、反対に苦手な中村のシーンならいくつも思い浮かぶ。だがナカタについては別。位置こそ違うが何度もポジショニングのよさに唸った井原などとも違い、おお、なんでこんなところに、と驚かされたこともなかった。

私にとってナカタは、ザ・コーラルのアルバムタイトルからの思いつきでいえば"invisible MF(見えない中盤)"。どんなに動き回っていても、気になることはほとんどなかったのだ。

そこで初めて、ナカタのことというより、自分のサッカー観について考えた。
私は小野のことをよく“日本のアイマール”と呼んでいるのだが、特に中盤でボールを前線に供給するプレイヤーには、私はどうしてもかつて、ナカタとは共著を出す関係でもある村上龍氏が「シンコペーション」と表現したような、意外性のある展開を期待してしまう。

数年前、まだNHKがスペインリーグを放送していた頃、確か早野氏だったと思うが、ジダンとアイマールを比べてとアナ氏にきかれ、「まったく反対ですね。ジダンは組みたてる選手、アイマールは崩す選手なんです」といっていたのを思い出す。この点でいえば、私がみたいのはいつもアイマール型だ。今年のW杯なら好みはロシツキで、多分評価は最も高いだろうリケルメは、ビジャレアルでのプレーを含めてあまりおもしろいと思ったことはない。
ほかでも、例えばサッカーで最もエキサイティングな出来事であるミドルレンジからのシュート。ジェラードやバラックらのそれは、ほとんどリズムが前倒しになることから訪れる快感ではないか。さらにいえば、やっていることはいつも同じなのに、ほかの選手が数秒こねてから打ち上げるところを、いつも誰も準備できないうちに美しいクロスを上げる右サイドのベッカム、ゴール近くでボールを奪い、普通なら一つ前の選手に渡してから攻撃に移るところ、すぐに攻撃を始めてしまうヴィエラ、ボールを奪う前から、あるいはパスをもらう前からすでにドリブルに入っているホアキン。私がいつも好きといっている選手には、必ずそんなシンコペーションがある。

と、ここまで考えて、唐突だが、ずいぶん前に読んだ福田和也氏の『甘美な人生』という文芸評論で、柄谷行人氏の文に触れていた箇所を思い出した。
ニューアカの洗礼を浴びた世代の例に漏れず、私も柄谷氏の文章に感服してきた一人だ。「商品」を「言語」に置き換えて一つのテキストにまったく新たな命を吹き込んだ『マルクスその可能性の中心』や、近代初期にスポットを当てることで私たちの現在を解体してみせた『日本近代文学の起源』のスタイルは、自分がものを考えるベースの一部になっている。しかし福田氏によればその柄谷氏の文は、その文脈の緻密さゆえに、読者に考えさせない文だという。
この指摘は新鮮だった。一部の隙もなく進む論理。それは完璧に進むゆえに、読者に考える時間を与えず、その論理に乗って考えないまま、論理を浴びるように読書の時間が流れていく。
だからといって、私にとっての柄谷氏の文章の魅力に変わりはないのだが、魅力的なテキストの魅力の意外な機能に気づかされたこの福田氏の評は頭の真ん中の方に残っている。

私がナカタの、リケルメの魅力がわからないのは、単に自分のサッカーのみ方が幼稚なだけなのではなかったか。
私がサッカーに求めた「幼稚な意外性」は、見かけはまったく逆ではあるものの評論においての「完璧な論考」であり、それにとらわれるとほかがみえなくなるという点でまったく似通っている。もちろん、どんなみ方をしても構わないのだが、ものがみえなくなるのはいいことで決してない。
ナカタやリケルメの完璧なボール供給は、考えさせたり、感服させないという点ですごいのではないか。

3日の夜、仕事を頼んでいるOBのI君とナカタのことをメールで話し、ネットで読んだ引退声明も含めナカタの発言についても触れた。その時は、「おれは今、自分が毎日毎日強くなっていくのがわかるんだ」という辰吉丈一郎や「おれは野球がへただから」という新庄剛史らのそれと比べて、ナカタの発言にはポエジーが欠けていてつまらないといったのだが、それは確かにそう思う。

そうした発言を含む、ピッチ外での行動などどうでもいいし、MBAを取ろうが実業家になろうがそんなことはいい。
私にとっては、ナカタが十数年にわたってピッチでみせたもの、それを自分がほとんどみていなかったことの方が重要で、これからたまに考えてみることがありそうだ。
考え始めた時、ナカタはもうそこにはいないのだけれど。
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思いもよらぬセミファイナルへ~日本蹴球愛好家の2006年7月3日(前編)

2006-07-04 09:11:41 | スポーツ
「7月3日にねこてれ」などと呑気なことを書いていた昨日。仕事もけっこうやったのですが、心はインターバル後の準決勝に。
そして夜、goo のニュースで知ったナカタ引退。一応、ドットネットのテキストやテレビのニュースもみました。

独>
思いもよらないベスト4。
いいいいと、さんざいってきたアルゼンチンやスペインが意外なかたちで姿を消し、ブラジル、イングランドは敗れるべくして敗れたという印象だ。

メディアは、ジャッジがどうの、守りに入ったのがどうのというアルゼンチンだが、ピッチで見せたパフォーマンスは今大会一だった。とくにお気に入りのメッシ、アイマール、テベスは若い。次回はさらに強い Albicelestes がみられそうだから、楽しみに4年間待とう。
南アフリカが楽しみという点では、燃えずに終わったブラジルも同じ。才能の出現頻度では、近年は南米に分があるだろう。

力を発揮できずに終わったイングランドは、私の中では顔ぶれだけなら今後もこれを超えるチームが現れないだろう。ちょうど結局一度も優勝できなかったラインバック・田淵・ブリーデンの阪神が、いまも心の中の最強チームであるように。どうしても、ベッカム主将のもとでの優勝がみたかったのに。

スペインでは、フランス戦でもホアキンが見せ場十分だったのが嬉しかった。フル出場してほしかったが、スーパーサブなら切れ味が増すというのも発見。ビッグクラブに行っても大丈夫だろう。もちろんベティスにいてほしいけど。プジョルよ、次も這い上がろう。

そして残ったのは、どんなに点を取っても名ストライカーとはいわれなそうなクローゼのいる、いくら勝っても強いと思えない開催国独と、周りに自分が知ってる中じゃ今回が一番弱いといい続けてきた伊、世界最高の前線プレイヤー、アンリが窮屈そうな仏と下馬評のよくなかったところばかりで、唯一力をつけているのは、C・ロナウドはじめ脂の乗った選手の多い葡という顔ぶれ。
とはいっても、残りのゲームが興ざめということはないのがW杯のすごいところ。もちろん、みたかったのはENG:ARGのファイナルだったけど。

優勝してほしい順は、いままでが嘘のように結束力が生まれてきた仏、傷だらけで負のパワーを発散する葡、独と伊はどっちでもいいけど、インザーギの旦那の大爆発をみたいので出してくれれば伊を応援します。

たとえば西仏戦。どちらも負けてほしくないから、どっちかがリードすると負けている方を応援するというのは、チャンピオンズリーグなどでもよく経験することですが、そういうみかたができるのも、遠い日本からみているからでしょう。それはそれで悪いことではないはず。

ここまで書いて力尽き、時間がなくなったので以下後編に。

(BGVはイマジカでやっていたE・ロメール『夏物語』をかけっぱなしで。実にフランス映画らしい小品)
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サッカーにとって“エキサイティング”とはどういうことか

2006-06-26 13:50:51 | スポーツ
週明けですが、今日は決勝TMも半分が終わりいよいよ佳境のW杯。まだまだテレビの前に釘づけの日は続きます。

すばらしいのはアルゼンチンとスペイン。
メキシコ戦ではやっと待望の、はじけるメッシ、剛のテベス、柔のアイマールという自己命名、相手が真っ白になる“光の前線3原色”が実現。これぞサッカーというあふれるパスセンスに酔いました。すまん、サビオラ。
スペインはホアキン。日韓のアルゼンチン戦がベッカムのリベンジだったように、大活躍の韓国戦でPKを外したアンダルシアの英雄は、今大会もっとも活躍してほしかったプレイヤーの1人です。

勝ってはいるもののイングランドはよくない。ずっと心配だったジェラードとランパードの関係はじめ問題噴出。ルーニー下がり過ぎでFW不在だった今日のシステムは考えなおしてほしい。オーウェンが帰ったなら、なぜ17歳を使わないんだ。このままではスキャンダルだけが残るぞエリクソン。よくなくても何とかできるベッカムは、もうおしもおされもしない名選手です。

それにしてもポルトガル:オランダ。実はブックメイカーで初めて配当獲得の記念すべきゲームだったのですが、1回戦屈指の好カードがこんなかたちに終わったのは残念です。
なんでこれがカードだよといちいちいってもしかたありませんが、「主審にイエローカードを」とブラッター会長にいわれてもしかたないジャッジ。多くのファンが楽しみにしていたイングランド対デコが実現しなかったのが何より悲しい。

ブログで個人批判するのは好きではありませんが、NHKの実況陣もよくなかった。何度も名前を間違えるアナ氏に、中学生でもわかることしかいわない解説氏もひどい。ロスタイム6分に、「まだ時間はありますね」とは何だ。
こういう解説をきく時、いつもお気に入りの信藤健仁氏なら、WOWOWの柄沢晃弘アナならこういうだろうと、架空の実況に翻訳してしまう。
柄沢氏が「ロスタイムはあと6分! この6分の間にポルトガルが考えなければならないことはなんですか信藤さん」、信藤氏「見てください。オランダの攻撃陣ももう足が止まっています。けれどもポルトガルも、右サイドのミゲルをはじめもうそれを止める力は残っていない。こうなるとディフェンスラインのコントロールなんて効きませんから、1対1の力と力の勝負。あと6分、何が起こるかわかりませんよ」。

サッカーにとって“エキサイティング”とはどういうことか。
肩書きなど、放送局の都合などどうでもいい。みたいのは、神々に選ばれしアスリートのすべてがベンチでゲームを見守ることなくピッチを燃え尽きるまで走り回る姿であり、期待するのはそうして生まれる興奮をこれ以上ないかたちでテレビの前に届けてくれるプロの仕事なのだ。

+今朝、もっともさびしかったのは生粋のストライカー、ルート・ファンニステルローイ。どこに行くか知らんが、今年のシーズンに期待しよう

(BGMはこんな時期に昨日WOWOWでやっていたビートルズ特集から『バングラディッシュ』。ジョージの白いストラトがかっこいい)
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イングランド、アルゼンチン登場のワールドカップ2日目レビュー

2006-06-11 23:55:11 | スポーツ
ついに9日連続更新のタイ記録達成。
今日も2日目でイングランド、アルゼンチンが登場したW杯です。

2日目のカードは全部みたかったがそうもいかず、イングランドだけ生、スウェーデンはちょっとだけ録画をみて仕事に出かけて結果をきき、アルゼンチンはオランダ戦を生でやっている現在つけてます。

まず、同級生M君宅でみたイングランド。
やっぱりベッカムというのは魅力的で、M君奥方Yさんも「やっぱりカッコイイ」と大喜び。シーズンの終盤あまりよくなかった感じだったので心配だったが、やはり7番を背負うと違う。何とも楽しそうにプレーしているのがほほえましく、こういうのをかわいい男というのだなと改めて納得。オウンゴールからベッカムのゴールになったというのは、いい判定と思う。開始3分でドイツの7倍500円は露と消えたが、破ったのがベッカムなら惜しくない。
どうも遠慮がちなジェラード、ランパードもどんどんミドルを打ってよし。あとはルーニー待ちで、若造秘密兵器はどこで使うのか。
ただ、ブラジル、イタリアのような息の抜き方をしない点は心配。まあ、そこがいいところなんだけれど。

今前半が終わったところのアルゼンチンは、何といってもサビオラがゴールしたのが嬉しい。苦労の甲斐があったなウサギ君。
とはいっても、リケルメに頼り過ぎの展開は苦しい。リケルメ自身はビジャレアルで慣れてるだろうけど、欧州のしっかりしたDFに囲まれてどうか。絶対アイマールを活かしてほしい。
万全でないメッシはもうちょっと待つとして、やはりテベスがみたい。それにしても前線はすごいあまりようだ。
さらにキャプテン、ソリンはやっぱりおもしろい。ビジャレアルでも代表でもやりことは変わらないが、彼のプレーをみて“レフトリベロ”という概念を思いついた。

なお、昨日いったんエクセルからつくったのをテキストにコピーしたがうまく反映されなかったので、テキストで打ち直した予想TM表を以下に。

今、アルゼンチン:コートジボアール、後半がスタート。やっぱりアイマール、テベスはいないぞ。

GER\               /ENG
  GER            ENG
SWE/ \          /  \POL
    ARG       ENG
ARG\ /  \     /  \ /POR
  ARG            POR
MEX/      [winner]      \NED
       ARG-ENG-ENG
CZE\              /BRA
  CZE            BRA
CRO/ \  /     \  / \ITA
    CZE       BRA
FRA\ /          \  /ESP
  FRA            ESP
UKR/               \TOG

追記)やっぱりずれたけど、わかるからOK
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ワールドカップを予想する。Final は ENG:ARG

2006-06-10 10:28:11 | スポーツ
ついにW杯開幕で8日連続更新。クローゼってのも、なかなかやるものだ。
今日は各方面に提出した予想です。プレイヤープレビューはまた後ほど。

関係事務所のトトに参加。ここはポイントをつけて勝つと加算されるルールです。
上位16は、

32イングランド、31アルゼンチン、30チェコ、29ブラジル、28フランス、27スペイン、26ポルトガル、25ドイツ、24オランダ、23スウェーデン、22イタリア、21メキシコ、20クロアチア、19ポーランド、18ウクライナ、17トーゴ

基本応援する順。ブラジル4位は「強いといわれる時ほど勝てない」というジンクスと、やはり多少メリハリをつけないとほかの人には勝てないということで。

ほか、直前にやっと、初めてブックメイカーに送金でき、イングランドとアルゼンチンに2000円ずつ、チェコに1000円、優勝でベット。ほかにカン違いで500円入れたドイツの「fastest goal」。6分だったので一週間楽しめます。

決勝はイングランドと、アルゼンチンかチェコで。

(BGMはもっとも英国らしいミュージシャンということでポール・ウェラー "as is now" 。でもサッカーに関する発言は読んだことがない)
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ドイツ大会直前に8年前に思い至った“ワールドカップ実存主義”について記す

2006-06-09 08:45:06 | スポーツ
快調に更新を重ねこれで7日連続。達成感とともに調べると7日間はこれまでに2度あり、最高記録は9日間でした。こういう記録調べも、ちょっとW杯のようです。

“ワールドカップ実存主義”とは、8年前の98年、フランス大会の終了時にたどり着いた個人史で重要な“感覚”のこと。この時を境に私の毎日は、ほんの少しだけ変わりました。
またとてもくだらない話ですが、おそらく今日が、記すのにもっともふさわしい日ですので。

憶えていてよさそうなのはマリオ・ケンペス大活躍の78年アルゼンチン大会からだが、ディープ関東平野の農村に暮らす中3だった当時、野球や、洋楽ポピュラー、日本のフォーク、『宇宙戦艦ヤマト』などで満ち足りていた私は、地球の裏側でそんなことが行われていたとはまったく知らなかった。
82年スペイン大会は浪人生。ほとんどサッカーはわからなかったが、心ある周囲の者どもが騒ぐので、「レ・ミゼラブル!」の名実況で知られ、史上ベストゲームの呼び声高い西ドイツ:フランス戦はみた記憶があるものの、選手についてはジーコやプラティニくらいしかまだわかっていなかった。
マラドーナのための86年メキシコ大会は大学4年。教育実習で実家に帰っていたダメ学生になっていた私は、毎晩朝まで飲む日々から突然、いつもは寝る時間から中学生の朝練習につき合ったり午後もノックをしたりという一般の子どもまみれの毎日で、とても“神の子”をおがむ余裕などなかった。自転車で田んぼ道を帰りながら、ニュースで少しみただけの地球の裏のビッグイベントについて、中1男子と少し話した記憶だけある。
そして90年イタリア大会。臨時採用教員として中学校に勤めていた私は何もわからぬサッカー部の顧問になっていた。もちろん『サッカーマガジン』などを愛読する者どもと前夜のゲームについて話をしたり彼らにビデオを貸したりすることはあっても、マラドーナの指図にPK戦で敗れたイタリア同様、翌月に控えた自校開催の公式戦に向け、テレビの中の芝とは様子の違うそこらの土のピッチで、後のナカタと同年代で将来のW杯を夢見る坊主頭どもがボールを蹴るのにつき合って笛を吹いたりしていた。
だから、いまのようにW杯が楽しめるようになったのは94年のアメリカ大会が最初である。すでに零細塾自営+編集・執筆生活に入っていたため、昼間“リベロ”という立場と、弟と屋根に登ってマウントしたパラボラアンテナを最大限に利用して、決勝TMはほぼ全ゲームをみるほど。なおある物品雑誌のユニフォーム特集で仕事をやらせてもらったこともあり、この大会ではプレイヤーの名前もずいぶん知るようになっていた。
とはいってもこの頃までサッカーは、私にとってフィギュアスケートや柔道のようなもの。4年に1回の特別な季節だけ燃え上がって、あとは遠い世界だった。
だが、Jリーグやフジ+ジョン・カビラの『セリエAダイジェスト』などが始まり、塾のサッカー少年たちとストイチコフやフリット、バティステュータらの話もする機会も増えてきた。
そして、『ラ・マルセイエーズ』が響き渡った98年フランス大会。ジダン、ロナウドはいうに及ばず、4年越しのPKを決めたバッジョの溜飲、4年後の宿題を自らに課したベッカムのラフプレー、大統領になるのかチラベルト、そして史上屈指のオルテガの狼藉……。忘れられぬマロニエの季節の彩り。

さて、選手たちが次のW杯に向けて動き始めた時、経験したことのなかった愉しさに酔いしれながら35歳になろうとしていた私は、4年後の日韓に思いをめぐらしこう感じた。
「いったいあと何回W杯をみられるのだろう」

マラドーナ大会の前年にくも膜下出血で死んだ母は当時48歳。何の根拠もないが、人生80年時代といわれる中、母と同じくらいで命が終わることは十分考えられる。
では、大雑把に50歳で死ぬとしよう。とすれば63年生まれの私が生きるのは2113年頃まで。2006年のドイツは大丈夫だろうし、当時まだ決定していなかった2010年の南アフリカもOKか、しかしその次はわからないではないか。
その時の驚きといったらなかった。だらだらと続くかと思っていたさえない私の一生も、あとW杯3回か4回でなくなるかも知れない。アメリカからフランスまでの時間を考えると、W杯3、4回なんてあっという間だ。

一生が短く思えたのはこれが初めてである。それまでもポール・マッカートニーよろしく "Life is very short" と歌うことはあっても、それがリアルになったことはなかったと気づいた。
そして思った。こりゃおちおちしてられない。例えば、この本はもっと後になって読もうとかいってると生きている間に読めないかも知れぬ。人生にくだらぬ時間を生きている暇なんかないんだ。うっかりしてた。いやー、気づいてよかった。

とその時、ハイデガーの「時間は投射するものであり、同時に投射されるもの」という一節が頭に浮かんだ。そうかこれだったのか、80歳までと思って生きるより、50歳で終わると思って生きる方がずっといい。実存主義とはこういうことだったのか。
まったくの誤読かも知れないがそれはそれ。この時まで実存主義にしても、ただわかったような気がしていただけだったのだ。
マルティン・ハイデガーもドイツ人、今回のドイツ代表キャプテン、ミヒャエル・バラックもハイデガーも、何と偶然にも私と同じ誕生日である。もっともこっちは日本人だが。

はっきりいってこの時までの私は、自分がいつまでも死なないでいると思っている子ども同然だった。もちろんいつか死ぬと知ってはいたが、からだで実感はしていなかったのだ。最近小浜逸郎が「大人とは自分がそのうち死ぬことをわかっている存在」と書いているのを読んだが、その通りだと思う。

この、あとW杯3、4回という考えは自分のものとなり、古い友人と酒を飲む時に話したり、わけのわからぬことを抜かす若人どもに時々、「おめえら、自分がずっと生きてると思ってんだろう」とまくしたてたりしている。やつらもそんなことをいわれて困るだろうが、こういうことはいわないよりいっておいた方がずっといい。
そして、学生時代にK君がいっていたのの影響で老後にと思っていた三島の『豊穣の海』四部作をすぐ買いに行ったし、映画はその作家の重要な作品からみるようになった。そんな小さなことだが、私にとっては大きな変化だ。

いよいよ日本時間の今夜、フランス以降2回目のW杯が始まる。
詳しいことはまた後ほど。この地上最大の祭典を彩る神々の恵みについて、書きたいことは山ほどある。
今はまず、無事06年ドイツ大会をテレビの前で迎えられることを喜びたい。
そしてこの1ヶ月、本当はいつまでもいてほしいチームがピッチを去っていくのを、感謝の気持ちとともに見送る愛しき日々をじっくりと味わいたい。
生きることは愛するものを失うことであり、つまり私の“ワールドカップ実存主義”とは、失いつつ愛することを愛し生きることである。

(BGMは98年の発表のものを探し、私にとって97年の radiohead "OK, computer" と並ぶ90年代最重要アルバム、ブラジル・バイーヤ出身 carlinhos brown "omelete man"。これをきいた時の衝撃からもう8年とまた驚く。radiohead の英との決勝がみたい。カテゴリーは「身のまわり」のような気もするが、W杯なので「スポーツ」に)
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桧山+完封トリオ、サッカー界の“ゲルマン人の大移動”、泳げエイシンテンリュー

2006-05-28 10:35:52 | スポーツ
雨のサンデイ・モーニング。今日はかなり原稿を書かねばです。
撮影~中学生のテスト勉強とよく働いた昨日、帰ってパソコンに向かうも文字は打てず。ねこが雨を避けて入って来た蛾に興奮する中、J-SPORTSで再放送していた西武:阪神、W杯前に活性化する欧州サッカー移籍市場、そしてダービーと、スポーツ情報をチェックしている間に寝てしまいました。

まず桧山。今年はすっかりパートタイム・プレイヤーですが、出た時の活躍ぶりが光ります。ロッテ戦のHRに続き、昨日の左方向も見事。
このくらいになると、時々の出場がいい結果に結びつくのかも。片岡とともに、川藤、佐野、八木の領域に達してほしいものです。
江草~藤川~久保田の完封リレー、よかったぞ。
なお、ねこども画面のトラッキーにケンカを売ってました。

最近、DIVANAhttp://www.divinanet.com/というサッカーサイトの「移籍『噂』情報」をよくみますが、なんか史上最大のトランスファーイヤーになりそうです。
嵐の中心は不祥事に揺れる伊の名門2チーム。なぜか3強のもう1つもあおりを受けそうです。シェフチェンコはじめ固定メンツがどんどん流出しそうで、英、西の金持ちチームへの資本の集中は確実。
これはもう、サッカー界の“ゲルマン人の大移動”。ゲルマンがユーヴェ、ミラン、ローマ帝国はチェルシー、レアルでしょうか。このローマ帝国は分裂しないまでも、もう1チームできそうです。
わがアーセナルでは、アンリ残留には思わずモニターの前で右手を突き上げましたが、ピレス、レジェス移籍はさびしい。
しかしロシツキ加入には右手を高く上げました。ゲームメイカーとしては今世界でもっとも好きな選手かも知れないチェコの若き司令塔の加入は、弱みだった中盤に効果大。新スタジアムに新たな快楽を届けてくれそうです。

そしてダービーは、下位に低迷するPOG、最下位指名ながら最後の希望として出走する大外18番エイシンテンリュー。
母父が重の凱旋門賞を勝ったキャロルハウスで、メンバー中もっとも重上手といわれるこの馬が14番人気でしめしめ。まあ、この成績では当たり前ですが。
雨は大歓迎ですが、青葉のような後ろからではいくら何でも無理。エビショーには、雨中にマクった武豊の水仙賞のような、天気は違えどキングカメハメハを負かしに行ったハイアーゲームのような競馬を期待します。昨日は中1女子とエビちゃんの話で、これも追い風か。
3連単は3着でも10万円以上。18-17-6 でも34万円の1着づけも買うぞ。
府中の2400、泳げエイシンテンリュー。
といってまったくの不発の可能性も大なので、人気低過ぎのNHK馬ロジックも少々と及び腰の午後3時40分です。

(BGMは、ねこどもがばたばた落とすモニター横CD山で、たまたま一番上に来ていためったにきかないマディー・ウォーターズのベスト。「泥だらけの水」がエイシンテンリューの激走に)
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