小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

今週購入の五冊

2022-06-19 06:44:27 | 読書

今週はずいぶん本を買った。
ひとつは熊谷の paypay キャンペーン。25%バックのここぞとばかりに熊谷堂に注文して届いた二冊;『人工島戦記』と『左川ちか全集』と、『時給はいつも最低賃金…』はアマゾンで中古があったんで頼んでしまった。それと交くん六歳の誕生日で、名作児童文学二冊;『チョコレート戦争』と『ぼくらは機関車太陽号』は、これもアマゾンマーケットプレイス。
こんな厚い本買うの丸谷新訳『ユリシーズ』全部買った以来じゃないかの橋本治は、別冊の地図からして興奮し、主人公のひとりが小5・6年で転向したという「埼玉の某市」を推測する日が来るのを楽しみにする。左川は編者島田龍による解説「見るためには目を閉じよう」に出てきた「影の配列」に目が止まった。『最低賃金…』はすでにおひるのラーメン屋で読んだ。『さとるの自転車』と同コンビの『チョコレート』は毎晩寝る時読んでて、『太陽号』はクリスマスに『宿題ひきうけ株式会社』と同じ時期まで待つかな、といったところ。
夏も読書だ。

『人工島戦記』
中島京子・評

『左川ちか全集』=島田龍・編
鴻巣友季子・評

中森明夫・評

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊谷堂書店に二冊

2022-02-11 06:42:08 | 読書



昨夕、雪の中、熊谷堂書店に注文した本を受け取りに行った。
ネット通販より遅いだけ、店主との話がついてくる
◯引用:こうした「ない」が、これからは評価される、ことばの技術によってではなく、心の葛藤の深さによって読む人を感動させる
きっかけは毎日今週の本棚
詩の中にめざめる日本
三流のすすめ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昭和40年が3歳の時

2020-11-16 14:02:00 | 読書

 

昨日は本庄でカミイを返して別のカミイを借り、帰り際にリサイクルの棚にいいのがあったので連れてきた。その中で長く読みたかったけど機会のなかった2段組45ページを、この上なくいい天気の陽のあたる窓近くで読む。

目ざめは何によって導かれるのか分からないが、その直前まで断たれていた現実は、目ざめの瞬間からすべて眠る前までの現実につながってしまう。

どんな日々にも、ひとごとは必要じゃないか。交くんがなぜか借りちゃだめというので置いてきた古田足日全集の鴻上尚史言には心が歓んだ。こういう本が出てた昭和40年代に育ててよかった。
さあ、朝ほしたふとんをしまおう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

橋本治、パティ・スミス、ニール・ヤング

2019-03-08 05:28:52 | 読書
あわただしく過ごしていて新聞もよく読めていなかった。
だから、この40年くらいでもっとも重要なこの国の発言者のひとりだった橋本治の訃報への言及にもあまり触れていなかったので、「橋本治 毎日新聞」を検索する

「80年安保ってあったと思うんだよね」。政治ではなく、感性の闘いだったと。「あなたも僕も一緒に闘ったでしょ?」。
「ああ、中森くんはもう、少年を卒業したんだね」
(中森明夫)

橋本治さんへの評価は低い。不当に低すぎる。内田樹さんが書いているが、大学アカデミズムや既成の権威は、越境してくる高度な知性を、本能的に排除する。橋本さんはめげずに、むしろそれを誇りとした。
(橋爪大三郎)

世の中は自分の外側にあって、世の中が動けば、自分も動くことがあるし、動かないこともある。ズレやギャップがある。それが普通の考え方なの。でも、あなたは世の中と自分がシンクロしてるの。
(藤原章生抜粋)

そうして橋本治の日本語が、どこまでも水平に日本語の可能性を広げようとしたとすれば、古井由吉の日本語は、どこまでも垂直に日本語の表現を高度化していくように見える。
(田中和生)

わずか三百ページ余りのなかに、日本人のこの一世紀がまるごと提示されていることに感嘆する。だが、さらに感嘆するのは、会話もなく生きているこれらの人々のなかにこそ時代を超えた人間の姿があるのではないかとも思えることである。とすれば、日本の現在に問いかける1948年生まれの作者の姿勢には、革命的だった60年代に青春を過ごしたものに独特な慨嘆が含まれているということになる。すなわち『草薙の剣』という小説もまた歴史の所産なのだ。それこそ傑作の真の理由と思われる。
(『草薙の剣』評・三浦雅士 18年11月)

最初に好きになった『桃尻娘』から、橋本治とパティ・スミスはわたしの中でセットだ。よく音楽ファンにいってる、「パティ・スミスとニール・ヤングは音楽の成り立ちがよく似ている」があって、さっきスポティファイでかかった『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』からニール・ヤングのプレイリストをきいている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

曲芸=未来の報酬という幻想を持つこと

2018-11-05 13:13:04 | 読書



今日は熊谷勤務が休みで、朝の保育園送りの後は洗濯だのコーヒーだので、J-wave をきいていた。
大高健志の「少年ジャンプ」の話(1:10頃から。来週まで)で、商業性と作家性とか、全員が打席に立てる時代になったから今度はコーチが付いて打率だっていうのもおもしろかったが、その後で昨日の「今週の本棚」鹿島茂評『ならず者たちのギャラリー』(アマゾン。高くて買えねえ)がおもしろくてまいった(Webにはない)。

・・・
 アイレンブルフという画家が自分で絵を売るよりも、工房で働くレンブラントの絵を売るほうが儲かると気づいて画商に転じたのだ。

 「荒れた海ほど、最も多くの魚を捕まえられる」として革命や戦争に乗じて投機を図るウィリアム・ブキャナンのような「ならず者」の画商。

 「そのような高潔さは、もちろんそれ自体で、きわめて魅力的な商売上の戦略ともなりえるのだ」

と引用して、

「金儲けと画家支援という両立不可能な曲芸に、未来の報酬(名声と金銭)という幻想を持つことで挑戦しつづけた画商たちの興味尽きない列伝である」

 と結ぶ。
 むう、やはり己は商売には向いてない。
 画商ってのはすごいな。「がしょうき」ってんだろうか、とくだらぬシャレをかましつつ、「ならず者」は「デスペラード」なのかなと、この前きいたJ-waveのイーグルス特集を思い出したり。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の音、三冊

2018-08-28 10:30:31 | 読書

まだあつかった昼間、原稿の参考に書庫に探しに行ったら、めずらしくあっという間に2冊、プラス1冊みつかってかえっておどろいたが、ほとんど参照することなく取材だけで文字は2ページいっぱいになった。
でも、この3冊。いずれも「音」にあふれた貴重な本なので、原稿が終わって読み直しているおどろおどろしい雷鳴のあとの虫の声。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「古ハウスユースコネクション」。Webマガジン「Holiday Project」で配信開始

2017-11-03 20:29:54 | 読書


日本住宅新聞」で2015年11月から月1回連載を担当した「関東・古(フル)ハウスハウスユースコネクション」が9月の23回で終了。ほぼ同時に同紙編集長大川原通さんのWebマガジン「note―holiday project」での配信が始まって、第1回のファイル14 「農家民宿楽屋」に続き、先日第2回のファイル19「熊谷愛染堂寺カフェ講中」がアップロードされた。

連載は同紙「ストック活用」コーナーのひとつ。大川原さんの「古い建物・若者・まちづくり」オーダーに、本庄で展開している「オープン古ハウス」と、知るに連れいろんなもののつながりがわかっていく名作映画『フレンチ・コネクション』をもじったタイトルにした。
当初6回の予定が延長になった時、「北関東」の「北」をとってエリアを広げたが、結局最南で川口。自宅から車に乗って取材に行ける範囲だからそれはそれでちょうどよく、知ってることだけで取材せずに原稿書いた数本はじめ知人の多い内輪感たっぷりの連載だった。Web版は「201_年〜月の…」や最新画像を加え、連載順をシャッフルしての配信だ。

フレンチ・コネクションのポパイ刑事(ジーン・ハックマン)がそうだったように、調べるうちに浮かび上がってくることがある。
本連載のそれは、古ハウス利用の「経営」からの理由。何かやろうとするユースがそれを実現に移す時、古い建物を利用することでうまくいく要因が今の日本にあって、その共通点、それぞれの事情が、実例を重ねることでみえてくる。

取材も変わっていた。
もとからひとの話をきくというよりこっちの体験も話して進めていく取材スタイルだから、録音をきくと自分の声もけっこう多い。連載が始まってから生まれた0歳児連れ、または妻もともなっての取材も多く、50男ではきけない「ママ&女性経営者目線」の話で広がりと厚みが出たと思っている。
途中からスティーヴン・キング「恐怖の四季」方式と呼んで導入した、他の回の登場人物が出てくるスタイル。ちょっとくどい感じもあるけど、コネクションを意識させることができたかなと思う。

大川原さんは、神戸酒鬼薔薇事件関連のムックに書いた原稿を読んで当時編集していた「日本教育新聞」で全3シリーズの連載を書かせてくれた付き合いの長い編集者(その連載に関する記事)。今回も一応、こんなネタですがと確認してからの取材だったが、NGは一度もないライターにとって最高の編集者で、おそらく読者からしてももっともうれしいエディターだろう。
「Holiday Project」は大川原さんが、やりたいことをやれる場所として始めたメディア。その中での配信は、うれしい「ストック活用」だ。

大川原さんとは、新たなコンテンツ、たとえばマップやイラストなどを追加してどんなかたちでも書籍化できないかと話している。興味ある方、ぜひ関わってください。

では、次回配信をお楽しみに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の終わりの十冊

2015-09-01 19:55:35 | 読書

上映会のため、自宅で『黒い雨』を探したけど案の定みつからなかったので図書館に行くと改修で休む前の日で、11月4日までになっていたのでフルの10冊借りてしまった。
得した、ってわけでもでもないか、いや、やっぱり得した。
図書館で借りた本は途中から読んで後から目次をみるのがルールで、おかしな話だとも思うがいちばん解放的な読書になる。全部読んで、「これはやっぱり買おう」となることもしばしば。そういう流れが、なんとか「新しい市場」にならないものか。
そうだ、この前、春日部図書館から熊谷に持って来てもらった『新しい市場のつくりかた』を買わなきゃ。図書館はそうとう親切だ。

(from 春日部)

・・・それぞれ目論見があって借りた十冊・・・
他流試合 金子兜太×いとうせいこう
ヘンリー・ソローの暮らし H・S・ソルト (山口晃)
黒い雨 井伏鱒二
地域からつくる 赤坂憲雄・鶴見和子
普通の家族がいちばん怖い 岩村陽子
地域力の再発見 岩佐礼子
埼玉詩集 第15集 埼玉詩人会
内山節著作集 10
花と木のうた 吉野弘
47都道府県・こなもの食文化百科 成瀬宇平


(こんなサービスもあった)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ことば◯みせ◯みち―脱・こうりつ宣言」

2015-05-02 12:32:07 | 読書


昭和三七年に田村隆一が「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」と書いてから、われらの「ことば」は「こうりつ」のために「みせ」をないがしろにしてきた

だけど、それから五十年。人やお金を増やすための「わかりやすさ」ばかりで、からっぽの「こうりつ」にもうあきあきだ。つまらん、つきあいきれん

このあたりで、「ことば」を「みせ」て「みち」の世をひらく、そういう「ことば」の「みせ」の「みち」をひろげたい

だから中山道三宿で、いとおしい「ことば」を思い出そう。
「何もない」のがこうつごう。「産業」と「交通」は、「ことば」で「み」と「せ」が「みち」るがいい
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「こんしゅうはへんしゅう」〜カミュ、柳町、pil

2014-10-13 08:00:39 | 読書

台風はどこだろうの体育の月曜日。今週は週末に向けて、いろいろ編集することになった。

17日(金) 本庄コミュニティ協議会研修会の事例発表
19日(日) 「本庄オープン古ハウス」

17日はこれまでの数年のまとめだし、19日はここしばらくをうまくかたちにすることだ。

そんな朝、昨日読めなかった日曜の毎日新聞を読む。

「大学の国際化」を「世界一の観光都市」である「京都をまるごと大学キャンパスにする試み」で考える山極寿一の「時代の風」を読み、『アラビアのロレンス』に憧れた「アラブ空手の父」岡本秀樹の生涯を記す小倉記者は後でゆっくり読むことにして、「今週の本棚」、石光勝『生誕101年「カミュ」に学ぶ本当の正義』の渡辺保評に引きつけられた。

高校生の頃読んだ窪田訳「きょう、ママンが死んだ」は鮮烈だったし、浪人の時にシネマスクエアとうきゅうでみた柳町の『さらば愛しき大地』は今も邦画ベストフェバレットの一つで、ビスコンティはじめ映画はもちろん、「白熱教室」にも興味がある。おそらく、今、やるべきなのは、そした集積の出力なのではないだろう。なぜか、高校の頃によくきいていたジョン・ライドンの「パブリック・イメージ・リミテッド」というユニット名を思い出した。実は1980年代初期から、それほど変わったことなんてないのかも知れない。

なので「こんしゅうはへんしゅう」。
台風が過ぎると、いい天気とリミテッドで豊かな日々が続きそうであります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

九月最初の日が月曜で大雨というのは悪いものでもない―斎藤環評、蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』

2014-09-01 23:32:30 | 読書

 

九月最初の日が月曜で大雨というのは悪いものでもない、と思いつつなんにもせず、寝床で昨日は朝から出かけたので読めなかった毎日の「今週の本棚」を読んだ。

村岡花子のミミズの童話が受け容れられないことに憤る高畑勲、「下降調の結び(タイニング・フォール)」と妻ゼルダの精神の崩壊、F・コッポラ『ゴッドファーザー』シリーズと『サーガ』を思い起こした作者自身の構想による死後の構成違いの改訂版をオリジナルの方が「はるかにスリリングであり、緊迫感があると思われる」とし、「いとおしい傑作」というフィッツジェラルド『夜はやさし』の井波律子評もよかったが、何といっても「古典」「文学」の深層を掘り下げた斎藤環評、蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』

「小説は決して終わらない」「読後、ごみ箱にそのまま投げ捨てられるような批評」「あまりに凡庸な『地獄の黙示録』のヘリコプターシーン」(すべて引用不正確)といった著者の言葉を三十年あまり、よくわからなくても圧倒されながら、もちろんたまにではあるけれど追いかけてきた。その言葉が何の中でだったか近頃の言語空間で旗色よくない「ポストモダン」の全体にあらためて力を与える確かな論に、〈安心〉したことのある評者によって明かされる。

…構造や文脈を超えたところでストーリーを変化させるのは、著者も言うようなテクストの細部の配置である。この配置のありようにおいて、テクスト的現実が機能する…本書がなしとげたのは、『ボヴァリー夫人』という名を持つ「長編小説」が、その背景に「散文」生誕の「昨日性」ないし「事件性」をはらみつつ、いまだ「文学」との「公式の関係」を結びそびれている「孤児」のような作品であることを説得的に示すことだった…およそ「古典」と目される書物は、いかなる体系にも安住しがたい不安定さをはらみつつ、あらたな批評と解釈によって更新され続けるアーカイブの総体そのもののことではなかったか…

そうだ、「配置」であり、「『文学』との『公式の関係』」であり、「不安定」。

九月最初の日が月曜で大雨というのは悪いものでもない。
さあ、秋だ。どの季節も変わらないけど、本を読もう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ヒロポン、言論、野坂昭如」

2014-08-12 07:03:28 | 読書

早く目ざめたので、忙しかった最近に読めなかった新聞(毎日新聞)をまとめて読んだ。

切り抜きが何枚か。中でもうなったのは、奔放ぶりが気になって愛読している日付野坂昭如の連載「七転び八起き」。「危険ドラッグ」をテーマに戦後間もない頃のヒロポンを振り返り、自らのアルコールはじめ「スマホ」含むさまざまな現代の依存を語りながら、

「ぼくは年寄りにのみ配給制でマリファナを解禁したらどうかと半ば本気で思う」
と切実な提言をし、

「何が良くて何が悪いのか、かつて大日本帝国は若者達にヒロポンを強要した。これはこれで事実である」と警鐘を鳴らして考えさせる。

 かつて「朝まで生テレビ」に口角泡を飛ばしながらよく出ていた頃、高校の同級生Iが、
「野坂昭如みてると『言論』って言葉を思い浮かべちゃうんだよな」
といってたことを思い出した。
「言論」はやはり、決定的な言葉をもう一度「そうじゃない」と問い直すことだろう。

さて、仕事に行こう。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

突発的な出来事性の物語はきっと、静かな生存を保障する手段

2014-07-15 20:19:56 | 読書


月曜朝のリオデジャネイロ対応で早々と寝てしまって読み損ねた夕刊を、暑くなりそうな今朝枕元で取り出して眺めた。

でっかい活字の「心技体ドイツ昇華」はさんざんみているのでいいとして最終面に回り、マゼール死去やらアイコやら12時間飲酒やらをほうとみて9面の「背守り 子どもの魔除け」、モスクワの「地下宮殿」で小さく盛り上がり、麻生の「静かにやろう」発言からナチスの「ワイマール空文化」と憲法裁判所、「護憲派にも責任がある」という三島憲一の特集ワイドを興味深く読み、いよいよ7面に。

BC5世紀の「枢軸時代」「精神革命」と呼ばれる時代に「物質的精算の拡大が最初の限界に直面」すると地球上の各地に「人間なるもの」を意識する「普遍的な倫理」が「“同時多発的”に生成」し、それと正反対の「私利の追求が善」という「(当時としては常識は快適な)議論」を持つ思想が工業化と植民地の18世紀に生成したことから、「倫理というものは、ある時代状況における人間の生存を保障するための究極の“手段”」として「地域多様性」を評価する「地球倫理」を唱える広井良典の「パラダイムシフト」にうなった。
そして、フーコーを念頭に置き『明治の表象空間』から「近代社会の権力構造」を分析し、「警察制度も刑法の体系も日本語の網羅的な記述も『明治日本のナショナリズム形成』に関わったことを示し、「管理」と「システム化」に抗する突発的な『出来事性』の鮮烈さを、一葉の『にごりえ』に読み取ったという松浦寿輝のインタビュー。さらにその下、「ラトビア民謡の父」による「民謡の箪笥」と「写真甲子園」の北海道東川町がつくった絵本『もりはいいところ』の小さな物語を描く伊藤玄二郎の「ブックマーク」と読み進んだ。

この前、BS-TBSだったかな、「あなたは新聞を読みますか」という街頭インタビューをみた。「紙」「活字」「想像力」など、〈護紙派〉とでもいえそうな多くの意見はおもしろくきいたが、私はこの豊かさを「新聞を読む理由」としたい。
突発的な出来事性の物語はきっと、静かな生存を保障する手段なのだ。

特集ワイド
http://mainichi.jp/shimen/news/20140714dde012010013000c.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セリーヌ、レイデイビス、花に鶴見俊輔

2014-04-07 14:58:01 | 読書


セリーヌほどに世を呪う意気地も胆力もないから、せめてレイデイビスくらいにあきれつつのほほんといていようと努めているが、時には地上のすべての成り立ちに悪態のひとつもひっかけたくなる。
だが、目にみえるかたちしかみえないさびしい魂に惑わされていては、世界の悲化に加担することになる。
しばしの旅を道中の花のあわれと、鶴見俊輔の理でうつつを忘れることにした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「先のことはわからない、としか言いようがない」

2014-04-04 03:32:07 | 読書


めったになく苦戦の日々が続くが、一日とばしの風呂に入る前に読んだ毎日新聞「発言」欄、津村記久子の「春から新しく働く人に」がざらざらと疲れきったからだを楽にした。
いくつか引用しよう。

「今まで生きてきて、もっとも不安だった時期というのは、最初の会社に入社した頃だったと思う」…「要するに、びっくりするくらいつまらなかった」…「会社員に向いていないのでないかと悩んだ時期もあったのだが、そこまでひどくなかったということに気付けたのだった」…「だから、この春から新しく働く皆さんには、先のことはわからない、としか言いようがない」…「仕事という、人生で最大の、できればやりたくないものの中に、小さく光るものを見つけたなら、それはもうこっちのものだと言える」…「それこそが光で、おそらく不意に訪れる」

思い出したのは、内田樹におしえてもらったレヴィナスの「遅れ」。さて、続きに入って「こっちのもの」にしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする