小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

「わかることを信じる」ということ~酒井邦嘉『科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか』

2006-08-31 23:05:36 | 読書
夕方はけっこう揺れた今日は読書の番。前回、内田樹+春日武彦両氏で「わかりやすさ」について考えたので、最近読んだ中から酒井邦嘉氏の本です。

…………
酒井氏の著作に触れて驚かされるのは、何よりその「わかり方」によってだ。
私は「わかりやすくわかる」ということを、あまり信じることができない。そのため「わかり方」を語ろうとして、かえってわかりにくくなってしまいがちだ。そんなこともあって、最初に読んだこの若く有望な科学者の著作『言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか』は、美しくデザインされた建築物や見事な創造物である生物の構造のように感じられて新鮮な驚きを感じた。
すべての論理は見事に一貫している。なのにそこに疑問を差し挟む余地がない。普通なら少しずつわかっていくことが、あらかじめわかっているかのような、かつて触れたことがない直線的な論理展開。

この人の「わかり方」、つまり論理は、一般の人のそれとは違ったかたちをしているのだろう。そんな論理で、たとえば、従来は言語を科学に持ち込むことができないと考えられてきたが、チョムスキーの生成文法や新たな脳の分析技術によってそれは可能になったといわれれば、そうだと思うほかない。
その酒井氏が、アインシュタイン、ニュートン、チョムスキー、朝永振一郎といった偉大な先人たちの言葉から、「科学」や「独創性」を語るというのだから期待は大きかった。

そして読んでいくうちに、酒井氏の企みがタイトルやテーマと別のところにあるのではないかと思えてくる。
たとえば第1章の冒頭に置かれるのは、「この世界に関して永遠に不可解なのは、『世界が分かる』ということだ」というアインシュタインの言葉。魅力的な名言の数々でも知られるアインシュタイン以外も膨大な文献からの興味深い言葉がいくつも続き、そして彼らの言葉を借りながら、科学の魅力、社会における科学者の役割、科学者の資質を明らかにしていく。

とにかく、厳選された一つひとつの言葉がおもしろい。一般に「科学者」といわれる人々だけでなく、ヴァイオリン職人、詰将棋、からくり箱など、さまざまな世界のプロの言も科学を語るために集められる。成功するのに必要な「運・鈍・根」、「孤独」の重要さ、「最小性」といった考えも実に刺激的だ。

心地よい知的興奮を楽しみながら読み進めると、「科学」の社会的機能、倫理、表現や教育の大切さなどが、壮大な建築物の柱のようにくっきりしてくる。そしてその中心に立つのは、おそらく著者がもっとも重要と考える「わかる」ということの、すばらしさや不思議さ、また絶対にまがいものを許さない厳しさだろう。

私なども、塾では「わかる」ということの奇妙さに日々たじろいでいる。そのすばらしさを伝えることも難しいが、不思議さ、厳しさを伝えることはもっと難しいことだ。
それは私が本当に「わかる」ということをわかっていないのかも知れないし、単に技術の問題かもしれない。
けれど本書を読んで思うことは、「わかることを信じる」ということの重要さ。それだけでも、無限に広がる大きな世界がぎゅっと詰まったこの小さい本に感謝したい。

(BGMはJ-WAVE。スガシカオがゲストでしたが、ディスコの新曲はリズムの解釈がおもしろいと思う反面、何だか少し恥ずかしい感じも。今回から新企画として、その日に触れて気になったメディアの記事を。まずはこのところの毎日新聞連載、「となりの達人」(http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/tatujin/archive/)。プロというのは気持ちです)

6月27日読了 ブックガーデン上野で購入
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into my summer '06

2006-08-28 16:02:28 | 週間日記
昨日は地区バレー大会による多忙で連続更新ストップ。先週日記です。

21日(月)昼、叔父と外出~電話取材~甲子園・決勝終盤。晩、同級生M君宅へ。先土曜の同窓会の話やゲーム是非論など
22日(火)昼、原稿。夕、蔦屋書店で雑誌2冊と新書2冊~上柴・喜楽でタンメン。夜、久しぶりに湯船に入る
23日(水)出張授業。夜は自宅で早く寝る
24日(木)昼、ずっとほったらかしだった島田雅彦『退廃姉妹』読了。夕、ケーヨーD2で割引だったキャネットを6袋、通常価格のビーンズペレットを2袋購入で「袋事件」発生は憶えてたら後述。東に行ったので夕食は札幌ラーメンが食べたくなりちょっと遠いが140号バイパス沿いちんちん亭に。しかし、行ってみると店跡形もなく衝撃。打ちひしがれながら一回りするも代替店見つからず、市内に帰って東方・長崎ちゃんめん。記憶よりファミレス化が進んだ気もするが、ぎりぎり直前で踏みとどまった感じで意外にうまかった。先週、アンブレラ・イン・ザ・カー紛失のため、雷で少し濡れる
25日(金)昼は快調に働きつつ、夜のWOWOWフジロック放送に備えた初期化のため、ほったらかしだったHDからDVDにコピー。大体移動できたが、いくつかは間に合わずでもそれはそれ。何となく少し飲んでしまい途中からだめ一日に。それでも宮本常一『忘れられた日本人』読了で、これは実に刺激的、忘れ得ない一冊。欧蹴、ホアキン移籍のニュースにやっぱりか
26日(土)市内最愛店の閉店を知る。やむなく南へ向かい川本・美華でラーメン+餃子。夜はロケットマンとともによく働く
27日(日)朝からずっと地区のバレー大会。3位と健闘のほか、こうした行事だとめったに会わない地区民に会えるのが楽しい。夕方から慰労会。数名と2次会にも繰り出す

いよいよ夏も終りが近づいて、涼しい日続きでほっとします。
サッカー仕事中に『世界一な英語名言集』(http://ameblo.jp/eigameigen/)というグッドチョイスと的確なコメントが光るサイトを見つけ、その中でパリス・ヒルトンなる富豪モデルの、she is out of my life のいう発言(8/23)を知りました。よく知らなかったこの人物自身もこの発言も大変興味深いですが、自分の身のまわりを out of my life ということはできるだけ避けたい。この夏にあったすべてのことが in my life に、into my summer '06 にできたら、と思います。
秋近し

(写真は畑にいたら集まってきた、左から暫定名1、ティー、ちょうちょの3名。BGMは秋の初めの曇った午後にぴったりの絶妙なピッキングが心地いいジプシーギターのジャンゴ・ラインハルト、ご機嫌なステファン・グラッペリのヴァイオリンもすばらしいが、この2枚組500円はお買い得。また別のを買って来よう)
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ねこ紹介(2) すすみもの クライフェルト

2006-08-26 11:51:44 | ねこ
快調に7日連続更新。
しばらくカテゴリーとしてはなかった「ねこ」で、1年以上続きなしでほったらかしの「ねこ紹介」のその2です。

さて今回紹介するのは、カロンタン直子五きょうだいで唯一のオス、クライフェルト。すでに1回やつのことを詳しく書いたこと(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/e0e15da9556d22b8b97022c42166b373)もあります。
正式名は「パトラッシュ・クライフェルト」。元オランダ代表FW「パトリック・クライフェルト」と、あの『フランダースの犬』からの合わせ技です。最近のメディアはほぼ「クライファート」に統一されつつありますが、一昔の『Number』風に「クライフェルト」と発音したいところです。

本来、最初の予定通り50音順なら次は「カミーラ」のはず。しかしクライフェルトが割り込んだのは、昨日の晩、やつらしき姿をみたからです。
そう、クライフェルトはほかの四姉妹と違って、昨年の7月にどこかに行ってから1年以上帰って来ません。

「クライフェルト」と名づけたのは、やつがきょうだい一のすすみものだったから。もともと生まれた日にやっていたのがスペインサッカーのクラシコとMLBのNYY:BOSという両伝統の一戦で、クラシコで途中出場ながら起死回生の同点弾を叩き込んだ当時バルセロナのクライフェルトか、好投を見せたペドロ・マルティネスの名前はもらおうと思っていました。ですがオスは1頭だけ。すすみものだけに前者を採用しました。

生まれて以来、テレビ裏を占領していた当時のカロンタン一家の子どもどもも、しばらくするとテレビ台後ろの抜け穴を発見し、ガラスの扉を押し開けて出てくるようになっていました。とくにカロンタンと差しで飲んでいる時ににゃごにゃごと出てくるので、もうちょっとしてからなと元の位置に戻していましたが、ひるまず猛チャージをしかけてきます。そして常にその最前線、FWを務めていたのがクライフェルトでした。
4頭の姉妹を引き連れてとんとんと出てきて、私の前まで来ると「ニョッ」。どんなもんだいとばかりに見上げた嬉しそうな顔は、ずっと頭の中に残っています。そういえば私がPC前にいる時、最初に肩に上ったのもクライフェルトでした。

そんなクライフェルトは、少し経つときょうだい唯一の長毛ねこということが判明。ちなみに、なぜか長毛ねこはすべてからだが柔らかいので、私は「毛長やわらか類」と呼んでいます。とともにクライフェルトは、みるみるうちに巨大化していきました。
ほか四姉妹をなでる時にはいつも、「いいこだなー」といっていましたが、巨体のクライフェルトをなでる時は「でっけーなー」。いつしか犬をなでる時のように左手で支えながら右手でなでるというかたちができあがっていましたが、様子だけは小さい時と変わらず丸い目でじっと見上げて「ニョッ」というのがクライフェルトでした。
それでいて、走る時は太い脚でどっどっど。今にも「ばン」と鳴きそうなので、その頃NHKーBSでやっていたのをみて感激し、フランダースつったら大体オランダだからなと、「パトラッシュ・クライフェルト」となりました。

そんな派手ねこでしたから、訪ねる者どもの間でも一番人気。「でっけなー」とか「こいつほかのと違いますね」とかいいながら、長くて柔らかい毛にさわろうとすると、ずっずっ、と遠ざかるクライフェルト。そのくせ外で会うと、でかいしっぽをぶんぶん振り回しながらすぐに飛んで来て、くりくり黒い目で「ニョッ」といいます。

そんなこんなで1年3ヶ月の間、大きなからだでうろついていたクライフェルトを最後に見たのは去年の7月のある暑い日。屋根の上にいたやつは、「にゃーぉ」とめずらしく長く鳴きました。「何やってんだよ」というと得意のどんなもんだい顔をこちらに向けていましたが、それ以来どこかに行って帰って来ません。
数日経つと心配になり、近所を歩いて探したり、前にやつが潜んでいたAさん宅の藪をのぞいたりしましたが見当たらず。かといって、どこかで死んでいたというわけでもありません。
何しろすすみものですから、知らないところに進まないわけにはいかないのでしょう。

よくきくように、オスねこはどこか旅に出るものが多いようで、ほかにも行方の知れないオスは何頭かいます。内田百の名随筆『ノラや』にはそういう人間の気持ちが見事に描かれていますが、最初はいろいろ探していつ帰ってくるのだろう、何してるのだろうと思いを募らせながら、だんだんと不在に慣れてくる、そういうことをこの2年に何度か繰り返しました。でも、死んでしまったのを知るよりずっといい、そう思う人は少なくないでしょう。

これまでも、庭や近所で同じようにでかくて白と黒のねこを見つけて追跡したことは何度かありますが、いずれもクライフェルトではありません。まったくどこにいるのだろうと思っていると2ヶ月くらい前、同級生M君の家から自転車で帰る途中、でかいしっぽの白黒ねこを近くの運動公園近くで見かけたのです。
誰もいない深夜の公園を追いかけたのはもちろんです。しかしそんなシチュエーションで、人間に捕まるようなねこはいないのももちろんです。しばらくしてあきらめました。
でもなぜか、どこかに今までにいなくなったねこがいそうな気がします。歩いて5分のところに住んでいる弟が近くにのらねこがいるらしいといっていたので、うちを脱出したやつらがコロニーを建設しているかも知れないと橋の下あたりにもいってみましたが、もちろん会えません。

そして昨夜の出かける時、家に一番近い信号を待っていると、巨大な白と黒が脇の農道を田んぼの中に。おおっ、と思って車を回し、降りてあたりを探しましたが見つかるわけはありません。んーっと思って、深夜の帰り道、もう一度そのあたりを車で回ると、1頭のねこの目が光っているのだけ見ました。

そんなわけでなかなか再会できないクライフェルトですが、会えるかも知れないと思えるだけまだいいでしょう。あそこにやつがいるのかも知れないと思うと、何でもないディープ関東平野の片隅の畑道も秘境のように魅力的に映ります。

(写真は04年7月8日の日付ありでクライフェルト2ヶ月の頃。この写真ではわかりにくいですが、茶色も少し混ざっていたのですが、こういうのもオスの三毛なのでしょうか。そのためにコレクターに捕まったのかと心配もしました。BGMは、何となく棚で目についた、元ブラーのギター、グラハム・コクソンの1st "the sky is too high"。久しぶりにきくが、これはなかなかいい。Kluivert is too big. And he is too far.)
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映画的にもっとも甘美な共犯としての“裏切り”~フランソワ・オゾン『ふたりの5つの分かれ路』

2006-08-25 15:54:58 | 映画
夏が帰ったようなの一日の午後、6日連続更新です。
今日は映画の番、ということで、昨年劇場でみた中で未レビューだったこの作品。最新作『ぼくを葬る(おくる)』は、本年度No.1有力なのでその前に。

フランソワ・オゾンに惹きつけられるのは、その精神の怪物のごとき強引人工性とそれで現出される映画的リアル、だからこそ身につまされる奇妙な肉体的な感覚ゆえのこと。私の中で、前者は『クリミナル・ラヴァーズ』の車が去るシーンの物語から隔絶した2人の登場人物の見詰め合い、後者は『海をみる』の歯ブラシのシーンがその典型だ。
映画の世界で「変態」から始まって「感動」を描くに至るという流れは伝統的で、最近知る中ではアルモドバルがそのもっとも正統な継承者だが、オゾンの場合は洗練と素地の奇妙な使い分けがみる者の興味を離さない。私には本作は、彼にあって『8人の女たち』と同じくらいかっちりした“作品”に思えた。

時系列の逆転など本作にとって、ベースでありながらほんのちょっとしたいたずらに過ぎない。その一見変わった形式はオゾンにとって2ストライクノーボールから外に大きく外す遊び球のようなもので、その語り口にこそ本領が発揮される。

私にとって本作一番の驚きは、観客との間の見事な一種のシンコペーション。“カラフル・オゾン”全開の本作でチャプターの終りは、『8人の女たち』のようにパロディでありながらも完璧で夢見るようなミュージカルシーンで宣言されるから、何回かのルフランに観客の側は心地よい身構えを始める。
けれども……。

映画的にもっとも甘美な共犯としての“裏切り”こそ、本作のハイライト。
物語は当然のようにうじうじしたものだから、目耳をふさぐ人は多いだろう。だが私にとってオゾン映画は物語などどうでもいいことで、もうほとんどは忘れてしまっている。憶えているのは、ラストシーンの見事さくらい。

テイストは大違いでも、同じフランス100年前のリアリズム作家の小説群を「人生喜劇」と訳したことは議論の的だ。100年後に生まれたこの映像作家の一連の作品は、喜劇とも悲劇ともいい難い不思議な時間をみる者に味わわせてくれる。
そしてほぼ1年に1本のペースで発表し続けるオゾンにあって、この作品が『ぼくを葬る(おくる)』の前にあったということについて、考えることは少なくない。みる側としては、06年度No.1候補のこの作品についても早く書かねば。

05年9月29日 確か日比谷シャンテ

(BGVはほとんどがMLB、NYY:SEA。がんばってくれランディ・ジョンソン。で、その続きは昨日の記事の影響でレディオヘッド "kid a"。あらためてきくとはやり発見多)
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大声でないつぶやきの肉体性~トム・ヨーク初ソロ "the eraser"

2006-08-24 16:24:21 | 音楽
よし、今日は夕方に5日連続更新です。
そんなわけで「下書き」ファイルの本やCDの記録から引っ張り出して書いていますが、順番には関係なく「書きたいものから」というルールに変更。
今日の「音楽」はもっとも最近に開けたCDです。

現役ロック界でレディオヘッドは特別の存在だ。
毎回新しい要素に挑戦しながら、決してクオリティが落ちない。個人的なベストは90年代ベスト2の一角97年の "ok, computer" だが、たとえば "Amnesiac"の "Life in a glass house"での大胆なジャズ解釈などは、一体何かと舌を巻いた。
そして今回、ヴォーカルでフロントマン、トム・ヨーク初ソロ。スカパーサッカー、プレミアリーグのエンディングにも使われていてきいていたから期待してきいた。

レディオヘッドの一番の魅力がトム・ヨークの歌声にあることは間違いない。サウンドとしては "kid a" でのエレクトロニカ導入の延長にあるといっていいが、バンド名義でない分音の使い方はオーソドックスな印象で、その分だけヨークの曲づくりのうまさが際立った感じがする。
"Pyramid song" を思わせる不器用なリズムのM-1タイトル曲、そしてそれまでまったく使われなかったテーマが響く終盤が、キング・クリムゾンの名曲 "Starless" のテーマ再生部すら思い起こさせるM-2 "Analyse" と続く流れは圧巻だ。
もちろんサウンド上のしかけも十分。特に気になっているのは高音のエレピ音がテンションノートを響かせるM-2で、素人なりに想像すると、フランジャーのような周波数変換をピッチにかけて、不協和音のうねりをつくっているのだろうか。そして不安だが心地のいい3分を過ごした後、唐突に響く半音進行のテーマ。あまりそういうきき方をしないほうだが、この曲は何度も繰り返してきいてしまった。

レディオヘッド名義に比べ、地味なのは確か。
そういえば本当はマッシヴアタックのようなことがしたかったのだが、ギターバンドとして売れてしまったとヨークがいっていたと何かで読んだことがある。一度だけみにいった横浜アリーナでは、思ったよりずっと肉体的だったというのがもっとも強い記憶。本作では、音が肉体的でない分、大声でないつぶやきの肉体性がよく出ているのか。
これからたまにこのヨークがききたくなることはあるだろう。

そういえば、ずっと避けてきたCCCD。結局2枚しか持っていないが、その1枚が前作 "Hail to the Thief"。こういうのは交換に応じてくれるべきと思うのだが。

8月4日初聴 アマゾンで購入
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71:29~『健全な肉体に狂気は宿る』内田樹・春日武彦

2006-08-23 23:41:38 | 読書
よし4日連続更新。この辺でレギュラーに戻り本のレビューです。
といって、8月の下旬に前の年の12月に読んだ本のことを書くというのも何かと思いますが。

実に期待値の大きかった両名の対談は読んでびっくり。
ともに複数読んだことはあるが、その中では内田氏では『先生はえらい』、春日氏では『不幸になりたがる人々』が、どちらもその年のベストといっていいほど印象深い。

内田氏の美点は圧倒的ともいえる明快さ。
たとえば難解さの固まりのように思われるジャック・ラカンをあんなに噛み砕いて語るというのは、あまりに衝撃的だった。「わかる」ということは必ずしも「わかりやすい」ということではない、というのが私の持論である。たとえばヴィトゲンシュタインやハイデガーに、「わかりやすくわかる」ということがあり得ないというような。
しかし内田氏の著書は、そんな素人論議にかんたんに穴を開けてしまう説得力がある。それで「先生」という、奇妙なコミュニケーションを暴いてみせるのだから恐れ入った。「わかりようのわかりやすさ」でいえば、私としては木田元氏にもっとも近いと思える。

一方、春日氏のそれは奇跡的と思えるスタンスの絶妙さ。
真摯な臨床精神医の著作がおもしろいのは当たり前といえば当たり前だが、たとえばこちらも大変勉強になる香山リカ氏が対象と同じ視点で隣に“並ぶ”ように症例を語るに対して、春日氏は一定のスタンスで対象に“向き合い”、常に新鮮に驚いている。
なぜトラに食われたいのか、なぜ木工細工の角度がそうでなければいけないのか、そして狂気のありふれかたという一種の“退屈”にさえ驚くのを読書として体験する時間が、氏の著作の抗しがたい魅力だと思う。“向かい合う”というかたちの日々新たなコミュニケーション。

そんな期待をもって臨んだこの対談。いったいどんなことをいうのだろうという興味は、意外ともいえる読感で打ち破られた。
それは、たとえばEURO2000のイタリア:オランダ戦のように、圧倒的なポゼッションでシュートを打ち続けるオランダのような内田氏と、一瞬のカウンターを狙って相手の動きをみるイタリアのような春日氏の姿である。

もちろん、対談だから編集者のさじ加減は大きい。確か最初の頃は全文の録音起こしがホームページで公開されていた記憶があるが、残念ながら見逃した。
それはどうでも本として読んだ感じからすれば、ワードポゼッションは、内田氏71:春日氏29くらいだ。
そして多くのサッカーの試合が、ほとんどボールを持っていなくても効果的で圧縮された時間を支配したチームが勝利を得る。この対談はサッカーでないから勝負はつかないが、ひとまず効果的ということでは春日氏の方が印象に残った。
しかしそれはサッカーがそうであるように、両氏のコミュニケーションのあり方の違いだろう。なにしろ、一方は哲学者で一方は精神科医だ。

翻って私たちの身近で普通の「対話」はどうだろう。
ワードポゼッションはどうやって決まるのか。そしてそこに何らかの“狙い”はあるのか。ある時はシュートの雨を降らせていた人物が、別の時には厳しいカテナチオをかけていないか。

お二人が話していた内容も、もちろん興味深いものだった。だが、8カ月が経った今思い起こしてみるとワードポゼッションの方が強烈な印象。
ちなみに哲学科出身OB・I君とこの本に関してよく話題になるのは、身体を中心に考えることの多い内田氏が重視していた「からだに響く言葉」です。
そういえば出張先でこの本を買った後、当時京都にいたI君と少し酒を飲んだのだった。

京都タワーの書店で購入。05年12月15日読了

(BGMはまったく関係ない、リッキー・リー・ジョーンズ "pop pop" 。たまにしかきかないけれど「からだに響く声」)
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「鶏犬のこえあい聞こゆ」~平和な時代のクライシス

2006-08-22 23:49:26 | 身のまわり
間に合った、3日連続更新です。
昨日の先週日記で触れた「ATMぴよぴよ事件」。たいしたことではありませんが、忘れないうちに。

事件の発生は先週の水曜日。仕事を頼んでいるOBのI君から「ちょっと旅行に行くので前の分もらえませんか」と電話があり、業界特有の事情からこっちもまだもらってないんだぞと思いつつ彼の労を考えてOK。仕事中に関わらず、7時過ぎて手数料105円取られるのもと、車で2キロのスーパー、ヤオコーATMへ。手間とガソリン代考えれば時間過ぎて行った方がいいと思うが、なぜか時間を過ぎたら105円というのはおかしく感じて。

ATM2台の箱には若い女性の先客。彼女とすれ違い箱に入ってI君用のギャラを引き出すと、隣のマシンからピヨピヨピヨピヨ。実は以前に私も市内ヨーカドーATMで経験がある、出したお金を残していった時の警告音だった。
いつも行列のヨーカドーでは異変に気づいた人も見守るだけだったらしく、後であさひだったかりそなになっていたかに問合せると、確か9000円は自動的に銀行側に戻されたとのこと。ということだから放っておけばよかったわけだが、誰もいないすぐ横でピヨピヨいわれては cannot help handing it。多少は「今ならまだ近くにいるかも知れない」という気もさしたか、気がついた時には福沢諭吉1枚が手の中にある。
おっとこれは、すぐにあの人を見つけないと犯罪者だ。よせばいいことに手を出して追い込まれた私は、夕闇迫る駐車場を見渡す。すぐに出てきた2ボックスには、ちょっと同一人物とは思えぬ中年婦人。うっかり違う人に渡しては犯罪者の上にばかの上塗り。これはヤオコーに入ってしまったのかも知れぬ。そうなったら見つかる可能性は低い。じゃあ、ATM横の電話でりそなにすぐ事情を話すのがベストか。いやひょっとして、このままネコババしてもばれないのではないか、いやいや防犯カメラがあるだろう。
などと思っていると、出口に次の軽自動車。運転していたのはわりと人のよさそうな青年だが、助手席の女性が財布を出して確認している。
彼女が間抜けになって大事な1万円を失うことも私が犯罪者になることもなく、女性は恐縮して何度もお礼をいい、私の側にいる青年も軽く女性のそそっかしさを非難しながら喜んでくれた。
いやいやよかった、晩夏の夕暮れ。

危ないところだったと思いながらの帰り道、多分2000年くらいの夜に遭遇した別の事件を思い出した。
それは塾で当時付属の大学進学のため、中学生が帰った深夜からバイクで来ていたY君の冬場のテストが終わった夜のこと。けっこう苦戦続きのテストだったこともあり、準備が終わってY君を送った解放感もあって大きな気持ちでいた。
すると市内の県道旧BOM前の4車線道路に、なぜか真上からクレーンで吊り上げてそうしたかのように一つのタイヤもアスファルトに着地せず、中央分離帯にシャーシを載せている不思議な白のセドリックY30が。やれやれとんでもないことだと思い、何しろ大きな気持ちだったので車を止めて「どうしました」と運転手に声をかけた。
しかし5秒もしないうち、救済者きどりの愚か者は後悔することに。フジオカタクヤのようなスポーツ刈りにサングラス、酒で真っ赤の男が乗っているあたりまでは予想の範囲内だったが、彼が口にした言葉は私の想像を超えていた。
「いや、実は今、いっしょに住んでいたある人物が私の全財産を持ち逃げしましてね。それで追っかけてきたら、こうなっちゃたんですよ」

でっ。
心の中では、しまった、私が手を貸してもと思ったのは車の状態だけで、そういう同居人とか金銭に関してはちょっと手にあまるのですが、と思いつつ、「ああ、大変ですね。まあ、このままじゃしょうがないでしょうから、あのスタンドまでなら乗せてぎますよ」と後悔に沈みながら提案。フジオカタクヤは、「はーはー」とでかい音を立てながら酒臭い息を吐き出すだけで、通り掛かりの長距離トラックは、「どうしたい、てーっ、大変だなこりゃ」と言い残すだけの賢明な行動。
トドのように動かないフジオカタクヤと飛行機になりたいかのようにタイヤを浮かせたY30を前に途方に暮れていると、北方から回転灯だけ回しながら白と黒のツートンカラーが。こんなに制服が頼もしく思えたこともそれまでなかった。「どうしました」の声に「いや、通りがかったらこの人が……じゃ、よろしくお願いします」といって、一目散に逃げ帰った役立たずのあほレスキュー。

人生、思わぬところにクライシスが。これがヒッチコックの映画なら、少なくとも3日は家に帰れなかったろう。

今夜はこのところご無沙汰だった塾で3日分たまった新聞でゆったり過ごしたが、今日の毎日夕刊内『ねこ新聞』の紀田順一郎氏のエッセイ『桃源郷のねこ』から中国古典の孫引き。

「平和な暮らしを『鶏犬のこえあい聞こゆ』という一節に凝縮したあたりが、私のような世代の人間には印象的である」

それからねこ好きの作家は、そこに鶏と犬でねこが書かれていないことから始め、萩原朔太郎、20世紀最初英国の幻想作家からの引用で見事なエッセイは進む。

こうやって適当に暮らしていけるのも「鶏犬のこえあい聞こゆ」世の中だから。たとえ硬直した思考呼ばわりされても少数派になっても、「国家の尊厳」より「こころの問題」より、「平和」を大事と思いたい。

(写真はピヨピヨの現場を先ほど撮影。BGMはJ-WAVEで、先ほどクラムボンか原田ユキコさんの別ユニットかで、この人の平和な感じは好きだ。その前には大ブームというスウェーデンかどこかの何とかいうグループ。のまのまとか、こういう曲が流行るのはけっこう平和でいい。今その原田さんの話で20歳の頃東京に来て、緒方拳を見てかっこよくて鼻血が出そうだったと。平和だ)
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からだも頭も もう溶けなくていいやと一息 虫の声

2006-08-21 18:18:05 | 週間日記
今回は月曜更新で嬉しい先週日記。

14日(月)週末同窓会の打ち合わせということでM君、Nさんと西島・串やに。塾OB飲み会もありで送ってもらいがてら早く到着したI君、M君ついでに少し参戦。散会後、帰ってからさらにOB6人と遅くまで。つまりやはり大飲み
15日(火)起きた時はそれほどでもなかったが、仕事しているうちに苦しくなり倒れる。飲んで後必ずこれではまずい
16日(水)起きてからずっと仕事して、途中ヤオコーに行きATMぴよぴよ事件(憶えてたら後日)、19時頃仕事「情報ビジネス」終了。晩、新装開店の東方・くるまやで味噌ラーメン+ライス。内容に変化はないがこういう札幌スタイルはもはや業界の保守にあたり、味はファミレス度を増している。今日は授業なくも仕事手伝ってもらっているOB・I君に賃金を支払うため塾入りし、仕事・業界の話、読書の話などしてここで眠る
17日(木)朝5時頃に起きて働き、ねこども恋しくなり自宅に戻ってさらに仕事で大雷の夕刻、かれこれ3年かけての大仕事から離脱できそうな入魂の校正完了。今回はなぜか恒例の『アキレス』鳴らさず、早く風呂に入ってねことレバーでも食って阪神でもみようとするが、こんな時こそのぐずぐずで帰ったら阪神戦はもう負けそう、PCつけて近くのJ&Bに手が伸びると、少ししてよく酔いそのまま朝までねこども知らぬ間のレバーお預け
18日(金)時間ができたので、胃痛をおして深谷シネマで『砂の器』。なるほどこういう作品だったか、帰ってから父親に昭和初期の巡査の白の制服について質問。夕食は上柴・まいどやのパン。すると中2M君母Hさんからもパンのさし入れあり。その後やはり気持ち悪さぶり返し、朝まで寝てしまう
19日(土)午後からよく撮影の仕事するホテルにて中学校同窓会で大いに盛況。2次会はカラオケでやはり懐かしいナンバーだらけ。さすがに開始から8時間後の3次会では女子全員引き上げ、七人の侍が上柴の名前忘れた居酒屋で2時間
20日(日)写真担当として前日の写真ネットへのアップ作業。使ったのは初めての Lumix Club というのはすぐれたサービスで、有料化を思いとどまった松下はさすがと感心。あまり気が乗らなかった競馬ははしにもぼうにもかからず、夕方から地区バレーの練習に出かけ、めったにしない運動に途中吐きそうな気になる。帰って風呂楽しみにするも、PC前でぐだぐだしてたらそのまま寝て朝まで起きず

例年にない盛り上りの高校野球。しかし上記のような有様で、大逆転も15回引き分けもニュースでのみ。今日電話取材で相手と話ながら、8~9回だけ専念の観戦で、早実・斎藤のスライダーも初めてちゃんとみました。
そんなこんなのバレー練習から帰った昨夜、腕痛えなと思いつつPC前に座ると、
からだも頭も もう溶けなくていいやと一息 虫の声

(写真は虫が見えるのかそうでないか庭奥地に切り込むやつら、春生まれ暫定名やせ茶も加わって。BGMはポール・ウェラー "Catch-flame"。キャリアに残るライブ名盤で、タイトルはどんな意味だろうと思っていたが、さっき出てきた you do something to me の歌詞の一部と漸く気づき、さらにあわてて、consult the net-dictionary。そうか、いわゆる「フレーム」は「r」だった)
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映画にとっての「泣ける」

2006-08-20 16:35:56 | 映画
ちょっと前、以前に「日本語の歌詞」(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/9137d88bec032434d17bfd5a4619429d)の件があった高校の同級生I君から、「泣ける映画5本あげてみてくれ」とメール。忙しかったので「後で」と返信するもさらに要求があったので合間に次の文を書いて送りました。
一部加筆。

………………
“泣ける”というと、どうしても日本映画が多くなる。
特にヨーロッパ映画はどんなに好きでも“驚き”が大きく、完璧さに打ちのめされるばかりの映画時間になることが多いのだ。

というわけで、日本映画からまず3本。

1)『二十四の瞳』(1954)
子ども、戦争、貧乏のシンフォニー。
泣けて泣けてしかたがないのは、金毘羅さまのうどんやでのまっちゃんの話。小石先生を子どもたちが迎えに行くシーンもどうしようもなくいい。
西部邁が「はっきりいおう、私は貧乏が好きなのだ」といっているが、どうしようもない貧しさはどうしてこんなに美しいのか。
黒澤の『赤ひげ』も、あの少年のエピソードがもっとも好きだ。黒澤なら『生きる』も。
しかしこういった表現には「時代」が絶対条件らしく、黒木瞳版は未観だが、田中裕子をもってしてまったく描けなかったというのがそれを物語る。

2)『誰も知らない』
子ども、貧乏、そしてこれも“戦争”かも知れない。
においたつようなリアリティと、背筋の立った姿勢が美しい。
当時劇場で3回みた。

3『愛と死を見つめて』
このような単なる“病気もの”がこれほどまで心に迫るのはなぜか。
リアルストーリーだから、というのは多分合っていない。おそらく、“時代”がその答えではないか。
「私に健康な日を三日下さい。最初の一日は……」

続いて思いついたのは2本のモノクロ米映画。

4)『酒とバラの日々』
このジャック・レモンが一番。
墜ちていく妻に「あなたも……といわれたシーンの迫力には泣いた。
ともに墜ちていく、だめになっていくことの、抗しがたい幸福の味。

5)『素晴らしき哉、人生』
希望、連帯、幸福に向けての闘争。
『二十四の瞳』と同じく、こうした価値観は普遍であって否定されてはいけない。

と、あまりひねりのない5本はしかたないところ。
迷ったのは「何を」といわれそうな『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』、ニューシネマ世代では『カッコ―の巣の上で』、原作の力が強いが『ガープの世界』、ストレートだがこれも忘れられない『ライトスタッフ』、リアルということでは『こわれゆく女』、賛否激しいが爆発的な『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、フランスから1本、“正義”について考えて泣けた『野生の少年』、英国から映画のつくりに泣けた『マイ・ネーム・イズ・ジョー』も
………………
といっても、例えば生涯ベスト1~2、『気狂いピエロ』や『ゴッドファーザーシリーズ』のように、完璧なカット、完璧な音声が続く映画は、物語がどうこういうよりカットだけで泣けるもの。憂鬱なストリングスに乗って、スーツケースを頭に載せたアンナ・カリーナとベルモンドが川を渡るシーン、ニーノ・ロータの調べの上をパチーノからデニーロにオーバーラップするシーン。
映画にとっての「泣ける」。私はやはり物語からは遠いところにこそみたい。

(BGMはその『気狂いピエロ』のサントラ。作者アントワーヌ・デュアメルはよく知りませんが、この中の数曲は最初にみた時から20年以上経った今まで、何度頭の中に鳴り響いたことか)
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ずっと不思議に思っていたねこにとっての台風や雷が、どういうものかがわかればいい

2006-08-17 21:37:52 | 週間日記
いつも間にやら木曜。またも遅くなっての先週日記です。

7日(月)よく働き、晩は同級生M君宅へ。NHK-BS怪獣特集で盛り上る
8日(火)マンガ学校に通うOBのM君が来て、ともにプロットを考える。よしとイマジネーションのため、早川義夫きかす
9日(水)晩は出張授業。深夜は自宅で仕事しようとするが、やはりねこと酒に勝てず早々自滅
10日(木)一日よく働く。夕、上柴・正田庵で大もりそば
11日(金)夕食時間なく上柴・まいどやでパン3つ。モデルチェンジのごぼうサラダパン、この引き締まり方現在のパン界では precious。塾で中2M君とちょっと将棋も。深夜NHK-FM渋谷陽一+ザゼンボーイズ向井のレッド・ツェッペリン特番を布教のためあちこちに告知し、これはいてもたってもいられんと発泡酒を買って酔って、かなり寝てからこれはまずいと朝仕事
12日(土)午前資料探しと買い物。午後、同級生M君に誘われ、夫妻と深谷シネマで『ホテル・ルワンダ』、ずしん。帰りに散髪で美容師Iさんと花火、隣町高校のコールドスプレー爆発、ゲータレードの話など。夕、籠原・福龍大盛味噌ラーメンで満腹、ひと寝入りしてから仕事
13日(日)買い物して帰り、さらに仕事。午後、競馬もつけるも、初出走PO馬アーバニティ、レース中に骨折。馬券も当らず散々。だめな一日だったが、なかでも母ねこに忘れられてたのを救出してほかの母ねこにお乳飲ませようとした子ねこ1頭死んでしまったのが一番つらい

もう今週がずいぶん進んでいるのに何かあまり記憶なく、毎週決まりの仕事や競馬などがあるともう1週間かと驚入しばしば。
さらに記憶がない今週の日記も今はまだ白紙で、何か食べたかから始めなければ。
もう木曜だから時間は十分に過ぎていて、しかもお盆なので少しはバラエティライズ。それでもあまり記憶はなく、出来事がぱっと見ただけで色とりどりということがわかるだけのダイヤモンドゲームのコマのように屹立しているだけで脳に刻まれている感じ。
いよいよ脳のねこ化かもと危惧しつつ、それならわからないことが多くなると同時に人間にはわからないこともわかるようになるだろうと思うフレキシビリティを身に着けられれば。
たとえば、ずっと不思議に思っていたねこにとっての台風や雷が、どういうものかがわかればいい

(写真は昨日、暑い中従弟の車下にひそむキャサリンとカミーラ。鉄は比熱が低くて暑そうだが。本日はやらねばと思っていた仕事急がなくていいと判明による在宅で、阪神:太洋楽しみだったが、テレビつけてぼろぼろでとぽん。大阪ドームには背を向け、BGMは『ホテル・ルワンダ』がらみのアフリカもの、ロクア・カンザ toyebi te。他のアフリカ勢に比べ、思いのほかのスウィートさが魅力と思う。どこの国だったろうと思ったらコンゴ。アフリカの地図、やはりよくわからず)
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日曜札幌4Rアーバニティ登場~ロケットマン、“ぜいたくな不安”とドレイク方程式

2006-08-13 04:11:19 | スポーツ
本日は夕方シャワー~ラーメン満腹で花火サウンド聞きながらよく寝、目下めったにないくっきり状態。
仕事の合間にまず、今年度のPO馬アーバニティ出走のことです。
POGは「ペーパーオーナーゲーム」。「自分の馬(PO馬)」を決めてその馬が走って賞金を得ると、ポイントが加算されるゲームです。
仕事の関係であるグループのPOGに参加してこれが3シーズン目ですが、1年目はほぼゼロ、2年目は下位に低迷しました。
今年の指名馬は以下の通り。

個人順位 馬名  性     父         母      厩舎
1 エアシャムス・牡(ダンスインザダーク×エアデジャヴー)東・伊藤正
2 ダイワディライト・牡( アフリート×ロンドンブリッジ)東・二ノ宮
4 エンプレスティアラ・牝(クロフネ×ゴールドティアラ)西・松田国
5 アーバニティ・牡(マンハッタンカフェ×レガシーオブストレングス)西・角居
10 馬名未定・牝(フレンチデピュティ×エイシンサンサン)厩舎未定
14 馬名未定・牡(タニノギムレット×プライムステージ)厩舎未定
15 ユキノシクラメン・牝(アドマイヤベガ×シークレットローズ)西・須貝
16 プロミネント・牝(タイキシャトル×プロモーション)東・和田
18 クランエンブレム・牡(ウォーエンブレム×アズサユミ)東・手塚
17 馬名未定・牡(カリズマティック×スカラシップ)厩舎未定

18人いて18位までで決着するとは、ほかの人が選ばないような、つまり勝てない馬を選んでいるのかも知れません。どうしても好きだった、前に世話になった馬の血統を選んでしまうのでしかたないところでしょう。
ひとまず明日出るアーバニティは、好きだったレガシーオブゼルダの弟。札幌1800の新馬戦はジャングルポケットなどを輩出した出世レースで強力なライバルも多いですが、2~3番人気で出走できそうです。

と、競馬に興味のない人には、何のことやらわからない話で恐縮なのでもう一つ。
私は J-WAVE のヘビーリスナーですが、最近気に入っているのがちょうど今やっているロケットマンというやつです。
ずーっと騒いでいるのがおもしろく、何だこいつはと気に入っていたユウ・ザ・ロック、そして“女ユウ・ザ・ロック”と呼んでいた竹内由美子、で正しいか、同様。騒々しさが魅力で、そこに「ジダンの頭突きを笑ってるやつ」を「クラスの合唱」で斜に構えてるやつと同じとみなし糾弾するという真摯さが興味深いと思っていました。80、90年代のいいとこどりの感じの音楽も十分楽しめます。
それでこの間、マンガのプロットのヒントをとききに来たOB・M君に、前にロケットマンにリスナーから届いた、「クラスのマドンナと親の再婚で同じ屋根の下で暮らすことになり、そこから愛が芽生えるというストーリーを出版社にどうですかというすばらしい妄想」の話をしていたのですが、先ほど調べてみたら、ふかわりょうとピチカートファイヴ・小西との組み合わせだそうです。
バラエティをみることから遠ざかって久しい私は、ふかわりょうというのは名前しか知りません。早速、前述M君にメールでおもしろいのかときくと、「すげぇつまんねえヤツですよ」との返答。ふむふむ、では一度テレビでもみてやろうかと思ったものの、そうやって誰かの出るテレビを、それが出演するまで待つのが最近はすごく苦痛で、いつもスポーツニュースで苦しんでいることだし、そういうのをすぐネットでみられるようになるのはいつだろう、などと考えて、おそらくテレビでふかわりょうをみるまでに2、3年はかかりそうだと思いました。
そこで今日のロケットマン。UFOを信じるかという古典的な議論でしたが、途中、「おれ、すごくアイディアとか出るこれは違うっていう時があって、そういう時、地球人の領域を超えてるんじゃないか、ホントは宇宙人じゃないかとと不安になることがあって、まあ“ぜいたくな不安”だけど」というのがきいていて嬉しくなりました。
番組は今終わったところですが、来週は「徹底討論。そば対うどん」だそうで、これは私も長年ひとにきいてきたテーマであり、ちょうど昨日中2M君にもきいたところ。よし来週はメールでも送ってみるかなどと考え、書こうと思っていたすばらしい宇宙人科学本『ファーストコンタクト 地球外知性体と出会う日』金子隆一著で知った「ドレイク方程式」についてはまた。ふかわりょうをテレビでみるよりは早いと思います。なお、私は「6:4でうどん」。

(写真はアーバニティ。BGMはそのロケットマンで、エンディングの多分山下達郎『ダウンタウン』のサンプリング、途中「大好きな曲」という誰かのヴァージョンのE・ガーナー作品『ミスティ』、「いっぱいやっている人はいますがこういうのもいいですね」というオスカー・ピーターソン版A・C・ジョビン『WAVE』など、普通の音楽番組としても一流。20歳頃きいて苦手な感じがしたピーターソンも、アナログを探してきき直そうか、小曽根真も絶賛だしいまきくと違うかもと、こういった番組をきくと、「自分で選んだのではない曲」をきくラジオの存在をありがたく思います。そうこの文字を書いている間も、エヴリシング・バト・ザ・ガールからスティングの見事な接続。両方CDで持ってますが、こうやってはきけません。カテゴリ、わからなくなりましたが、競馬から始まったので「スポーツ」に)
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からだが溶ける一日が身も凍る一日と同じ24時間という、世界の完璧な乱暴さ

2006-08-10 11:04:17 | 週間日記
時間なく木曜朝に先週日記です。

31日(月)件のジャック・パーセル、世間デビューは夕の熊谷別府・のび太でカレーうどん=形態興味深い
1日(火)夕、豊里・永来もやしそば=安定
2日(水)塾でビール箱でいただく。ありがたい。数独にもトライ
3日(木)競馬関係仕事の集いで新宿から新大久保で焼肉+チゲ鍋。初めて会う人もいて楽しい晩。4人いて、埼玉のほか、北海道、大阪、島根と出身ブロックが全員違うのもめずらしい。食では、インスタントラーメンをそのまま鍋に入れるというワイルドな発想が新鮮。帰還最終で
4日(金)起きて気分まあまあ、しかしリフレッシュのためにシャワーで勢いづいて発泡酒に走ると気持ち悪くなり、何とかそば食べたら嘔吐。最近は吐くのもめずらしくなくなってきたが、そばと製作・高柳商店に申し訳ない。thom york のソロ"the eraser"初聴。電子音が涼しい
5日(土)復活し夕、今年は土曜の丑が二度あるときき、たまにはいいかと上柴・うな平で一番安いうな重。まずくはないが、果たして1200円出すほどか。食べ物には「記憶」が重要で、得意分野ラーメン以外も天ぷら、とんかつなどハード・フォー・スタマック食含め、部分的ではあるが42年の人生で基準になるものは身につけてきたと思えど、それがうなぎに関してはないと知る。大学時代に国分寺で食べた当時600円ほどの「うな太郎」くらいではよくないと思っても、食べ物は何もうなぎだけじゃないので、いまさら都内名の知れたうなぎ屋に行こうとは思わず、それはつまりうなぎという食品が“自分にとってのエリック・クラプトン”(そのうち解説)なのだと思い至り、といってもまあスーパーでウナギ買って喜ぶほどおちぶれちゃいねえぜ、と奇怪な納得。なお、競馬は当らずで、ウナギ・クラプトンには関係なし
6日(日)競馬だめ。夕、東方・久兵衛でカレーうどん=2日後には思い出せない一杯

暑くならぬとぶつぶついってても、ほんとに暑くなった途端、ひえー、かんべんしてくれー、暑くなくっていい~と、情けなく嘆き、かと思って外に出ると、秋のように水蒸気量の少なそうな空。今ぱぱっとグーグルで検索すると、8日は立秋でした。
相変わらず仕事つまりの毎日ですが、先週はねこの死に会わなかったので一息。こんなからだが溶ける一日が身も凍る一日と同じ24時間という、世界の完璧な乱暴さは。

(写真は台風明けの庭にいたティーとちょうちょ。長毛ちょうちょはそこらにいると、派手で美しいねこですが写真に撮るといつもこわい。BGMは、暑い日にはボサノヴァで、傑作シリーズから red hot on verve 。これはすばらしいコンピレーションだ。後ろにはMLB、NYY:CHW。サッカーがないのでちょこちょこ野球はみるが、新聞ばかりだった斎藤隆を久しぶりにみて、あんなスライダーは横浜時代はみたことなかったと驚。本日井口に打たれる7回までノーヒッターの、自分と同月生まれR・ジョンソンも含め、アスリートの肉体また謎多し)
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"fields of green" with lots of cats

2006-08-01 16:27:32 | 週間日記
いよいよ8月、先週日記です。

24日(月)ずっと仕事。前夜の天ぷらで飲み過ぎ、アルコールレス
25日(火)同級生M君宅へ。宗教観、食品、楳図かずおなどの話で26時頃まで
26日(水)塾出張授業。夏休みの中学生生活の話興味深い
27日(木)塾にまずバイト頼んでいるOBのI君が来て、就職、読書の話など。I君帰り、レッチリファンのOB・R君とメールでフジロック情報交換。あきらめるのが一番と、きっと雨が降るだろうと結論。原稿力尽き寝ていた26時頃、俳優で食っていこうと頑張るOBのK君が前を通ったからと。地元に帰って通うという戦略でそれはまた好感
28日(金)塾後、息子M君を迎えに来た同級生Hさんと来月の同窓会の話など
29日(土)2日前に右目が赤くなり、涙も出るので20年ぶりくらいに眼科に。最近、十年単位ぶりの出来事が多く、人間が“成り”になった感じがする。はやり目の何とかウィルスだろうが検査では出ず、でも多分そうだからその方向で薬をつけてください、というわからぬ診断。しかし目玉とはいえ人間のからだの一部。そう簡単にいかない方が正しいようにも。あまり仕事進まず、競馬も当らず、だめな1日
30日(日)競馬、場名間違いで8千円台買い損ねるなど、的中1Rでだめ。夕、レコーダーのHD編集不可に。2年半使って3度目だから、DVD-Rに移せばいいと高をくくっていても面倒なのは面倒。晩はOGのEさん、Jさんと、同級生Hさん推薦の上柴・山で飲み、日々の生活、旅行、ファッションなどいろいろ話す。店はなかなかで、OG2名もHさんに感謝

やっと明けた梅雨。昨日月曜は、梅雨が明けたらと思って買ったままにした15年ぶりのキャンパス靴ジャック・パーセルを出し、水をかけて干し夕方初履。でもなぜか、以前以上に涼しい不思議な夏は続いています。
最近は何頭かねこが死んでしまいました。小さいやつらは夏が大変なのでわからないでもないですが、1歳になるオスのツメシロがげた箱の中で死んでいたのには驚きました。原因はわかりません。
しかしそのすぐそばでカミーラがまたも出産。生きていないねこにできるのは思うことだけですが、なでたりできる生きているねこは大事にしないといけません。

(写真はまだ曇天下の庭で迫り来る、左からキャサリン、オディールの姉妹と姪のヒダリ。BGMは目についたスティングのベスト。この間引退試合があったアーセナルのベルカンプに似ている顔は多いけれど、一番はこの英国のエコロジカル・ポップスターか。M2は代名詞をねこに置き換えられる "if you love somebody set them free"。M3 "fields of gold" は、ソルトレークで金が獲れなかったミッシェル・クワン、エキジビションでの優雅なスパイラルを思い出します。ねこどもが遊ぶ前の畑は父親よく草退治するが、涼しくても夏に生い繁り、さながら "fields of green" 。この間、「忙しくて悪いな、今度草刈りやるよ」といったきりですまぬと思えど)
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