小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

『ナチュラル・ウーマン』×3(11/10~16)

2008-11-20 02:53:40 | 週間日記

朝陽に「ひかり…」 11/13

おお、もう水曜深夜。先週日記です。

●11月
10日(月)別府・くまちゃんラーメン~うれしい夜のさんま32号
11日(火)昼、Yさんにいただいた植物を鉢に植える~塾~同級生M君夫妻の誘いで原郷にできた焼き鳥・雷文~帰って何となくジャガイモ塩スパ+スローインのサッカーがショッキングだったストーク:アーセナル
12日(水)昼、がんがん働く~塾~祖母の命日で姉の息子と墓参り with さつまいもとバナナ
13日(木)Yさんに藻もいただいたので池の話をしていたら父親が泥をすくって水を入れていた。ありがたい~昼からさんま33号~タイムリミット迫った片付けのため旧塾へ。その前に上野台・喜楽でタンメン~少し寝てしまうが、がんばって作業少し
14日(金)県民の日で休み高1M君予約し、朝から片付けと思ったら急ぎの仕事が入り昼まで~片付けは軽トラで2回。机など大物に続き、本やビデオ。多分10年くらいたまったビールジャイアントビンの小銭はM君の報酬の一部となり、その後、M君が数えたら4千円ほどらしい~夕食は別府・のび太でかき揚げうどんはM君も感動~最近なぜか予約した番組が録画できず、レコーダーのHDが書き込み不能になっていると判明。4年使用で3度目の事態。サッカー、映画はDVDに直接録るとして、DVDに移してない部分のコピーをせねば
15日(土)諸事情により昼のさんま34号~馬券買ったら関西メイン、1-3-5人気で1万1290円的中。こういう当たりもないと回収率が下がる~東方・長崎ちゃんめん食べて片づけに出動~やる気失い寝る~Nack5・富沢一誠の番組で目覚め、出てた「おっさん」というバンドはおもしろかった。次に始まったトルコを紹介する番組ききながら少し作業~しばし熱中するが、こりゃ、明日にしようと日刊スポーツ買って帰宅
16日(日)競馬はこの日も5千円が当たるが、終わってみたら土曜の入金8000円→振込8010円~夕、出かけようとしたら、なぜか最近庭に来る付近ねこ暫定名東の子さびが母屋にいた。父親が帰ると文句を言うので協調的退出を依頼するがやつが非協力的なため、右手に負傷を追いつつミッション遂行~約束の高1M君と、今回引退が決定したOB・OGらには懐かしいかも知れぬお疲れさまのものどもを翌日のパティオ;市の衛生センターにある謎の室内プール:行きのために搭載~東方・長崎ちゃんめんで本日は味噌ちゃんめん~帰って疲れ果て少し仮眠~起きて傷だらけの夜さんまは35号+1年で一番重要なリーグ戦であるアーセナル:マンUはHDトラブルのため前半7分見逃すも大健闘に満足。しかし60分で疲れ果てて眠る

【カウンター08】
ラーメン4/95.5 他外食1/38.5 外飲み1/46 さんま4/35

野球と映画の週から一変。片づけなどで動き回りました。
先週の「後編」を書きたいのですが、すみません、時間がないのでまたも順延です。
Mixiでキャロル・キングの話をよくきいたのでさっききいていて、ちょうど週間日記を整理し終わった時にかかっていたのが (You Make Me Feel Like) A NATURAL WOMAN で、何となくずいぶん前に読んだ松浦理英子を思い出しました。
何ともすごい作家、松浦理英子は、実は『親指Pの修業時代』までは全部読んだのでどう考えてもファンです。とんでもない話が想像を絶する語り口で展開するのであっけにとられますが、読み始めるとなんだなんだと逃げられないで次を読んでしまう感じは、ポランスキーの名作『赤い航路』のヒュー・グラントのような気分でした。
それで、本を見つけるのは面倒なので検索すると、松浦『ナチュラル・ウーマン』はアレサ・フランクリンの方らしいと知って驚き。記憶なんていい加減なものです。どちらかというと作曲者キャロル・キングの方がぴったり来る気がして、これも収録のベストがどっかにありますが探さず検索できいて、やっぱりだなと……。
などと、あれこれつながっていけるのは、音楽や本や映画がつながっているからで、少し前回の続きになりました。そしてさらに、そういえばキャロル・キングの You've got a friend、伊藤比呂美の訳で昨年週間日記付録を書いたなと……。

 夜長く、風強い。月半月、ねこごろごろ

・・・
キャロル・キング'71:http://jp.youtube.com/watch?v=zT4qUIf59d0
アレサ・フランクリン'68:http://jp.youtube.com/watch?v=ouQ3HeluFV4&feature=related
07年5月15日「死にたくなるくらい暗い夜だって、明るくしてやる」:http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/cdfa8fa1f9a5968bb0637ef76ab29ca9

(BGMはキャロル・キングから、さっきまでNHKFMライブビート12日に録音の anonymass という人々。『君に胸きゅん。』なんかもやってました)

・・・

「垂直と平行」 11/11

かんたんだけどおいしくつくるのはなかなか難しいジャガイモ塩スパ 11/11

「青い△、白いT」 11/13

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「映画:野球シリーズ(前編)」(11/03~09)

2008-11-13 14:53:44 | 週間日記
好評につき回転シリーズは「回転映え」しそうな光量と色を選びました。 11/05


木曜になりました。先週日記です。

3日(月)連休最終日は時間あり、伊勢崎MOVIXの群馬映画祭に。群馬ロケ作品ばかりの特集500円均一で『リンダリンダリンダ』と『アイデン&ティティ』。『ザ・コミットメンツ』『台風クラブ』を思い出す前者はとくによかった。同時に「日本文化」についても考える。前後は出店ラッシュの伊勢崎ラーメンではさみ、Before:よく行く風っ子大将で雷でなく味噌ラーメン、After:8月開店という五郎蔵~帰り、ブラジル商店らしき「伊勢崎ショッピングセンター」というのを見つけて入店~さんま27号
4日(火)携帯購入前に何となく、たまにはファミレスで安いと評判のランチでもと思い立ちガストで日替ハンバーグは490円でもこれは高いぞ~ついに携帯3代目「820P」とやらの「赤」購入~クリーニング店に2千6百円も払う~塾で中1に携帯見せる
5日(水)前週録画チェルシー:リバプール~塾中3。速水もこみちを「こもみち」、『銀魂』を「ぎんだま」といたらやつら笑う=さんま28号
6日(木)時間あり、深谷シネマでやってた80年代特集で500円『遠雷』。数回みているが映画館では初めて。いやあ、やっぱりいい。その前後、29日の桐生あがた森魚ライブのフライヤー配布3件と、10月結婚OB・S君のCD-Rをやつのアパート、ポストに投函~籠原・湯気屋で醤油ラーメン~帰って日本シリーズ~姉の息子が来て携帯を見せ、なんか開きにくいんだよな、といったら、ボタンがあんだといい、やつ「やばいんじゃない」。しかし、こんな子どもだましみたいなことできるか、と以降も両手で開けてる~さんま29号
7日(金)夕方、妻沼のNi君弟子のNaさん登場。教材買いに行ったついでに橋を渡り、気になっていた太田フレックス高校を見学。教育の未来像をみる思いで感銘~尾島・松よしで味噌ラーメン~さんま30号
8日(土)Mixi経由Tさんから植物類届く。ありがとうございます~競馬~買い物~今年最初のにぼうと製作~日本シリーズ~少し寝て、調べたら23:30の回があったので映画をみる決意~出る前にみたNHK-BS「日めくりタイムトラベル昭和54年」は、陸サーファー、口裂け女、ガンダム、銀河鉄道999などとおもしろかった~太田イオンシネマ『ブリーン家の姉妹』~帰ってさんま31号
9日(日)昼過ぎ、12日命日の祖母の墓参りにおばども来、干柿にすると採り入れ。一番下のおば、PC「カナ入力」が戻らぬと相談されもちろんすぐ解決~競馬当たらず~何となくカレー製作~日本シリーズ

【カウンター08】はここまでまとめて
ラーメン4/91.5 他外食1/37.5 さんま5/31 映画4/19

従来、だいたい最初に塾でストーブを使うのが日本シリーズの夜でした。今年は環境の変化で、この週の水曜5日が最初です。

映画館で4本はうれしい、野球は日本シリーズをよくみた、『リンダリンダリンダ』は上記2本を思い出させるすばらしい作品だったし、「ベスト90」に入れている『遠雷』を映画館でみられたのはうれしかった、あまり期待してなかった日本シリーズは、よく知らなかった両軍若手が持ち味を発揮したし、姉の息子とインタビューを見てて、「うーん、なんか原見てると、若く見えるってことはちっともいいことじゃねえような気がすんな。こうやって全然いうことに重みがないってのはどうなんかな」といったら姉の息子がげらげら笑ったり、何か計算されつくしたように渡辺監督の向かって左45度で大げさなアクションを展開するデーブ大久保など、ベンチ陣も実によかった、そして、大宮東から阪神の平尾ほか、鈴木、片岡、中村、岸ら、よくわかってなかったいい選手を知ったのがうれしかった。
というわけで映画と野球をよくみたなと思ったのだけれど、ここでよく考えていることを思ったので今回の付録に。いささか乱暴と思える思考実験です。

・・・

毎日何が楽しみで生きているかときかれれば、ひとまず「はい、アート;or カルチャー:とスポーツです」と応えるだろう。どちらも、どちらかというと自分でやらなくてもいい。それよりほかの人のやってるのをみたりきいたり読んだりの方が欠かせない。
それで、ここが乱暴なのだけれど、「じゃあ、お前はどれが一番好きなんだ、これからは一つしか楽しめない」としたらとたまに考える。正解は決まっている。「そんなの選べない。だってどれも大事だから」。けれども、「そうはいかん。税金の関係で選ばなきゃならなくなったんだ」とかいわれたらどうするか。実はずいぶん前から答えはできていて、けっこうこれは変わらないことなのかも知れないと思っている。

これらを呼ぶ適正な呼称が見つからないのだが、「カルチャー」「サブカル」などというより広く「アート」と呼びたい。この分野でまず、1部リーグ3つに残るのは「読書・音楽・映画」だ。ちょっと「読書」というのは「基礎学問」なので、私の中ではマルクスが「『貨幣』は動物園にライオンやトラにまざって『動物』という動物がいるようなものだ」(記憶あいまいで不正確)といったように、ちょっとずるい気がするので「文学」でいいか。私にとって「文学・音楽・映画」が1部リーグで、美術や演劇などはここには入らない。

対してスポーツはどうか。これはかんたんに「野球・サッカー・競馬」。競馬はスポーツかという人もいるかも知れないが、これは馬券を買わなくても十分楽しめるし運動でもあるのでOK。

そして繰り返すけれど、こういう大事なものどもに順位をつけるというのが乱暴な話なのだが、記憶をたぐれば、すでに2005年頃には答えが出ていたのだ。当時書いたgooブログのリードにそれがある。

ねこ、読書、音楽、映画、スポーツ観戦などの記録。
時代逆行の長文主義ですが、コメントは一言でも

つまり、アートリーグは「読書、音楽、映画」の順になる。
そしてスポーツの順位は2006年に書かかれた、Mixiプロフィールの「好きなスポーツ」に答えが出ている。

阪神タイガース、アーセナル、ヤンキース、レジェンドテイオー

スポーツリーグは「野球・サッカー・競馬」の順。そして、クライマックスシリーズなしの「好きなものシリーズ」でいえば、gooブログリードにあるように、アートリーグの覇者、読書が野球を倒して胴上げするのだ。

この順位づけには、もちろん根拠もたいした意味もない。最初に断ったように、こうしたものに順位をつけるという発想自体が「よくない」と思う。だけど不思議なことに、どんなにサッカーがおもしろいと思っても「野球よりおもしろい」と思うことはなく、それは読書と音楽その他についても同じなのだ。そしてこの順位は、どちらも「好きななった順」と一致していることが、われながらおもしろいと思う。これはよく言及している、脳の発達構造と関係あるのかないのか。

シリーズの途中経過、考えたことはけっこうある。しかし書き出すと長くなるので、今回は「前編」としてまたの機会にします。すみません。

(BGMはHD内ランダム再生。いまはちょうどビートルズ『ロング・アンド・ワイディングロード』)

show me how we feel fine 11/05


コスモスは去ってねこは残る 11/05


久々登場、「/(スラッシュ)」のアップ 11/07


何があると思ってそっち行くんだろう(眉間のけががなかなかふさがりません) 11/09
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思ってもみなかったスティーヴン・キングとJ・G・バラード(08年8月16日)

2008-11-10 02:43:47 | 身のまわり
これは今週11/05。今日、おばどもが来て干柿にすると採っていった


やっと「週間日記」を休んでたまっていた宿題ができます。今回は途中まで書いて放っておいた、もう三ヶ月近く前の送り盆、八月一六日(土)のこと。
・・・

前日は逗子、伊勢正三のすばらしい夜。同行のOB・Y君と逗子で飲んでたらうっかり帰れなくなり、横浜ネットカフェで朝まで寝て帰ったのは何とか午前中。午後からという送り盆の墓参りには間に合った。
午後一時は灼熱で、なぜかこういうときには必ず自分で運転したがる父親の車に乗ってすぐ。本来は歩いていける距離で親戚が来てるとそれもまたレジャーになるが、父とだけなら車が早い。自分でも百円ライター持って行ったが、なぜかお寺の名入りライターが落ちてたのでこれはいいと線香の火をつけ、ぽんぽんとお地蔵さんの列からお決まりのコースで団子と置いて、家の墓から隣にあるおじの家の墓、いくつかの親戚の墓に線香を置いて年に一度のルーティンワークは終了、近くにできた、集落始まって以来の分譲地の売れ行きの話などしながら帰る。六十すぎまでほとんど知らずだったはずなのに今じゃすっかり冷房漬けの父は最近、なんでこんなに暑いんだとよく口にするが、これは明らかに感覚の退化だろう。こんなでは、もういっしょに墓参りに来るのも残り少ないかも知れない。
帰ってシャワーを浴びてオリンピックやら競馬やらをみていると寝てしまい、そんな時に電話がかかって来て、声が似ているので二日前に余った伊勢正三の券を買わないかと電話した高校の同級生Hかと思ったら、別の同級生で今は北新宿に住んでいるIからで、「ばか、Hじゃねえよ、おれだよ」。これから大里郡の実家に帰るが、一九日が命日のHの墓参りに行くから一緒に行こうという。今年二月閏日に思い出したあのHだ(3月19日記事に)。・・・<ここまで8月記。ここから11月>・・・
しかし、この夏何度も全国を襲ったゲリラ豪雨の軽い方が家の辺りに来ていた。もうちょっとしてからの方がいいんじゃねえの、というと、「さっき高坂のあたりじゃ六〇キロくらいしか出せなかったけど、いつまでも続くもんじゃねえだろ」という。

待ち合わせたヤマダ電機の駐車場で村上春樹と柴田元幸の対談を読んでいると、途中、駅近くのニットーモールで花と酒を買うから遅れると連絡があり、なんで松山のインターで降りてここの途中にわざわざ駅の方に行くんだろ、と思ってるとIの黒いVWゴルフが来る。いつものように、「何だよ、そりゃ、おめえ、車ぐれえ洗えよ」と一通りあいさつのつもりらしい悪態をつくと、「じゃあ、ついて来いよ」。重い雲の下、IやHと近くの高校に行ってた頃にはなかったラグビー場の横を過ぎると、またゲリラの気配がする。

やはり二七年前の高校時代にはこの町になかったセブンイレブンの角を曲がって誰もいない寺の駐車場に着いた時、すでにゲリラ活動はこの日二度目のピークを迎えていた。
駐車場の反対側のIが携帯で、「これじゃしょうがねえ、ちょっと様子見ようぜ」。それがいい。といっても、ゲリラの猛攻に耐える農村風景は初めてみるものでもそれほど興味を引くものでなく、といって百円で買った村上・柴田のオースターなんかを読むわけにもいかず、ぼうっと、農村の空中を本拠にしたゲリラの連打を見ていると、さすがにがまんできなくなったかIが、「いつまでもこうしちゃいられねえ、行こうぜ」と電話してきたので傘を差して墓地に向かった。

一〇キロほどしか離れていない同じ農村でもお昼に行ったうちの墓地とは違い、並んだ御影石にはどの墓も何もない。旧暦と新暦の地図は狭い地域でも意外に複雑だから、おそらくこの地域のお盆は七月なのだろう。こんなに雨が降ってるからいいんじゃないかとも思うが、そう判断する根拠もないので桶に水を汲んで進むIの後をつけると、墓地の角のところにまだ新しい墓が建っていた。
六年前に死んだHが、いや、Hの骨が今はこの墓石の下にある。想像はできたはずだけど、実際に見てみると奇妙な、思ってもみないかたちだった。そういえば死んだ友人は何人かいるが、仏壇でなく墓に来たことはなかったかも知れない。
墓石に刻まれた戒名はHのものらしきのが一つだけ。確か核家族だったHの家では、三九歳で長男が死んだ時にはまだ墓地はなかったのだろう。狭くはない墓地に占めるまったく角の区画からそんな気がした。
ビートジェネレーションに憧れていたHが今はこんなスクエアな墓にいるのも思ってもみなかったことだが、Hの両親にしてみれば息子の墓を用意するということの方がよほど思ってもみなかったことだろう。

傘を差しながら花とワンカップを置いて、Iと私は手を合わせた。私ならワンカップは開けていくらか墓石にかけてあとは飲んでしまうだろうが、そういうと、「だからおめえはせこいんだ」とかうだうだいいそうなのでいわないでおき、ほかの墓に何もないところを見るとここは新暦なのだろうなどと、Hのことには何も触れず、一般論を話したのは駐車場への帰り道になってからだった。
六時を回っていただろうか。「実家に帰って飯食うけど、ファミレスかどっかでお茶でも飲んでぐか」、ああ、じゃあ、140号の方がいいんじゃないか。「じゃあ、後ついてくよ」、とまた白と黒、二台のツーボックスは再び農村を走り出す。

セブンイレブンまで戻ると多分角を間違えたらしくどこにいるのかわからなくなったが、そんなことをいうとぎゃあぎゃあいうので、わかったようなふりをしてどこだかわからない農村を走り回り、少しすると知っている工場の近くに出た。407号に出るとけっこう混んでいて、「今日のこの時間じゃファミレスはだめだろう、どっか喫茶店でもねえか」と電話があったが、熊谷警察反対側のCoco'sを通ったらけっこう空いていたので、ここでいいや、と駐車場に入ると文句はいわずにⅠもついてきたし、いつものように何も考えず、入り口から一番近いところに車を停める。

Coco'sは中途半端な混み具合で、Iはそうするのが使命であるかのように一通りメニューに文句をつけた後、「これがおもしれえと思ったんだよ」と「ベトナムコーヒー」なるメニューを指差ので、なんだ、おれも何だろうと思ってたんだよ、とそれを二つ注文する。そういえば高校の頃にIが最初にHに話しかけられたのは、日比谷で『地獄の黙示録』がかかっていた映画館にいたろう、だったと知ったのはHが死んだ後のことだった。
ベトナムコーヒーが来てからもやはりHのことは話さず、話題は今は会うのは年に一回あればいい方で、だからこそか繰り返される毎回と同じようなことばかりだ。最近会った同級生やいっしょに仕事をした人たちの近況、次にお互いの親や近辺の話、それが終わるともう二十年は会ってなくて今は何をしてるのかわからない同級生や、なぜか野球部が甲子園に行った時の後援会でしか会ったことはないけどあまりに衝撃的な人物像で話題なる応援団の先輩Sさんのこと。とくに会ってない人々の話は、きっと情報が更新されないからこそ安心して笑えるのだろう。そのどれもがIがよく使う言葉を借りていえば「与太話」に過ぎない。最近更新された情報はともかく、何度も繰り返される何だか二〇年くらい前にIが心酔していたブロウスキーの小説みたいな会話は、それこそ二〇年前には将来こんな話をするとは思ってもみなかったものだ。
けれどもしかしたら、会話は得る情報がないほど何かのすき間をうめ得る。Iは満足したように時計に目をやると、じゃあ行くか、と席を立った。
レシートを持ってレジに来たIは、「まじい、金持ってこなかった、出しといてくれよ、車行ったら返す」。千円もしない代金を払うといつの間にか、入口の向うは空中戦ゲリラの天下だった。

ザーッ、なんて竹林を走る白兵戦みたいなゲリラじゃない。だだだだだだっ、と、そういうのがあるのかバズーカのマシンガンのように、ゲリラはディープ関東平野を攻撃している。
「ぶわっ、これじゃスティーヴン・キングの世界だよ……」。猛攻に笑うIが思い出したのがどの作品かは知らないが、そういえばやつは仕事で知り合ったキングの訳者と親しくしていた。
こりゃあちょっと出られない、席に戻った方がいいんじゃないかというと、「ばか、とっくに片づけちまったに決まってんだろ」。
確かにいつの間にか入口付近には、すんでのところでゲリラを逃れた家族連れや何かでいっぱいだった。「しょうがねえ、ちょっとここで待とうぜ」。

そんなわけで、今度はベトナムコーヒーじゃなく、ガラスの向うのゲリラ豪雨を前にさっきの話の続きになった。
いや、今年の雷、わけわかんねえけど今日のはまたすげえよ、あそこに座って肩置いたらかなり気持ちよさそうじゃねえか、と、その辺の健康ランドをはるかに上回る水圧で、どどっどどっ、とシンコペートする樋から落ちる水の塊を指差していうと、「まったくだ」とIも笑う。「そういえば、おめえ、平野啓一郎って読んだことある」と唐突にきくので、芥川賞のはすぐ買って読んだよと応えると、「あいつすげえな、最近、東野圭吾とか軽いのばっか読んでたから全然進まねえんだよ、文章があんまり濃密なんで」なんていう。すると、なぜかずぶぬれを楽しむかのようなヤッケの白人と東洋人の夫婦と明るい毛髪の子どもがゲリラの弾丸の中、笑いながら入店して来る。ついにしびれが切れたか、Iは時計を見ていう。
「もう行かねえか。だけどおれ、今日、靴、新しいんだよな」。Iの足元を見ると、何だか原色のラインのニューバランスかなんか履いている。「靴は白か黒に決まってんだ」と多分冗談だろうが、高校の頃にやつがいってたのを思い出したが、余計なことをいうと怒るだけなのでやめた。Iはいうそばから靴下を脱いでる。夏なのでこっちは靴下履いてない。

「行くぞ」。
ニューバランスと靴下を持ってIがドアを開ける。スティーヴン・キングの世界が今度は、だだだだっ、というサウンドつきで展開した。『明日に向かって撃て』のブッチとサンダンスのように「うおーっ」と叫びはしなかったけど、眼下に広がる川でなく目の前に広がった水の柱に向かって、二人の中年は傘も差さずに走り出す。そういえば高校の頃、Iの実家の部屋には『明日に向かって撃て』のラストシーンのポスターが貼ってあった。
「おお、おお、何だこりゃ」。車までの距離は八〇メートルくらい。新幹線の高架と高崎線の跨線橋、二本の国道の交差点が重なったこの駐車場には、全方向から水が集まるようになっているのだろう、水はくるぶしをとっくに超えている。キング作映画なら田んぼに入る『スタンド・バイ・ミー』を思い出したが、幸い駐車場にヒルはいない。どんな事情があってこんな時間にCoco'sに向かわねばならないのか、傘を差した作業服がにこにこしながら通り過ぎる。
こんなんなら、もっと近くに置けばよかったよ、といったが、こんなんなるとは思っていないのだからしかたない。「そんなことわかんねえよ」とⅠもいう。
まいったまいった。ざぼざぼと歩くように走ってゲリラ健康ランド・打たせ水を左に曲がると、駐車場の方に視界が開ける。足を引きずりながら、どざどざいう雨音の中で見たのは、これまた思ってもみない光景だった。

即席湖となった駐車場の豊かな水面は沸き立つゲリラの猛攻にさらされながら、周囲のステーキ屋やら街灯やらの光が映ってきらきらと輝いている。轟音が支配するすっとんきょうな世界に広がった奇妙に静寂する見事な視界。なぜか思い出したのは、Ⅰのいうスティーヴン・キングではなくJ・G・バラードの『結晶世界』だった。どこだったかアフリカの町から始まる世界が結晶化する信じられない有様を、主人公たちがその美しさに見とれながら歩いて行く。文字でしか触れたことのない映像が、あっちは固体、こっちは液体の違いはあっても、信じがたい、思ってもみない、忘れられない景色として思い出された。
「おお、なんだ、痛えぞ」。すぐ横でⅠが喚いている。これまた思ってもみなかったのだが、まったく見えない足元は砂利だった。
痛てて、だって裸足で砂利歩くなんて思ってねんだからしょうがねえよ、と声を出しながら私は思っていた。

考えてみればこの世界で起こるのは、思ってもみなかったことばかりだ、思った通りになったことなんてほとんどないじゃないか、Hがお寺の御影石の下にいて、おれらがお盆にそこに線香立てて、帰りに与太話してたらゲリラにやられて、裸足で砂利歩いて、今日だけじゃない、Iが住宅の図面引いて暮らしてたり、おれが中学生に天気図の見方をおしえたり。
それはスティーヴン・キングとJ・G・バラードみたいにミステリーやSFじゃないけど、おれたちにとっては十分に思ってもみなかったことで、時々はこの液体の『結晶世界』みたいに美しく感じられる、だから生きてられる、これはこれでミステリーでSFで、ついでにいえばビートなのかも知れない。

「おょっ」、ふー、じゃぶじゃぶと光の行軍は目的地にたどり着き、裸足の中年兵は各々のツーボックスに戻った。エンジンをかけようとすると電話が鳴る。思えば、こうやってすぐ隣にいる同級生と電話で話をすること自体、十分にSFで思ってもみなかったことだ。
「ああ、金、返すよ」。Iは車を回すと窓から千円札を出す。
「じゃあな、また」。じゃあ、また、いつでも同じで、思ってもみなかった与太話でもしよう、Sさんが吹田のICで見せた「天ぷらうどんでも食おうと思って……」の話は、できるだけ多く繰り返せるといい、

帰り道、407号沿いのスタンドでガソリンを入れようとすると、店員が出てきて、「すみません、停電でガソリン出ないんですよ」。今日のゲリラはライフラインまで寸断したようだ。でも、次のスタンドは無事で、ガソリンを入れ、この夏一番多く通ったラーメン屋、大麻生・四華郷に行くと、北京五輪で星野チームが韓国と戦っていた。おお、こりゃ帰ってみなきゃ。
帰ると九回に岩瀬が打たれてそのまま気づいたら眠ってて、何度か目覚めるとロナウジーニョやメッシが出ている。八月の夜は十一月の今よりずっと短い。この送り盆で終わりかなと思ったゲリラは、その後も九月まで続く。
Iからは九月一八日にメールがあり、そこには「『Once ダブリンの街角で』ってみたか。いい作品だったよ」とあった。

※08年8月16日19:52、熊谷気象台の日最大10分間降水量は33.5ミリで同気象台の過去1位を更新。
http://www.tokyo-jma.go.jp/home/gaikyo/626/626_08.html
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/daily_s1.php?prec_no=43&prec_ch=%8D%E9%8B%CA%8C%A7&block_no=47626&block_ch=%8CF%92J&year=2008&month=08&day=&view=a1

(BGMはAccuradioでMultichannel Mix。最近600円くらいで買えないかと探してるピンク・フロイド『狂気』から、トリビュート盤のカバーか Us And Them と、オリジナルで Speak To Me~Breathe がかかる。『狂気』のアナログは高校時代、Ⅰを含むある麻雀卓のメンバー全員が持っているアルバムの一つだった。そういえばHとピンク・フロイドの話はした記憶がない。おっ、今度は Money が。Pink Floyd Redux というトリビュート盤らしい)

08/18のティー======

ゲリラ前の雲と


ゲリラで一輪車にたまった水と
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まんぜんぴんぽんぜんせん(10月20日~11月02日)~"She Believes in Me"

2008-11-04 01:37:12 | 週間日記
「前のコスモス3」 前回分の低スピード回転撮りをIrfanviewでいろいろやってみました 10/17


すぐといってたわりには遅くなり、どうしようかと思って、そうだ、2週間分いっしょでいいんだと判明。ブレークスルーとは、“囚われている自分”を自覚することかも知れません。

●10月
20日(月)前夜寝てしまい、起きて急ぎの原稿~昼からさんま21号~高1M君授業~玉井・とん太で味噌カレーラーメン
21日(火)
朝のティー


夕方、妻沼のN君と弟子のNさん来~中1塾は新企画の国語もの試行~同級生M君宅へ
22日(水)さんま22号~高1M君テスト勉強~中3と翌日漢字テスト対策はネットも活躍
23日(木)MLBオータムクラシックみながら原稿~入浴後、アーセナル:エバートン後半 with さんま23号~高1M君テスト勉強
24日(金)Mixi経由のGさんからセイロンベンケイソウというのをいただくことになり渋谷へ。ありがとうございます~渋谷・喜楽でもやし麺~うっかり寄った disk union で中古CD4組=Poco: pickin' up the piece+poco 1470, Neil Young: live rust 735, スタイル・カウンシル:アワ・フェバリット・ショップ 630, Eroll Garner: for you 756~築地へ。仕事前にふぢのでラーメン+餃子~仕事~最終帰還
25日(土)
休暇中の室外機を「せんりょう役者」


同級生Mト君に誘われ都内飲み会に。その前に御茶ノ水に寄り古本屋、移転した disk union クラシック館などぶらぶらしたがCD買ってばかりではまずいのでこの日は買わず。途中御茶ノ水・満松庵でかけそば~門前仲町へ。1杯だけのイベリコ・バル~芳志~六本木に移動してMト君の仕事関係Kさん経営の香妃園へ。男女3名ずつでこれは「合コン」ではないかということになり、ネイビースーツを着ていたKさんの「濃紺の合コン」ほかいかしただじゃれ炸裂。サッカーほかスポーツの話などもしたが、何より構成員すべてがやたらと食べ物に詳しいのが驚きで刺激的。うわさに聞く鶏そばほかの香妃園はじめ、やたらとハイグレードな3軒だった~最終過ぎ移動。なぜかそれでも赤羽・ハトポッポでポッポラーメン~ネットカフェ寝
26日(日)いったん帰って、ねこにキャネット~高1M君テスト勉強~競馬仕事のオフ会でこの日も出撃~時間半端で新宿下車、西新宿・新和そば食ってアルタで菊花賞観戦~府中の居酒屋で熱い競馬の話~武蔵野線うっかり乗り過ごし吉川駅で目覚める~最終で帰還。旧塾で朝まで寝る
27日(月)帰ってシャワーから庭のトマト、分葱、ジャガイモ、もらったインゲンなど周辺給率高いメンバー構成のナポリタン(麺は安かった明治屋製)


~高1M君化学「ヘスの法則」で中間テスト勉強完了
28日(火)中1授業は、NIEの実験的授業~少し開いたさんま24号は深夜食
29日(水)取材で新宿へ~学生の頃に何度か行ったとんかつ・頓珍漢を探したが、ビル自体が閉鎖されたのかも。予備として中野の名店の流れか西口・新高揚でパイクーメン。1150円はちょい高いが、そばのような麺、唐揚リブローストでしかもしつこくなくこれならしかたない


~中3授業は、またも翌日の漢字対策が中心となった。終盤3級の問題出したら、何問か自分で書けず
30日(木)昼からさんま25号~9月に結婚したOGでカロンタンを連れてきたSさん、だんなさんとビール、日本酒とともにCD-ROM取りに登場。会いたがっていたティーのやつは現れず。酒は飲まないという獣医のだんなさん、五家寶を喜ぶ~夜、尾島・松よしで大盛ラーメン。帰りに寄ったベイシアで傘198円、靴下3足480円と久しぶりにBDのオックスフォードシャツ1480円を買う。「ALPHA CUBIC SPORTS」と書いてあるがほかにも「K-SWISS」のスウェット上下などあって、20年間のブランド興亡を思う
31日(金)隙を突いて最終日の伊勢崎MOVIXで『イントゥ・ザ・ワイルド』~伊勢崎・わのやでラーメン・餃子~かえって鬼のように朝まで働く
●11月
1日(土)撮影~競馬人気サイド3千円台馬券当たる~別府・のび太でカレーうどん~同級生Mト君宅に。PTA仲間というMさんもいて、PTA、仕事などいろいろ話し、その後、Mト君が最近借りてまできてみているという『巨人の星』少年時代を数本
2日(日)撮影~最近、スープ切れでつけ麺ばかりだった本庄・大勝軒でしばらくぶり中盛ラーメン~天皇賞・秋は長い写真判定の末、当たらず~寝る~日本シリーズ。途中で寝る~買い物~風呂・さんま26号


~サッカーは前週のウィストハム:アーセナル途中だったので後半だけ~何となく見つけた、つげ義春+佐々木昭一郎ドラマ『紅い花』みはじめたら最後まで

【カウンター08】
ラーメン8/87.5 他外食3/36.5 外飲み2/45 アウェイ飲み1/31 さんま5/26 映画1/15 自宅映画&長編ドラマ1/4

なんか、南北移動の多い2週間だった。都内へは4回、群馬へ2回;といっても群馬に入るのは車で3分。おっと、生徒を迎えに行って群馬に入ったがこれはいいや。でも、実は連休最後でやっと暇の今日は群馬映画祭『リンダリンダリンダ』『アイデン&ティティ』500円均一で伊勢崎へ:で、これは基本在宅態勢の自分としては多い方。紅葉前線が南下を続ける中をなにがなんだかわからず行ったり来たりの、これでは漫然ピンポン前線ではないか。なお、旧譜CD買いとともに、映画熱が高まりそうな予感。
まあいいや何でも、天高くさんまはうまいしねこもいる。

(BGMは Accuradio でこれは何のチャンネルだろう、70's Shuffle かな、よく知らない Kenny Rodgers の She Believes in Me という曲から、今、ブラームスの2番 NY響に)

「晴れ/曇り」のティー

 10/27




 10/30


 これはどっちが上だったか


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