小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

さんま、ねこ、人:"Three Little Words"~「猫にないのは比較なのだ」

2007-08-28 18:48:52 | 週間日記
今回は火曜晩、先週日記です。

20日(月)起きてひたすら原稿。いつものごとく思ったより時間かかり、予定よりずいぶん遅れて同級生M君宅に
21日(火)取材のため朝8:30電車で新宿へ。その後、作業のため築地事務所へ。あまりの暑さだったが、ここは立ち向かわねばならんと、ハンカチ忘れたので銀座松屋でカルバンクライン500円を調達した後、共楽でラーメン~作業後、まず編集者Oさんと夕食に三久という店で今度はやわらかい焼きそば+餃子~さらに作業して~OB・I君と有楽町ガード下で少し飲んだが、うっかりあまり安くない店に入って失敗~最終で帰還から前回先週日記通りで帰路、吉田秀和『音楽 展望と批評Ⅰ』読了
22日(水)昼は整理作業など~晩は出張授業~心配だったが何とか走っていた車がついにガス欠で止まり、いくつか電話した結果、やはり父親の救援に救われる。いつも申し訳ない~父親号でGSに行きタンク借りて愛車レガシーオブゼルダ再び動き出す
23日(木)夕方まで仕事し、夜は深谷シネマでS・フリアース『クイーン』はいつもながら堅実~何となくでき心で幸楽苑290円ラーメン
24日(金)昼はうだうだしごと~晩は塾で中3M君の宿題ポスター描きにつきあってたら、何か異様に眠くなって寝てしまう、すまぬ+次回きくとまったく記憶ないのだが、「帰りますよっていったら、おお、じゃあな、っていってましたよ」。何者かに乗り移られていたか
25日(土)昼は仕事+競馬は1万ちょっと3連単当たるが結局もと~晩は同級生M君ほか、菓子職人N君、その友人K君、M君、N君の取引先でもあるIさんと別府・吾妻寿司
26日(日)朝から電車に乗ってまず一本早い電車に乗ったので新宿に降り、こいつは腹ごしらえと歌舞伎町後楽そばで、これは15年ぶりくらいか、三色定食(なにわ天ぷらうどん+焼きそば+五目ごはん¥520)で、腹いっぱい途中、味の素スタジアム客がどっと降りるのでこれはまずいと降りてしまい、みなさんにご迷惑申し訳ない10分遅刻~Mixiコミュニティイベントで30年ぶりの高尾登山~ビアマウント。山、大人7名小学生2名~ビアでさらに大人2名参加。山は涼し、酒は美味し、人は善し。ありがとうございました~さらに新宿ゴールデン街沖縄料理店には大きな町ねこ2名もいてすばらしい夜はさらに更けぬ~帰路、高崎線は予想通り寝過ごし、県境前でこらえ本庄駅ベンチで始発待ちで往路から読んでいた佐近司祥子『ソクラテスになった猫』は、たどり着いた深谷駅前通路で、せっかくだから読んでしまおうと朝日を浴びながら読了で帰ってまた寝てこの週も終わる

もうたまらんという夏が終わりに近づき、疲れが吹き出したか毎日昼寝している。PCに向かっているとツエツエバエあたりにやられたかのように、といって実際にやられたことはないが、こういう感じかも知れんと産地の熱帯を思わせる急激な眠気が襲い、一・五秒くらいのうちにそこら辺に横になって意識を失ってしまう。あたかも魂がパプアニューギニアあたりをさまよっていたかのような、トロピカルな時間が知らない間に去り、しかしそれはいつもわずか十五分ほど。時間だけが赤道直下に行っていたかのように、伸びきったからだと「自分」は灼熱を電力でかわした快適の中にいる。
仕事にも飽きたぞ、エアコンにも飽きたぞ。SF宇宙ものに出てくる、自分を見失って無重力空間への扉を開けてしまう愚かな乗組員のように、燃えるフェーン現象の中に飛び出して行くと、どこからかねこのやつらが出てくる。

この暑いのに、毛だらけでにゃん。
お前ら、すごいやつらだ。何なのだろう。
と、いうわけでギリシャ哲学からねこを読む、先週読み終わった佐近司祥子さん『ソクラテスになった猫』から。
「人間の不幸」を考えるのに、ねこにとって「記憶」「欲求」「変化」「価値判断」とは何かを考え、それがねこにもあるとした上で、アリストテレスが語った眠り込んでしまい「時が経った」と気づかなかったというアルディニアの英雄の話をする。そしてこういうのだ。

猫にないのは比較なのだ。そしてそれは、人間が猫と異なる時間まで持っているからなのだ。(P169)

「記憶」も「変化」もわかっても「比べない」から、「夏」は夏で「秋」は秋、「キャネット」はキャネットで「さんま」はさんま。

でも、こっちは人間だからな、もうすぐ来る秋がうれしくてしかたない。なんてったってさんまも食えるのだからな。
秋はきっと、

人もねこもさんまもいるから秋

(Phは、庭で近づいてきたティーを結果的に流し撮りで、惜しいしっぽ入りきらず。BGMは今回も accuradio 今日はジャズで、今は何だろう、この気持ちいいバイブはと確認すると、ミルト・ジャクソン&ジョン・コルトレーンで "Three Little Words" とはきっと「人、ねこ、さんま」のこと。おお、と次は「ラウンド・ミッドナイト」で、バド・パウエルのようなタッチと時折きこえるビル・エヴァンスのような和音に誰かと見ると Hank JONES という人で知らない音に会えるのがラジオの嬉しさ)

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「感覚が一つふえたような感じ」~「かぜのなえとこ」~"Tangazo"

2007-08-22 17:52:43 | 週間日記
今回は水曜夕方、先週日記です。

13日(月)昼、迎え盆でお寺へ~原稿~恒例電話取材~塾で仕事~ラーメンおおぎやで、味噌ラーメン+チラシ券餃子+ライス
14日(火)昼、そのままその日は塾で原稿~晩は同級生M君と共通マイミクシィオフ会で浦和へ。初めての人2名含む総勢5名でベトナム料理からバーにの、幸福で、解き放たれ、ためになりの数時間。ありがとうございました
15日(水)起きてからずっと原稿~夜半に終わり、タイミングいいので久しぶりに湯舟に入ってNHKFM萩原健太米国ロックライブ特集ききながらビールを飲むと姉の息子が帰って来たので、きゅうり・なす・あり合せ集合体お好み焼きなど製作し、将来のこと、やつがやっている格闘技のことなど話しつつけっこう飲む
16日(木)原稿少し書いて一段落~送り盆でお寺~深谷シネマで河瀬直美『殯の森 』~同級生M君、その保護者仲間のナイスガイN君と駅前にできたもつ鍋屋~駅近く不思議な店でウィスキー~弟から迎えに来られるかと連絡があり、ついでにと妻子もいた弟含めN君号代行で帰還
17日(金)朝、車回収~電話取材~築地へ~秋田料理店打合~事務所作業~事務所で働くOB・I君アパートに行き、西友、閉店前おまけつきコロッケ屋でいろいろ買い、朝方まで飲む
18日(土)涼しい朝に10時頃まで寝て帰深~帰宅してねこに食糧ほれほれ~シャワー後、OB・Y君、OG・Jさんと深谷ロックフェスティバルに。できれば後でレビューも~終了後はさらにOG・Eさん登場で駅近くちゃんこ鍋屋後の居酒屋に
19日(日)朝まで塾で寝て、帰ってすぐ地区バレー大会~今年も女子の敗戦後の審判を頼まれていたのだが、記憶の中では初めての勝利ベスト4進出で盛り上がり、マッチポイントまでいきながらの惜敗~1ゲーム主審の後、男子会場に行くとすでに敗戦~帰って少し働き、キャネット買いに行くと体育役員の人々いたのでではと買い物を運び、帰ってシャワー後、慰労会は歴史的勝利を祝う盛況~帰って寝て、まずいと仕事始めると姉の息子来て、少し話してまた寝る

暑い日は続く。そんな中、仕事もずいぶんしたけれどほぼ毎晩飲み歩き、まあ、盆と正月という期間だからしかたないか。
昨日、火曜も都内出張で、最終電車の帰り道、いつもは見ない小中学生も乗ってるのは夏休み大詰め近くの車内。さすがに座席に伸びて寝ている姿も目立つ。
そんな車内で読み終わったのは、ラーメン屋や電車で読むのに持ち歩いていた吉田秀和『音楽 展望と批評Ⅰ』。クラシック界では有名な人のこの著者をちゃんと読んだのは初めてだし、ほとんどきいたことのない音源、しかも30年以上も前の批評だけど、きいたことのない音を想像しながら、時代とか洋の東西とかの違いを考えながらの実り多い読書だった。
感じ入った表現は多いが一つあげれば、ファセット『バルトーク晩年の悲劇』という本についての、

これは驚くべき本で、読んだあとでは前に較べて、感覚が一つふえたような感じがする。というのが変にきこえるなら、少なくともバルトークあるいは音楽について、新しい目あるいは耳がひらけた感じがする。(同著P175~176)

『トランシルバニアの夕暮れ』はじめ好きな作品が多いバルトークが、いろんな意味ですごいとはきいていたが、

ここに出てくるバルトークは人間より犬に近い。人にきこえない音がきこえ、誰も足を入れる気になれない森の中に、何十年も前に人びとがつけた道の痕跡をかぎ出し、ついにさぐり出す(「屋根裏の窓から調べた場所がここだとすれば、ここにはかつて道があったはずだ。実際に目に見えるわけではないが、地面が左右にかしいでるリズムで感じられるんだ」)。(P176)

というのには驚いた。なにしろ、

遠くの森の中に数日前から行方不明になった飼い猫のかすかな悲鳴をききあてたり(P176)

しているのだ。
その音楽と同じくどう考えてもただ者ではないが、この頃話題の「鈍感力」もついても考えた。
同名の話題の本は未読だが、最近、よくひとにいっているのは、どうも人間は鍛えて鈍感になるらしいということ。ひとまず生きていくには、たとえばアジア諸国の水を飲んで腹をこわすよりこわさない方がいいだろうし、そういった鈍感は、ひとまず身につけておくべきではないのかということだ。
だいたい、「敏感⇔鈍感」というのははっきり一つの数直線で表せないといつも思っていて、たとえばなんか言葉やなんかについてうだうだいっている私は、住むところなんかが恐ろしく散らかっていてまったく意に介さず、身近な人々はたまげるばかりだ。自分のことを敏感といって憚らず、それでひとに「お前は鈍感だ」なんて、何いっても平気でいる輩というのは、無神経=鈍感も甚だしいと思うのだがいかがなものだろうか。
となってくると、つまり大事なのは、「正しい敏感のベクトルを選択する」ことであり、ある意味で「教育」とは「適切な敏感ベクトルづくりとその数直線の目盛りづけ」だといえるのかも知れない。

そんなことを考えながら家に帰り、ねこに暑い中、遅くなったからサービスと鰹節ご飯+マヨをやり、月明かりできゅうりをもいで塩でつくり、ナスをごま油で炒めて風呂に入り、J-WAVEで1週間でももっとも楽しみな菊地成孔の universe (http://www.j-wave.co.jp/original/universe/)ゲスト吉本ばななときいたら、このプリンスの新作から始まった同い年の2人の話は、ここしばらくできいた中でももっともおもしろかった。
話題は、プリンス、吉本さんの旦那さんの職業というロルファー、フラダンス、名前しか知らなかったがともに交流があるという橋本一子、この CALL ME / UB-X というのはよかった、と笑いながらきいていたが風邪をひきやすいという吉本さん、何でも菊地氏のロルファーの先生は「風邪をひいたらよくやったとからだをほめてやれ」というのだそうだけど、その吉本さんが、「敏感なんじゃないかしら」という前に、「いつかかっていつなおるのかわからないくらい、もう、かぜのなえとこですよ」といった瞬間、42度の風呂につかる私の頭の中に、たとえていえば6月の岩手あたり、青空の下に広がって、風が吹く涼しげな田んぼの情景が広がった。

「かぜのなえとこ」

それは文脈からは「風邪の温床」でじめっとしているけれど、それだけ取り出して発音すると、こんなにきれいで涼しい。

風呂から上がり、「なえとこ」をネット辞書で引くと出ず、そうか「なえどこ」だよな、吉本さんもそういったのかも知れず、こっちの聞き間違いだよなと思いつつ「苗床」。すると、こんな句がある。

苗床や風に解けたる頬かむり 阿部みどり女

そらやっぱり「風の苗床」じゃないか、いや、まてよ「風の萎え所」ってなると一転暑苦しいな、などと思いつつさらに番組をききながらビールを飲み、さっき話していた、吉本さんにとって「初恋の人」、菊地氏にとって「自分そのものだった」というドロンパについて、間違った言説があったので、以下の文をメッセージで送っておいた。

こんばんは、オバQファンです。
先ほどのわんこそばの話ですが、私の記憶では、強敵はおばけでなくゴジラ(ジャイアンみたいな乱暴者)だったと思います。
へなちょこドロンパは途中で泣いて降参し、しかしオバQはいくらでも食べるので、お店の人は困ってました。
なお、ドロンパの誕生日は3月27日だそうです。

どっちでもいいこと。でもオバQやドロンパに「敏感」なら、ちょっと困ること。

(Phは、夕方で出てきた3頭。歩くセグンド、その影に黒いB-1からオルティ-スと呼ぼうか検討中、手前しっぽだけのティー。BGMは accuradio http://www.accuradio.com/latin/今日は tango をきいていたが、3分の1くらいはピアソラの曲のような気がする。そういえば吉本さんの南米ものにピアソラは何度か出てきた。ラヴェルのような "Tangazo" というのが別の演奏で2度かかったが、持っている赤、青、緑の3枚に入ってただろうか)

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「太陽の試練」~「風にお願い」

2007-08-17 14:35:01 | 週間日記
おっと、なにやら忙しく、金曜になった先週日記です。

6日(月)恒例電話取材~夕、夏期講習~晩、同級生M君宅へ
7日(火)この日は原稿ばりばり
8日(水)原稿~夕、夏期講習~晩、出張授業~目的ののび太終ってってたまたま行った奈良・永華で味噌ラーメンを頼んだところで名前呼ばれ、中学の同級生Oさんウィズ夫子に遭遇。いろいろ後ろ向いてOさん話すので、どうぞ食べながら、と。中で直近に合ったOさん参加の「第九を歌う会」の話になり、Oさん息子に「行ってみるとおもしろいんだよね」と適当な相槌求めると小学校高学年の息子、「そんなこといったって知らないよ」で、一同ははは。そうだ、ボーイ。おかしいことはおかしいといわねばならんぞ~前回の楽闇マイルス
9日(木)同級生M君が勧める熊谷・めんくいやでとんこつカレーラーメンは形態興味深い~夏期講習~原稿
10日(金)夏期講習。父母が迎えに来て少し話~カレーでも食べようと、ちょっと考えココ一番~原稿
11日(土)昼は仕事しながら競馬~晩はOGらと、数十年ぶりに隣町熊谷花火へ。しかし駅の深谷・熊谷を間違え、家を出るべき時間にきゅうりに水やる間抜け~駅に着き、高校の頃見慣れた熊谷ピープルはいつの間に金魚になったのかと驚きつつ、すまんすまんと人々に合流あははで、花火はどどんどどん~終って3軒くらいいっぱいで、何とか空いてたあばらやで飲み~帰深
12日(日)塾で寝て朝帰って原稿書いてちょっと馬券買って、午後3時からの地域バレーボール練習。むあむあした体育館にははね返されるかと思えば意外に風は通るが、ちょっと動くとびょわ。初めて触ったソフトバレーボール、参加人員6名の多くが体験済みのビリー、同級生の現役ママさんバレボーラーKちゃんにも会い、地元に住みながらも約45人しかいない同級生女子に1週間に3人もそれぞれ単体で会うのは、ひょっとして一生レベルの貴重かもなどとも思うお気楽~仕事ばんばんのため塾入り~途中、これは久しぶり味斗で醤油ラーメンは閉店間際のおまけでライスサービス

金曜に、書いているのはその前の週のことというのも何だかですが、これはそういうシリーズなのですみません。
で、付け足しはこのごろの暑さ。昨日16日(木)、熊谷で74年ぶりに更新の40.9度を観測したそうで、それに驚くとともに、やはり1933年もそんなに暑かったのだと、変な風に安心しました。
送り盆に行っても、近所の人たちは暑い暑いというばかり。でも、個人的な印象としては、少しだけ風があった木曜よりその前の水曜の方が暑く感じました。

……この暑さに思い出したのは、ずいぶん前に読んだレイ・ブラッドベリ。自選集だという『ウは宇宙船のウ』の一編中に出てきた、極端な暑さと寒さが繰り返す星のこと。SF詩人ブラッドベリが、叙情豊かに描き出していた恐るべし世界だ。
文庫を探してページを繰ると、その短編は『霜と炎』。「太陽に一番近い惑星」、長い長い、「夜は猛烈に寒く、昼間は赫々と燃えさかるたいまつのようだった」という「激しく耐えがたい世界」で、わずか八日間しか生きない人々は、「花が咲くほどさわやかになる」夜明けと日暮れどきを楽しむほかは、「絶望の洞窟のなかで暮らしていた」。
物語は「あの遠い山の上にある金属製の種」をめぐって意外な方向に進んでいくが、その途中で主人公の少年が体験する「昼間」の描写がすごい。
「太陽の試練」と書かれた昼が来る前に、人々は「すぐ太陽につかまったてしまうぞ」と洞窟に逃げ込む。しかし、「金属製の種」を探しに出た主人公は昼の間に決闘に臨む。それは「嗅ごうと思えば太陽の匂いが嗅げた」というほどの「金色の脅威」の中だ……

……そして、盆送りから帰り、仕事が一段落したので、深谷シネマに河瀬直美『殯の森 』をみに行く。小さいけれど「太陽の試練」からは自由な暗く涼しい館内で味わう、深い奈良の森と生と死の物語。その中で迷ったヒロインが携帯電話を森の樹にかざし、いっしょにいる老人にいう、「風にお願いしましょ」

……前夜張った風呂の水の設定温度は「42度」、昨日の熊谷の気温が40.9度
「太陽の試練」、「風にお願い」

(写真は水を飲む一番若くて暑くても、枯れ草つけてひとり飛び回る暫定名セグンド。熱中症に気をつけろよ。BGMは前夜のNHK萩原健太氏の英国ライブ集で今はトラフィック。昨夜はキング・クリムゾン『エピタフ』にしびれた)

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"round about midnight"@楽闇計画 ~「『ががしゃん しゃくら』は美しい」

2007-08-09 02:57:23 | 週間日記
今回は水曜深夜、先週日記です。

30日(月)原稿。しかし前進微々
31日(火)恒例電話取材~原稿
1日(水)梅雨明けの昼、原稿~晩、出張授業~夜、東方・長崎ちゃんめん
2日(木)昼、原稿~晩、上柴・正月庵で大もりそば~授業~原稿
3日(金)塾寝帰り遅れたので拾六間・優でロースカツランチ~原稿~深谷シネマで『善き人のためのソナタ』はあまり期待してなかったけどよかった。エンターテインメントとしても、歴史思想劇としても、愛憎劇としても見事~上野台・おおぎやで塩バタラーメン+チラシタダ券餃子+無料ライスで満腹~原稿
4日(土)昼は原稿+競馬~晩は同級生M君に誘われ、小1父親の会にまざり原郷・あばらやでホットな酒の席
5日(日)起きて宿酔いの中、MLBイチロー:松坂対決のBOS:SEAを観戦。圧巻だった第2打席の連続カット、初対決と同じ松坂の外角攻め、ラミレスの走塁、久しぶりにみてモデルチェンジのF・ガニエと見所多く仕事せず見入る~そうこうすると地元お神輿が来て、近所わんのみなさんが、「わっ・しょい・ワン・ワン、わっ・しょい・ワン・ワン」とリズムを取るのを、何年か前にもきいたような~原稿+競馬今週もだめ~満を持し、塾入りで原稿

やっぱりそうだ。
夏らしくない、小笠原高気圧どうした、なんていってても、いざそうなってみると、暑くてなにがなんだか。根性なしは、ひいひい。

と、そんな今夜。塾はしごから帰って原稿にかかろうとするが、うう。
少し休んでからにしようと、ねこにキャネットの後、休みのNHKFMライブビートの代用番組をチェックすると特別番組「真夏の夜の偉人たち(3) マイルス・デイヴィスここだけの話 小川 隆夫」とあったので、そうだとばかりに買って車に積みっぱなしのビーチベッド980円を取り出し、今日はもどきでいいやと冷蔵庫の「金麦」とともに、「楽闇計画」(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/baff597231c4a2599ebfc0c9b82795cc)を実行した。

このジャズの巨人についてはそう熱心なきき手ではないが、アナログ、CDと当然ある程度の音源は持っている。だからこうしたヒストリーものではよくきいた音源は多いが、それでも湿った空の下、それほどきらめかない星と、まわりに集まったにゃんども、夜中のセミや秋の虫、200mほど先のバイパスを通るエンジン音などと一緒にきくと、また違った趣きはあって当たり前。MP3 iriver の音は、暗い空と湿った庭に数十年の時間を超えてなじんでいく。

ギル・エヴァンスのクールなアレンジを楽しんだ後、ティーとともにミルト・ジャクソンのバイブをきいているとブーッと車の音とともに弟が来て、何やってんだ、おお、これ買って外で涼んでんだ、いいぞ、ふーん、と、さらに前週の土曜に会った弟同級生の弟のことなど間抜けに話し、やつが家に帰った0時前、オンエア時刻を意識したのだろうかのタイミングで "round about midnight" がはじまる。

星とねことその辺の葉っぱをかわるがわる見ながらマイルスのソロをききながら、ひょっとすると Led Zeppelin・ stairway to heaven のソロ前のアレンジはこれがもとかと思っている、コルトレーンのソロへのブリッジ部分を待つ。

…ぱーぱーぱっ…
いやー、やっぱりここはこんな軽いヘッドフォンじゃだめだなんて思いながら、でも星の下できくとまた違うなといいながら、マイルスとコルトレーンとモンクの興味の尽きぬ話ききながら、ねこども、こやつ今日はなんでここにいるのかと思っているのかと思いながら、周りでやつら、ぴょんぴょん走る、ずべろん、ともしながら。

へえよ、おいおい。
マイルスはもっとクールだぞ、ギル・エヴァンスの和音はもっときちんとしてんだからな、などといいつつ、ああそうか、今日8月8日は立秋だったと思うそば、ねこ夜中のセミ捕まえながら、"round about midnight" のクインテッド。

というピースフルの後に、最近出会ったもっとも衝撃的だった活字も引用。例によって8月6日毎日新聞夕刊から。

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この国はどこへ行こうとしているのか 石牟礼道子さん
<おちおち死んではいられない>

重い水俣病患者は、突然のけいれんで顔を激しく何かに打ちつけ、心身の傷が絶えない。発話も難しい。「患者さんたちが、桜の花が咲いたと伝えたくて『しゃくら しゃくら』とか、かかさんと言えないで『ががしゃん』と言ったりする。桜を指さそうとするけれど、指も曲がって震える。きよ子さんという娘さんが、寝床から縁側にはい出して、どうやって滑りこけたのか下に落ちて。ほうて行って、桜の花びらをひらおうとして、拾えなくて、地面にねじりつけて。そのお母さんが『花もあなた、かわいそうに』って」

……(中略)……

「『ががしゃん しゃくら』は美しいですよね。お母さんに最後にお会いした時、『きよ子の代わりにひとひらでよございます。どなたかひろうてくださいませんでしょうか』っておっしゃられた。娘さんは拾えなかった、桜の花びら一枚。『毎年どなたかひろうてくださいませ、花の供養に』って。そんな言葉は美しいと思いますよ。切実です。政治家の人たちに水俣に来て拾っていただきたい、患者さんたちの代わりに」

(全文は期間限定 http://www.mainichi-msn.co.jp/tokusyu/wide/news/20070806dde012040057000c.html

==========================

“美しいもの”だけを「美しい」といえれば。
すぐれた音楽とはすべて、こういうものに似ているように思う。

(Phは急なあくびで耳の先が入らなかったナス畑愛好家のスペース)

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「きみを夏の一日にたとえたらどうだろうか」~"perfect day"~「豆」

2007-08-03 02:17:12 | 週間日記
うっかりもう木曜深夜の先週日記です。

23日(月)午後から打ち合わせ・取材のため築地へ。往路井上章一『美人論』読了。あらためて読んでさすが~時間なく途中、前回目をつけた築地茶房なるところでサンドウィッチ購入。ハーフ100円というのが嬉しく、何と半熟卵のロールパンにも驚。延々6時間も話し、帰りにではとH君、OBでもあるI君とちょっと飲もうと近くのラテン風で立飲みビール2杯~引っ越したばかりの成増I君宅でビールもどきと日本酒とともに書物やら仕事やら周囲の者どもやらの話しつつ明け方まで
24日(火)晴れた中駅までの道、弟から電話あり急遽の撮影かということだったが逃れる~帰って原稿~同級生M君に焼肉に誘われ内ヶ島・たからや。行ったら久しぶりのN君と妊婦になった細君、M君近所の母子などいっぱいいて、子どもどもと「おちゃらか」なども~M君宅でさらに飲む
25日(水)帰って気持ち悪がったり仕事したり~出張授業で中学生の夏休みの暮らしの話をきく~東方・長崎ちゃんめん~フジロックの準備本格化
26日(木)よく働く
27日(金)まずローソンでフジロックチケット購入~昼は家で仕事~100円屋でレジャーシートとカッパを買って塾入り、中3M君のほか、フジロック同行Y君、同級生でもあるM君母上、レポートがあるという大学生F君と次々に
28日(土)朝8時の電車に乗ってフジロック。詳細後日、この日の食事を「外食」とするかの判定は微妙もあえてカウントにして食事のみ記載、昼:タコライス~晩:カツ黒カレー~深夜:讃岐天ぷらうどん~翌朝:駅で天ぷらそば
29日(日)朝バスを待ちつつ、堀田凱樹・酒井 邦嘉『遺伝子・脳・言語―サイエンス・カフェの愉しみ』読了。いやあ、おもしろい本だった。~帰深~家に帰るとついにキュウリがなって、裏のシソと塩でつくって父親にもやって食べる。昼は競馬しながらちょっと仕事して参政権を行使~帰りに生徒間で話題の老舗地区商店を視察~メール便を出しに行く途中で大雨に~しばらくぶりで拾六間・福龍で大盛り醤油ラーメン~さらに仕事しようとするがかんたんに力尽き、深く何も思い出せない眠り

いつの間にか8月になって梅雨は明け、ベルイマンやアントニオーニやらの外国映画人、日本でも阿久悠、小田実といった人々が亡くなって、8月はこんな季節。家のねこどもも動きがあったようなそうでもないような、フジロックの7月28日はカロンタンがいなくなった日でもあったので、恒例のその記事はまたあらためて。

ここ数日よく働いていて、今日はM君と地理などの勉強をして、そういえば日曜の毎日読書欄を読んでないと探し、見つからない代わりに1ヶ月前、これも読んでなかった7月1日の毎日新聞読書欄に読み入って2つの文に撃たれる。

後の方からにしよう。帯コラム『好きなもの』で、初めて知った三田のフレンチレストラン「コート・ドール」斉須政雄さんの「豆」という文章。ネットで探したのだけれど見つからない。なので、冒頭から一部だけ写経。

===================
毎朝、健康管理もあって、豆を食べている。皮が薄く、実の柔らかいトラ豆。水で炊くだけなので味はない。しかし、感触はいいし、無味ながら甘さが感じられ、食べ飽きしない。お米の感触に近いのだろうか。
味覚の坩堝のなかで仕事していると、つい無意識のうちに既成概念の味付けをしてしまいかねない。日々この無味の味に接することで、逆に大胆な調理ができるのではないかと考えている。
豆は次世代にわが身を託すタイムカプセル。そんな意味でも気に入っている。昔から好きなのは豆腐や黄な粉。言うまでもなく、いずれも姿を変えた豆である。ちなみに、店ではレンズ豆を使うことが多い。
===================

何だろうこれは。つい全部写してしまった。
音楽でいえばエリック・サティかなオーネット・コールマンかな。勝手で、エレガントで、よくわからない。
「つい無意識のうちに既成概念《の》味付けをしてしまいかねない」というところを何度も巻き戻してしまう。「昔から好きなのは」だと、何が「言うまでもなく」だよ、「ちなみに」とはよくいったもんだ。
《ちなみに》、この《の》には保坂和志『猫に時間の流れる』を思い出したし、初めて「レンズ豆」を食べた時、一緒に食べていた編集者のMさんに、「『レンズ豆』って『メガネざる』に似てますね」といったら、「名前がぁー? にてるにてる!」と喜んでいたこともおぼえている。

そしてその2ページ前。
「岩波文庫80年特集」、池澤夏樹さんの「兵士か囚人になったつもりで選ぶ究極のキット」5点からシェイクスピア、ソネット18番の冒頭を。

===================
Shall I compare thee to a summer's day?
きみを夏の一日にたとえたらどうだろうか
(高松雄一訳)
===================

このさわやかな一編を捧げた、しばしば「汝」と訳される古語「thee」を、湯気の立つような庭で伸びている、わが愛ねこティー=「tee」に置き換えてみる。

===================
Shall I compare tee to a summer's day?
ティーを夏の一日にたとえたらどうだろうか
===================

きっと、にゃあとティーは目を細める。

だって「th」の発音なんて難しいだろ。「そんなのできない!」と、トリュフォー『大人は判ってくれない』のアントワーヌもいっていた。

池澤さんはこの十四行の構成を「完璧」といい、最後まで「分解のしようがない」、そして「引用はあきらめよう」という。だから私もならって、その最後だけ引用しよう。

===================
and this gives life to thee.
そして、この詩がきみにいのちをあたえる。
(同訳)
===================

この蒸し返す暴力的な夏がなくては、いのちも豆もきゅうりも育たない。

(Phは夕涼みのティー。BGMはiriver中のオムニバスで、ジム・オルーク life goes off からルー・リード perfect day に換わったところ)

※斉須政雄さんについては http://www.1101.com/what_eat/2003-02-27.html
 ソネット18番は http://www.geocities.jp/todok_tosen/shake/son.html

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