満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

長生き競争 作:黒野伸一

2015-02-25 | 本の紹介


初版:2008年。今から7年前。
ドラマにもなった作品だから、「あっ、コレ知ってる!」と思う御仁も多かろう。

黒野作品「万寿子さんの庭」←以前の記事はコチラ
が面白かったので、つい触手が動いた。

聡、弘、明男、正輝、博夫、規子 男5人に女1人。全員76歳。
6人は小学校時代の同級生だ。
76歳といえば20代から見ればジジイにババアだと思いがちだが、
大病さえしなければ比較的元気なのだ。そこそこ金も持っているし暇もある。

そこである日開かれた同窓会でマッチョで元気な明男が能天気な提案をする。
「この中で誰が一番長生きをするかって賭けをしよう」
「みんなで掛金を供託し最後に生き残ったやつが総取りする」

歳を重ねるごとに同じような年代が集まると語られる話の内容も違ってくる。
若い頃は異性の話、それから仕事、上司、結婚、子供の成長と流れ
中年を過ぎると親の介護に加え、健康の話が多くなっていく。
ともすれば不健康自慢の大会のようになってしまう時すらある。

誰それが結婚したとか、離婚したとかの話が
気がつけば誰それが死んだとか、誰それが入院したとか…。

本書でも語られていたのだが「健康寿命」なるものがあるらしい。
女性75歳 男性71歳。平均寿命に比べると随分と若い。
それを無事にクリアし75歳~80歳までの5年間が一番危ないらしい。
危険地帯を乗り越え80歳になるとまたしばらくは大丈夫だそうな。

で、フっと気がつけば自分たちは全員76歳だ。
一番危ない75歳から80歳に突入している。
明日の朝、無事に目覚める事が出来るかどうかも解らん状態なのに
生き残りを掛けて賭けをしようとしている。
言いだしっぺの明男は日頃の鍛錬に自信があるのか総取りは「オレだ」みたいな顔をしている。

とここで老人特有の頑固さと意地が、少量飲んだ酒の勢いで芽をふき
賭け金総額五千七百万円のゲームがスタートした。
実際は金持ちの博夫が皆の元気の元になればと、多額な金額を提供したのだがの。

一見、能天気さとバカバカしさが混同したような賭けだが
危険もはらんでいる。
普通友人同士なら誰かが病気になった時に心配するもんだが
そこに金が絡むと、果たして本当に心から心配出来るもんか?と
でも、そんな話にはならなかった。
そこが70代。だから70代なのかもしれん。

聡の今年41歳になる独身娘の智子。
彼女の話は良かった。単なるバカな若作りのスネかじり娘かと思ったら違った。
社内リストラを敢行し、アホでどうしようもない上司を歯牙にもかけず
パッと自らの首を切り会社を辞める潔さ。
子供の頃、戦争を体験した聡たち老人には適わないのかもしれないけれど
ちゃんと今の時代を自分なりに戦っているのだなっと感じた。
私もつい最近、妖怪会社を退職したのでとても実感できた。
そうだった。私も日々戦ってた(笑)

小学生の頃、70代のバー様に「死ぬのは怖くないの?」と聞いた事がある。
バー様曰く「信心があるから怖くなんかね~」
バー様の仏壇には色んな神さまが雑居状態で、何にでも手を合わせていた。
幽霊も妖怪もなんでも信じていた。
「怖くない証拠にワシが死んだら幽霊になって会いにいくよ」っと言っておったが…
結局、会いに来なかった。
会いたかった気持ち半分。本当に会いに来たら怖い気持ち半分。
でも、ちょっと期待して待ってた自分が居た。

30代の頃、義母の看病で病院に寝泊りしたことがある。
ガン病棟だったもんで10ほどある病室に、毎晩順番のようにすすり泣きが聞こえた。
ここに入ると皆さん十日は持たない。それでも義母はひと月ほど頑張った。
この時ほど死を身近に感じたことは無かったけれど
今思えばまだまだ他人ごとだったのかもしれん。

生まれたからには死なねばならない。これは命を得たモノの宿命だろう。
この本は、おちゃらけた題名ほどお笑い話ではないので、重いと感じる人も多いかもしれん。
でも、本当に誰もが通る道なのだ。
だから手にとって読んでみた。
本当に勉強になった。私もこんな風に70代以降をすごせたらな~っと思った(笑)

もしよければ読んでみるべし


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ユミ)
2015-02-26 12:41:42
初めまして、ユミと言います。

年齢は20歳で才色兼備で…笑

冗談はさておき、私が「死」に対してものすごく怖がっていたのは18歳頃だった…

原因は覚えていないのだが、とにかく寝る前に「明日の朝、目が覚めなかったらどうしよう…」と言う心配が頭から離れなかった。

それほどその頃の毎日が楽しくて、生にしがみつきたかったと言う記憶は無いので、あれはただの思春期の迷いだったのかも…

そして還暦を迎えた今…「死」はかなり遠くにある…笑

笑ってはいけないのだろうが、今や親しい人がかなりの人数鬼籍に入っている。

そうすると、向こう側に行く事に対する恐怖心が薄れているわけだ。

もちろん目の前にさしせまった現実が無いからそう思えるだけだとはわかっているが、とりあえずは能天気な中年婦女子を楽しんでいる♪

やはり長さよりも濃さ…頑張って「濃~いオバサン」の道を…それでも出来るだけ長く歩きたいと言う勝手なオバサンではある…笑

だから…付きあってね
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毎年2月は考える。 (トミー。)
2015-03-01 11:16:18
お久さ!
だんなが亡くなった2月にはどうしても 死 について考えざるを得ないです。
自分の死については、以前占い師に長生きすると言われてから自信を持っていたのですが、最近は自信が揺らいでますね。
人生絶対ということはありえませんから。
でもまだ真剣には考えていない私。
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昔に戻ったねぇ~ (せっちゃん)
2015-03-05 15:00:32
満天さんの「本の紹介」を読んでいると読みたくなるから不思議ですよ
確かに子供の頃は『死』に恐怖がありましたが
還暦を過ぎたこの年ですと、恐怖感はありませんが
寝たきりになったりボケるのが怖いですねぇ~

津波で沢山の人が亡くなって、生き残っている事にも
大きな意味があるのか無いのか未だに疑問です(?)

でも、主人よりは1分でも後に逝こうという思いが私を支えていますよ(笑)

誰かの変わりに逝けるなら意味のある人生だったと思えるんですがねぇ~

ぼちぼちでいいですから満天節を更新して下さいね。

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ご無沙汰です。 (fuka)
2015-03-11 15:21:39
先日、畑中恵を2冊ほど読みました。
頭の隅に、満天ちゃんのしゃばけ紹介が有って
。。。。。

私・・・今、引き籠ってます。11日間ですが~~
しゃべらない、動かないの自堕落であります。
反省し、明日は面接受けます。
就活です。終活もせねばいけないので、多忙に自分を向けます。
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ご返事どす~ (ユミちゃんへ)
2015-03-17 15:42:05

オッ!ユミちゃんで初参加(爆)
これからもヨロシクね。
あ…でも、、、
才色兼備な20歳じゃ、私と話が合わんかの~
(ブワハハハハハ)

ユミちゃんは18歳でそんな事を考えておったんか?
ワシはやっと最近よ(笑)
来年もまた無事にこうして遊んでられるかの~とか
考えるようになったんは(笑)

長さよりも濃さって…(笑)
本当は濃くって長くじゃろう(ハハハハハ)
お互いに頑張ろう!ほいで80歳くらいで船の旅行でも行こう!
もち、ゴルフバック持ってな(笑)
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ご返事どす~ (トミーどんへ)
2015-03-17 15:46:35

なにを言わっしゃる。トミーどん。
私のブログの過去コメントのどこかに
「私しゃ100まで生きるだ」とか書いてたよね
(アハハハハハ)
100まで頑張ろう!お互いにさ。
ほいで憎まれつつも漫画抱きながら眠りにつこう
漫画と一緒に燃やしてもらえれば
よく燃えて骨も残らんかもしれんが…(笑)
きっと旦那さんも苦笑しながら待っておるぞよ~
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ご返事どす~ (せっちゃんへ)
2015-03-17 15:50:40

ほんに。申し訳ないほど久ぶりっす(笑)
会社を退職してから生活のリズムが変わって
なかなか自分のリズムに慣れていない毎日を送っているでやんす。
なんだろう?この健全なる生活は・・・(アハハハ)

せっちゃんも若い頃から死を意識していたのか~
そうそう。せっちゃんの言うように死ぬのは致し方ないことなので仕方ないとしても
ボケたりするのが一番怖いわ。私も(笑)
またボケ防止のためにブログ遊びに参加するんで
よろしくです~~
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ご返事どす~ (fukaちゃんへ)
2015-03-17 15:56:08

fukaちゃん!元気だったかや?
私しゃボドボドでの~。や~っと元気が復活してきたぞ
いやはや…時間かかった(笑)

面接どうじゃった?
あれ、受けるのも疲れるからね。
11日程度なら引きこもっても全然OKじゃと思うよん
私なんぞ1年近くだもんね
ってか引きこもってもエエんじゃっと思ったとたんに元気になってきたさ(笑)
私しゃ根っからの天邪鬼なんじゃろうかね~
またちょこちょこ遊んでくれよ~
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