満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

だましゑ歌麿 おこう紅絵暦 作:高橋克彦

2010-12-09 | 本の紹介
 

「だましゑ歌麿」は高橋克彦原作で「週間文春」に1998年~1999年まで連載され
2009年9月にテレビドラマとして水谷豊主演で放映された。
テレビドラマを見たが…とても本まで読む気になるような作品ではなかった(ハハハ)

その後「おこう紅絵暦」なる本を手にし、読みたいなっと思ったが
「だましゑ歌麿」の続きの作品らしく、先にコチラを読まねば理解が半減するらしい。

結局、悩みに悩んだすえ、高橋克彦作品に今まで不発は無かったことを思いだし
2冊を買いこみ、読んでみることとした(笑)

内容はともかく、やっぱり大御所(笑) 安心して読めた。

彼の作品は、その殆どを読んでいる
SFから時代ものからホラーまで、多岐に渡る作品群を書いているので
人によっては、当たり外れのある作者だと思われている。
が、その筆の滑りは見事で、短編「記憶シリーズ」は絶品である。
ただ、色々な研究が交じり合い、時にトンデモナイ設定を組むので
読者は付いていけなくなる時がままある(笑)

中でも江戸の浮世絵の謎を解く「写楽殺人事件」「北斎殺人事件」「広重殺人事件」は
秀逸で彼の作品の中でも大好きであった。

今回は歌麿と北斎が出てくる。高橋克彦氏の得意分野であろう。

「だましゑ歌麿」では、
深川一帯が嵐による高波に襲われ、大勢の死者を出したのだが
その中に浮世絵師「喜多川歌麿」の妻がいた。
でも、どうやら高波で死んだのではないらしい。
誰かに連れ去られ無残にも殺害されたようだ。

たまたま歌麿は地方へ出かけていて居なかった。
当時は田沼意次の賄賂時代が終わりをつげ、倹約を押し薦める松平定信の時代。
定信に一番目を付けられていたのは…かくいう歌麿であった

バックが大きすぎるが、南町奉行所の同心・仙波は生真面目な性格ゆえに引き下がれない
定信の側には火附盗賊改の長谷川平蔵がいる
果たして真実を明るみに出すことが出来るのだろうか?

なかなか面白い話であったが、火附盗賊改の長谷川平蔵フリークな私にとって
彼が悪役? ってな部分が受け入れがたく、
きっと何処かで正義の味方になってくれるんじゃなかろうか?っと期待してしまうもんで
なんとも入りこみづらいお話であった(ハハハハハ)

も一個の「おこう紅絵暦」は、前作の主役、同心だった仙波の妻となった
元は柳橋の芸妓だった「おこう」が活躍するお話し。
まだ絵師として確立していない北斎(春朗)を使い事件を解決していくお話し。

どちらの本もそれなりに面白いが…高橋克彦氏らしい突飛な設定が邪魔をする(笑)

それに…2部作かと思っていた本書は「春朗合わせ鏡」なる作品が追加され
なんと3部作となっているらしい(コチラは北斎が主役らしいが…ハハハハ)

丁度、「お出かけガールズ」で深川に出かけた時に「だましゑ歌麿」を読んでいた。
ココが洪水に見舞われたのか…っと思い、不思議な感覚に浸った。

もともとは隅田川河口のデルタ地帯。洪水が起こったら一たまりもなかっただろう。
江戸は火事も多かったが洪水も多い。確か80数回起こっていたと思う。

どうやら先の事業仕分けで「スーパー堤防」とやらが廃止となった
200年に一度の大雨に備えての事業だが…
完成までに400年。。。総予算12兆円とは…いくらなんでもザッパ過ぎた(笑)

本気で民衆の命を守りたいと思うのなら、政府も本気にならねばならない。
200年に一度の大雨に備える事業が、400年も掛かってしまっては
2回も多大な被害に甘んじろっと言う訳だ、しかも12兆円も使って(笑)
もう、この感覚が民とはズレている。

ましてや、この廃止に意義を唱えた人の中に
この事業推進途中で河岸のプーさんが消えたのに…なんて言う人も居た。
良く考えて欲しい。根本的にこの二つは違うモノだ(笑)
瓢箪から駒を前面に出してグチる前に、その消えたプーさんは何処へ行ったんだ?
本当はソコん所をシッカリやらなくてはならない立場の人のこの発言に
呆れてしもうた。

どちらにしても、やるなら200年以内に作らねば意味がない。
また200年どころか千年経っても、遜色のない事業を構築しなければならない。
国がすべきこととはそういうことだろう。
江戸はそうやって民を必死で守った歴史を持っている。
治水も灌がいも、今見ても素晴らしい技術が溢れている。

なんてな。つい、深川を歩きながら洪水で亡くなった沢山の人へ思いを馳せ
私こそ、天にグチってしもうた。

ただこの作品もチト微妙であった(笑)
作者の気持ちは解るが、歯車がガチっとハマってないような…
そんな空回り感が随所に見えた。狙いどころは面白いのに、残念である。

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6 コメント

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江戸は海と河の町だったんですねぇ。 (すず)
2010-12-09 16:21:21
>ただ、色々な研究が交じり合い、時にトンデモナイ設定を組むので読者は付いていけなくなる時がままある(笑)

 高橋さんの作品を、完璧に表現して下さいましたね!(笑)私も『記憶』シリーズは大好きでした。『ドールズ』とか『総門谷』とか、東北人独特のね暗い恐さが良かったんです。

満天様がおっしゃるように、本の題材になった土地や建物を、実際に見て体感したり、現代と当時を比べてみたりすると、味わい深くて感動しますね~♪
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ご返事どす~ (すずどんへ)
2010-12-10 09:13:43

最近、江戸づいておる(ハハハハハ)

前にすずどんのところで教えてもらった
「天地明察」を読んだよん
実にオモロかっただ。(近日、レビューを公開するだ)

本屋でも江戸ものが人気が出ておるの~
ほいで江戸の古地図と現代の地図がリンクした雑誌が沢山出てる。
かくいう私も何時か暇を見つけて歩き回ろうっと…そういう雑誌を買っただ(笑)
「ぶらタモリ」見ておる?あれ、大好きでの
あんな風に見て回れたら楽しいな~

「ドールズ」!これはオモロイよね(ハハハ)
おジイが子供の…しかも女の子に憑依ってだけでもオモロイ発想だと思う(笑)
総門谷はどんどんあらぬ方向へ行くので、途中で頭が混乱したがの(ハハハハ)

ココで載せた北斎主演の3作目…手にいれて読んだけど…
悪くはなかったけれどノリ切れなかった(笑)
なんでだろう?残念だの~~
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むむっ。 (木家マス)
2010-12-10 20:24:31
火附盗賊改の長谷川平蔵・・・僕も大好きっす!
なんかイメージが渋いもんね。

ところで高橋克彦ってあのちょっち頭が薄くって、面倒なんで最近坊主にしてる・・・・・あっ、あれは高橋克己でした・・。    
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ご無沙汰しています… (yumipooh)
2010-12-14 09:59:42
満天さんお元気そうでなによりです。
私も元気にしております。
娘が4月に4620gもあるジャンボな男の子を生んで「はぁ~あ」の毎日を送っています。
最近やっと普通の赤ちゃんらしくなってきました。

お菓子も送れず、満天さんごめんなさい。

ブログちょっとずつ読ませてもらいます。
ちなみにyumipoohもゴールド免許だよ。
罰金は悔しくて、痛い!
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ご返事どす~ (木家マスターどんへ)
2010-12-15 14:50:31

良いですよね~~長谷川平蔵(笑)

でも、この本では…なんとも出来の悪い人となっておりやした~
ま、確かに「人足場」の発想は良かったんですが
知りきれトンボの感は否めない部分もありますがの~

>高橋克彦って…
そうそう、その人!っと思いながら読んでしまった(ガハハハハ)
ま、似たようなもんでしょう(笑)
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ご返事どす~ (yumipoohどんへ)
2010-12-15 14:54:31

お久です!
元気かの~~っと思っておりやした(笑)

なんと、娘さんは出産しておったですか
大きな男の子。頑張りましたの~~
私の弟もエライ大きく産まれましたが
途中で普通サイズになり…そのまま普通化するかと思いきや
190近い大男となりました(ハハハハハ)
男の子は小さいよりは大きい方がエエどす

お仕事プラスお孫さんの子守?でしょうかの?
年末年始は忙しいので体に気を付けて頑張りましょうね~~
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