満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

万寿子さんの庭:黒野伸一

2011-04-19 | 本の紹介


ちと…本書の紹介画像が大きかったか?(笑)

右目の斜視にコンプレックスを抱く20歳の京子が
就職を機に引越した先で、変わりものの78歳万寿子さんと出会う。

始め、万寿子さんから様々なイヤガラセを受け、信じられない状況となるのだが
負けじと万寿子さんと対峙しているうちに、二人の間に年齢という枠を超えた友情が芽生える

「思いやり」とか、「都会で暮らす淋しい二人」とか
そんな関係でない所に、とても好感が持てた。

昔からそうなのだが、少々年配のご婦人に向かって若者は「お母さん」と呼ぶことが多い。
まったくの他人なのに、話すキッカケを作るための愛想の良い表現で使うこの言葉は
意外と年配のご婦人には嫌われている言葉なのだ。

他にも「お父さん」だの「おばあちゃん」だの「おじいちゃん」だの。
「私には、ちゃんとした名前があるの!」
「私はアナタの
お母さんでもおばあちゃんでもないの!」


そう心の中で思っている紳士淑女は、若い人が思っている数より相当多い。
かくいう私も20歳ころ、50歳前後の方に「お母さん」っと言い、とても怒られた経験がある。
その後、そういう呼称で呼ぶことを辞め、
そして私も50代となったが、今なら私を怒った彼女の気持ちが良く解る。
ただ年齢を重ねただけで、個人ではなく呼称で呼ばれるのは確かに我慢ならん(笑)

でも結局はそんな事も、諦めて受け入れていってしまうのだろうと思っていたのだが
本書の万寿子さんは、78歳となってもハッキリと嫌なモノは嫌!っと言える女性であった。
だから自分より周りが、見かけだけで「おばあちゃん」っと呼ぶのも我慢ならないし
手助けなんかもしてほしくない。
まだまだ自分の事は自分で出来るのだから、放っておいて欲しいと思っていたのだ。

そんな時に20歳の京子が現れる。
他の人と同じく年寄り扱いしていたが、ズケズケと本当の事を言ってやったら
なんと同等の立場で反目してきた(笑)
これが万寿子さんにとって、どれだけ嬉しく、そして楽しい出来事だったか

私も既にそんな淋しい気持ちを経験している。
10歳か20歳かしか違わないのに、タメ口で話してくれるような人が居なくなってきた
ま、そりゃ~そうか。とも思うが…少々淋しい(笑)

もともと私自身が傍若無人な怖いもの知らずな性格だったもので
10歳や20歳違ったからといって、一線を引いたりせずに年上との交流を保っていた
月日が流れ私が歳を取り、逆の立場になった時に
そういう傍若無人な後輩が、最近は少なくなってきているのがなんとも悲しい(笑)
そうやって考えてみれば、私は年上には可なり好かれていたな~っと思う。
ある意味、貴重種だったのかもしれん(アハハハハハ)

よく「異業種交流」は楽しいし勉強になると聞くが
「異年代」ってのも同じく楽しいし勉強になるんだがの~~(笑)

さてこの物語は最後には、ちょっと重たい介護の話へと発展する。
ただ家族が親を介護したり、介護士がお金を貰って介護するのとも違う
友情から端を発した介護の姿が見られる。
それが良いとか悪いとかではなく、そうしたいから自然とそうなった介護。
ほとんどの人が「無理」と思ってしまうだろうと思うのだが
なぜか気持ちが解る。そうは出来ないけれど、とても気持ちが解る。

万寿子さん、幸せだな~
京子ちゃんも、幸せだ。

作者の黒野さん、私と同じ歳の男性だ。どうしてこういう話が書けたんだろう
読み始めたら止まらない。機会があれば是非、一読あれ~



ブログランキング・にほんブログ村へ

 

ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)

ブクログ ←満天書店入り口

満天商店

2011-04-12 | 会社のハチャメチャ
今年、我社に入社したのは
大卒1名、専門卒1名、高専卒2名、中途採用3名であった。

このことからも解るが、今年も新卒は大変な就職難だったみたいだ。
大卒と普通高校の新卒は、不況に強い我社でもことごとく落としていき
出来る限り即戦力となる人材の確保に重点を置いていた。
今後就職を本気で考えるのなら、ある程度のビジネス用語や
ビジネス文書作成能力または電話応対程度は、各学校で身に付けさせてからでないと
この未曾有な就職難は乗り切れないのかもしれん。

とはいえ…最近は中途採用者でも、電話すら上手く取れんがの~(ハハハハハ)

さて、老齢厚生年金を受給する時に、65歳未満の妻や18歳未満の子どもを扶養している場合
所定の年金支給額に加算が貰えるという制度がある。
これを「加給年金」と言う。
この「加給年金」を貰うには条件がある。

1.配偶者は65歳未満、子どもは18歳(障害者は20歳)になって最初の3月31日までの間

 我が家は子供は居ないのだが、夫との年齢差が11歳ある。夫が年金受給してから
 11年間は加給分が貰えるということになる。

2.配偶者や子ども、それぞれの年収が850万円未満であること

 年収…850万ぞ。だいたいそんなに稼いではいないが、
 妻が働いていても加給分は貰えるってことだ。

3.配偶者の厚生年金加入期間が20年未満であること

 実は私の厚生年金加入期間は、今年の5月で20年となる(笑)
 このまま正社員として働き続けた方が良いのか、辞めるべきなのか…
 この3番でとても悩んだ。

一人で悩んでいても埒がないので、私しゃ社保へ出向き相談することにした。

社保のオッサンは、何の迷いもなくこう言い放った
「貰えるもんは貰っておきなさい」
(アハハハハハハハハ)

色々と計算したりしながら悩んでいたのがアホらしくなるくらいな迷いのないお答えに
すっかり憑き物が落ちたようにスッキリした。

そこで会社へ「退職届け」を提出し、理由もウソなく正直に述べた。
だって、老後が心配なんだも~ん。ってな(笑)

っということで、厚生年金支払い期間ギリの4月末で退職する運びとなったのである。

ところが、妖怪会社の大妖タヌキの会長が
「扶養の範囲内で我社で働かないかい?」っと持ちかけて来たのだ。
このブログを読んでくれている方なら解ると思うが、我社の会長は稀に見るほどのド・ケチである。
我社のことをよく知っていて、安い給金で働いてくれる人間をホイっと手放す訳がない。
一見、親切そうに言ってはおるが、その裏側には計り知れない計算が働いておるのだ。

「この話を鵜呑みにすれば、エエように使われる…」そう思った私は
まったく別な働き方の提案をしてみた。
その働き方とは、「個人事業主」である。

簡単に言えば「満天商店」になるってことだ(笑)
「満天商店」として事業を起こし、我社と契約を結び業者となるのだ。
年間の儲けが少なければ、夫の扶養となることも可能だし
儲けが多くなれば、自身で社保に入れば良い。その時は個人事業主なので国民年金への加入となる。
年間65万までは所得控除の対象となるし
「満天商店」の本拠地を自宅とすれば、電気・ガス・水道を経費として申告でき
また交通費なども経費に出来る。
ただし、毎年確定申告をしなければならないので、その点は面倒だがの(笑)

ちょっと面白そうなので、前々からやってみたいと思っていた
今回は良い機会なので会社に言ってみた。
もちろん会社にとっても、とても助かる働き方なので速攻でOKが出た
が…その後、働く内容の話となると、なんか正社員の時より仕事量が多いような・・・(ハハハハハ)

ま、その点については現在協議中である(笑)
少しはノンビリしたいでの~~(マジで疲れておるんじゃ~)

始動してみて、アカンかったら辞めるさ~
ってな気軽な気分でスタートしてみようと考えている。

どうなることか、今後の「満天商店」のハチャメチャぶりに乞うご期待だ(ガハハハハ)

ブログランキング・にほんブログ村へ

 

ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)

ブクログ ←満天書店入り口

妖怪アパート

2011-04-05 | 本の紹介


主人公の稲葉夕士は中学一年の時に両親を交通事故で亡くす。
その後、夕士は叔父の家で暮らすこととなるが、同じ歳の娘が居る家庭では馴染めない。
高校は学生寮のある学校を選び、叔父の家から出る決意をする。
しかし夕士が入学する前に学生寮が全焼してしまう。
叔父の家から学校へ通えないこともないのだが、叔父の家を出たい夕士は
アルバイトで稼いだお金を元に学校の近所でアパート探して回る。
だがなかなか高校生の夕士が借りられるような安い物件はなかった。

そんなとき、「前田不動産」に出会い「寿荘」という賄い付きの格安物件を紹介される。
ところがそこは…ちょっと不思議な「妖怪アパート」であった。

妖怪アパートの大家は卵鬼神という巨大タマゴに小さな目鼻のついた御仁だし
一見普通のサラリーマンのように見える佐藤は、実は人間に憧れている妖怪だったり
いつも庭掃除している妖怪、玄関で挨拶する妖怪、掃除が趣味な妖怪など、ちょっと不思議な妖怪たちに
親に虐待され死んでしまった子供の幽霊「クリちゃん」、クリを守る犬の幽霊シロ
賄い担当だが手だけの幽霊「るり子」さんなど、成仏出来ずこの世をさまよう幽霊たち
それに本当に人間なんですか?っと思わず聞きたくなるような人間が数名居住している

ここは一見普通のアパートのように見えるが
実は妖怪&幽霊&人間の3世代同居のアパートなのであった~(笑)

本作は単行本で1~10巻で完了。
文庫本ではまだ1~5巻までしか出ていない。
文庫で購入している私は続きが読みたくてウズウズしておる。

「自分ってものをしっかり作ることができなかった人間は、
なにがあっても自分に自信が持てないんだよ」


私は現在、妖怪だらけの会社へ通っているもんで…(笑)
時々何が真実なのか見えなくなる時がある。
なんでそんな些細なことで心を閉ざしたり、暴力的な行動に出たりするのか解らず
どうにも頭を悩ませていた。

そんな時にこの本の上記フレーズを読み、「ああ、そうか」っと頭の霧が晴れた気がした。
彼等は自分に自信が持てないまま成長し、学校生活より広い社会に出て
周りを怖いと思っているのかもしれん。
だから必要以上に自分を誇示し、受け入れられないと人を呪い、
悪い結果を全て他人のせいにしてしまっているのかもしれんの。

「絶対に自分は間違ってない。間違っているのは他人の方だ」っと叫ぶ彼等に
どうしてそこまで自分に自信が持てるのかが不思議だったのだが
裏返せば逆で、自分に自信がなく自分と向き合うのが怖いので、
滅多やたらと、吠えている可能性が高いのだろう。

根は素直で良い子達なのだが、これといった会話もしていないのに
印象などで簡単に、自分を認めてくれる人とそうでない人に分けてしまう。

仕事で彼らの成長を促すために、ある程度のところで彼らに任せる上司などに
「仕事を自分に押し付けた」と言ってしまう。
解らないなら解らない。出来ないのなら出来ないと上司に報告し
意見を聞き、どうしたら良いのかを相談することが出来ないらしい。

ほんの少し、自己を見つめ視野を広げれば、もっと大切な事が目に入るのに。

悲しいことに彼等は類は友を呼ぶで、小さいながらも団結し
社長の覚えが目出度いことを笠に着て、「オレらの一言でお前なんぞ辞めさせられんだ!」なんぞと
空虚な言葉を発してしまった。

この先彼等が歳を取り、万が一にも自分を見つめ、自分の小ささに気付いたときに
この言葉は、一生自身のアホさ加減を苛む言葉となるだろうに。っと思ったが…
還暦過ぎた夫曰く、若い頃に自分を作れなかった者は一生無理。と切り捨てる
そして、周りの誰もが同じことを言っていた。

30代後半、まだまだ若い彼等に何とかチャンスを与えたかったので
少し接触して…色々と注意をしてしまい…なぜか…彼らの矛先が私に来てしまった(笑)
「満天さんって…性格悪いっす」なんぞと社長へ進言したそうな~(アハハハ)

「悲しいことは、悲しんでいいんだ。
腹が立ったら、怒っていいんだ。
それが、そうしたところでどうにもならなくても。
そうすることによって、それは
自分の世界の一部となって「生きる」んだ。」


なかなか嫌な出来事があっても、この年齢になると怒ることが出来ない。
悲しむことは出来るのだが、怒ったところで何にもならないことが解っているし
怒りは何も産まず、自身が惨めになるだけだろうっと思ってしまっていた。

「満天さんって…性格悪いっす」なんぞと言われ
社長が驚いて「そうなの?」っと各所へ確認したらしいことを聞き、怒れば良かったのだろうか?

ところが確認された人々が声を揃えて「満天さんは良い人で、悪いのはアイツ等」と言ってくれたらしい。
なんとも言えず、温かいものが胸に広がったが…重しのような悲しみが心に落ちて離れない。
本書の上記文章を読んだ時、自分が本当はどうしたかったのか?を少し考えた。

多分、何もしなければこういう事にはならなかったと思う。
私がいらぬおせっかいをしたがために、彼等はより墓穴を掘り、ますます孤立化してしまった。
年寄りの意見は聞いて従うもんだった、と思ったところで後の祭り。

その後も何事も無かったかのように接しているが、彼等の「してやったり」のニヤニヤが見える(笑)
まだ、自分達は有利な立場を保っていると、本気で思っているらしい・・・。
ここまで周りが見えない者に振り回された自分に少し腹がたち。
そしてやっぱり年寄りの言う通り、解ってはもらえなかった悲しみが重さを増す。

この出来事の少し前に会社に退職届けを出していたのだが…
会長を含め、大勢の方々から「ノンビリで良いから残って欲しい」と言われた。
本来ならスパっと辞める方向に気持ちは行っていたのだが
上記の件の決着がついていない(笑)
彼等には可哀相だが…やられっぱなしは、私の性に合わぬ。
(ガハハハハハハハ)

「満天さんって、性格悪いっす」…が、あながちウソではなかったってことを
身に染みて感じてもらうってのも、楽しいかもしれんの~~
本当の性格の悪さってもんがどんなもんか知るのも勉強のうちじゃろう(フフフフフ)

五月蝿いけれど言ってくれる人が居たってことが、どれだけ得がたいことか
彼らが気が付く時はくるのだろうか?

「腹が立ったら怒っていい」ってな言葉を読んで
本気でヤリ返さなかったから、彼らは増長しているのかもな~なんぞとも思う。
もちろん歳が歳なので、殴りあうわけにはいかんが…(ガハハハハ)
人間っぽく振舞っているけれど、実際私しゃ大妖かもね(ハハハハハ)

そんな私なら、この妖怪アパートに入居出来るだろうか?
老後はこんな賄い付きのアパートで暮らしたい、なんぞと思いながら読み終えた。
続きが早く読みたいの~っと思う(笑)

ブログランキング・にほんブログ村へ

 

ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)

ブクログ ←満天書店入り口