満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

『日出処の天子』 作:山岸凉子

2018-10-19 | 漫画紹介
1980年~1984年『LaLa』(白泉社)掲載





写真は「花とゆめコミックス」全11巻 と 「白泉社文庫」7巻

すべていつもブログでお世話になっておる
猫とマンガとゴルフの日々」トミーさんからお借りしました。

が…ちょっと長く借り過ぎてしまったかも…(す・すみません。。)

■まずは…年表形式でザックリ各巻の出来事をば

※第一巻
西暦583年 蘇我蝦夷14歳 女装した厩戸王子(のちの聖徳太子)10歳と出会う

※第二巻
西暦585年 厩戸の父『豊日大兄王子』(とよひのおおえのおうじ)即位
西暦587年 厩戸の父、即位して2年で崩御

※第三巻
西暦587年 仏教派「蘇我氏」と神道派「物部氏」神仏戦争勃発
       仏教派「蘇我氏」勝利
       厩戸王子の異能に益々の磨きがかかる。

※第四巻
西暦587年 厩戸の母の弟『泊瀬部大王』(はつせべのおおきみ)即位し
       崇峻天皇(すしゅんてんのう)となる

※第五巻
西暦 〃 年 蝦夷、物部守屋の妹『布都姫』と出会い恋に落ちる

※第六巻
西暦 〃 年 崇峻天皇の妃探しに厩戸王子が布都姫の噂を流す
       蝦夷への嫉妬心からか…俗っぽい行動に出る

※第七巻
西暦 〃 年 蝦夷の妹『刀自古』、夜陰にまぎれ布都姫と偽り兄蝦夷と結ばれる。
       厩戸の母、亡き夫の弟と結婚。

※第八巻
西暦591年 崇峻天皇、布都姫と無理やり結婚。
       刀自古、兄「蝦夷」の子を身ごもったことを知る。
       厩戸と協定を結び彼の妻になる。

※第九巻
西暦592年 刀自古、男児出産(蝦夷の子であるが厩戸の子になる・後の山背大兄)
       厩戸、斑鳩に自身の宮を建てる(夢殿建立)

※第十巻
西暦 〃 年 崇峻天皇、厩戸・蘇我の陰謀により暗殺される
       難を逃れた布都姫と蝦夷が結ばれ布都姫妊娠。
       厩戸、蝦夷に思いを告げるがフラれてしまう

※第十一巻
西暦593年 額田部女王(厩戸の父の姉)即位。推古天皇となる
       甥である厩戸、摂政となる。
       布都姫、出産で死去。生まれた子は後の蘇我入鹿(そがのいるか)
       厩戸、自身の母似の美郎女(みのいらつめ・気狂い)を妻とする
       厩戸、中国「隋」へ「日出処の天子書を、日没処の天子へいたす…」
       との書をしたためて…完。

■お次に…ザックリな感想

『LaLa』(白泉社)を毎号買ってリアル読みして以来だから…
うわぁ! 34年ぶりに読んだんだワ。

厩戸王子=聖徳太子は、推古天皇の摂政として冠位十二階、十七条の憲法を制定し、
遣隋使の小野妹子を派遣した

というのが有名だが…コレが最近では古い話らしい。
今では、聖徳太子自体が「居なかったんじゃないかい?」ってな話になっているらしく
教科書から名前が消える日も近いらしい。

だがしかし、
この漫画が世に出た頃の状況は今とはかなり違っていた!
聖徳太子のファンの方々が「聖徳太子をバカにしている!」と、怒り
この漫画は当時、新聞やニュースにも取り上げられるほどの
問題作となっておったのだ。

「えっ!? 漫画に何でそんなにムキになるの?」とあの頃の私は理解に苦しんだが
当時、一万円札の顔になっていた聖徳太子を尊敬してやまない方々からすれば
「ホモ」「異能に邪悪さがあり」「マザコン」「性悪で嫉妬深い」
と描かれた聖徳太子は…とんでもないシロモノとして
彼らには映ったのだろうことは想像にかたくない。

一巻目あたりは絵にも雑さが目立っていたので、そんなに魅力的ではなかったと思う。
同年生まれの花の24年組「萩尾望都」・「大島弓子」・「竹宮惠子」らに比べると
絵に美術的要素が多いのに雑に済ませている所もあり
また、シリアスな話なのにおちゃらけを入れるという所もありで
私にとってはそんなに好きな作家さんではなかった。
が、ついつい読みたくなる作家さんでもある(笑)

ただ巻を重ねるごとに、厩戸王子の着物、指先、目線が艶を増し
ジンワリと目が離せなくなっていった。

蝦夷に自分の恋心を打ち明けた厩戸は
「私を愛しているといいながら、その実自分を愛しているのです。
その思いから抜け出さぬ限り人は孤独から逃れられないのです。」
と蝦夷に拒絶される。

ノーマルな人がアブノーマルな人を拒絶するという話だけではなく
大人になる扉を通過する時のほろ苦さも感じられる言葉だと思う。
ただし、蝦夷がもそっと大人ならこんなにストレートには言わんな~。

※「白泉社文庫」7巻…馬屋古女王(うまやこのひめみこ)
西暦622年 厩戸、49歳で死去 その葬儀でのお話し。

『厩戸の子として育った蝦夷・刀自古の子』山背大兄 
『刀自古の不義密通の子』財王・日置王
『厩戸・美郎女の子』春米王女(山背とは異母妹で夫婦)
これ以降は美郎女の気狂いの血が色濃い
長部(男)・久波太・波止利(女)三枝王・伊止志古王・麻呂古王(男)・馬屋古女王

蘇我入鹿(蝦夷・布都姫の子)

馬屋古女王は目も口も不自由で歩くこともままならないが、父の厩戸王子に似た美女
彼女を巡って山背大兄・財王・日置王・山背王の子である難波王が争う

馬屋古女王は厩戸王子が亡くなるまでの15年あまり軟禁されていたため
本能のみの状態。また、回りの反応や思いに協応し、父から受け継いだ異能を発する。

恐(かしこみ)の卦である馬屋古女王を焼き滅ぼさねば恐ろしいことが起こる
が、それと同時に、厩戸王子が一代で作り上げた一門も崩壊する。
厩戸王子は、自身が作り上げたものをその手で滅ぼすために墓所から現れ…。

西暦643年 蘇我入鹿が山背大兄を襲い、厩戸の子孫は滅びる。
蝦夷の子供同士が争って厩戸一門が滅びたが
蘇我一門も2年後…
西暦645年 中大兄・中臣鎌足、蘇我入鹿を殺害。蘇我蝦夷自殺。

蘇我入鹿が殺害された後、たいした反撃もせずに蝦夷が自殺したとの史実が
とても不思議に感じていたが、この漫画のストーリーから考えると、とても納得。
そう考えると、いかに山岸さんがストーリーを綿密に紡いでいたかに驚く。
ぼんやりとした輪郭から始まり、最後に史実とも合致しながら終わるという離れ業





上の写真は以前、「弥生美術館」にて山岸涼子展が開かれた時に購入したポストカード
やっぱり絵は絶品!
この絵の上手さとストーリーの巧みさで、どんなに時が経っても、また読みたくなるんだな~
恐るべし、山岸涼子作品。

この記事。うだうだ書いていたのと、まとめるのが難しく…
3ケ月ほどかかってしもうた(ハハハハ)
ま、ほぼほぼ少し書いては放置、てな時間が長かっただけとも言えるがの~

以前に読んだことのある人もまた、
新たに読んでみたい人もぜひ、
とても奥深く面白い作品であること間違いなしですだ~

それでは、また!


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いたいけな瞳(全1~8) 作:吉野朔実

2012-11-09 | 漫画紹介


1990年~1993年 ぶーけに連載された作品。
今回、ブログ仲間の「asagiさん」からお借りして読んだ。
物凄く面白かった。ありがとう~~~。

■いたいけな瞳:1巻■

○自殺の心得
「私より好きな人が出来たのなら、それはいいから、それでもいいから
私2番目でいいから…」
そこまで言っても拒否をされ、彼の目の前で電車に飛び込み自殺を図ろうとした彼女に
1人の男性が声をかけた。「背中、押してやろうか?」
彼女にフラれ、彼女を殺して自分も死のうと思っている男と
彼氏にフラれ、彼氏の目の前で飛び込み自殺を図ろうとした女が、駅のホームで出会った。
でも、前向きに歩いて行こうと思い始めた二人には、決定的な違いがあった。
駅のホームに落ちていた花束が生と死を分ける。

※若いころは2番目なんて絶対に嫌!っと思っておったが…。
最近は妻が大勢いる夫もエエかも? っと思っている自分が居る。
人の考えなんぞ、変われば変わるもんだとつくづく思う(笑)

他、ラブレター・幼女誘拐・愛の名のもとに 4収録。

■いたいけな瞳:2巻■

○おとうさんといっしょ
「ほんとうは ぬいぐるみが欲しかった。
百科事典が欲しいといったのは そういえば父が喜ぶと思ったからだ」
もうすぐ父親になる男は、妻が出産のために実家へ帰っている間、子供になった。
昔、父親の顔色ばかりをうかがい出来なかったことを、次々と決行していく。
もうすぐ自分が父親になる。あの怖かった父親に…。
「いやだなぁ おとうさんになんか なりたくないな」
なる、ならない。欲しい、欲しくない。
好きじゃない方でも、それが正しいと感じたなら、人は迷いながらも選ぶ
そうして人は、大人になっていくのだろうか?

※子供の頃、親に言われた言葉
「迷っている2つがあったら、嫌いな方を選べ。それがお前の身になるから」と。
塾へ行きたくない、塾へ行く。嫌いな方は塾へ行く。
選ぶ能力が劣っている子供に対しては有効な方法かも。
でも…付き合う人は、私しゃ好きな方を選んだがの(笑)

他、愛が怖くてテロが出来るか・少女漫画家の瞳には、三等星の星が光る・橡(ツルバミ)4収録

■いたいけな瞳:3巻■

○ささやかな不幸
「不幸によって人格は形成される
好き嫌いはいけないという脅迫観念から、ついつい嫌いなものばかり取ってしまう」
そんな新郎が選んだ嫁は誰もが羨む美人。
結婚式場に見え隠れする終わった恋に続いている恋、はたまた秘めた恋。
嫌いなものを選ぶことも必要だけれども、好きなものを選んだ時に感じる…
あの至福を諦めてはいけない。皆が幸せになるために。

※好き嫌いはいけないと言われて育ったので、
嫌いなものを先に食べ、好きなものを最後に食べる癖がある。
だもんでよく夫に「嫌いなの?」っといわれ奪われる。私の好きなものは、体に悪い。
ヘラっと奪い続ける夫の体が心配だ。

他、ギブニーシェルター・ローズフレークス・本物の贋物 4収録

■いたいけな瞳:4巻■

○恐怖のおともだち
「おとうさんも嫌がるゴキブリを瞬き一つせず一撃で叩き殺す
怖いもの知らずの独眼竜」そんな家政婦の白玉が
人一倍怖がりで常備薬を手放せないほど弱虫のボクの家に居る。
家政婦の白玉がボクに教えてくれたこと。
恐怖を受け入れた時、恐怖と仲良くなった時、いじめっ子を撃退する力が付いた。
あの家政婦のミタを彷彿させるが…こちらの方が古いし好き。
今でも常備薬を手放せない私だから(笑)

※子供の頃に、我が家にも家政婦が居た。小太りな弱々しい人だった。
突然辞めたのでどうしたのかと思ったら、父に手籠めにされたとか…。。。
ん~。他人を家に入れる事の難しさを痛感した小学5年生の私であった。

■いたいけな瞳:5巻■

○犬
よく晴れた冬の朝、父はいつものように出かけて行った。
そしてそのまま会社に行かず、誰にも会わず、家に帰ってこなかった。
父に捨てられた母と息子とそして犬の元へ、1人の男が現れる。
「その犬とお父さんの情報を交換しよう」と言う彼に、息子は強い違和感を感じる。
犬とお父さんを天秤にかけた時、どちらが大事だろう?
ずっと一緒に居てくれた犬と、自分を捨てた父と。

※犬が居た。セントバーナードで名前はエルザ。食事も掃除も世話は全部私がやった。
でも、父と私が同時に呼ぶとエルザは真っ直ぐに父の元へ飛んで行く。
理不尽だ。いつも一緒の私より、群れのリーダーを選ぶなんて。
それとも、自分がこの家でノホホンと暮らしていけるのは、父の稼ぎのお蔭っと解っていたのか
私も犬のエルザを見習うべきだったかな~?(笑)

他、いつも心にスキップを・天使の祝福・夢喰い 4収録

■いたいけな瞳:6巻■

○嘘をつかずに男を騙す方法について
同時に5人の男と付き合い、同じ指輪のプレゼントを5個もらった女は、
内4個を質屋へ持って行った。が、質屋の主の言うことにゃ1個だけ贋物があると言う。
自分に贋物を贈った男は誰なのか? 贋物を手元に置き、本物を売りさばき真実を追う。

※同時に付き合ったことは皆無。そんな面倒なことは私には出来ない。
彼にデートに誘われて、女友達との約束の方を優先し、別れたことがあるくらいだもの。
本当の愛は一つでいい。本当に愛せるという確信は、重ねたデートの数では決まらない。
私と夫は出会って、2回のデートで3ケ月で結婚した。
遠距離だったのもあるが、恋と違って愛と結婚とはそんなもんだと思う。

他、花の眠る庭・ライオンタンポポ・百合の吐息 4収録

■いたいけな瞳:7巻■

○ピクニック
太陽の元では生きていけない病気の彼は、いつも夜の公園で1人でピクニックをする。
そこで拾った指名手配中のテロリスト(2巻:愛が怖くてテロが出来るかに登場)、
結婚式場をテロリストにぶっ壊して欲しいと願う女。思わぬ事態に賑わう彼の家。
そんな状況に一人喜ぶ彼の願いとは?

※どんな理由があったとしても、テロ行為は嫌い。
だって関係のない人を殺したからって、関係ある人の心に、それが響いた例がないもの。
都会の夜は明るいというけれど、北海道に居た時の方が夜は明るいと思った。
空が澄んでいて星や月の明かりがあったから。
都会は一見、明るげに見えて、その実、少し陰に入ると暗さが深い。
違った方向から見れば、また違ったやり方が見つかるはずなのに。
思い込んだら、もうそれしか手が無いように思うのは、どうしてだろう?

他、レンタル家族・夢の格子 3収録

■いたいけな瞳:8巻■

○死は確かなもの 生は不確かなもの
ある朝、氷を抱いている夢を見た。
あんまり冷たくて、手がしびれて、目を覚ますと、妻が隣で死んでいた。
子供の時から死体を見たことがない夫は、部屋のエアコンを冷房にし
毎日妻と一緒のベットで眠る。南極へ移住することを夢みて。

※ジー様もバー様も死んだが、死体は見たことがなかった。
夫の母が亡くなった時に、始めて見たが、それからは次々と…見ている。
私の年齢が年齢だからか? 死に出会うことが増え、最後に会ってやってっと言われる。
でも、いつも思うが…まったくの別モノと感じてしまう。私の知っている彼や彼女じゃない。
生前と同じと皆は言うが、まったく別モノだと私は思う。でなきゃ、火葬なんて出来ない。

他、極めて個人的な病気・薄紅・潤む炎(最終話) 4収録


久々に長々とレビューを書いた。本当に面白かった。
作者の絵の確かさが、複雑な人の心をよく表現していると思う。
それぞれの巻に、私の想いを書いた。読んでくれれば解るように
少し斜に構え、冷静だが熱く、熱いのかと思えば肩すかしをくらうような文章が付いている。
そんな雰囲気の漫画だったのだ(笑)

「いたいげな瞳」とタイトルは銘打っているが、同名作品はない。
「いたいけ」とは、幼気と書く字のごとく、幼げで可愛いらしいの意味もあるが
子供っぽい痛々しさとか、いい歳してなど哀れっぽい気持ちも含む

この作品の中には、いたいけな子供も出ているが、いたいけな大人も多く出ている。
でも、そのいたいけな大人の気持ちがよく解るんだよな~。
誰もが一度は経験した他人には隠しておきたい「いたいけ」な部分がよく表現されている。
だからついつい、2度3度と読み返してしまう。

しかも1度目よりも2度目、2度目よりも3度目の方がより面白く感じるから不思議だ。

ぜひ、機会があれば、読んでみてくだされ。
エエ~作品であった。

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海街diary4 「帰れない二人」 吉田秋生

2011-10-21 | 漫画紹介



一年半ぶりの海街である。

鎌倉に住む4姉妹のお話。

長女の香田 幸(こうだ さち)は、看護師。内科勤務から緩和病棟の現場へと異動。
病弱な妻を持つ医師「椎名」との不倫関係を続けていたが、
椎名がボストンへ行くこととなり同行を求められたが、関係を終わらせた。

次女の香田 佳乃(こうだ よしの)は、地元信用金庫で働くOL。
同作者作品「ラヴァーズ・キス」に登場していた高校生の藤井 朋章と関係があったが
たがいの嘘がバレ、関係を終わらせている。

三女の香田 千佳(こうだ ちか)は、スポーツショップに勤務。
登山家の店長「浜田」のことを慕い同じアフロヘアーにしているが、関係は微妙。
四女のすずとは歳が近いせいか一番仲が良い

四女の浅野 すず(あさの すず)は、上三人とは異母妹。
父親が不倫をし家を出たあとに出来た子なのだが、
父の葬式の時に三姉妹に乞われ一緒に住むことを決意する。サッカー大好き少女。

「帰れない ふたり」「ヒマラヤの鶴」「聖夜に雪降る」「おいしい ごはん」収録

第一話の「帰れない ふたり」は、
井上陽水と忌野清志郎の合作の歌のタイトルと同じ。何か関連ってあるのかな~
清志郎さんへの鎮魂の意味もあるのかもしれん。(私の勝手な思いかも?)

思ったよりも 夜露は冷たく
二人の声もふるえていました
「僕は君を」と言いかけた時
街の灯が消えました
もう星は帰ろうとしてる
帰れない二人を残して

街は静かに眠り続けて
口ぐせの様な夢を見ている
結んだ手と手のぬくもりだけが
とてもたしかに見えたのに
もう夢は急がされている
帰れない二人を残して

もう星は帰ろうとしてる
帰れない二人を残して

なかなか「帰ろう」って言葉が言えない、そんな二人の時間ってのもあるのだが
今回は、すずと風太がそんな状況になるのかっ!?っと、おののきながら見ていた。
(まるで母親の心境~笑)
でも、風太曰く「海苔かかった鮒」(笑)状況からスタートした「帰れない二人」。
やっぱりまだ中学生だの~。ってな思いと
その底の方にある、すずを思いやる風太の男気がとても良かった。

「ヒマラヤの鶴」
ロシアやモンゴルで繁殖し、ヒマラヤの上を通ってインドで越冬する鶴が居る。
以前にテレビで見たことがるのだが、とても感動した記憶がある。

そんなヒマラヤ上空を飛ぶ鶴を、
三女千佳が勤務しているスポーツショップの店長「浜田」が写真撮影をしていた…。
そんな経験があるなんて…ちょっとあの風貌からは想像してなかった(笑)
そのヒマラヤ登山で浜田は足の指を凍傷で失っている。
登山家としては失敗した話であるが、その話に勇気と前へと向かう力を得る人もいる。
本能の命じるままに、過酷な条件でも飛ぼうとする鶴。
それをバカな行為とみるか、美しいと見るか、勇気を得るかは
受け取る側の心のありようによって変わる。

「聖夜に雪降る」
おもいがけず「すず」から誕生日プレゼントを貰ったウカレポンチ風太は
クリスマスプレゼントを「すず」へ渡そうと考える。
中学生男子が女子へのプレゼントを何にしようかと悩む姿が微笑ましい一品。
長女「幸」次女「佳乃」のこれから発展するかもな状況もホンワカして良いな。
一番私が嬉しかったのは…坂下さんが係長から課長へ昇進していた事(笑)
頑張れ!坂下~(アハハハハハ)

「おいしい ごはん」
おいしいごはんではなかったけれど、親が毎度作ってくれた懐かしいごはんってある
幸・佳乃・千佳にっとてのソレは「ちくわカレー」(笑)
すずにとっては「ジンジャーミルクティー」と「しらすトースト」

「ちくわカレー」と「ジンジャーミルクティー」は解るが…
「しらすトースト」とはなんぞや?っと思って検索してみたら、
トーストの上にしらすをまぶし、
その上にマヨネーズ・とろけるチーズなどをのせ焼くらしい。
これなら自分でも作れそう~っと思い、さっそく作ってみた(笑)



「なまら美味い!」
しらすの塩加減とマヨネーズの酸味、とろけるチーズのふくよかな味わいなどが
トーストの上で楽しくマイムマイムを踊っておった~(ハハハハハ)
これはイイ! 朝の忙しい時間でも、これ一枚で栄養満点だしの。
我が家の朝の定番となりそうじゃ。

っと言う訳で、今回の海街diary4は「しらすトースト!」
これにつきる(笑)

一見、ミスマッチなようなメンバーが揃った家族・友人だとしても
何かのキッカケで一緒に合わさり、融合するってこともある。
絶対に無理。っと諦めてしまうより、ちょっと試行錯誤して考えてみれば
「しらすトースト」のように見事に巧くいく場合もある。
そんなお話が満載の一冊であった。

機会があれば見るべし!

 しらすトーストの作り方
※材料「釜ゆでしらす」「トースト」「マヨネーズ」「とろけるチーズ」

①トーストの上にスプーン2ハイ程度のシラスをまぶす
②シラスをまぶしたトーストの上に、マヨネーズを細口で網目にかける
③最後にとろけるチーズをのせて完了。

マヨネーズかとろけるチーズどちらかだけをのせても美味い。
塩分を控えたい方は、どちらかだけにした方が無難である。





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最遊記外伝(上下巻):峰倉かずや

2011-09-07 | 漫画紹介


最遊記…西遊記とは、ちゃうんか?っと思って買ってみました(笑)
外伝なんで本編とは違うし、これだけ読んでも解らんかもしれないんだけど…
ブログ友の「けいちゃん」というオナゴが北海道から
「最遊記、ものすご~~く面白い!」っと発信するもんで…(ハハハハハ)
どれどれ?っと思ったわけ。

本書は本編の「最遊記」より遡ること5百年前の話。

舞台は神々の住まいし天界。
常に桜咲き誇る常春の世界に、岩より生まれた黄金の瞳をした少年・孫悟空が連れられて来て
その日から、悲しみの物語は静かに始まる。
咲き誇る桜の下、残るのは絶望か希望か。
『最遊記RELOAD』へと続く伝説が、約十年をかけてついに完結!!

っと解説には書いてあり、
「この結末に涙した人」や「この結末だからこそ救われた」っという人の記事を読んだ。

つまり、この始まりの書が終わりの書でもあったってことで
私しゃ、大事な部分を読まずに、いきなり終わりから読んだってことになる・・・・。

でも、なんか解らんけど面白かった(笑)
これから何かが起こりそうな予感めいた状態で本書は終わっているけれど
この本の中でなら、十分に楽しめたし理解できたと思う。

絶品だったのが、悟空が岩屋へ閉じ込められていた500年の歳月を綴った見開きページ。

4つの見開きで構成されているこのページには
岩屋に閉じ込められ、身動きできない悟空の姿が描かれている。

我らは、その動かぬ悟空の背中ごしに外の景色を眺めている。
動かぬ悟空。移ろいゆく四季。静と動。生と死。
諸行無常を見事に表していると感じた。

私しゃ、このページを開いた瞬間、音が消え、変わりに風と季節の香りを感じた。

500年も岩屋に放置されていた悟空も辛いだろうが…
逆に短い人の一生を痛切に感じてしもうた。
何もしなくても、季節は移ろい時は流れていくのだの
そうして死んでいくのだとしたら、それはとても辛く悲しい。

とはいえ、何をどうして良いのやらが解らん(笑)
せめて、自身の運命に流されずにシッカリと生きていかねば。
そうしなければ、先に短い人生に終わりを告げた者達に顔向けが出来ない。


さて、私が初めて孫悟空と出合ったのは学校の図書館で読んだ本が始まりなのだが
その後テレビで、ザ・ドリフターズが声の出演をした人形劇「飛べ孫悟空」と出会う

いかりやさんの顔に良く似た、下唇の飛び出た三蔵法師が好きでの~(ハハハハ)
孫悟空やその他のメンバーもドリフの面々の顔を似せた人形を使っておったのだが
孫悟空に出演人数は4人、ドリフは5人なもんで
加藤茶だけが酔っ払いオヤジの姿で「カトー」と名乗っていたのが面白かったな~

♪ニンニキニキニキ ニンニキニキニキ ニシンが三蔵

この歌のニシンの所は本当は「西」っと言っておったらしいのだ。
道産子だった私は、ズ~っと「ニシン」と思って歌っておった(ガハハハハ)


その次に孫悟空と出会ったのは、堺正明さんが悟空を演じた「西遊記」
夏目雅子さんが三蔵法師を演じたのはセンセーショナルでの
美人はツルッパゲになっても美人なんだの~っと感心して見ておった(アハハハハ)

ほいでそれから漫画「ドラゴンボール」と出会う

こうして考えると孫悟空という話は、色々なバージョンに変化しつつも
忘れかけた頃に、誰かがまたポツンとお話として持ってくるようだ。
私が見ていないだけで、もっともっと沢山のお話があるのかもしれんしの。

っという事で、漫画も本も映画も沢山見たり読んだりしておるんだが
なかなかレビュー出来ずに居る。
だいたいその内に…忘れていっておるんだがの
(年は取りたくないもんじゃ ブワハハハハハ)

さて、これからどんな悟空に出会うやら、楽しみじゃの~(笑)

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QUO VADIS(クオ・ヴァディス)①~⑦

2011-03-31 | 漫画紹介


作画:佐伯かよの 原作:新谷かおる(ご夫婦による合作である)

使徒ペテロがキリストに
「主よ、何処へ行きたもう(Quo Vadis, Domine?)」っと声を掛けたってな話があるが…
そこから取ったタイトルだろうか?

ロンドンでアンティークショップを経営しているオーディンは、
長年捜し続けた「教授」を、大きな木の中から見つけ出した。
彼女は、大きな樹と一体になって眠り続けていたのだ。それも相当長く。
そして成人女性だったはずの「教授」はなんと、少女の姿へと逆行していた。

どうやらオーディンも教授と呼ばれている少女も、とてつもない時の流れを旅し
この先の人類の運命を握っているらしい。
はたして、それはいったいナンなのだろう???

大雑把に書くとこんなお話である
「吸血鬼」が絡む中世ホラーかと思えば、根底にはSFがあるし
時代も紀元前から現代、そして未来まで様々な時代を、とても巧く使っている

話のテンポも速く、とても面白いのだが…まだ途中までしか出ていないらしい(笑)

今回も何時もブログで遊んでもらっておるサミュエルどんからお借りした。
7巻で完結か~っと思ってセッセと読んだが、途中で終わりア然とした(ハハハハハ)

まだ途中なのでナンとも言えないが、夫である新谷氏のSFっぽいエッセンスと
妻である佐伯氏の人の心情を描き出す絶妙な技が、とても素敵に交じり合い
一味も二味も違った話が描かれている。

夫婦で同じ仕事を成し遂げる難しさを、薄々感じている私としては
とても仲の良いご夫婦か…はたまたプロ意識がお互いにシッカリとあるのか
また、お互いの仕事をとても尊重しあっているのだな~っと思わずにはいられない。

絵は上の表紙を見ていただければ解るように、とても美しい。
男性よりも女性の登場人物の方が多いと思うが、
相変わらず女性は強いし逞しい(笑)

私はバンパイア物では「アンライス作 夜明けのヴァンパイア」が好きである。
レスタスというバンパイアが主人公のこのシリーズを
あまりの面白さに貪るように読んでいた。

どうしてもバンパイア作品というのは、長年生きていて大変楽しいってな感情より
長い終わりのない人生を生き続けねばならないってな悲哀が描かれている作品が多いのだが
このQUO VADISでは、それぞれが何か目的を持って生きているので
悲哀を感じる場面は少ない。それを隠しているのか、長く生きているうちに乗り越えたのか
長い人生でもそれなりに楽しみつつ生きているのが、読んでいて楽しかった(笑)

やっぱり、どんな人生でも目的意識を持っていないとダメなんだの~
いつか老後を迎えてお金も無くなった時…
そんな私の目的意識は、いったいナンだろう(笑)
目的意識を持ち続けていないと、人間ダメになるのはバンパイアでお墨付きだしの

本や漫画を空調の効いた図書館で、読み漁ることくらいしか今は浮かばん(アハハハハ)

さても続きが楽しみな漫画をまたも発見してしまった。
嬉しい限りである。ああ~早く続きが読みたい~~(ハハハハハ)

※作画:佐伯かよの 原作:新谷かおる 合作のこの作品は
 私のブログに遊びに来てくれていたtooruさんが、絶対に好きな作品である。
 きっと、きっと、ご無事であることを信じてtooruさんの大好きな作品を載せた。
 こんなつたないレビューでは、tooruさんは満足しないと思われるが…(笑)
 でも表紙絵を見て元気になってくれることを祈る

 漫画の月刊誌なども、ネットで無料公開されているそうな
 被災地の方々も楽しめているだろうか?
 一日も早い復興をっと願いつつ、元に戻すのではなく
 二度と同じことが起こらないような、新しい町つくりが出来たら良いなっと思う。
 まだまだ色々なことが続くが、皆が希望を失わずに顔晴れたらイイな
 

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水域(上・下巻):漆原友紀

2011-03-29 | 漫画紹介
 

雨が降らない。降水確率0%。
取水制限も発令され、暑い暑い夏が続く街。

毎日あきもせずに降る雨。しかし降った雨は溜まらない。
そこは、男の子とお祖父さんの2人しか住んでいない村。

この二つの世界を一人の少女「千波」が、行きつ戻りつ繋ぐ。

雨は降ったほうが良いけれど、毎日は…
日差しは注いだほうが良いけれど、やっぱり雨には降ってほしい。

そんな中庸なバランスを求めるのは人間だけなのかもしれない
人間は自分が生活し生きるために、丁度良い状態を神に願うのだが
願われた神に丁度良さなど解るはずもない。

ダムを作るために水の底へ沈んだ村と、そこで生活していた人達の話

蟲師を描いた漆原友紀の新作。本屋で見つけて、少し嬉しかった(笑)
蟲師の唐突な終わり方がなんとも腑に落ちなくって、
体調でも壊したんっじゃないかと心配してたから、新作が出たのは彼女が元気という証拠。

今回の作品も、相変わらず…湿った匂いがした(笑)
でも嫌いな匂いじゃない、湿っているけど爽やかな水の香りがする。

地震で原子力発電所のモロさと怖さをあらためて実感したが
水力発電も、大きな場所が必要になり、大勢の人が悲しい思いをするのだの。

人間っぽい中庸さを求めるのなら、火力発電が良いのかもしれないけれどこれはお金が掛かる。
危険を承知しながらも原子力に頼るしか、やっぱり道はないのだろうか

なんとなく、工事が中断されている八っ場ダムを思い浮かべてしまう
最初は、そんなにお金が掛かるのなら中断して止めた方が良いのだろうと思ったが
そこに住んでいた人達の「気持ち」を私は考えたこともなかった。

この「水域」を読み、そこに暮らしていた人達の思いに触れた気がした。
決断を迫られ、その決断を飲み込み、全員で移住したのに
家や学校や人々が工事でバラバラになったにも係らず、そこにダムが出来なかったら…
いったい自分達は何のために、あんなに考えて悩んで移動を決意したのか?っと
思わずには居られないんじゃないだろうか?

本書で雨が降らずダムの水が干上がってしまい
自分達の住んでいた家や学校が、ダムの底から見え出したときに
なんとも言えない焦燥感を感じたけれど…
また雨が降り、満々とした水が溜まったダムの姿を見て
主人公の千波の母が「こうして見ると綺麗なのよね。くやしいけれど」っと
思わず言った言葉を聞きつつ、
千波の祖母が「不思議だね こんなに近くに来たのに もう…行けないんだ
あんなに深い、水の底にあるんだ」っといった言葉が印象深い。
どちらの言葉も本音なのだろう。

自分達を苦しめたダムだけれど、自分達の苦労が誰かの役にたっていると思う自負もある
その気持ちが支えとなって、故郷は水の底だけれど、別の地でも新たに頑張れるのだと思う。
完成したダムを見たからこそ、諦めもつき、
前に前進する気持ちも生まれたのだと感じた。

それなのに八つ場ダムのように、何時までも無意味に破壊された村を見つめる日々となったら
なんとも言えない虚しさが心に重しのように何時までも残るような気がする。

ところで、関西の電圧は60ヘルツ、関東は50ヘルツ…なぜ同じ日本で違うの?
っと思ったので調べてみたところ
なんと関西はアメリカのGE社から60ヘルツの発電機を購入し
関東はドイツのAEG社から50ヘルツの発電機を購入した違いらしい。
まさかっ!?という真実にビックリした。

もちろん関西と関東で電気を送り合うことも出来るのだが、変換施設が3ヶ所しかない
EUですら他国と手を結び同じ規格にしているのに、なぜ日本はしないんだろう???

これからの電力は、作るうえで誰かを悲しませるような施設ではなく
太陽の光で使う分を自分で作るという方法が主流になるかもしれんな~。
そういえば北海道の実家では、屋根にソーラーパネルを貼っていたっけ。

実家から1時間程度の所に支笏湖という湖がある。透明度の高い湖なんだが
そこにボートを浮かべ、水底を覗くと自分が空中に浮かんでいるような錯覚がおこる
水底に沢山の樹木が見えるからだ。
ダムに溜められた水の透明度が高かったら、水底に家や道路が見えるのだろうか

そんな色々なことを考えさせてくれた漫画であった。
機会があれば是非、一読あれ~


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竹光侍 作:松本大洋

2011-03-08 | 漫画紹介
前回紹介した竹光侍のお話しはコチラからどうぞ~竹光侍1~4巻

今回はその続きの5巻~8巻。とても残念なことに…なんと8巻で終了してしまった。

 
 

巧いんだか、ヘタなんだか解らないような絵だと感じがちだが…
漫画と認識するより、絵画、またはアートっと認識した方が正解かもしれん。
古い漫画を知っている人には「劇画タッチ」っと言った方が解り易いと思う。

なにせ絵が動くように感じる。
原作者は別な人だが、実に見事なほど松本大洋は自分らしさを出している。

主人公の「瀬能宗一郎」は、浮世離れした侍
同じ長屋に住む大工の息子「勘吉」など、子供等に好かれている。
ってことは、悪い人だとは思えんのだが…
だがフっと見せる一面には、何か人知の及ばざる物にとり憑かれている様も見受けられる
それに彼は滅法剣の腕が立つ、それに伴い心も強い。

人は自分の弱さを知っているだけに、強いエネルギーには惹かれる。
でもあまりにも強いエネルギーに接すると、逆に怖さも感じてしまい腰が引ける。
ただ当の本人がノホホ~ンとしているもんだからつい傍に寄って行ってしまうのだが
時々ミョウ~な緊張感をまとう瀬能にドキっとすることしばし(笑)

だから誰もが彼から目が離せない。
ノホホ~ンとした表情と、時折見せる獣のような表情と、
どちらも人を惹きつけてやまないのだ
そんな漫画だから、読んでいる側もたまらん程、瀬能に惹きつけられるのだ(笑)

今回は最終巻を前にし、読みきってしまうのが勿体ないので、
もう一度、一巻から一気に楽しみながら読んだ。

悪を切り、ついでに自分の悪をも断つ。
な~るほど、そういう風に結論を持っていったか・・・
まったく考えていなかった最終回だったが、一度読み終わると
確かにコレしか無いってな終わり方だった。

なにか偉業を遂げた人物、または波乱万丈な人生を送った人の伝説ってのは
こんな風に始まり、こんな風に終わるのかもしれんな
そうして時代とともに脚色され、語り継がれるのかもしれん。

松本大洋の描く人物は、いつも、とてつもない強さを持って登場する
普通は色々とあって経験を積み、強くなる過程を描く話が多い中
いきなりMAXな強さで登場するもんだから、見ている側には安心感どころか
MAXの次は落ちるだろうってなセオリーに捕らわれ、ドキドキの連続となってしまう

それを毎回「そう来たか」ってな落としどころへ持っていく技には感服する
強い主人公を登場させてた作者は、読者にハラハラ・ドキドキ感を持たせるために
次から次へと強い相手を登場させるか…主人公に怪我を負わせて多少弱らせるか…
体は強いが心が弱い…なんぞと話を持っていきがちだが
彼の描く漫画には、そういったセオリーが当てはまる作品は無い。

今回の竹光侍は先にも述べたが原作は永福一成氏である。
この話に松本大洋の絵が見事にハマっているので、大変満足していたが
どうやら永福一成氏の原作が文庫化されているらしい。

ちょっとソソルのは、漫画にはない場面が載っているそうで…読みたいかもっと思った。

しかし…最近、江戸モノに気持ちが持っていかれるのはどうしてだろう。
色々な本や漫画を読んでも、必ず合間合間に江戸モノを手にしてしまう。

士農工商の完全なる封建制度な時代にも関わらず、気持ちが江戸へと飛んでいく(笑)
さて、民主主義に嫌気でもさしているのだろうか?(ハハハハハ)

なにはともかく、松本大洋ファンも、そうでない人も
漫画好きも、漫画なんぞ見ない人も、機会があれば是非見るべし。
きっと訳の解らない幸福感に戸惑うこと確実である(笑)

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カッパの飼い方 作:石川 優吾

2011-02-28 | 漫画紹介
※以前にUPしたレビューはコチラからどうぞ~カッパの飼い方

「カッパの飼い方」なる漫画をサミュエルどんからお借りし
すっかりカッパの虜となってしまい、
「どこぞでカッパが売っておらんもんかの~」っと思ってしまったが…
その時はまだこの作品は継続中であった。

この度カッパの飼い方が完結したので、未読部分を送りますね~との
サミュエルどんからの、ありがたいお言葉を頂き
前回の続きから完結までを読ませてもらった。




ここでは、河童と人間が共存している世界が描かれている。
時代は、昭和40年代の日本。
今から考えれば、まだまだ古いものと新しいものが共存していた良き時代だ。

とはいえやっぱり時代は高度成長期。古きものは忘れ去られ捨てられる運命であった。
自然がどんどんと減って行き、野生の河童が生活出来る環境が少なくなってきた頃
人間は河童を養殖するようになり、ペットにすることが密かなブームとなっていた。

田舎から出て来て都会で一人暮らしをしていた「私」も
ペットショップで赤ちゃん河童を購入し、「かぁたん」と名付け一緒に暮らし始める。

子供の頃に親とはぐれた野生子河童の「カータン」を父親が拾ってきて育てていたので
都会暮らしの寂しさと、田舎への郷愁を紛らわせるために同じ名前を付け飼うこととした。
散歩に出かけた公園で、同じくカッパをペットとして飼っている人達と仲良くなり
カッパ同士の輪も広がり、楽しい日々が続いていた。

ギャグ漫画だと思って読んでいたら…
最後にグスっと涙がにじんでしもうた。。。(ハハハハハハ)
ちょっぴり、やられた~っと思った(笑)

犬や猫より賢く、猿やゴリラよりも知能もある。
でも、人よりは…。
そんな動物が身近に居たら、人は、どのように扱うだろうか?
チラチラっとそんなことを考えさせながら、物語は進んで行くのだが
大変嬉しいことに登場する人物の誰もが、カッパを家族と思っていてくれるので
とても心が和み、温かい思いに包まれながら読める。

最終的にはやはり、都会はカッパにも人にも、生きるには大変な場所で
そこから模索しながら、本当の意味での共存という方向を探しあて
「良かった。一緒に頑張って行こう」で終わる(笑)

終話へと向かう所に、少し急ぎ足な感がしたが…何か作者の事情でもあっただろうか?

なによりフランス生まれの河童「ピエール」が幸せになってくれて良かった。
飼い主に捨てられ、料理店で働いていたピエールの
生真面目さに報いる結果となって「ホッ」と安心した。

でも「ピエール」が河童だから…という訳だけではなく
ピエールのように一生懸命働いていても、あまり報われない人ってのも昨今多い。
以前に京都大学が研究しているゴリラの生態番組を見て
「人間の縮図番」だなっと思ったことがあるが
それと同じでそれぞれの河童達の生態も人間の生活とさほど変わりなく見えてくる

先日、一応会社を退職することを我が社のお局「リトルミイ」に伝えた
何度かこのブログにも登場したことのある、可なりクセのある性格の御仁である。
退職はするが、別の働き方というのも模索中であることを付け加えながら
真摯に話したつもりであったが…彼女の返答は「だから?」であった(笑)

私よりも歳は下だが、勤続年数が長いので今まで我慢しながらも付き合ってきたが
流石の私も開いた口が塞がらんかった(アハハハハハ)
今まで退職する人が現れるたび、彼女とケンカ別れのように去って行った意味が
今、ハッキリと解った。本当に実の無い人って居るのな~。
「だから?」っと思ったとしても、ウソでも良いから他に反応ってもんがあるだろう
まだ河童と一緒に働いた方が、心が和む…なんて思ってしまった(笑)

いったい彼女の見ている世界はどんな世界なんだろう?
周りの人の優しさに何時までも甘えて傍若無人に振舞っていても…成長はないのに
根は優しい子だと信じていただけに、衝撃は大きかった(笑)

っと、そんな心をズタズタにされた人にお奨めの漫画である(アハハハハハ)
癒しを求めているアナタ。一読あれ~(笑)

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テルマエ・ロマエ 作:ヤマザキマリ

2011-01-21 | 漫画紹介
 

古代ローマの設計技師(風呂限定)ルシウス。
仕事熱心な彼は浴槽のアイディアについて悩みまくり、
そのあげく現代日本の銭湯にワープ!?彼は日本と古代ローマ(風呂限定)を往来できる
体質になってしまったのだ!!
好漢ルシウスの時空を越えた大冒険(風呂限定)が始まった!!(本書帯より)

本書のタイトル「テルマエ・ロマエ」とは古代ローマにあった公共浴場の名前である。
とはいえ主人公のルシウス君は公共浴場だけに限らず、色々なタイプの風呂を作っている。

風呂作りに際し、その立派な体躯に似合わず根が生真面目な彼はその都度真摯に悩み込む。
「いったい、どんな風呂を作ればエエんじゃろう?」なんぞと悩みつつ風呂に入る。
なんとか風呂場でヒントを探ろうとするが、エエ案なんぞ急には浮かばない。
そいでもってルシウス君はその立派な体躯にも関わらず、クヨクヨと悩み続け…
ある日、自信喪失中に風呂場で溺れそうになり、自身の特異体質を知ることとなるのだ。

風呂場というのは意外にも危険での~。
日本の場合だが、年間の死亡者数は交通事故よりも風呂場での事故死の方が多い
湯船に浸かることを極上の喜びと感じる日本民族ならではの事故なのだが
どうやら古代ローマでも同じだったようだ。

裸で湯船に浸かり、体の疲れを癒す。
古代ローマの遺跡から公共浴場の跡が発見されているのは知っていたが
形態として日本人と同じだとは思ってもみなかった。
テレビで見る海外の温泉では、風呂へ入る時は水着を着用している姿しか見ないし
風呂っと銘打っていても、サウナ形式だったりプールだろう?ってなシロモノが多いもんで
てっきり古代ローマの風呂も腰布着用の簡易的なモノだと思っていた。
古代ローマ市民が、湯船に浸かり「ああ~極楽」なんて風にマッタリするとは思わんかった

っということで、本書主人公のルシウス君は新たな風呂を模索するため
スッポンポンで湯船で溺れかけ、時空を超え現代日本の湯船にスッポンポンで登場する。

ルシウス君もエエキャラしておるが、つくづく日本人もエエキャラだと思う。
というのも、萎びた温泉に突然現われるチヂレ毛頭の筋骨隆々外国人に
どの日本人もとても優しく接するのだ。風呂の入り方を教えたり、温泉タマゴを渡したり。
言葉すら通じず、スッポンポンな巨漢を恐れることなく話しかける。
そんな人々を見ていると…これぞ日本の伝統文化!
「裸の付き合い」なのだの~っとしみじみ思う(笑)

腹をかかえて笑えるシーンが満載なのだが、ここでネタをバラしてしまっては
笑も半減するだろうっと思うので控える。

作者は私の故郷、北海道で育っている。
イタリアの美術学校で油絵を学ぶ中、あまりの貧困から漫画家になったそうな。
北海道でイタリア語の講師なんぞもしていたらしい。
イタリア人と結婚し、現在はシカゴ在住。ブログも書いておられる(笑)

実は彼女のことも、彼女の漫画のことも私しゃ何も知らんかった。
ただ書店の平置き台に、
ちょっと年のいったダビデ像もどきが、左肩にタオルを引っかけ右手に風呂桶を持ち
雄雄しくも立つ姿を見て…「コレはなんぞや?」っと思ったのだ。
月に何度か本屋へ出向くが、その都度「コレはなんぞや?」っと思いつつも
ビニールに包まれた本の中身を見ることも叶わず、気になりつつもスルーしておった。

そんな折、2巻目が出た。今度は胸もタワワなローマ人の女性の像が、
タオル片手にドライヤーで髪を乾かしておるではないかっ!?
流石にココまでやられてしまうと、買わない訳にはいかなかった(アハハハハ)

男・女っと古代ローマの像がお風呂グッズを持つ姿が描かれた表紙だが
次はキューピットもどきな子供の像が…シャンプーハットをかぶって登場しないもんかと
ワクワクしながら期待しておる(ハハハハハ)





コチラは以前に紹介した「恐竜のタマゴ」という入浴剤の中に入っていたオマケ。
タマゴ状の入浴剤を風呂の中に投入すると、溶けた卵の中から恐竜が現れるのだ(笑)
種類は7種類だが、全種類をゲットするのに12個も購入した。
つまり、12回も風呂に入ったということになる。

日本人は本当に風呂好きだし、風呂を楽しむための色々なグッズや様式を考える天才だの
海外に日本人の団体が泊るとホテルの水道代がグーンと上がると聞いたことがある
何処へ行こうと日本人はザブンと湯船に浸かってマッタリしたいのだ(笑)

そんな風呂場で半身欲を楽しみながら、「ガハハハハ」っと笑える本書を見るのも
また楽しい入浴法だと思うで、興味のある方はお試しあれ~(笑)

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乙嫁語り1.2巻 作:森薫

2010-11-04 | 漫画紹介


19世紀のカスピ海周辺での物語り。
多分、アジアの東端かな? 衣装を見るとイスラム系とは違う雰囲気があるので
○○スタンとか…トルコ系民族ではあるまいか? っと思って読んでいた(笑)

それにしても作者の森薫さんには頭が下がる。
彼女の作品「エマ」を読んで、大変丁寧に作品を仕上げる方だな~とは思っていたが
今回の「乙嫁語り」はエマを遥かに超えた細かさではないかと思う

この物語に登場する民族は常日頃から、とても手の込んだ刺繍が施された衣装を着ている
それらの衣装は全て、女たちの作品である。

それぞれの家には、女達から女達へと脈々と伝わる伝統模様が数十種類以上あり
その家に生まれた娘や、嫁として嫁いで来た者は、それらの模様一つ一つを覚える。
また自分でも模様を創作して後世の者にも伝えていくのだ。

布を選び、糸を選び、一針、一針に思いを込めて縫いあげる。
「どうか健康で過ごすことが出来ますように」「狩りの腕があがりますように」
そうした複雑で、とても素晴らしい刺繍の作品を
森薫さんは、読者である我々の「健康」や「長寿」をも祈るように
一針一針を手描きで仕上げているのである。

とても、ザっと見てページをめくることなんぞ出来ない(笑)

今回のお話しは主人公である20歳の「アミル」が山を越え
遠い町へお嫁に来た所から始まる
彼女の部族は、まだ古い因習を残し遊牧の民として生きている。
ところがアミルの嫁ぎ先は、新しき生活を取り入れ定住した生活を送っている

私は、こういう話にとても興味を持っている。

孤高で誇り高き彼らが、
家畜を第一と考え遊牧しながら移動する生活を捨て、村で暮らすのには
それなりの覚悟と思いがあったのだろうと考えている
生活面でも安定というプラスの部分と
伝統や自由といった物を失いかけないマイナスな部分もあるのではないかと思う
それらにどう折り合いをつけながら生活していたのか?ここに非常に興味があった。

このような新しい文化との融合を「乙嫁語り」はとても上手く表現している

アミルの実家は、個人や家を主体としている。生活の土台となる遊牧地への執着も強い
女に対しても羊以下として扱う風習が根強く残っていて
力強く、逞しく、無駄口を効かず、良く働く女は、婚姻による戦略的な道具として扱う

それに比べアミルが嫁いだ村での生活は、ある意味共同体である。
皆で井戸やパンを焼く場所などを共有している。
他の家族の動向に目を向け、色々な情報が手に入り、外国からの客人も居る。
敵とみなせば同じ窯のメシを食った仲間のように、全員で一致団結し対処する。
ただし遊牧の民と違い、子供たちは弓を引くことなどはしない。

どちらも生活様式の違いはあるが、女が結婚相手を選べないという部分では一致している
アミルは20歳というこの民族としては高い年齢で嫁として来たが
嫁いだ先の夫は8歳も年下のまだ12歳の子供であった(笑)

でもこの初々しい新郎新婦の関係がとてもいいのだ。

どう良いのかは、皆さんご自分の目で確かめて欲しい(笑)
それほど良い作品だと、私は思う。

この「乙嫁語り」。一人一人の人間に様々な物語があるように
これから色々な新婦の物語が展開していくのではないだろうか?
どのように話が広がり、どのように話が終わるのか…
彼女たちが作る刺繍のように、話が紡がれ、色をなし、どこかで交わるのかと考えると
今からとても楽しみである

ところで、前にも述べたが私も夫とは出会って3ヶ月で結婚した
しかも総合5日程度しかお互いの顔を見ていない
あとの時間は電話と手紙で語りあっていた(ハハハハハ)
最初の数回はお互いに顔すら覚えておらず、待ち合わせの場所で困ったくらいである

遠く離れた地で暮らす11歳も歳の離れた、都合5日しか出会っていない男と
よくぞ結婚したな~っと今でも思う(笑)
でも、あの時、思い切って踏み切った自分の英断に、心から拍手を送りたい
人との出会いに時間は関係ないのかもしれん。
出会ったその瞬間に全ては見えているのだ。
それさえシッカリと見極めることが出来れば、自然がことを運ぶ(笑)

そんな風に平然と思う私にも…
遊牧民の血が流れておるのかもしれん(ハハハハハ)

しかし…今回は11歳年上の夫を選らんだが…次回は…8歳年下ってのも…
エエの~~~~~(ブワハハハハハ)

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