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満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

夜市 作:恒川 光太郎

2009-02-25 | 本の紹介


第12回日本ホラー小説大賞受賞作
(ホラー大賞って、まだやってたんだ…っと少々驚いた)

本の帯に「激賞」って書いてある
「激賞」=さかんに褒める(国語辞典より)
「絶賛」=この上もなく褒める(国語辞典より)

さかんに褒められるよりも、この上もなく褒められた方が…上かね?
なんぞと思いながら、この本を手に取った(笑)

色々と面白い本や漫画を紹介してくれている「小耳書房」のさくらどんのオススメ
※さくらどんのレビューはコチラからどうぞ~

神社のお祭りには、参道を利用し夜店の屋台が並ぶ
子供だった私は、右手で父親の浴衣をつかみ、左手に綿菓子とヨーヨーを持ち
頭には、鉄腕アトムのお面をかぶっていた

そろそろ帰ろうかと、夜店の並ぶ参道から一歩外れると
参道からの薄明かりに照らされた、ほの暗い闇が広がっていた
祭りから離れれば離れるほど、闇が濃くなっていく
夜店の喧騒で今まで聞こえなかった下駄の鈴が、チリンチリンと闇になじむ

前方の闇から、アコーディオンの、もの悲しい旋律が聞こえてきた
暗闇に慣れてきた目で見ると、白い着物を着た数人の男達が演奏している
戦争で片腕や片足をなくした男達が、物乞いをしているらしい

恐怖よりも好奇心の方が勝った私が、そちらへ駆け寄ろうとすると
父親の重い手が私の肩をつかんだ
「行ってはいけないよ」
その言葉の意味が解ったのは、それから数年あとである

白い着物を着た男達は、片腕や片足が戦争で失われたように見せかけ
小銭を稼いでいたのである
夜店の並んでいる明るいところにも、嘘・偽りが渦巻いていたが
夜店から外れた暗いところにある嘘・偽りには、物悲しさが漂う

っというのは、私の体験だが…(笑)

このお話の「夜市」では、
恐怖より好奇心の方が勝った少年を、止める大人が側に居なかった
しかも、少年が飛び込んでしまった「夜市」は、
人ならぬ者たちが、尋常ではない商品を扱い売る「市」であった

大きな代償を支払って、「夜市」から脱出できた少年は
その代償を取り戻すために、ふたたび「夜市」へと出かけていく

ふむ。なかなか面白い(笑)

ところで、大賞をとったこの作品「夜市」よりも、読者に評判が良いのは
一緒に収録されている「風の古道」の方である

この歳になっても、相変わらず落ち着きのない私だが
子供のころは今よりも、もっと落ち着きのない子供であった
落ち着きがないうえに、好奇心旺盛であったから、手がつけられない
町内に私の知らない道はないっと豪語してやまないほど
あちこちに入り込み、もぐりこみ、登っていた

ある日、駄菓子屋の吉田商店で買った、5円の紐付き飴を口に含み
町内の探検をしていると、紙芝居のオヤジが屋台をひいて歩いていた

ポケットを探らなくても、小遣いがないのは解っていたが
遠くからでも話の内容を見聞きすることはできるだろうと、後を付けた

飴をしゃぶりながらトボトボと後を歩いていったが
紙芝居のオヤジは、いっこうに店を開く気配がない
フっと気が付くと、私は迷子になっていた

来た道を急いで引き返したが、見知った道には出ない
紐の先の飴はもう消えていたが、
紐だけでもしゃぶっていなければ、泣き出してしまいそうで
口から垂らした紐をなびかせ、私は、見知らぬ道を走り出した

どこをどう通ったかは解らないが、空に「松の湯」の煙突が見えたので
煙突目指して塀を乗り越え、無事に家へ帰りついた

っと言うのも、私の体験なのだが…(笑)

この「風の古道」では、幼いころに体験した「迷子道」へ
もう一度、友人と二人で入り込んでしまうというお話。
ここで言う「迷子道」とは、人ではないモノ達が便利に使う道で
我等人間が普段使っている道の、ちょいと横に存在している
そこで見聞きした不思議な話が面白い

子供のころに後を付けた紙芝居のオヤジですら
迷子になって見ると「お化け」に見えた
それが、本当に人でないモノだったら・・・(笑)

どちらの作品も、皮膚に泡が立つような怖さはない
私の思い出話が読めたのなら、大丈夫。読める(笑)

風の古道は漫画の「蟲師」に世界が似ている気がする
続編が出てもおかしくないほど、シッカリとした世界が出来上がっている

どちらも面白かった。
つい…風呂で読んで、湯あたりしてしまったがな…(ハハハハハハ)

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26 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
長いご無沙汰をしました。 (ぶー)
2009-02-25 14:19:45
先日は、リキへの応援有難うございました。
私のほうのコメントのお返しにも書いたのですが…
次のブログにも載せましたが…
リキは、次の日亡くなりました。
優しい良い表情でした。
まるで眠っているようでした。
それから、私が体調悪く大分ショックを受けてしまったためか?久しぶりに長い間高熱を患ってしまいました。
でももう、大丈夫そうです。「少しずつ元気に戻らなくては」の気持が強くなってきましたので…
EXのブログの絵、観ていただけましたでしょうか、満天さんのコメントは、私に描く勇気をもたらしてくれます。先月から混乱していた気持を落ち着かせるために描いて、一度載せたのですが、子供達からクレームが出て雰囲気を変えずに一から書き直したものを載せました。
それも、絵を描くことに気持を執させるためでした。で無ければ泣いてばかりいたのです。
お待ちしております。
もし観ていただけていたらスミマセンです。
記事に関係ないコメントで申し訳ございません…まだ頭が混乱しているので、文章の理解力に欠けています其れでなくても欠けているので…ハハハ
でも、ちゃんと拝読させていただきました。
自分のブログはほとんど書けていない状態です。また顔晴ります。(^▽^)b

返信する
Unknown (ブータン)
2009-02-25 14:43:04
迷子道、不思議な世界に迷い込んだのですね。
満天どのが戻ってこれてよかったです。
これも読んでみたいな~

わたしは、この間県内だけど違う町で迷子になってしもうて
通る人もおらず。ここは異次元だ~と泣きそうになったです。
返信する
ご返事どす~ (ぶーさんへ)
2009-02-25 15:30:17

家族の一員だったリキ君に訪れた突然の不幸ですもん
そりゃ~ショックも大きかったと思います
まあまあ、そんなに慌てず
絵の方も、ブログの方もボチボチで大丈夫っす
気にせずに、泣きたい時は大声で泣き
自分の力を信じてなすがままで良いと思いますよん

信じてください。ぶーさんの体の中には
何があっても立って歩こうっと思う力があることを…ファイト!
返信する
ご返事どす~ (ブータンどんへ)
2009-02-25 15:36:22

異次元の世界から、お帰りどす(笑)

私しゃ、子供の頃から…
無類の方向音痴での…(アハハハハハハ)
な、くせに…ミョウ~な自信も持っており
知らない道でも「大丈夫だ~」っと
ズンズン進んでしまうクセがある(笑)
だもんで…迷子の常習者での~~~

どう進んでも、見知った道へ出ない恐怖
解るわ~~~。まるで異次元じゃもんね(笑)
>泣き出しそうになった…
泣かなかったんか?(アハハハハハハ)
子供のように泣けない分、大人の迷子の方が
いくぶんキツイよね~(笑)
返信する
好奇心が勝つ (まるめろ)
2009-02-25 15:38:30
>戦争で片腕や片足をなくした男達が、物乞いをしている・・

あぁ~~28歳だけどそれ知ってます、見た事あります
子供の頃、和歌山城の入り口で見ました
子供だったので単純に、国のために、行きたくもない戦争にかり出され
身体の一部を失ったのに
国は乞食みたいなマネさせて平気なんかなぁと思ってました。
そんな事実があったとは・・・

「夜市」の少年のように私も好奇心が勝ってしまいそう・・・なんせBだから・・
返信する
読まれましたか (さくら)
2009-02-25 17:57:26
こんにちは。
紹介ありがとございます。

ホラーらしくないホラー作品でしたでしょ。
風呂で読めるかもしれないかもしれない、微妙な薄さもまたいいでしょ(笑

夜市の祭りの闇には不可解なものが潜んでいるんですねぇ。
満天さんの体験談のほうをじっくり読んでしまいました。
ひもをなびかせてさまよう迷子、絵になりますなぁ。
物語の舞台と吉祥寺へ続く近辺に長いことすんでいたので、思い描ける分、「風の~」は好きですなぁ。
言われてみれば「蟲師」の世界にも似てますねぇ。
返信する
夜市だって (独裸絵悶)
2009-02-26 06:24:03
先日の台北出張で土林夜市を満喫してきました。

一歩路地に入ると。。怪しげなお店もありそうだったけど・・・恐くて足を入れられなかったです。

>人ならぬ者たちが、尋常ではない商品を扱い売る「市」であった

そんな風情もあったよ。
返信する
ご返事どす~ (まるめろどんへ)
2009-02-26 09:40:44

そうっすか~まるめろどんの年齢でも
子供の頃に見たことがあるっすか????
そんなに長い年月を…
彼らも別な意味で…
頑張ってるな~~~~~~~(笑)

まるめろどんが子供の頃だから20年前でしょ
彼らが本当に戦争へ行っておったら70歳前後
ん~~やっぱ根性あるの~

ヒドイ人になるとな…
足とか手も健全なのに、曲げて縛って
失ったフリをしていたんよ
でもな、うちのバー様なんぞはお金をあげてただ
「こんな事を何時までも続けていちゃダメだよ」って言いながらな
そんな優しい人が居たから生活出来ていたのかもしれん(笑)
返信する
ご返事どす~ (さくらどんへ)
2009-02-26 09:51:15

いや、なかなか良い人を紹介して頂きました
ありがとうです

さくらどんのところで紹介されている本や漫画は…
どうやら、私と趣味が合うらしく
ソソルものが多い(笑)
大変ありがたいナビゲーターを見っけたので
助かっておりやす(笑)

どちらも半分闇がかかったような作品なので
色々と自分の体験した世界を思い出す感があり楽しめました
この薄さ…風呂で読むと…
読みきれるような気がして…のぼせます(笑)

風の古道は読んでいてギンコを思い出しただ~
ね。なんか似てるよね~(笑)
返信する
ご返事どす~ (独裸絵悶さんへ)
2009-02-26 10:20:16

ですよね。ですよね。
台湾の夜市なんざぁ~この本の夜市と
雰囲気が似てると思います

面白くって楽しいのだけれど
はたして帰れるのか少々不安になる雰囲気
独裸絵悶さんはそこで
B級グルメツアーをしたんですもんね~~

ええな~仕事と遊びの狭間でのB級グルメ(笑
最高ですの~~~~
一度、行ってみたい気もするんですが
私の場合は腹が弱いもんで…
食い物はダメでしょうな~~残念だ~
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