本当にやってくれました。ボビーが選手を信じる力,そしてそれに応えようとする選手の気持ちに,野球の神様が微笑んでくれたとしか思えません。
選手が一丸となって,明後日の夢の一戦を実現することとなりました。
我らがマリーンズは,初回1死1,3塁,2回無死1,2塁と絶好のチャンスを作りますが,後続が倒れ,無得点。特に2回のベニーちゃんの併殺はなえました。
逆に4回裏,シンゴは3連打から1死満塁のピンチを招きますが,次の小谷野を初球遊ゴロ併殺に打ち取り,事なきを得ます。はっきり言って,小谷野顔色が悪いです。普通ではありません。七夕に薮田からサヨナラホームランを打ち,ヘルメットを放り投げて喜び,私をして,ハムで一番嫌な選手と思わせたときの面影はありません。
しかし,次の5回表も,マリーンズは1死満塁としながら,結局,早川,福浦様が倒れ,無得点。福浦様,本当にワンスリーから打っていいんですよ!
こりゃ,あかんなと思いつつ,これはどこかで見た展開?そうです,2005年のプレーオフ第5戦です。我らがマリーンズは,毎回のように無死でランナーをためながらもあと1本が出ず,苦しい展開でしたが,最後はご存知の通り,里崎の逆転2塁打で勝利。そうです,我がチームは普通のチームとは違い,チャンスをつぶしても,「あ,こんなチャンスつぶしてたらあかんわ」と考えるのではなく,「お,今日はヒットが出てるし,死球も選べてる,ええ感じやな。」と考えるべきなのです。
そう無理やりポジティブに考えていたところ,その裏,ついに小野投手がランナーを残して降板,田中賢介の犠牲フライで先制点を奪われます。
気持ちは一転し,「こりゃ,あかんな,ま,ここまでよくがんばったしな,選手はほめたらな・・・。」とポジティブなのかネガティブなのかよく分からない心理状態となります。
実は,サブローが四球で出てもあんまり気持ちが盛り上がってなかったんですよね。ところが,その直後の初球,里崎がやっちまいましたよ。普段なら当たった瞬間分かるような打球だったんですが,座ったままテレビを見ていて,「打ち上げたかな・・・」とぼけた反応をしていると,なんとバックスクリーン横に飛び込んでしまいました!
もうそこから叫ぶわ,飛ぶわで大騒ぎです。
妻も子供たちも,危ない人を見るように寝室に避難していきます。
里崎様,何でそんなところでホームランが打てるんですか?いくら口ではEnjoyといっても,なかなかできない人間が多い中,アナタだけは神経の回路が普通の人とは違うとしか思えません(いい意味で)。甘い球が来るだろうとは思っていても,手が縮みそうな中,力いっぱいバットを振りぬくあなたに脱帽です。
そして,ここから2回は川崎の独り舞台。とにかく,気迫は表にあまり出さないんですが,度胸の据わり方が尋常ではありません。傭兵としてどこかの戦場で何人か人を殺したことがあるんではないかと思うくらい(そんなわけはない。川崎投手,本当にすいません)落ち着き払い,4万の大観衆を黙らせます。
その後も打線は当たり前のように1死満塁,1死2塁のチャンスをつぶしていき,8回裏にはダブルプレーを取りそこなうというテレンコ振りでしたが,今度は薮田が踏ん張りました。セギ,高橋,工藤と討ち取り,ついに9回となります。ただ,8回に薮田が出てきた時点で,「9回はあの人・・・」と背筋を凍らせた人も多かったと思います。
その思いは選手も同じだったのか(同じでないと信じたいが),9回にようやく打線が奮起します。マイケルから,早川,福浦,サブロー(バント失敗含む),里崎,オーティズと怒涛の5連打でついに3点をもぎとります。里崎のバット投げが初めて結果につながった日でもありました。
これを受けて,体の開きを抑え,スピードも抑えたニューコバマサ,130キロ台から140キロ台前半ながら伸びのあるストレートと,珍しく低めにコントロールされたスライダーで3者凡退に討ち取り,ゲームセット。
昨日の鬱憤を晴らす素晴らしい一戦となりました。
そして,明後日は成瀬VSダルの夢舞台。しかも,中7日と万全の状態です。
ここまできたら結果のことはあまり言いたくありません。良い試合を見せてくれれば何も言うことはありませんが,ただ1つだけ。
今シリーズ,我がチームには,唯一のアドバンテージがあります。
それは,ロッテには失うものが何もないということ。
相手のハムは,なまじ優勝してしまっただけに,そして大観衆の前だけに最後の最後でプレッシャーを感じることでしょう。しかし,我々は,今の時期に本来あるはずのない素晴らしい試合を楽しむことができるという幸せな環境にいるのです。
選手たちは,今まで貫いてきた"Have Fun"という気持ちを,そして我々ファンも,素直に選手たちに感謝する気持ちを持って,最後の試合を応援したいと思います。
とにかく悔いることのない試合を!
「短期決戦では最初にミスをした方が負け」という言葉はマリーンズの辞書にはない!,はず・・・。