『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

図書館利用で絶版を食い止める方法

2017-05-16 20:29:34 | 児童文学論


新緑がまぶしくて、この季節はウキウキします

ところで、私がいいなあ!と思う物語は絶版が多くて、いっそのこと、このブログのタイトルを“絶版文庫”とかにしたほうがよいのでは!?なんて思うこともしばしば

今日はそんな隠れた名作たちを絶版から救う方法をご紹介

私ね、内容が素晴らしければ後世に残っていくものだと思っていました。隠れた名作たちがどんどん絶版になっていっている、という事実を目の当たりにしたときは、正直焦りました!
えっえっえ、これも、これも、これも絶版~!?って

名作だからって残るだけじゃないんですよねえ。売れなければ残らない。
そんな当たり前のこと、自分が興味を持つまで、意識していませんでした

私の中で断捨離が流行っていたとき、本も図書館を自分の本棚と考えればいいわ~、とほとんどの本を手放してしまったことがあるんですね。

ところが!!!

いざ図書館で探してみたら、なかったり、あっても地下書庫にあるという事実に愕然

地下書庫にあるってどういうことかというと、もともとその本を知っていて検索した人しか出会えないってこと。背表紙見て偶然手に取る出会いはまっっっったく期待できないんですね。その本を借りる人はますます減り、廃棄候補へ・・・

でもね、これは児童文学という、ただでさえ借りる人がいない分野に限られるのかもしれませんが、私が地下書庫から出してきてもらうと、その本がその後しばらくちゃんと棚に並んだりすることに気付いたのです。そう!借り手が一人でもいれば、有能な司書さんたちは気づいてくれるんです



図書館に行くと、背表紙がずらずら並んでいるだけでなく、何冊かは表紙を見せるように展示されているのありますよね。あれ?私のため?って自意識過剰になるくらい、それも自分が借りてた本の傾向に沿ったものが、次に行ったときに展示させれたりするんです。偶然なのかもしれませんが、まるで図書館と無言のコミュニケーションを取ってるみたい。「これ好きなら、こっちも好きなハズ。次これどう?」って

マーシャ・ブラウンに関する熱い熱い講演会(そのときのレポートはコチラ)のときに、細谷みどりさんのおっしゃってたのですが、細谷さんはアメリカの図書館に行くたびに毎回『三びきのやぎのがらがらどん』を借りるそうです。毎回!そうすると、借り手がいるということで廃棄の道を免れるから(日本ではロングセラーのこの絵本、アメリカでは絶版)。

私の場合は、自宅にある本でも図書館で借ります。上記の理由に加え、自宅のはハードカバーで持ち歩くには重いけれど、図書館では文庫版を借りて軽くなるというメリットもあり

そんなわけで、“これは素敵な物語!”と思ったら、図書館利用で何度でも借りると、絶版を食い止めることができる・・・かもしれません。微力かもしれないけれど、無力ではナイ。
自分で買えれば一番ですが、限度がありますもんね。実際海外の図書館では、各家庭の絵本や児童文学の購入率は低くても、図書館が定期的に同じものを買い替えるので、業界は安泰で良質なものを生み出せているそうです

日本も、せめて図書館からだけは、隠れた名作たちに消えいってほしくない!と願う日々です。


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