うちの近所にですね、この通りの守護神的な野良猫ちゃんがいたんです。名前はトラちゃん。
もうヨボヨボで病気持ちで、正直子どもが触ったら「手洗ってね!」って言いたくなるような猫。
でも、この通りに住人みんなから愛されていて、人間の言葉が分かると言われていました。エサに不自由したことはないし、病気になれば誰かしらが自腹を切って動物病院へ連れて行ってくれる、そんな幸せな猫ちゃんでした。実家で隣の猫にずーっと迷惑をかけられていたこともあって、実は私は猫派ではないんです。でも、トラちゃんだけはなんか特別。
次男なんて幼稚園のころ、「大きくなったらトラちゃんと結婚することにした!」なんて、言ってたくらい。友だちのところへ行くと言ったっきり次男が見つからなくて探し回ったときは、よそのうちのお庭に勝手に入って(←)一時間以上ずっとトラちゃんと過ごしてたなんてこともあったなあ。
そんなトラちゃんが約1か月間行方不明だったんです。
ヨボヨボになってほとんど動けなくなったトラちゃんの居場所だったアパートが取り壊されることになって、トラちゃんにいつもエサをあげてくれていた人が引っ越し先のおうちへ連れて行ったんですね、そしたら逃げちゃって・・・。こちらに戻ってくるにはヨボヨボ猫には遠すぎる距離なので、みな心配。
猫好きのうちのお隣さんはみんなにメールして捜索願いだしたり、ポスター張ったり・・・でも梨のつぶて。あきらめて、昨日ポスターをはがしに行ったんです。でも、知り合いのご好意でたった一か所だけ張ったままにしておいたところがあったら、ナント!!!
今朝そのポスターを見た方からが・・・!!!奇跡的にトラちゃんが見つかったのです。
もう朝から大騒ぎ!!!
おそらくこの25日間何も食べてないと思われるトラちゃんは衰弱しきっていて、もうカラスが狙っていたそうです。お隣さんが速攻動物病院へ連れて行くと「今日死んでもおかしくない状態」と言われたそう。まさにギリギリ。奇跡です。たった一か所残しておいたポスターも奇跡だし、病院から帰宅したお隣さんが食べたヨーグルトのフタの裏側に書かれていて言葉にも鳥肌が立ちました。書かれていたのは「顔を見れて、ほっとしたよ」だったんです!わ~ん。
いや~、すごい!トラちゃんの生命力すごい。野良猫だったからヨボヨボでも生き延びれた。トラちゃんの生命力の強さを見ると『おき去りにされた猫』を思い出します。ただ、違いはトラちゃんのほうは近所中から愛されているってこと。正直、小汚い猫です。ヨボヨボです。でも、存在しているだけでいい、ってことを教えてくれる猫なんです。おかえりなさい、トラちゃん。
トラちゃんとは違うけれど、奇跡の猫といえばこの絵本が面白い↓
『ネコとクラリネットふき』岡田淳 作・絵 クレヨンハウス
猫がテーマだったときの図書館とともだち・鎌倉のおはなし飛行船で紹介されていた絵本。楽しくてホッコリする絵本です。ある日家のドアの前にネコがいるのですが、ミルクをあげても飲まないんです。ところが、ぼくがクラリネットを吹くとネコはどんどん大きくなる。仕事に行ってる間も録音されたクラリネットを聞いてどんどんどんどん大きくなっていく。もう驚きだし、純粋にワクワクします!背もたれによかったネコはベッドにちょうどよくなり、ついには大きすぎて家を壊してしまいます。そこで、ぼくは引っ越しの荷物も自分も全部ネコの背中に乗せて演奏の旅に出発!その間もネコはもっともっと大きくなって、空をふわふわ飛んだり、時には観客もはしごをのぼってネコの背中で演奏を聞いたり。大人も子どもも思わず「いいなあ!」って憧れでため息の出る絵本です。