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『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

6年生に聞いてもらうコツ

2017-11-16 15:55:07 | 絵本


3年生の次男のクラスよりも、落ち着きがなく、なかなか絵本の読み聞かせに集中してくれない長男の6年生のクラス
そんな6年生たちに聞いてもらうコツとは・・・!?

◆ いきなり読み始めるのではなく、絵本の世界に入りやすいように導入を設ける

◆ クイズ形式など、ちょっとでもいいので、参加型にする


そんなのフツーにやってるわ~、って感じかもしれません。が、読み聞かせでもらえる時間って短いので、ついつい無駄話しないようにとか思っちゃうんですよね。

先日の6年生の読み聞かせ、何を読もうかなり迷いました。毎回迷うんだけど
中学受験が近づいてきて、ピリピリし始めている子もいるし、もう純粋にただただ楽しいのがいいかな、とか。何も考えずに、ただただ楽しいを感じるってとっても大事だし、貴重な時間

ただね、純粋に楽しい読み聞かせは、他のママたちがやってくれているんです。とっても、エンターテイメント性の高い、パフォーマンス力がプロ顔負けのママが読み聞かせメンバーには勢ぞろいでして。私みたいに地味に淡々と読むのは少数派。

だったら、私はやっぱり読み聞かせで取り上げられなかったら、出会わないであろう絵本にしよう!と。もしかしたら、間違った考え方かもしれないけれど、読み聞かせに正しいも何もないもんね。一人くらいの心に届いてくれたら、いいやって開き直り

で、選んだのは『ギルガメッシュ王の物語』(ルドミラ・ゼーマン作・絵 松野正子訳 岩波書店)

絵本としては、長いです。読み聞かせ時間は正味10分程度なので、これ一冊しか読めない。本当は、家庭でじっくり親子二人での読み聞かせに向いている絵本かも。でも、神話の世界観をクラスで共有するのもいいかな、って。

そして、先に述べたように、興味をもってもらうために、読み始める前にちょっとしたクイズを出します。今回だったら、

「今日読む物語は、世界でいっちば~ん古いと言われてる物語。さて、一番古い物語はどれでしょう?①聖書 ②古事記 ③ギルガメッシュ叙事詩。さあ、ど~れだ!?」

一つだけ、あきらかに聞きなれない物語が入ってる~(笑)。だから、これかな?と予想する子多数
ギルガメッシュってモンスト(ゲーム)にも出てくるよね~、大元はこの物語なのよ、とか言うと、ゲーム好きな男子たちが嬉しそうな顔をする。目がキラキラしてくる子どもたち

「この時代ってね、今みたいにまだ紙がなかったの。何に書かれていたか分かる人~?」

結構色んな答えが出てきました。砂、とかね(笑)。いい点ついてる!でも、自分が死んだ後まで残る形って???
草!(←パピルスと言いたかったらしい) コンクリート! 皮! 木!

みんな積極的に答えてくれます。くぅ~、まだまだ素直な6年生かわいいっ。で、この物語が粘土板に書かれたことを明かしてから、読み始めると・・・。
みんなすごい集中力!!!聞けるじゃない

ウケルお話じゃない、正直面白いと思ってくれたかどうかもワカラナイ。でも、一度は触れてもらかったということで。
この絵本は三部作なので続きの『ギルガメッシュ王のたたかい』『ギルガメッシュ王最後のたたかい』

 

は表紙だけ見せて、
「図書館で探してみてくださいね」
で時間終了~。
ああ、楽しかった

大人にぜひぜひ勧めたい!孤独と友情の絵本

2017-10-25 06:59:02 | 絵本


今年もじいじが、サンチャゴ巡礼の旅から戻って参りました~
昨年は、6月にこんな記事書いて、若草物語に出てくる『天路歴程』の児童版をご紹介しましたが、あのときはフランスから入るルート。今年はポルトガルから入るルートから歩いたそうです。ちなみに、じいじはクリスチャンではありません

今年見せてもらった写真の中で、惹かれたのが、かかしの写真たち。スペインの村で出会ったそう。いまにもムクムク動き出しそうな、かかしたち。

  

この子たちを見たとき、すぐにこの絵本が思い浮かんだんです。これはねー、もうもう大人にぜひ読んでもらいたい絵本!!!
じんわり、じんわり。とても深くて、味わいがあって、余韻の残る物語、いや文学なんです(絵本だけど、文学)



『かかし』シド・フライシュマン作 ピーター・シス絵 ゴブリン書房


孤独な老人と、かかしと、突如やってきた同じく孤独な青年の、友情の物語。
静かなで繊細な物語。決して、ドラマチックというわけではなく、むしろ淡々としているのに、老人の心の変化に、心動かされずにはいられません。ああ、人生って!と感慨深くなってしまう。心にポッと灯が灯る絵本です

ところで、じいじは今回トルコ空港にストップオーバーだったので、ついにアレをお土産で食べることができました!!!じゃーん↓

 

ターキッシュディライト(ロクム)。そう、ナルニア国物語に出てくるあの有名なお菓子です。日本人にはなじみがないから、と当時瀬田貞二さんが‟プリン”と訳した魅惑のお菓子がコチラ。

味は・・・ナッツ入りのギュウヒ、和菓子みたい!?物語に親しむと、お土産の楽しみも倍増です





北欧絵本を選んだ理由は?

2017-09-18 22:37:24 | 絵本
 

先週は、‟くどうさんちの台所”という子育てサロンに、講師(一応)として呼んでいただきました~。

以前コチラでできたご縁で。つないでくれた、ロハスなイベントプラナー&防災術アドバイザーのMIKAさん、ありがとう!

ご自宅で長年されているという、こちらの親子サロンは、都度参加型の乳幼児(未就園児)の親子のための場。
一歩入ればとても懐かしい雰囲気・・・ん?デジャビュー???あ、そうか!助産院!

私は上二人は助産院で産んでいるのですが(三男は自宅)、その助産院と家の作りも同じで、
雰囲気もそっくりだったのです。あ~、懐かしいなあ。もう、私のお話とかどうでもいいから、
赤ちゃん抱っこしたい(笑)。

さて、今回何をお話ししようか、迷いました。
というのも、どんな親子が来るかが毎回ワカラナイとのことでしたので。
ただ、工藤先生の印象によると、あまり絵本好きの親子はいなさそう、とのこと

ふ~む。迷ったあげく、北欧の絵本を中心に話を広げることに。

なぜ、北欧かって!?

それは、ズバリ・・・おしゃれだからです(笑)。

ええ、おしゃれなんです。絵本に興味のないおしゃれなママでも気に入ってくれるに違いない、と。
入り口はミーハーでも入りやすく、そこから見えてくる世界は深いんですよ~。

今回来たのは、たまたま0歳児のママたちだったので、内容はもっと赤ちゃん絵本のほうがよかったのかもしれません。でも、今後の参考になるような話をさせていただいた・・・つもり
こんな感じのおしゃれな絵本を最初に紹介して↓


しかし、メインで熱く語ったのはコチラ!↓

 
(PCでは左が、スマホでは上が新しい版。色の違いに注目!)

なぜ、子どもたちがみなこの単純な繰り返しの話に惹かれるのか。トロルは何を象徴しているのか。心理学上ではどう説明できるのか。

2007年度の改訂版からの色の違いから、マーシャ・ブラウンのすさまじい情熱、熱量、本気の絵本とはどういうものか。

読み聞かせの持つ力について。

お話のあとは、赤ちゃんが抱っこできて幸せ~。そして、工藤先生が栄養たっぷりの、美味しいお昼を用意してくれました!↓



ああいう場があれば、孤育てなんてなくなるんだと思う
工藤先生、どうもありがとうございました。

少数言語から見える美しい世界

2017-09-17 23:10:29 | 絵本


『なくなりそうな世界のことば』(2017年)吉岡乾著 西淑イラスト 創元社

今日の一冊はコチラ。

先日お誕生日にお友だちがプレゼントしてくれたもの。今年8月に出たばかりで、二子玉プラザの蔦屋家電にも平置きでずいぶんと並べられていました。
『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』のシリーズなのかな。

「小さな」言葉の窓から見わたす、広い世界とBOOKデータベースで紹介されているとおり、少数民族のある単語から見えてくる世界が非常に興味深いんです!世界の50の少数言語の中から、各言語の研究者たちが思い思いの視点で選んだ「そのことばらしい」単語に文と絵を添えて紹介した、世にも珍しい少数言語の単語帳

例えば、



バスク語でオンデョカは、キノコを採りながら。少数言語の中ではバスク語の輪者数は71万4,000人と比較的多いのだけれど、これがページをめくるごとに、その言語の話者数が減っていきます。



ウェールズ語でヒライスは、もう帰れない場所に帰りたいと思う気持ち。ああ、切ない。話者数は56万2,000人。

そして、食いしん坊の私が惹かれたのはこちら!



ツィムシアン語(カナダ)のツウォホ、寝る前におやつを食べる(笑)。夕食早いから夜食の言葉があるんですね。話者数100人。

衝撃的だったのは、アイヌ語の話者数が5人ってあったこと
えー!?!?もっと多いと思ってた!!!アイヌの人口は10万人ほどいても、流暢にしゃべれる話者は3~5人しか残されていないんですって。これ、じわじわとショック

願わくば、私の好きなニュージーランドのマオリ語も取り上げてほしかったな(実は、マオリ関係で卒論書きました)。私が留学していた1997年頃は、いったん消えた言語が復興運動によって、よみがえりつつあって、その後が気になっていたんです。

消えていく少数言語の特徴の一つに、単語数が少ないっていうのがあると思います。だから、植民地支配国からその点で劣ってるとみなされていた。

でも!違うんです!!!

逆に豊かだったんです。一つの単語が内包する世界の広さ、奥深さ。説明するためにいくつも単語並べる必要なく、たったの一語でその世界観が説明できていた。文化が低いのは一体どちら?日本語でいうと、俳句の世界に通じるものがあると思います。

イラストもほっこりする素敵な一冊です





フクロウの声が聞こえる!

2017-09-09 08:36:50 | 絵本


おとといから、家の周りの森でフクロウがホーっホー、とやたらと鳴いていたんです(←谷戸暮らしなので)。何かしら?と思っていたら・・・


小沢健二とセカオワがコラボ!
『フクロウの声が聞こえる』


だそうで。オザケン、ドンピシャ世代の私。セカオワは里子ちゃんがハマっていて、うちの子たちに布教(笑)。また、オザケン音外しちゃうのかな~、とかドキドキしちゃうけれど、音楽が好きで好きでたまらないっていうのを隠そうともしないのがいいよね

そして、これでまた、私イチオシのオザケンパパ(昔ばなし研究所の小澤俊夫氏)が注目されるといいな~、と思っている私です
ぜひぜひ、聞いてほしいオザケンパパの素晴らしいお話と癒しボイス(笑)はコチラ↓

過去記事より、‟大人聞くべし!怠け者のメッセージ

そして、フクロウの児童文学といえば過去にこんなのを紹介しましたが・・・↓



〈フクロウと暮らすってどんな感じ?〉




〈環境問題の入り口に『フクロウは誰の名を呼ぶ』〉



絵本だと、やはり正統派のこの2冊!



『月夜のみみずく』ジョイン・ヨーレン作 ジョン・ショーエンヘール絵 工藤直子訳 偕成社


雪と月と少女の静かに高まる気持ち。父親とみみずくに会いにでかけるお話。静謐で美しい絵本です。面白い絵本じゃないけれど、こんな静けさ、静かな胸の高まりいいなあ。




『しまふくろうのみずうみ』手島圭三郎作 リブリオ出版


雄大な北の大地(北海道)。原始の記憶が呼び覚まされるような感覚に包まれる本。版画の持つ力強さが味わえます。自然にただただ感嘆

フクロウって神秘的で惹かれますよね