ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

棒ノ折山(棒ノ嶺) ~白谷沢で渓谷美を堪能~

2017-12-07 09:20:52 | 登山(奥多摩・奥武蔵・秩父)

11月29日(水)

河又・名栗湖入口バス停→有間ダム→白谷橋(白谷沢登山口)→藤懸ノ滝→天狗ノ滝
→白孔雀ノ滝→岩茸石→権次入峠(ゴンジリ峠)→棒ノ折山山頂
→権次入峠(ゴンジリ峠)→岩茸石→(滝ノ平尾根)→さわらびの湯バス停

慌ただしく過ぎ去っていく11月だったが、我が身に思いがけない変化などもあり
あれよあれよという間に月末になってしまった。
11月は山に行けないかと思っていたが、29日(水)なら天気も安定しているようだし
この日は予定も入っていない。
前日の夕方に山に行くことを決めたので、行き先は複数回訪れている棒ノ折山に決定。
JR最寄駅を6時49分に出発し、途中大宮駅で川越線に、川越駅で八高線に乗り換え
8時40分に東飯能駅で下車。
東飯能駅8時54分発の国際興業バス名郷行きに乗り
9時30分に河又・名栗湖入口バス停に到着。

ここからバスの進行方向に向かって、「有間ダム」の標識を頼りに歩き出す。
棒ノ折山登山道にはトイレがないので
有間ダムに行く途中にある公衆トイレが最終トイレ地点だ。

9時50分、有間ダムに到着。
湖畔で、名栗湖を眺めながらパンを頬張る。

堰堤を歩いて対岸に回り、湖畔を歩くこと約15分で白谷橋(白谷沢登山口)に到着。
登山カードを提出し、10時15分に登山道に入る。

まだ場所によっては紅葉が美しい谷あいを進むと、15分ほどで藤懸ノ滝が現れる。

白谷沢を幾度か渡りながら、沢を登っていく。
ここから先は、天狗ノ滝・白孔雀ノ滝と、滝が連続する。

10時40分、いよいよ白谷沢の核心部である、ゴルジュが現れた。
ゴルジュとはフランス語で「喉」の意味だそうで
山岳用語として両側の岩壁が狭まっている谷のことを指すようだ。
白谷沢では昨年5月に滑落事故が起きており、登山口に注意喚起の掲示がなされていたが
よほどふざけたり油断したりしなければ、危険な箇所はなく、道に迷うようなこともない。
ただし、靴はソールが減っている物は避け、グリップが効いている靴を。
しっかりとした靴を着用している場合でも、雨天後や水量の多い時は石が濡れて滑りやすく
また、冬季の凍結の際にも細心の注意が必要であることは言うまでもない。

ゴルジュに入ってほどなく現れるのが天狗ノ滝。
天狗ノ滝の上流にあるのが白孔雀ノ滝で、大変美しい滝だが
いい気になって歩き進むうちに、完全に撮影ポイントから離れてしまった。
大雑把に言って、ゴルジュは2段階になっている。
入口から石を足掛かりにして沢の中を歩くようにして、少し高い位置まで登る。
ここまでが第一段階。
その先は、沢から離れて、鎖が岩肌に付けられた斜面を登る第二段階。

ゴルジュの通過地点から、来た道を振り返る。
美しい眺めだ。

ここからは、鎖のついた斜面を登るが、足元の岩肌がちょうどうまい具合に石段のようになっていて
補助として鎖を軽く掴んでいれば、危険なことはなくあっさり登れてしまう。

鎖のある岩壁の途中から眺めた、後続者の二人連れの様子。
一般的な登山ではなかなかできない沢歩きの風情を楽しめる。
ゴルジュは、景色を愛で、写真を撮りながら慎重に歩いても、15分ほどで通過できる。

11時12分、林道を横断。

眼下に名栗湖が見える。

11時24分、ベンチのある岩茸石の前に出る。
棒ノ折山は、ここからが長い、というか、疲れるのだ。
この日は気温が高くなったため、既にこの時ぴすけは少々バテ気味
滅多にそんなことはないのだが、「岩茸石からそのまま下りちゃおうかな」と思ったくらい。
まあ、ゆるゆる行くか~。
棒ノ折山山頂に進路を採る。

11時54分、権次入峠(ゴンジリ峠)に到着。
ここまでがいつもきつい。
さらにここから山頂までもきつい。
コースタイムは標準かそれより早く歩いているので、体力的なものというよりは
景色が単調で面白みに欠ける登山道なのか、精神的に飽きてくるのかもしれない。

ぴょん
12時7分、棒ノ折山山頂に到着。
見晴らしは最高であった。

気温が高かったので、少々白っぽいが、遥か北東に筑波山。

南東には西武ドームと狭山湖が。

北西には、手前に蕨山からの尾根が横たわり、奥には伊豆ヶ岳から横瀬の山々
その西側に武甲山から連なる山々が眺められた。
奥武蔵・秩父の山々を眺められるベンチに腰を下ろし、カップめんで昼食。
風もなく穏やかで、山頂にいた6組のうち2組がバーナー持参で調理をしている。
二つ先のベンチにいたのは、まだ幼稚園生くらいの女の子と、その父親と思われる親子。
柄にもなく、父に連れられて山を歩いていた幼い時のことを思い出した。
…と、女の子の隣で父親がタバコを吸い始めた
南風だったので、タバコの煙も臭いも女の子の方へ流れていく
女の子は、それが日常のことだからか、まったく気にしていない様子。


私の父は愚かだったので、病弱だった私の体力作りのために
自分がかつて山男だったことを利用して山に連れ出した。
秩父・西上州・尾瀬・八甲田・八幡平などに行ったが
父が休憩中にしていることといえば、喫煙だった
静かで、空気と水が澄んでいる場所での山登りは、私にとって至福の時間だったのに
父がタバコを吸った瞬間に、父といることが本当に嫌になったことを思い出す。
病弱な娘のためを思うのなら、わざわざ山に連れ出さずとも
自分がタバコをやめるのが最適なのにそれさえせず、タバコをやめてと私が泣いて頼んでも
「俺はタバコと酒で死ねるなら本望だ」
とのたまう頓珍漢ぶりを発揮した父。
「俺は誰にも迷惑はかけていない」
と、豪語していた父は、タバコとお酒のことになるとバケモノに変わった。
父は私と山に登ることを楽しんでいたようだったが
暴飲暴食による肥満と長年の喫煙が祟って、平地を歩くのさえ息切れを起こすようになった。
娘と登山どころか、徐々に、外出さえも大変な労苦を伴う作業になったのである。


タバコを吸い終わった女の子の父親は、下山の支度を始めたようだった。
父親にしろ家族にしろ、タバコ関連疾患になったら、山登りは出来なくなる。
写真を撮り、楽しそうに会話する親子を眺めながら
タバコがどのようなものか気づいて、一刻も早く父親がタバコをやめてくれるよう
祈るような気持ちで親子の後ろ姿を見送った。
タバコをやめて、山を親子で歩く楽しみが末永く続きますように…と。
ここで時間を確認して、ちょっとびっくり。
ゴルジュで後続だったお兄さん2人と山の話などもしたが
暖かく気持ちが良かったので、40分間以上山頂でのんびりしてしまった。
13時までに山頂を出発する計画だったが、その10分前の12時50分、下山を開始。

山頂から11分、13時1分に権次入峠(ゴンジリ峠)に戻り
権次入峠(ゴンジリ峠)から17分後の13時18分に、岩茸石の左側を通過し滝ノ平尾根を下る。

滝ノ平尾根は、途中で3回林道の横断があるが、登山道は変化に乏しく、恐ろしく長く感じる。

尾根上部は北側が広葉樹林帯で南側がスギの植林帯だが、中盤から完全に植林帯に突入。
時間としては1時間10分しか下っていないのだが、時間も距離も実際以上に長く感じる下りだ。

14時29分、さわらびの湯手前の、名栗湖から流れ出る入間川に架かる橋を渡る。

さわらびの湯に向かう道路の両端に咲くこのサクラは、十月桜というらしい。
この日、さわらびの湯は混雑していないようだったが、脱衣所が狭いうえに清潔感も今一つで
それほど魅力を感じないため、パス。
さわらびの湯バス停14時54分発のバスまで時間があるので
バス停近くにある農林産物加工直売所やませみに向かう。

残念水曜日は定休日だった。
バス停のベンチに座ってバスを待ちながら、山頂の父娘のことが頭から離れなかった。
定刻にやってきたバスに乗り、東飯能駅に向かったが
途中で乗車してきた人の中に強烈な臭いを放つ整髪料を使用している人がいるようで
しばらくしたら吐き気と頭痛に悩まされ、とうとう車酔いに
この車酔い状態は、なんと家に帰っても続いたのであった。
トホホ…



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2 コメント

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久しぶりの山のような (芝刈り爺さん)
2017-12-10 21:54:16
たばこの煙と、まあ興ざめの(仕方ないけど)林道を無視すれば、いい感じのお山ですね。ゴルジュなんていいですね。山頂も!それにしても何で煙が、、、いやはや、煙を持ち込んだコロンブス??にお恨み申します。やはり中毒性のあるものは怖い。でもやはり山歩きはいいですね。
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新緑の頃も美しいです (ぴすけ)
2017-12-11 00:18:52
芝刈り爺さん、白谷沢は新緑の時季も美しいです。
山歩きは、前回から約2か月空いてしまいました。
でも、山を歩くと気分も良いし体調も良い。
オマケに、なんだかそれまで重くのしかかっていたあれやこれやがすっきり落ちて、生まれ変わった感じ(大袈裟か?)がします。

タバコはニコチン依存がその本質ですから、なかなか難しいですね。
依存症としての理解が深まり、広く認識されるようになれば、また違った展開もあると感じています。
アメリカでは、やっとタバコ会社がタバコの害を認め、これまで50年以上にわたって嘘をついてきたことを白状させられています。
日本は…、日本たばこも国会議員も、さらに一部の有名人やメディアまで、未だに嘘をつき続け、皆を騙そうとしています。
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