ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

登山における自救力アップ ~知力と体力と道具~

2015-06-18 17:25:25 | 登山(雑記)

山登り・山歩き・沢登り・岩登り…、登山にもいろいろあるが
登山をする皆さんは、山岳遭難に対する保険には御加入だろうか。
ぴすけ夫婦は、いろいろと検討した結果
日本山岳救助機構会員制度(略称「jRO(ジロー)」)という
相互扶助の精神にもとづく会員制の共済に入っている。
昨日、jROが主催する講演会に行ってきた。
演題は「遭難現場での救急処置と自救力アップについて」。
講師は東京消防庁消防司令補・救急救命士の宮村岳(みやむらがく)さんである。
「自救力」とは、聞き慣れない方も多いかもしれない。
持久力の間違いなんじゃ…、と、思われる方もいるかもしれないが
「自救力」とは自分を救う力=セルフレスキューのことだ。
(文法的には救自力ではないかと思うが
「砂防ダム」の例もあることだし、まあ、ここは置いておく)
登山中のアクシデントによって被ったダメージを
それ以上悪化させないようにするための、対応策全般のことを指す。


奇しくも本日、時事通信から、2014年の山岳遭難に関する記事が10時7分に配信された。

(引用開始)
山岳遭難が2014年に全国で2293件起き、遭難者は2794人に上ったことが18日、警察庁のまとめで分かった。件数、人数ともに3年連続で増加し、統計の残る1961年以降で最多。この10年間にいずれも66%増えた。単独登山者や中高年の遭難が目立っている。
遭難者のうち死者と行方不明者は計311人。前年より9人減ったが、過去3番目に多かった。自然災害は統計の対象外のため、昨年9月に噴火した御嶽山での被災者は含まれていない。
このうち190人は単独の登山者で、死者・不明者全体の61%に上った。05~08年は複数で登山した人の方が多かったが、09年から単独登山者が上回り続け、初めて6割を超えた。
負傷者や無事救出も含めた全ての遭難者を年齢別にみると、40歳以上の中高年が2136人となり、統計の残る96年以降初めて2000人を超えた。全体に占める割合は76%で、死者・不明者に限ると92%に上っている。
(引用終わり)

昨日の講演前に、元警視庁山岳救助隊の金邦夫(こんくにお)さんが
「登山がスポーツと言えるかどうかは、いろいろと難しいが
 もし、登山がスポーツならば、年間で300名前後の人が死亡するようなスポーツは
 他のどの競技を見ても存在しない」
ということを話されて、本当に山は怖いと、改めて思った。
そういうぴすけも、過去に2度、山でけがをした経験がある。
最初は金峰山で、ダーリンと一緒の時。
2度めは志賀高原で、単独の時。
どちらも自力で帰って来られて、後遺症もなく、山が嫌いになることもなかったが
やはり単独行の時は、エスケープルートのことや装備など
かなり慎重に事前の準備をしている(とはいえ、先日の黒岩尾根のようなことも起こる)。


宮村さんの講演は、内容の濃いもので、2時間があっという間に過ぎた。
要は、「登山は生涯勉強」であり、傷病や天気図・地図の知識は不可欠。
そして「登山を楽しむためには体力が絶対必要」であり
「道具は常に進化(進歩だと思うが?)しており、道具によって救える命もあるということ。
山には危険がいっぱいだと、常に自覚しなければならないのだが
その自覚のないままに山に登っている人も存外多いのかもしれない。
ぴすけは、小さい時から父に山の怖さを篤と説かれた。
それは、父自身が若かりし頃、塩見岳で天候急変に遭い
遭難寸前にまで陥ったことがあったからだった。
山は死ぬこともありうる場所なのである。
このことは、山登りをする本人だけでなく、家族や周囲の親しい人も
きちんと知っておく必要がある。



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