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今回は無理かと半ばあきらめていたが、なんとか飛び込みセーフ。
そう、奈良国立博物館で開催されている「醍醐寺のすべて」展に行ってきた。
昨年冬に醍醐寺を訪れた時は、事前調査の甘さで総スカンを食らったので
この「醍醐寺のすべて」で快慶作の弥勒菩薩坐像を拝めるとあっては
なんとしても行ってみたいと開催前から思っていたものの、うまく時間が取れないでいたのだ。
9月8日(月)の夜、最寄駅前から乗車できる京都・大阪行きの夜行高速バスに乗り
京都駅八条口前に着いたのが、9月9日(火)の5時50分だった。
近鉄で一路奈良へ。
近鉄奈良駅へ着いたら、駅東側の東向通りにあるマクドナルドで朝マック
腹ごしらえをしたら、猿沢池を眺めながら春日大社の表参道に向かう。
ちらりと横目で興福寺の境内を見たが、観光客はまだいない。
すれ違う人は、通勤・通学途中の人と、地元のランナーと、ウォーキングの人達だ。
春日大社の一之鳥居をくぐり、鹿が群れる浅茅ヶ原、飛火野を抜けると、杜は徐々に深くなっていく。
二之鳥居をくぐり、回廊南門に向かう。
朝日が射しこんで、南門の丹塗りの色が一層鮮やかに見える。
春日大社では、「朝拝」と呼ばれる朝のお参りや、神主や巫女が案内するお参りもあるが
今回は時間の都合がつかないため、申し込むことはしなかった。
春日大社を訪れる度に、回廊に下げられた燈籠の美しさに感嘆する。
春日大社を後にして、土産物屋の並ぶ若草山の麓を歩き、東大寺の境内に入る。
東大寺の開門時刻は、他の寺社に比べて格段に早い7時30分(4月~10月)。
まずは法華堂から。
朝の空気の清々しさも手伝ってか、堂内はいつもよりいっそう静謐で
不空羂索観音菩薩立像を中心として、10躯の仏像が並ぶ空間に気持ちが穏やかになる。
不空羂索観音菩薩立像の背には、あの執金剛神(しゅこんごうじん)が
厨子に納められているのだと思うと、昨年拝観できたのはとても恵まれていたと痛感した。
法華堂から、二月堂に向かう。
二月堂からは、大仏殿の鴟尾越しに、奈良市街地が見下ろせる。
いつもなら戒壇堂へ行くのだが、今回は行かずに、大仏殿へと向かう。東大寺の門にある彫刻で最も有名な像は、運慶・快慶作の南大門の金剛力士だと思うが
回廊中門にこのような像が安置されていたことに、この日初めて気づいた。
こちらは、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)立像。
兜跋国(現在の新疆ウイグル自治区トルファン地区か)に出現した毘沙門天と言われ
享保年間の作ながら、異国情緒を感じる像である。
その向かいに安置されているのが、持国天立像。
こちらも毘沙門天と同じく、兜跋国に出現した時の姿を表しているといわれている。大仏殿、やはり大きい。
近づくにつれ、自分の縮尺感覚が狂っているかのような、不思議な感覚に襲われる
大仏殿前にある八角燈籠のこちらの一面は、笙を吹く音声菩薩(おんじょうぼさつ)。
下の獅子は、音声菩薩の奏でる音色にとび跳ねるが如くで、ユーモラスだ。
みんなに愛される、奈良の大仏さん。
たしかに大きいけれど、大仏殿の大きさに目くらましを食らっていたぴすけは「あれ?こんなもんだったか?」
という感じ。
そして、9時30分になってすぐ、東大寺ミュージアムへ。
こちらを訪れるのは初めてだが、かつて法華堂に安置されていた日光・月光菩薩立像を
拝観できたことはうれしかった。
この像は、戒壇堂の四天王との共通性が随所に見られ、また同様に保存状態も良い。
せっかくなら不空羂索観音菩薩の脇侍として、法華堂に戻してほしいと思う。
ここで白眉だったのが、快慶作の地蔵菩薩立像。「こ、こ、これはすごい!なんなのだ、このお顔は!」
展示ケースの隣に監視員の女性がいたのも気づかず、思わずつぶやいてしまったぴすけ。
筆舌に尽くしがたいその崇高さ、しかし嫌みのなさは、快慶の真骨頂ともいえる。
うわー、醍醐寺の弥勒菩薩を見る前に、すごいものを見ちゃったな
説明文によれば、建仁3(1203)年から承元年間(1208~10)ごろに作製されたとされているが
その出来栄えのすごさたるや、もうこりゃ例の「重源さんの死の前後では月とずっぽん説」を採り
建永元(1206)年以前の作品だろうと、勝手に盛り上がる
一人感動と興奮冷めやらぬなか、いよいよ本命・奈良国立博物館へと向かったぴすけであった。
(つづく)
いいですね、お寺仏像、奈良の初秋。
菊の香や奈良には古き仏たち、、、奈良はいい。
私の知り合いの民俗学者のMさんは、定年退職後に京都に住まいを移されましたが、民俗学的に京都は各所でいろいろな年中行事が行われ、民俗学的な興味も尽きることがなく、飽きることがないそうです。
そういう観点だと、私は奈良に住みたいくらいです。
実は11月に奈良に呼ばれていまして(こちらはお仕事)、それにかこつけて(?)、また仏像探訪しようと目論んでいます。