ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

慶派仏教彫刻探訪 奈良編⑤‐2

2014-09-13 18:26:38 | 仏教彫刻探訪

東大寺を後にして、奈良国立博物館に向かうと
正面玄関には「醍醐寺のすべて」の立て看板とともに、巨大な鏡餅が置かれていた。
この鏡餅は、2月23日に京都醍醐寺で営まれる「五大力尊仁王会(ごだいりきそんにんのうえ)」で
持ち上げる時間の長さを競う際に用いる餅で、女性は90kg男性は150kgの重さがあるという。
五大明王に力を奉納する祭事で、1100年の歴史があるそうだ。
ちなみに平成26年の最高は、女性が11分11秒、男性が4分20秒餅を持ち上げていたとのこと
「醍醐寺のすべて」展、平日だったこともあり混雑はさほどではなく
見たい箇所に時間を割くことも、かなり近寄ってじっくり観察することも可能だった。
入場者を見回すと、この日は7割が高齢者のグループで、1割が中年女性のグループ
1割が外国人、残り1割がそのいずれにも当てはまらない人々、といった感じだ。
若い人はちらほらしかいない。
会期は9月15日までなので、残りあとわずかだが、この企画展は素晴らしい。
まさに「醍醐寺のすべて」というのに恥じない展示内容である。
醍醐寺がそっくり奈良に来た、と言っても過言ではない。
特に、上醍醐五大堂の五大明王像は、お堂の中で拝見しているかのような展示で
自然な感じであると共に大変迫力があり、大威徳明王騎牛像(だいいとくみょうおうきぎゅうぞう)は
幾度かの火災に見舞われた五大堂にあって、創建当初の像であり、ほかの像とは少々雰囲気が異なる。 
五尊が揃って寺外で公開されるのは、本展が初めてだそうだ。

そして、いよいよお目当ての快慶作弥勒菩薩坐像と御対面
ところが…、午前中の大仏殿目くらましで大仏がさほど大きく見えなかったのと似ているが
東大寺ミュージアムの快慶作の地蔵菩薩立像を先に見てしまった衝撃で
大変美しく気品ある面差しは快慶ならではと感心するものの、正直なところは
「写真って、うまいところで写すよな~」
という感じを真っ先に抱いてしまったのだ。
安倍文殊院の騎獅文殊菩薩像文殊様を参拝した時は、写真以上の衝撃を受けた。
これが国宝と重文の差なのか?
本展示の最終特設ブースで「五大明王山を下りる」(というような題だったと記憶)という
五大明王を上醍醐五大堂から人力で運び出す際の映像を放映していた。
この映像を観て、まさしく「醍醐寺のすべて」が寺外に出るようなことは今回きりか、とも感じた。
本当に来てよかった


展示をじっくり見ていたら、既に昼になっていた。
奈良国立博物館と道路を挟んで向かいにある「夢風ひろば」のゐざさ東大寺店に向かう。11:00~15:00のランチタイムは禁煙で、座席から東大寺の南大門や大仏殿の屋根
若草山などが眺められ、また、各種の鮨も大変おいしい
さて、午後はどうしたものかと思案し、やはり天平期と慶派の仏教彫刻が集まる所に行くしかないと
興福寺国宝館に行くことにしたのだった。

興福寺国宝館でも素晴らしい彫像の数々を見て、ちょっと仏像酔いのような感じになり
ふらふらと奈良町を歩いて、まだ行ったことのない元興寺に。

588年、甥の崇峻天皇が即位したことを契機に蘇我馬子は飛鳥の地に初めて正式の仏寺建立に着手。
その寺が元興寺の前身である法興寺(飛鳥寺)で、百済王は日本初の仏寺建立を支援するため
僧や寺工・瓦博士・画工などを百済から派遣した。
奈良に都が遷されると、養老2(718)年、飛鳥から現在地に法興寺は移され、寺名も元興寺と改められた。
その際、瓦博士の造った日本最初の瓦が法興寺から運ばれて
現在の極楽坊本堂・禅室の屋根には、数千枚が葺かれている。
重なり合った丸瓦の葺き方は「行基葺き」といわれている。 
また、光明皇后の発願により建立された元興寺西小塔堂に安置されていたといわれる五重小塔
一見の価値があり、こちらは収蔵庫(宝物殿)で拝観することができる。
まだまだ時間には余裕があったが、夜行バスで来て、早朝から見て歩いていたのもあり
歩き疲れ、仏像酔いのような状態にもなって、ゆっくり休みたくなった。
奈良町を歩いていて見つけたのがこちらのCafe NADAKŌ Terrace。自動ドアの前と前面の窓ガラスに、禁煙マークが貼られていたので
ここなら安心してゆっくりできると入店。
暑かったし、疲れていたのだろう。
珍しく紅茶をアイスで注文(ぴすけは真夏でも、飲み物はほとんどホット)。 
紅茶を飲んでぼんやりして、これからは宿泊先の京都に向かい、そこで考えることに。
今度は近鉄で一路京都へ。

京都駅からこの日の宿泊先であるホテルに向かう途中、東本願寺に立ち寄る。
一応私は門徒さんで、菩提寺は大谷派なので、こちらの東本願寺が本山である。
現在阿弥陀堂は修復中で、御影堂をお参り。
ホテルに着いて一休みしたら、夕食を食べられる店を探しに街に出る。
四条通まで出てみたが、人が多くてうるさいだけなので、ホテル近くに戻り
調べてあった完全禁煙のお店2軒を覗いてみた。
1軒めのお店は魚がおいしいということだったが、窓に「ワインと魚」とあるように
バーのような雰囲気で、下戸のぴすけが一人で入るには敷居が高い
今回はパス。
機会があったらダーリンか、京都の知人と来ることにしよう。

次のお店はこちらのHACOBU KITCHENで、カフェだがご飯も食べられる。
観葉植物がたくさん置かれていて居心地もよさそうだったので、こちらで食べることにした。
大変優しい味の料理で、夜の時間帯は店主一人で切り盛りをしているのだろうか。
それにしてはメニューも豊富だし、デザートもかなり工夫されているようだ。
満腹になり、ホテルに帰って即爆睡


仏像の写真は、「醍醐寺のすべて」展チケットから転載しました。



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