道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

元日月食

2010-01-03 23:43:50 | 世間話
元日は月食だったらしい。なかなか珍しい一年の始まりである。

この話を古代中国人にしたら、どう反応するであろうか。
「いやー、君らから二千年後なんだけど、1月1日に月食があってさぁ」
「えっ、日食じゃなくて??」
「いや、月食。マジで」
「信じらんない! あんたらの使ってる暦、間違ってるよ。悪いことは言わない、すぐ改暦しなよ。我々のを使わせてやるから」
……といったところであろうか。


古代の暦法が何にこだわったかというと、
まず年単位で誤差を出さないこと。これはグレゴリオ暦と同じ発想である。漢代だと一年365.25日で計算する。
それからもう一つ、毎月の第一日は必ず新月であること。これは太陽太陰暦と呼ばれる所以である。
他にも、大の月が三連続しないようにとか、木星の周期だとか、まぁいろいろ面倒な要素を組み込んで、えらい複雑な処理を行っているが、
まずはとにかく上述の二つが重要である。

例えば、日食というのは、必ず新月の時に起こる。
つまり、暦が正確であれば、一ヶ月の第一日目(朔日)に起こる。
例えば、『春秋』莊公二十六年には、
「冬,十有二月,癸亥朔,日有食之(冬十二月、癸亥の日、朔日に、日食が起こった)」
と記録されている。これはノーマルなパターン。日食が起こった日の干支と、それが朔日(第一日)であることが明記されている。この例は『春秋』に数多く見られる。

ところが、アブノーマルな場合もあって、例えば隱公三年には、
「春,王二月,己巳,日有食之(春、周暦の二月、己巳の日に、日食が起こった)」
という記事があるが、「朔」と書かれていない。
これについて『穀梁伝』は、
「言日不言朔,食,晦日也(日の干支を記しながら、「朔」と記さなかったのは、日食が前月の月末(晦日)に起こったからである)」という。
また、『公羊伝』でも朔日を外した日食といい、漢代の公羊学者達は二日に起こったものと解釈する。
(なお、『左氏伝』はこれに注釈を施さない。別の僖公十五年「夏,五月,日有食之」という記事については、「不書朔與日,官失之也(「朔」と干支を書いていないのは、史官のミスだ)」とある。かなりドライに片付けている)

こういう話で議論になるのも、毎月の第一日目が必ず新月であることにこだわったからである。
「正朔(朔日を正しく設定する)」と言えば暦のことを指し、同時にその暦を発布する王朝の正統をも意味した。
つまり、日食が朔日ではなくて晦日や二日に起こってしまったら、政治の混乱、更には王朝自体の正統性にも関わる問題として意識されたのである。

故に、1月1日に月食が起こるというのは、最早論外、と言ったところであろうか。


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とまぁ、この類の話を史書から拾い出す作業を、この3日間ずっとしていた。
正月は勉強がはかどる。

しかし、ワードというソフトは、実に使いにくい。
スペルチェックだとか自動調整だとか、せんでよろしい。
しまいには、カーソルを動かすだけで表示がガタガタ揺れ出す始末。

私は、行間1pt,サイズ1ptの半角スペースまで駆使して位置を調整するアナログ人間なので、変に便利なことをされると困る。
一昔前、自動操縦機能をオンにしてるのを解除し忘れて、マニュアル操縦しようとして操縦桿を動かし、最終的に飛行機を落っことしたパイロットがいたが、なんとなく同情する。

しかも、今、ひたすら漢文を貼り付けてるだけなのに、
ワード氏はなぜか手紙と勘違いして、
「あいさつ文」機能を発動して、オートで「敬白」とか付け始める。


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そういえば、勉強の合間に、久しぶりにBonanzaをダウンロードして遊んでみた。

――強い。
こいつ、できんちゃんのワードと違って、かなりできる。

2年前に指した時は、3回に1回は勝てたし、
穴熊に組ませたら、まずこっちが勝った。

しかし、今は全然勝てない。
私の腕が衰えたのもあるだろうが、間違いなくこいつは強い。

エキセントリックなまやかしをしても、全く動じない。

しかも、学習機能がついているとの目下の噂。
――確かに、奇襲ばかりしていたら、最初に角道を開けてくれなくなった。

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