最近気になるニュースがある。 西アフリカにおけるエボラ出血熱の蔓延だ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014080200010
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140801/k10013456291000.html
左図 エボラ・ウィルス
この病気は致死率50-90%という大変危険な病気でエボラウィルスの感染で起こる。感染力が非常に強く数個のウィルスが体内に侵入するだけで発病する。潜伏期は7日(一説には21日)で風邪様の頭痛・発熱から嘔吐・下痢・腹痛をおこし最後には全身の出血・下血・吐血を起こして死亡する。ただし、幸いなことにインフルエンザのような空気感染ではなく、患者の血・体液を直接触ることで接触感染を起こすタイプなので、患者に近づかなければ移ることは無い。
また、エンベロープ(細胞様膜)有りのRNAウィルスなのでエンベロープを溶かすアルコール消毒が有効であり手洗い・消毒が蔓延を防ぐ有効な手立てとなる。今のところワクチンその他の有効な対処法は見つかって無い。
一般にウィルスは感染する生物種が限定されていて鳥インフルエンザは鳥にしか感染しないし口蹄疫は偶蹄類にしか感染しない。また、天然痘は人類にしか感染しないので天然痘感染者が居なくなった時点で根絶といえる。ところが、このエボラウィルスはサルや食用コウモリも宿主となることが確認されており、森に潜んでいるので何時飛び出してくるか判らない。
今年の3月頃から発生は伝えられていたがここに来てWHO(世界保健機構)は手の施しようの無い蔓延、アウトブレイクを宣言した。7月31日の発表によると西アフリカ(リベリア・ギニア。シェラレオネ)における死亡は729人で、感染が確認・疑われる例は1326人にのぼる。この中にはアメリカ人一人の死亡と二名の医療従事者の感染が含まれる。
シェラレオネでは治安部隊を出動し感染地域を封鎖、またリベリアでも国境を封鎖し蔓延を防ごうとしているが、既にナイジェリアでも1名の死亡が確認されており空路による感染拡大が懸念される。米政府の組織する平和部隊(ピースコウ)340名はすでにこの3国からの撤退を開始しており、我が国のJICAボランティアも早急な撤退が余儀なくされるだろう。
とにかく、空路で感染者が移動すればあっという間に感染は拡大する。2-3日あれば日本にもやってくるかもしれない。接触感染で移る病気なので衛生管理をきちんとやればそれほど恐れる必要は無いが、心の準備はしておく必要があるだろう。
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