主婦ゲーマーのゲーム日記

世間に隠したオタク心を爆発させています。時折まじめに読書など。

本日の読書

2015-09-22 16:25:23 | 雑談
サンキュータツオ著『ヘンな論文』

さて、今年もイグノーベル賞が発表され、見事(で、いいのよね?ちゃんと注目浴びているって言う意味で重要だと思うの)受賞された日本人研究者もいらっしゃいました。

この本は、お笑いコンビとして活躍する一方、一橋大学非常勤講師もつとめられていて、「珍論文ハンター」でもいらっしゃるサンキュータツオさんによる、論文紹介本です。
と、紹介してみましたが、お笑いコンビ名もご本人も知らなかったよ。
日本初の学者芸人で、趣味は「アニメ鑑賞、BLを読むこと、ヘンな論文を収集されること、街で見つけたタイルの写真を撮ること、落語、麻雀、NBA観戦」という方だそうです。
趣味の最初の2つ(特に後の方)を公言するだけでも、なかなかな人物だとお見受けしました。

さて、本の方ですが、豪華一三本立てとなっているので、タイトルだけでもご紹介しようと思います。
今回、これ一冊だけだし。

一本目 「世間話」の研究
世の中には「世間話研究」という雑誌があるということで、まず驚き。どんな所にも専門家はいるもんだ。
もっとも世間話というのは、文学では厳密に定義されているジャンルなんだそうです。世間話とは、井戸端会議みたいなものではなく、「昔話」、「説話」、「伝説」などと並ぶ口承文芸のひとつのジャンルだそうです。
まずは、そういう説明を面白く説明してくれる所から、この章で紹介される「奇人論序説-「河原町のジュリー」がいた!」の話が始まります。

この一本目でぐっと心が引きつけられて

二本目 公園の斜面に座る「カップルの観察」
論文は「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離感」。
パーソナルスペースについての研究になるそうですが、この論文に先駆けて「線上に滞在するカップルに求められる他者との距離」があるそうです。
横の距離から始まり、前後の距離についての研究だそうです。
距離の統計を取ったのは、偽装カップルとなった研究室の学生さんだそうです。
彼らの卒論も気になる所です。

三本目 「浮気男」の頭の中
(すごく話がそれますが、「三本目」ってなんて読みます?私は「さんぼんめ」と言いますが、今住んでいる所では「さんほん」が主流だと、先日教えられました)

論文は「婚外恋愛継続時における男性の恋愛関係安定化意味づけ作業-グランデッド・セオリー・アプローチによる理論形成-」
これは、私にはふーん、ぐらいの関心でした。

四本目「あくび」はなぜうつる?
論文は、「行動伝染の研究動向 あくびはなぜうつるのか」
これは論文の内容も非常に興味深く、とても面白かったです。
あくびと共感能力に関係があるなんて知らなかった。

五本目 「コーヒーカップ」の音の科学
論文は「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」。
この論文は高校教師の方が、生徒さんからの話をきっかけに調べ始めた内容を論文にしたもの。
せっかくの実験でしたが、既に海外にて先行研究がされていたとのこと。
しかし、生徒に学問のプロセスを楽しく「追体験」してもらう教材にしてもらいたかったから、と論文の形にしたそうです。
これも、実験の過程がとても楽しめる章でした。

六本目 女子高生と「男子の目」
論文は「男子生徒の出現で女子高生の外見はどう変わったか-母校・県立女子高校の共学化を目の当たりにして-」
母校が共学化して、女生徒が自分たちの頃に比べて、ふがいない!という私憤に駆られた、熱き血潮の論文です。(本文よりそのまま引用)
異性の目というのは、本当に影響が大きいものなのですね。

七本目「猫の癒やし」効果
論文は「大学祭における「猫カフェ」の効果」
これは、この本全体からみればぱっとしない方ですね。

八本目「なぞかけの法則」
論文は「隠喩的表現において"面白さ"を感じるメカニズム」
芸人であるサンキューさんには興味深かったようですが、私には今ひとつでした。
笑いは基準がはっきりしにくいところが、私には面白みを感じられない。
あ、私、一発芸的なものは面白さがさっぱりわかりません。
ギャグ漫画もさっぱりでしたが、「ギャグ漫画日和」のアニメを見たら、だいぶ分かるようになりました。
あるギャグ漫画のアニメ化されたものを初めて見たときは、全然面白く無かったのだけれど、上のを見て数年後、再び見ることがあったので見たら、面白いと思えたのですよ。
こういうのも経験値を詰む毎に面白く感じるようになるのでしょうね。

九本目「元近鉄ファン」の生態を探れ
論文は「オリックス・バファローズのスタジアム観戦者の特性に関する研究-元大阪近鉄バファローズと元オリックス・ブルーウェーブファンに注目して」
意外に、チーム毎のファンに傾向があるものなんですね。

十本目 現役「床山」アンケート
論文は「現代に生きるマゲⅢ~大相撲現役床山アンケートから~」
相撲に興味がないせいか、全く心惹かれませんでした。
が、1つだけ。
床山になれるのは「満19歳までの男子」だそうです。
なりたい人は、早めに決めないといけませんよ!

十一本目「しりとり」はどこまで続く
論文は「最長しりとり問題の解法」
あいにく、しりとりをするのはコンピュータ。
コンピュータの性能テストの為に連綿と作られてきたプログラムなんだそうです。

十二本目「おっぱいの揺れ」とブラのずれ
論文「走行中のブラジャー着用時の乳房振動のずれの特性」
論文の方は、うむ、科学だ、と感心するのですが、その後。
サンキューさんは、ブラジャーのズレを体感してみたい、とこの本が書かれた当時話題になっていた「男性用ブラジャー」を購入試着体験をされています。
着用直後「新しい気持ち」になり、鏡で姿を見たら「新しいステージに移行しそうな感覚」だったそうです。
なるほど。

十三本目「湯たんぽ」異聞
論文は「湯たんぽの形態成立とその変化に関する考察Ⅰ」
趣味が高じて・・・な論文です。
ですが、工業デザイナーとして高名な方で、国際浮世絵学会の理事でもありと、幅の広い活躍をされている方。
うーん、凄い。
ただ、この方。
ここ最近話題だったオリンピックのアレのように、無断引用、コピペ論文(この本を書かれた時期は「ありまーす」の頃だったらしく、何度も良くない例としてあげられています)などの被害に遭われ、「もう湯たんぽ研究をまとめた本を出版するのはやめます」とのこと。
このようなことが、知っている以上に起きているとは非常に残念なことです。


論文が紹介されている章だけではなく、論文についてのコラムも4つ入っていて、非常に愉快な一時をもたらしてくれる本でした。
本作はテーマが面白かったのもありますが、ご本人の文も「他の本も読んでみたい」と思うような文でしたよ。
図書館にリクエストしてみようかしら。(この本もリクエストした)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする