電子ピアノをピアノと思っている子供たちが増えているそうです。
そういえば、今年引き継いだ生徒さんも自宅にある電子ピアノをピアノだと思っていたようで、電源のスイッチがあるものは電子ピアノだと言ったら、初めて知った、と言っておりました。
この電子ピアノ。
私なぞは出始めの頃のイメージが強く、使い物にならない印象が未だに拭えないのですが、現在は性能の幅がモデルによって随分変わってきているようです。
ただ、アコースティックとエレクトロニックの決定的な違いは弦の有無。
弦があるから複雑に共鳴し響きが作られるのがアコースティックピアノ。
そして、いつも同じ音が出るわけではないのもアコースティックピアノ。
それを耳で捉え、音を作り出して行くのが演奏です。
音を作り出す技術を学び、自分のものとしていくのがレッスンや練習のひとつの要素。
アコースティックで練習するに越したことはありませんが、住宅事情で大きな音がするピアノは置けないご家庭も少なくありません。
電子ピアノで出来る事と出来ない事を区別し、電子ピアノで出来ないことはレッスンで先生がピアノではこのようなことが出来ると弾いて聞かせ、耳を育てることが大事、とある講座で講師のかたが話されていました。
なるほど、自宅で出来ないからとスルーするのではなく、本当の事を伝え続けることを諦めてはいけないのだと思いました。
電子ピアノでも高価なものほどアコースティックピアノに近付けて作られているので、タッチによって音のニュアンスは変えられるそうです。
また、鍵盤の重さも変えられるようで、正確には音が出るタイミングを数値化して変え、そのように感じさせているそうです。
私は電子ピアノを弾いてみた時に、しっかり一音一音打鍵しないと音が揃わない感覚があり弾きにくかったのですが、電子ピアノは今もそのような物のようで、弱い指や強い指にそのまま反応しムラが目立つようです。
電子ピアノで真面目に練習する生徒さんが、一音一音押し付けて弾く癖はここから来るのだろうと思います。
あと、電子ピアノは大きな音の限界を自動的に抑えてしまうので、この楽器で練習をする生徒さんは音量の幅が狭くなるそうです。
さらに、大きな音を出せないから電子ピアノを選ぶことからも分かるように、電子ピアノを最大音量にせず練習するので余計にこのようなことになるとのこと。
音を出してよい時間なら、最大音量にして練習する必要があるとのこと。
無理なら、良いヘッドフォンを選ぶべきだそうです。
電子ピアノでも上級モデルならある程度のことは可能なようですが、そうではなく、鍵盤を下ろした時になんの抵抗もなくピアノと全く違う感触のものは、機能もなくやはり使い物にはならないようです。
安いキーボードや電子ピアノで始めて、あとからグレードアップでは手遅れで、子供の耳には最初から良いものを与える。
これが肝心。
以前、子供は最初に聞いた音が良い音だと思い、それが生涯続くと読んだことがあります。
最初に買ってもらう楽器は本当に大事です。
その耳の感覚は次の世代にも受け継がれます。