阪田知樹さんのピアノ演奏で、ラフマニノフのコンチェルト全曲を聴いてきました。
一気にラフマニノフのピアノコンチェルトを生で聴くのは、これが最初で最後だと思います。
しかも、阪田さんの演奏で聴ける申し分のない機会。
曲順はこのようになっていました。
休憩は、20分と10分の2回。
おー、結構ハード。
全曲聴くと、やはり3番が一番いいなぁ、と思いました。
阪田さんの3番は以前も生で聴いたので、今回2回目。
最後の疾走感がとても印象に残っていました。
そして、今回もその疾走感は健在。
曲が終わると同時に、満席のお客さんが全員総立ちの大喝采!
Bravo が止まりませんでした。
これだけの曲を弾いて、どれも完成度が高く、よく頑張っただけではなく、称賛の喝采だったと思います。
パガニーニの第18変奏。
あ~、そうきたか、やられたなと思いました。
前の変奏の8分の12拍子の拍子に乗って、その拍子感にこちらも乗ったところで、4分の3拍子の第18変奏。
拍子的に違和感を感じないでもないこの2つの変奏。
それを大変な弱音であの有名な旋律を控え目に、そして温かく奏でられた時に、うわっ、思い付かなかった、やられた、と思いました。
思ってもいなかった贈り物をもらった感じです。
初めて聴いたのが第4番。
初めの所だけは知っていたのですが、最後までは聴いたことがありませんでした。
ラフマニノフがアメリカに亡命してから作られた曲で、故郷を失ったラフマニノフが作曲意欲をなくしていた頃の作品です。
住むところが変わると音楽も変わるものだな、と思いながら聴いていました。
所々、ディズニーっぽい感じがしたり、ガーシュウィンっぽい音だったり。
ラフマニノフの名を語る別人がラフマニノフっぽく作った感じさえしました。
この曲は合わせにくいと聞いたことがあります。
私はステージ後ろの席で聴いていたので、指揮者の方の動きが全て見えていました。
この曲のある部分で、なんかすごくしっかり拍子を取ってるな、ん?阪田さんも珍しく弾きながら拍子を取ってる感じがする、と思った部分がありました。
聴いた感じでは、難なくこなしているように聞こえていましたが、曲が終わると真っ先に阪田さんと指揮の大井さんが固くハグをしたので、あ~、やっぱりたいへんだったんだ、と思いました。
こんなに大曲を何曲も演奏して、ハグしたのはこの曲の時だけでした。
13:30開演で終演は予定では16:30でしたが、実際は16:45頃に終わりました。
阪田さんの2番、3番はテンポが速めで、他も遅くはなく、休憩も予定通りだったと思います。
これだけの時間、ずっとオケと演奏するなんて、どんな感覚になるのでしょう。
練習はこの何倍もされていると思うので、弾くこと自体はまだ弾けるくらい疲れ知らずで軽やかでしたが、お客さんの前でずっと弾き続ける、しかも満席のサントリーホール。
楽し過ぎるかも。
ピアニストになる人は、きっとそう。
だと、思います。
ピアニストではない人間には異世界でした。
生まれ変わってもこれはないな、と思います。