おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「ロシア・ピアニズムの贈り物」#1

2019年06月13日 | 書籍紹介
「ロシア・ピアニズムの贈り物」原田英代著を読んでいます。

5年前に出版された本なので新しいものではないのですが、その頃はまだロシア音楽は好きでもロシアンメソッドなどと言う言葉さえ知りませんでしたので、たとえ見かけていても気付かなかったと思います。

原田さんはモスクワ音楽院のヴィクトル・メルジャーノフ教授の愛弟子の方だそうです。
東西の壁が崩壊したことでロシア人音楽家が西側に出ることが容易になり、ドイツで教授のマスタークラスを受講したことが最初の出会いだそうです。

教授の強靭さと柔軟性が同居したテクニック、そこから生まれる響きの豊かさ、終始語られる音楽。亡き巨匠たちの録音で耳にした演奏が目の前に実際に存在していた驚き。

耳を疑いたくなるほど美しい幻想の世界を描くのその音楽は彼の柔らかい手首から生まれているように見えたそうです。
手が小さいため指使いに工夫を凝らしていた原田さんはこのテクニックなら楽譜通りの指使いで弾けると直感されたそうです。

(これと同じような経験を実は私は学生の頃にしています。私の恩師は小柄で手もかなり小さい方でした。レッスンで先生の手首に度々手を乗せさせていただきましたが、その柔軟性と弾力性には毎回驚きました。この動きがあれば遠い音でも力むことなく届くと思いました。)

原田さんがメルジャーノフ教授に弟子入りした時、「10度は届くのかね」と訊かれ「いいえ」と答えると「では、伸ばせば」と言われたそうで。

そして原田さんのゼロからの修業が始まったそうです。それまでの知識を全て忘れ去り、新たな奏法、音楽への新たなアプローチ、全てにおいて新たな人生が始まったそうです。

ロシアピアニズムの礎を築いた一人ヘンゼルトをリストは「私にも彼のようなヴェルヴェットの手があったら」「私がヘンゼルトのように弾こうと思ったら、少なくとも2年は学ばなければならない」と語ったそうです。

そのヘンゼルトの手は決して大きくなく、手を広げる訓練を黙々と続け弾力性のある広がる手、つまりヴェルヴェットの手を勝ち得たそうです。

リストの師であるツェルニーは電光石火のような速さで弾きたがるフランツ少年に、指を鍛えさせ、様々なタッチを付けさせ、少し緩めのテンポで弾く練習をさせ、自己流で弾くフランツの演奏を矯正するために根気強く基礎を教えたそうです。

この体験が教育者としてのリストを誕生させ、指を様々な動きで鍛えさせるリストの練習システムはモスクワ音楽院に受け継がれているそうです。

手を広げる訓練。
やはり存在するようで。
自分用に買ったこちら自分のためにの楽譜。手を広げるページを毎日20分位していますが、本当に広がってきます。
絶対無理!と思って憬れだけで済まそうと思っていた曲の譜読みを始めました。

原田さんの本は読み始めたばかりですが、ロシアンメソッドの講座で必ず登場するレシェティツキやリスト、イリーナ先生によるとその歴史はベートーヴェンに遡るという話、全部まとめて書かれていました。

次回、こちらでもまとめてみたいと思います。
ちゃんと繋がりがあるようです。


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