神曲、読み終えました。
ギュスターヴ・ドレの挿絵と簡略化された文章のおかげで、スイスイと読めました。
その中で、「あっ、これのことか」と知ったことが。
以前読んだ原田英代さんの本に、師のメルジャーノフ氏がショパンの葬送ソナタの終楽章は”忘却の川”だ、と仰った話がありました。
ありました。神曲に忘却の川が。
地獄、煉獄を通り抜け、地上楽園に到達した時に流れていた川。
渡る前のこちら側からは「レテ」、渡った側からは「エノウエ」と呼ばれる川。
ベアトリーチェの導きで川に入ります。
「忘れなさい全てのことを、遥かに流れるレテ川の、清く流れる水を浴び」
意識を失い、気付くと向こう岸に。
完全に天国に到達したのだと思います。
降り注ぐ光と響き渡る歌声。
天には音楽が響いています。
音楽というのはそのような所にある存在なのだな、とヨーロッパで音楽が神に捧げるものとか、音楽の才能を神から与えられた特別な力とか言われる所以が理解できた気がします。
最後に、本の中で印象に残った言葉を。
「上や下、あるいは、行きたい、行きたくないということではないのです。どのように在るか、ということが全てなのです。」