おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル 2018年3月29日

2018年03月30日 | コンサート情報
贅沢な時間を過ごさせていただきました。
そして、心の中に温かみが残っています。

実は、ブレハッチの演奏自体ほぼ聴いてこなかった身ですが、ショパンコンクールの審査員が皆「いつまでも聴いていたい」と絶賛したらしいので、だいぶ遅れましたが聴いて参りました。

<プログラム>
モーツァルト :ロンド イ短調
       :ピアノソナタ イ短調 K.310
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第28番 イ長調 Op.101 
シューマン  :ピアノソナタ 第2番 ト短調 Op.22
ショパン   :4つのマズルカ Op.24
       :英雄ポロネーズ

モーツァルトはオーケストラを聴いているようでした。時には合唱のようにも聞こえました。
さすがにオルガニストなりたかっただけのことはあります。
そして何より心に残ったのは、モーツァルトがこれらの作品を愛情を持って作ったことが伝わってきたこと。
ブレハッチの、音楽が好きな気持ちも伝わってきて久しぶりにいい時間を過ごしている幸せを感じました

マズルカを聴いた時は、ショパンはポーランドの人のものだなぁと不意に思いました。
ショパンによって音楽作品としてコーティングされているけれども、聞こえてくるリズムや、踊りでかかとを地面にタップさせたと思われる時の強弱の自由なニュアンス。

これはマネができないと思いました。

どれも素晴らしかったのですが、モーツァルトとショパンのマズルカが特に心に残り、今もその温かみが心に残っています。
モーツァルトのソナタで温かみ?と不思議に思われるかもしれませんが、激しく感情的になるのではなく、メロディーのひとつひとつ、ハーモニーのひとつひとつ、リズムのひとつひとつに説得力があり、それらが積み重なっていつの間にかこの曲の本当の底の深さを知り、演奏から慈愛を感じました。

彼の演奏にはどの曲にも常に歌が感じられました。
歌で話しかけられている気がしました。

そのせいなのか、ピアノのそばに行って床に座りながらずっと聴いていたい気持ちになりました。
コンクールの審査員の方々がおっしゃていたのはこういうことなのかと思いました。

アンコールは2曲。
ブラームスのOp.118-2とショパンの前奏曲第7曲。

ブラームスは、若い頃に戻ったブラームスという印象でした。
私なぞは年老いたブラームスが遠い記憶を思い起こし、あくまでクララを見守るのみのブラームスなのであったという曲かと思っておりますが、ブレハッチは明るい演奏でした。
昔を思い出すと今でも幸福な気持ちになる、というような。
この解釈は私には新鮮でした。

ショパンは「太田胃散」の曲です。
最初のフレーズは明るい音で始まりましたが、その後は薬のCMで使われているとご存知なのか、なんだか疲れ気味というか、眠いよ~というか、お腹が空いたよ~というか、もうさよならなのですというか、昨年急性胃腸炎で東京公演が中止になったのでそれと掛けているのか、いずれにせよブレハッチはユーモアのある人物なのだと思いました。

お辞儀をするときにいつもステージ後ろの客席にもニコッとほほ笑んでお辞儀していらっしゃいました。

ホールを出るとホワイエにはサインの行列が・・
たいへんな人だかりでございました・・

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