「 九州 ・ 沖縄 ぐるっと探訪 」

九州・沖縄・山口を中心としたグスク(城)、灯台、石橋、文化財および近代土木遺産をめぐる。

伊集院 静 「ねむりねこ ・ 雨の鉄線 」

2015-05-29 04:24:41 | 文学・文化・映画作品
















十月に入った仕事場に、鉄線の紫の花があざやかに咲いている。
秋を迎えて咲く鉄線は、どこか歳を重ねた女性が踏ん張っているような感じがする。
鉄線は夏の花であるから、初夏の、それも花弁が開く少し前の、
蕾の頃が、私は好きだ。


ボクの好きな作家で競輪が好きな伊集院 静さん。
その伊集院 静さんの本には色んな花が出て来る。
その中で知った 鉄線 。

この 「 ねむりねこ 」 の中でも色んな花が登場する。
紫陽花、野薊 ( のあざみ ) 、姫女苑 ( ひめじょおん ) など・・・
読み進めて行くうちに、そんな花の名が自然と染み付いて行く。

その中でも特に惹き付けられたのが 「 鉄線 」 である。
この本の第一章 「 どこへ行ったのやら 」 の中に、
” 雨の鉄線 ” という題の短文がある。
これは伊集院静さんの妻で女優でもある
篠ひろ子さんのお父さんのことを書いたものである。


最後に見舞った日に、私にむかって指をまるめ、
酒はやってるかね、と訊いた。
私がうなずくと、義父は満足そうに笑った。
とうとう最後まで、娘を頼むと口にされなかった。
鉄線の花ようにあざやかな男っ振りの人だった。



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