豆本三昧我褸芥(がるぁくた)ノート & 美人画あれこれ

日本の名作文芸と東西の名画の自作豆本の内容紹介のほか、その資料として集めている東西の美人画をいろいろ紹介しています。 

河鍋暁斎の豆本

2010年04月30日 | 豆本
      

 暁斎の豆本は、『暁斎作品集』(横長本)と『狂斎(暁斎)百図』。
 豆本を作る場合(といっても編集・印刷段階の話であるが) やはり小説のようなものより絵画・写真のような作品作りの方が楽しい。文章は部分だけを読んだだけではしいょうがないし、豆本とはいえ一ページ読むだけでも時間がかかる。しかし絵画は一目見て一応は全体がわかるから、ページの順など関係なくページ毎に独立して楽しめる。したがって版を組むにあたって、一枚ごとに配置しながらもそれぞれを観賞しながら出来るからである。
 暁斎の画などは一枚一枚面白いのでついつい眺めてしまって時間がかかってしまった作品である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

狩野一信『五百羅漢図』の豆本

2010年04月29日 | 豆本
     

 狩野一信は幕末明治の狩野派の絵師、『五百羅漢図』は東京芝増上寺にある掛け軸。
 昨日の『雪華図説』が豆本にしても手頃な作品とするなら、この『五百羅漢図』は豆本向きではない。元が大きな掛け軸のうえに、その図柄が精緻なので豆本ではその細密なところが表しきれないからである。しかしながら絵そのものは全図はめったにお目にかかれないもののようだし、本としても簡単に見られるものではないので、ともかくも豆本に作っておくことにしたわけである。
 私が豆本を作る理由は、製本そのものが面白いというだけではなく中身が重要で、作り上げた内容が、貴重なもの、珍しいもので普通の本としても手に入りにくいもの、入手可能でも高価なものだと意欲が出てくるのであり、結果としてそれが一つのコレクションとなっているのである。したがって誰でもが作れるような旅行やペットの写真集などの豆本は作る気はしない。
 そのかわり装丁などはありきたりのものなので、外観はごく平凡で同じようなものばかりである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

土井利位『雪華図説』の豆本

2010年04月28日 | 豆本
       

 下総古河藩主・老中首座土井利位の出板した雪の結晶の観察記録。
 これは、内容にしろ、長さにしろ、その図にしろ、豆本にしても見やすく、また作る上でも手頃な作品である。
 そうは申しても、実際に作る酔狂な物好きはそんなに多くはないとは思うが・・・
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幕末・明治の花鳥画の豆本

2010年04月24日 | 豆本


 安政期の絵師嵩岳堂(すうがくどう)の「生き写し四十八鷹」と、明治前半期の幸野楳嶺の「花鳥図譜」である。
 前者についてはほとんどが知られていないが、後者は京都画学校の設立にかかわり、竹内栖鳳・川合玉堂、上村松園らを育成したことで著名である。しかしながら、日本人でもこの作品を知っている人は少ないと思うが、過日、カナダの人が「楳嶺花鳥画譜」というキーワードで検索してアクセスしてきたのには驚いた。
 
     

 左は「生き写し」のインコと瑞香、右は「画譜」の菊と風鳥。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

団・菊・左の豆本

2010年04月23日 | 豆本

 「団・菊・左」といっても御存じない人もあるかと思うが、明治前半期の三大名優、九代目市川団十郎、五代目尾上菊五郎、初代市川左団次のことである。この豆本は、三名優の多彩な役を、「明治の写楽」といわれる豊原国周(荒川八十八)が「団十郎演芸百番」「梅幸百種之内」として描いたものをそれぞれ纏めたものである。梅幸は菊五郎の俳名。
 残念ながら団十郎は78図しか入手出来ず百番揃わないので、他の作品から補填して百番とした。しかも、なぜか熊谷直実など三役がダブっているので実際は97番にしかならない。
 また国周の作品には左団次の百役を纏めたものはないようだが、個々には百以上の役を描いたものが残されているので、何か理由があったのだろう。
 その左団次、「団十郎名人、菊五郎上手、左団次下手」といわれているが、役によっては最も多く客を呼んだといわれているから、一般の意味での「下手」ではもちろんない。オリンピックなどの世界大会の銅メダルと似たようなもので、総合は銅でも種目別では金もあるというような僅少差の最高レベルの話であろう。
 その意味で、左団次の百番ものがないのが残念なので、いずれ勝手に百役の作品集を作れれば、とも考えている。

 下の三図は国周描く「団・菊・左」である・

          




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

江戸城内を描いた画集の豆本

2010年04月21日 | 豆本
  

  

  

 この豆本は、橋本(揚州)周延の「千代田の御表」「千代田の大奥」二作品を纏めたもので、御表は明治30年、大奥は明治27年から29年にかけて出されたものである。江戸城内の行事・風俗生活を表側の男性の世界、大奥の女性の世界として三枚の続き絵(五枚続きと六枚続きが一作品ずつある)として描いたものである。
 特に大奥に関するものは、江戸時代には、記録もなく語られること憚られていたので、もとは武士であったという周延でも直接見たことではないはずだから、これがどのくらい正確なものかは問題もあろう。ただ明治になって、幕府時代の記録を残す機運が高まって、旧幕臣や奥女中の聞き取りから、「千代田城大奥」(明治25年)などの書が出版され、これらは貴重な資料となっているそうである。多分こういった書をもとに描かれたものとするなら、まったくの空想ではないだろうが、そんな理屈抜きに楽しませてくれるものである。

 元の絵は一枚の絵が三ページになっていて見づらいので豆本では、参考画像のように三枚の画像を合成して一ページに収めてある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歌舞伎と忠臣蔵の豆本

2010年04月20日 | 豆本
  

 江戸時代から明治にかけての娯楽の筆頭はやはり歌舞伎見物であろう。したがって錦絵の世界でも歌舞伎関係の役者や演題を扱ったものが多くを占める。そしてその出し物の筆頭は「仮名手本忠臣蔵」であろう。
 拙作の豆本は、歌舞伎十八番などの登場人物や役者絵を中心にした「歌舞伎絵本」(上)と忠臣蔵の各段の舞台絵を描いた「仮名手本忠臣蔵」(下)の二作である。
 忠臣蔵については、広重、北斎、英泉、歌麿、豊国、国芳、国貞などといった錦絵大家たちがそれぞれに手掛けていて、しかも各人何種類もの作品を描いている。忠臣蔵は序段から十一段まで、それに最後の段では引き上げや焼香場というように場面を分けたものもあるので一作品は十枚以上になる。

      

   画像は、横が広重、縦が歌麿の作品である。
 
というわけで、忠臣蔵だけを集めた作品でもかなり分厚くなってしまう。事実、この豆本を作った後からも、作品がいくつも手に入って、増補改訂版を作るか、続編第二集にするか迷っているところである。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

葛飾北斎「東海道五十三次」と「富嶽百景」の豆本

2010年04月17日 | 豆本


 この標題は間違いではない。
 「東海道五十三次」といえば広重、北斎といえば「富嶽三十六景」がすぐに考えられるが、北斎には標題の作品もあって、写真は開いてあるのが東海道、手前が百景である。

        
 
上は、左が北斎、右が広重の「鞠子」の宿の光景である。風景画としたらどちらを選ぶだろうか。北斎の「東海道」は全部上下に赤い源氏雲が描かれていて、これがかえって邪魔になるような気がする。彫りや刷りも広重の方が繊細で緻密、高度のように思う。
 こんなことだけの理由ではなかろうが、いかに北斎の作品とはいえ、さすがに「東海道」なら広重とならざるをえなかろう。

 一方広重にも、「富士三十六景」という作品がある。
   

 説明の必要はないと思うが これをくらべれば当然「富嶽三十六景」なら北斎である。
因みに、北斎でも「百景」の方はスケッチ風の画帖で、これまた「富嶽三十六景」である。
 下の絵は見開き2ページを合わせたもので、スキャンの関係から富士の稜線に合わせたため枠線がずれてしまっている。 また、枠線から富士山頂が突き出ているのは富士の高さを強調する描法で、広重などにも見られる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「巫山の夢・朝雲暮雨」の豆本

2010年04月16日 | 豆本


 この豆本のタイトルは勝手に付けたものであるが、どんな内容か説明するだけ野暮というもの。また、この題名で内容が推察出来る人は、学のあるお方。

 左は夫婦箱の収納ケース。本体は、二冊で一冊の合体本。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五拾三次景色入り美人絵の豆本

2010年04月15日 | 豆本
   

 この豆本は歌川国貞の東海道五十三次の美人絵で、各宿場毎の風景の手前に美人を描いたものである。
 ところで下の二枚を見比べてみると、
   

 左は 有名な歌川広重の保永堂版「東海道五拾三次」中の屈指の名画「蒲原」で、右は国貞の「蒲原」であるが、横幅が寸詰まりになっているものの同じ光景の中に牛に乗った美女が配されているいることがわかる。実は、横長と縦長の違いはあるが、国貞の「五十三次」は広重の「五十三次」の絵の中に美女を描いたものなのである。全部というわけではなく、これも名画「庄野」は異なっているが、例外である。雨の山中の急斜面では美人を描きにくかっのであろうか。
  


 今なら盗作問題で大変なことになるのだろうが、この時代には、美人画と名所風景画の両方が楽しめるとあって、歓迎されたらしい。そして、風景の得意な広重と人物画の得意な豊国とが合作した作品も多くある。
 因みに広重自身も、未完だが「美人東海道」と称される作品、「人物東海道」という作品も描いている。
  
    
 
 これらはいずれも「蒲原」であるが、左から広重の「美人東海道」「人物東海道」、それに渓斎英泉の「美人東海道」である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

根付の豆本

2010年04月13日 | 豆本
       
    
           

 佐田 澄さんという現代根付の作家がおいでになる。「その世界」では、「世界的な根付師」である。「その世界」の「世界的コレクター」として著名な高円宮殿下・妃殿下やアメリカのキンゼイ氏のコレクションにも加えられている方である。
 そんな佐田さんからの依頼で作った豆本である。佐田さんの根付は象牙で、人魚や裸婦、猫、河童などを専らとしている。やはり、私などの豆本ではその質感などは到底表しきれないが、いたしかたなかろう。
 この作品も、「高い?」ところへ行っている作品である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アングル作品の豆本

2010年04月12日 | 豆本
 

 フランス新古典派の巨匠アングルも素晴らしい作品が数多くある。開いたページにある「水がめ」や「ヴィーナス」始め、「オダリスク」や「トルコの浴場」などの裸婦像もいいが、肖像画もまた優れたものが多くある。
 既述のダ・ヴィンチにしろ、広重・北斎にしろ豆本にしてしまうと、絵画の持つ迫真性や細部の緻密な描写などが不十分になるのはいたしかたがないが、大きな画集にはない軽便性があるし保存にも場所をとらないし、我ら貧乏人のコレクションにはもってこいなのである。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高い ? 所へいった豆本

2010年04月11日 | 豆本
 

 ここに並んだ豆本は、見た限りどうということもない平凡なものばかりであるし、内容も特に変わったものではないのだが、作者にとっては格別の思い入れのあるものである。
 以前、海外の有名な所へ行った豆本のことを書いたが、これも人手を介して、さる高名な方お二人に差し上げたもので、当の私が未だに信じられない話なのであるから、他人に話しても与太話にしか聞いてもらえないであろう。
 しかしながら、私はもともと販売目的で豆本を作っているわけではないから、豆本が一冊いくらで売れたというようなことより、こうした信じられないような人々や場所、あるいは記念館などに収められていることの方が、はるかに嬉しいことなのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超々ヘビー級の豆本

2010年04月10日 | 豆本
   

 ヘビー級と言っても、別に目方が重いわけではない。内容のことである。
 この豆本、2冊がセットになっており、題して「ルネッサンスの三巨匠」という。
一冊は「レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの作品集」もう一冊は「ラファエロ作品集」で、三巨匠の主要代表作は多分ほとんど入っていると思う。
 この小さな本の中に収められた各作品の価値を価格で算出したら、国家予算全額でも間に合わない国もたくさんあるのではなかろうか。

 開かれているのは、ラファエロの作品集の「小椅子の聖母」のページ。
因みに昨日の画像は、同じくラファエロの「ヴェルベデーレの聖母」と「カルデリーノの聖母」のページ。
 また、3月18日付け画像にダ・ヴィンチの方を掲載してある。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

88 の聖母子の豆本

2010年04月09日 | 豆本


 西欧の絵画には聖母マリアと幼児のキリストを描いたものが数多くある。「聖母の画家」と呼ばれるラファエロが代表的な画家であろう。美しい聖母像とあどけないキリスト像に惹かれて集めているうちにたちまち200作品を越えてしまった。
 そこで作ってみた豆本が「88の聖母子」正続の2巻で、2冊のケースのタイトルには「88+88の聖母子」と付けてある。正は88人の画家各1作品、続は、ラファエロのように多くの秀作がありながら、正で割愛せざるをえなかったもの88作品をまとめたものである。もちろん収めきれず残ったものはかなりある。

 ならばなぜ百という纏まった数にしないで、88というちょっと中途半端な数なのかと言うと、これは製本上の理由が二つある。
 製本の際の最難関は化粧裁ちである。カッターナイフで数十枚の重ねた厚さ10ミリ以上の紙を、1ミリ以内の誤差の範囲の正確さで垂直に裁断するわけである。それもA4・B5のままの大きさではなく、折り畳まれて小さくなっている豆本である。化粧裁ちの名の通りこれがゆがんだり無様では話にならない。ページ数枚数が増えるほど難しくなる。従ってなるべくページは少ない方が作りやすい。
 もう一つは本は16ページを単位として一枚に印刷するということである。見返し・扉・奥付用の8ページの確保ということを考慮すると、豆本を作る場合(16N - 8)、Nは正数で「3 4 5 6 7 8 」あたりが適当である。
 こうして、100よりも、なんとなくいわくありげなゾロ目の88となったのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プログ村

にほんブログ村 ハンドメイドブログ 豆本へにほんブログ村