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北斎には「大江戸勝景」なる作品はなく、これは北斎の江戸の景勝地を描いた作品を寄せ集めた作品集として、広重の時と同様に私が勝手に命名したものである。
上の、本になった画像の絵は、普通の浮世絵版画の体裁であるが、下二枚の画はかなり異質な感じの画である。西洋オランダの銅版画の風を出そうとした作品のということである。中の作品は画はともかく輪郭が特に目立っているが、下の画にはさらに凝った趣向があって、「くだんうしがふち」というひらがなのタイトルが横に倒して続けて書かれ、アルファベットの筆記体で書かれているかのような感じにしてある。一見、司馬江漢風の絵となっていて、「富嶽三十六景」とは異なった風である。