豆本三昧我褸芥(がるぁくた)ノート & 美人画あれこれ

日本の名作文芸と東西の名画の自作豆本の内容紹介のほか、その資料として集めている東西の美人画をいろいろ紹介しています。 

「当盛十花撰」という豆本

2010年07月27日 | 豆本
   

 前回同様、広重・豊国の合作。
 芙蓉・紫陽花・牡丹・菊など十種の花を上部背景として、二人の役者を配した作品だが、この作品、なんかピンとこない。どうも後ろの花と役者の結びつきが訳がわからないためらしい。後の花からすると、美女とか恋人同士とかがふさわしいかと思うのだが、優男とはいえ、ほとんどが男二人の形なのである。
 木版錦絵では、肉筆画のような花鳥図は見かけない。この十花撰ではそれが主要なものとして大きく扱われていることもその因の一つなのかもしれない。
 
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「東都高名会席尽」という豆本

2010年07月25日 | 豆本


 このブログは最近、豆本そのものの紹介というより錦絵作品の紹介になってしまったが、これもいたしかたないことで、自作の豆本といっても数はそんなにないのだから当然ネタ切れになってきたためである。前述のごとく一冊で複数作品のものは再三使えるのだ。

 この広重・豊国合作の「会席尽」は、人気役者(芝居の役柄)と料亭を結びつけたグルメ情報、料理屋のコマーシャルといったものである。

   

図は「岩井粂三郎の牛若丸」と料亭「橋もと」、「嵐吉三郎の弁慶」と「武蔵屋」だが、牛若といえば五條大橋、弁慶は武蔵坊、このように役柄と席亭の名前などには何らかの関連があるようでその結びつきの意味をを考える楽しみもあったようだ。だから現在のコマーシャルのように、売れっこのタレントが意味もなくやたらあちこちに顔を出すのとは違って、芝居の内容などにも通じてないと面白さがない。平清で平清盛というようなズバリのものもあるし、梅木で菅原道真、青柳楼で小野道風あたりでもなんとかなるが、桜楼の浅倉当吾、注春亭の大星由良之助あたりはどうだろう。前者浅倉は芝居上の名で、本当は佐倉宗吾とは誰でも知ってるからサクラだと思う。後者は「チュウシュン」と「チュウシン(忠臣)」の音の連想と思うが如何。「千住」を江戸ッ子なら「センジ」と発音しても不思議ではない。下はその注春亭と市川歌右衛門の由良之助。

 







 

 
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広重「名所江戸百景」という豆本

2010年07月23日 | 豆本


 初代広重晩年の名所絵の集大成と言える作品。
 最後は二代目広重のものも加わり完成する。
 豆本も全作収録し、B8/A8の二作に仕立ててある。
 下はゴッホも模写した「大橋あたけの夕立」「亀戸梅屋舗」
 及び二代目の「赤坂桐畑」

        
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広重「江戸名勝風景」という豆本

2010年07月22日 | 豆本


 前回同様、広重にはこのタイトルのシリーズは無くて、「江戸名勝図会」「東都名所年中行事」「江戸名所五性」「江戸名所紫源氏」など縦版の名所絵の他、二代目広重の「東都三十六景」を纏めたものである。
 「五性」というのは「木火土金水」を江戸名所に当てはめ「上野の鐘(金)」「両国の花火」などを描いたもの。「紫源氏」は同じく源氏巻名を名所に見立て「花の宴で品川御殿山の花見」「須磨で洲崎の浜の潮干狩り」などの景を描いたものである。
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 広重「大江戸名勝風景」という豆本

2010年07月21日 | 豆本


 歌川広重には標記の「大江戸名勝風景」なるシリーズはなく、これは私が勝手につけたタイトルである。
 広重には代表的な「名所江戸百景」を始めとして、「江戸名所」「江戸名所之内」「東都名所」「江都名所」「新撰江戸名所」など似たようなタイトルシリーズで、多くの江戸の名所絵を描いている。「東都名所」にも一枚物、三枚続きとがある。そのほか「東都坂尽」「隅田川八景」「扇面東都八景」「江戸十二景」「銀世界東十二景」などまだまだある。
 しかしながら「江戸百景」のように全作の画像を手に入れるのが難しく、そうした不揃いのものを上下二巻にまとめた豆本である。
 実は、絵が溜まるたびに改定してこの作品は三訂版である。しかもこの後でも四訂版の上中下三分冊を出し、さらなる増補改訂の準備は出来ているのであるが、何度も作りなおしてげんなりしていることもあるのだが、まだ絵が集まるかも知れないと、少し時間をおいているのである。

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広重「東都旧跡尽し」という豆本

2010年07月20日 | 豆本


 シリーズになっている錦絵は、もちろん枚数はいろいろであるから、豆本一冊に一つのシリーズとはかぎらず、二、三作品の物は結構ある。
 以前にも述べた厚さと丁数の関係から、私の豆本の場合、本文は40ページ3丁の物が最も薄いもので、これまででは一冊しかない。次の物で4丁56ページ以上だから「○○十景」「○○三十六景」などという作品ではどうしても他の作品と組み合わせる必要があるからである。北斎の「富嶽三十六景」は実際には裏富士などの景が入って四十六景であるもののやはり少し足りないので、作品まるまるではないが「富嶽百景」から10図足してページ合わせをしている。だから私の錦絵関係の豆本は現在70冊ほどだが、個々の作品としては百作品余になっている。
 いきなり本筋からそれてしまったが、この「旧跡尽し」もそんなページ合わせの作品の一つであって、10図ほどの小さな作品である。江戸の名所風景というより、地名の由来や、ゆかりの伝説の光景を描いたものである。

   

 「伊勢物語」業平東下り、都鳥の歌の話と、太田道灌、山吹の歌の話である。


 

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「古今名婦伝・賢女烈婦伝」という豆本

2010年07月19日 | 豆本


 この豆本には標記二作品のほかに、「賢女八景」という作品も収めてある。古今名婦伝は豊国、賢女二作は国芳である。
 いずれも、静御前とか、清少納言、加賀の千代など有名な女性、優れた才女をあつめたもので、いずれの作にもとりあげられている上記のような著名な者も当然いる。

      

 ところで上の女性もその一人で「下女お初」・豊国、「婢お初」・国芳という。もちろん私はしらなかったのだが、歌舞伎の好きな方ならすぐにおわかりで、上記のような女性にまじって取り上げられるくらいだから、当時はよほど有名だったらしい。
 その話が実話なのか創作なのかわたしは分らないが、その芝居「加賀見山旧錦絵」というのは、自分の仕える尾上というお局が岩藤という朋輩から辱めを受けて自害したので、その仇を討って潔く自首したことが、却って藩侯のお褒めにあずかり、その尾上の名跡を授けられるという筋である。おんな忠臣蔵として女の闘争、女の仇討の著名な出し物だそうである。江戸の人達は、このような話はよほど好きだったらしい。

 
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「江戸乃華名勝会」という豆本

2010年07月18日 | 豆本


 前回名前の出た「名勝会」というのは、なかなか面白いものなので内容をもう少し敷衍してみる。
 一枚の絵は図のように右肩に全体のタイトルと纏があり、画面は三分されて三人の絵師がそれぞれを担当している。図は上野のもので、有名な俳諧師秋色が主要題材になっている。
上段は国貞担当で、桜と三段の重箱を持った秋色女に「お秋さん、お弁当のお重は下のかぇ」「いえ、上の(上野)」という洒落のキャプション。下右は豊国担当で秋色に扮した名役者沢村田之助と「井の端の桜危なし酒の酔ひ」という秋色の代表句、下左は広重 ? の秋色桜の光景が描かれ、それを唄った俗謡の歌詞が書かれていて、当時の江戸の人には、読んでも眺めても楽しめかつ役に立つ情報誌のようなものだつたようである。
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江戸火消しの纏の豆本

2010年07月14日 | 豆本
   

 この豆本、歌川芳虎の「江戸乃花子ども遊び 纏尽し」という。一枚ごとに各組のまといとそれを持つ火消しの絵と、その組の受け持つ町の名前がれ列記してある。図は喧嘩で有名な「め組」の纏である。
 タイトルから判るようにこれらは子供向けの物であり、子供のころからこうした絵を通して自分の住む町の火消しに親しんでいたということから、当時の江戸の人にとって、火事とはそれほど恐ろしいもので、それから守ってくれる火消しの存在は重要だったのであろう。
 その象徴の纏に関して、自分の町ばかりではなく江戸中のさまざまな纏を知ること、またその絵をコレクションすることは、子供にとって喜びごとだったに違いない。

 <付記>
  この文をを書いたあとで、成人女性や、火事の場面を錦絵として扱う事に対して禁令が出たため 子供何々というようなタイトルをつけて法の目を逃れたというようなことを知った。従って上記私の推測は見当違いということで、訂正。

 
 
 この画は上とは別作品、広重や豊国・国貞の共作の「江戸乃花名勝会」の一枚で、江戸の町の名物物産や名所、関連の芝居出し物、演ずる役者などをまとめたものだが、こうしたものにもこれまたタイトルや絵から判るように、纏が登場していて、火消しとその町の結びつきの強いことがしめされているのである。
 図は花川戸、市川団十郎演ずる助六、そして右上は担当の「ち組」の纏が描かれている。
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他人の褌の豆本

2010年07月13日 | 豆本
 「他人の褌で相撲をとる」ということわざがあるが、私の豆本はそれであって、自身の創作したもので豆本を作っている人からすれば顰蹙ものであろう。
 このことわざの真意は「自己の利益のために、最も肝心大事なもの自分の懐を痛めず楽をして他人のもので代用する」というずるさ、要領のよさにあると思う。
 そこであえて弁解をするなら、私の豆本は、「自分の手で豆本を作ること、そして豆本にになった【名作・名画】をコレクションすること」にあるので、販売・営利を目的にしているわけではない。もともとは豆本製作が第一目的だったが、数多く作っているうちに、名画・名作がコレクション的に溜まってきて、いつのまにか第二の目的になったというわけである。
 「自分の利益」という内容がどこまでを意味するか難しいが、自分だけの趣味楽しみのようなものまでをもいうなら人間はすべて「自分の利益」のために生きているようなものだから「他人の褌」的なことは当たり前で、インターネツトの世界を眺めてみればそれは顕著であろう。
 へ理屈はともかく、そういったことを承知の上で自ら「他人の褌」を標榜しているわけだから、かくいわれることに痛痒は感じないし、「汝らのうちの罪なき者、この者に石を投げよ」ということである。
 
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国芳「百人一首之内」という豆本

2010年07月10日 | 豆本


 以前紹介した「百人一首」にしても「源氏物語」にしても、現代の我々が普通に思い描くものとかなり違ったものが多い錦絵のなかでは、この国芳の描いたものはオーソドックスなもので、かなり歌意にそったものである。
 図は小町の「花の色は移りにけりな」で歌そのままである。
 ただ公開されているものは全図揃いとはいかず、六割弱ほどである。
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「奇妙な絵の本」という豆本 Ⅳ

2010年07月09日 | 豆本
 

 「奇妙な絵の本」に、第四集があるわけではない。
 実はこのタイトルには仕掛けがあって、「奇妙な『絵」の本』というのが正しいタイトルなのである。すなわち 「奇妙な絵」を集めた奇妙な『絵の本』 というつもりである。
 後半の奇妙な(絵の)本というのは、写真のような本のことで、特に奇抜というほどではないが、一般の本にはみられないものと思う。要するに「奇妙な絵」の本三冊を一纏めにしただけのもので、以前書いた二冊を一纏めにした記事(四月三日付け)の延長にすぎない。
 タイトルもついていないので上下も分らないのだが、これも奇妙な本たる所以の一つで、わざとタイトルもつけないで、「何だ、この本は?」と思ってもらっただけでも変な本らしくていいだろうし、それにこの本には逆さ絵のように上下の決まってない絵もあることだからと考えたからである。
 遊びの豆本だからこそこんなばかばかしい真似もできるのだが・・・。
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「奇妙な絵の本」という豆本 Ⅲ

2010年07月08日 | 豆本


 「奇妙な絵」の第三集は「隠し絵・アナモルフォーズ・逆さ絵」である。
 ただ縦サイズの豆本ということで、隠し絵の場合には、細部が小さすぎてわからなかったり、逆に小さいがために一目で絵全体が目に入ってしまって、隠し絵としての効果が削がれたり、横長の絵を縦に配置したために、やはり隠し絵的な意味が薄くなったりなどして期待はずれのものが多くなったのは残念であった。

   

 「奇妙な絵」に欠かせないもう一人の画家となればやはりダリであろう。ここに掲げた左の絵の他数枚収録しただけだが、ダリの場合本来は全部を対象にしなければならない。
 もう一枚は絵か写真かよく分らないのだが「古代空中都市マチュピチュの恐怖の謎」とタイトルをつけたものである。
 ダリの絵はこのままですぐに分るが、どちらも縦にして見ればはっきりする。





 
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「奇妙な絵の本」という豆本 Ⅱ

2010年07月07日 | 豆本


 二冊目は「エッシャー」「ロブ・ゴンサルベス」「マグリット」三人の作品集である。
 アルチンボルドと並んで「奇妙な絵」の大立者としてエッシャーは絶対に欠かせない。それとマグリットについても、今更説明を要しないだろう。
 しかしゴンサルベスという人については寡聞にしてつい最近知ったばかりであり、経歴なども私は何も知らない。ちょいと検索してみても解説されているものが見当たらない。ただ公開されている作品は、タイトルにふさわしい面白いものがかなりたくさんあったので、豆本に仕立ててみた次第である。
 下は順に三人の絵。「2次元3次元の魔術師」とサブタイトルをつけた所以である。

      
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「奇妙な絵の本」という豆本 Ⅰ

2010年07月06日 | 豆本
      

 「トロンプ・ルイユ」いわゆる「騙し絵」を集めた豆本で、第一集は「アルチンボルドと歌川国芳」の「寄せ絵・絵文字・文字絵」中心に編集したものである。
 「寄せ絵」というのは見る通り、花とか果物とか人物などを複数使って人の顔などを表現したもので、目にしたことも多いと思う。
 文字絵と絵文字は、区別せずに用いるいい加減な人もいるが別物である。文字を使って絵を「描いた」ものが文字絵で「へのへのもへじ」のようなものであり、逆に絵を用いて文字を「書いた」ものが絵文字であろう。文字絵には左下図のように文字以外の線を加えたものもあるが、「だいこくさま」の文字が絵の線として使われている。本来の絵文字は魚の絵を描いて魚を表していたはずだが、猫好きの国芳の絵文字は何の文字でも猫を使っているので違うものではあろうが、とにかく絵で書いた文字といえよう。


      
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