ここに並んだ豆本は、見た限りどうということもない平凡なものばかりであるし、内容も特に変わったものではないのだが、作者にとっては格別の思い入れのあるものである。
以前、海外の有名な所へ行った豆本のことを書いたが、これも人手を介して、さる高名な方お二人に差し上げたもので、当の私が未だに信じられない話なのであるから、他人に話しても与太話にしか聞いてもらえないであろう。
しかしながら、私はもともと販売目的で豆本を作っているわけではないから、豆本が一冊いくらで売れたというようなことより、こうした信じられないような人々や場所、あるいは記念館などに収められていることの方が、はるかに嬉しいことなのである。