「弩」 下川博著 小学館 (10/05/22読了)
私個人としては、「神奈川県横浜市金沢区にある真言律宗称名寺は鎌倉時代から続く古刹だが…」、という最初の一行でノックアウト。
というのも、称名寺は私には馴染み深い寺なので。通っていた小学校から歩いて15分ぐらのいところにあり、ちょっとした遠足、写生と、何度も行った場所。中学生の頃は部活の友達と集まって、除夜の鐘を撞きにも行きました。
自分自身に少しでも接点のある地名や人名が出てくると、どうしても引き込まれてしまうものです。でも、それがなくとも、十分に面白い作品です。鎌倉時代末期から南北朝初期の因幡の国(現在の鳥取県)百姓を主人公にした物語。時代モノというと、有名武将を中心に描かれる作品に偏りがちですが、名も無き人々にスポットを当てた作品は好感が持てます。
どのように交易がおこなわれていのか、どうやって産業が発展したのか-この作品を通じて、その一端を垣間見られました。因みに「弩」は、文字の作りを見ればわかる通り、弓の一種で、西洋ではクロスボウ(ボウガン)と呼ばれるもの。百姓たちが、厳しい年貢に堪えかねて、「弩」で武装して領主の侍と戦うという-戦闘シーンがクライマックスなのですが… 圧倒的に、物語の前段で描かれていた、村が産業によって発展していく様子が面白い。そして、「荘園」制度など、遥~か昔に社会の授業で勉強した細い記憶を辿るのも、楽しいものです。
ただ、ちょっと残念なのは、イマイチ、文章が雑な感じがしました。せっかくチャレンジグな作品なので、メリハリつけて、美しい日本語にしてスタイルアップしたら、もっともっと楽しく読めたのに…という感じです。
私個人としては、「神奈川県横浜市金沢区にある真言律宗称名寺は鎌倉時代から続く古刹だが…」、という最初の一行でノックアウト。
というのも、称名寺は私には馴染み深い寺なので。通っていた小学校から歩いて15分ぐらのいところにあり、ちょっとした遠足、写生と、何度も行った場所。中学生の頃は部活の友達と集まって、除夜の鐘を撞きにも行きました。
自分自身に少しでも接点のある地名や人名が出てくると、どうしても引き込まれてしまうものです。でも、それがなくとも、十分に面白い作品です。鎌倉時代末期から南北朝初期の因幡の国(現在の鳥取県)百姓を主人公にした物語。時代モノというと、有名武将を中心に描かれる作品に偏りがちですが、名も無き人々にスポットを当てた作品は好感が持てます。
どのように交易がおこなわれていのか、どうやって産業が発展したのか-この作品を通じて、その一端を垣間見られました。因みに「弩」は、文字の作りを見ればわかる通り、弓の一種で、西洋ではクロスボウ(ボウガン)と呼ばれるもの。百姓たちが、厳しい年貢に堪えかねて、「弩」で武装して領主の侍と戦うという-戦闘シーンがクライマックスなのですが… 圧倒的に、物語の前段で描かれていた、村が産業によって発展していく様子が面白い。そして、「荘園」制度など、遥~か昔に社会の授業で勉強した細い記憶を辿るのも、楽しいものです。
ただ、ちょっと残念なのは、イマイチ、文章が雑な感じがしました。せっかくチャレンジグな作品なので、メリハリつけて、美しい日本語にしてスタイルアップしたら、もっともっと楽しく読めたのに…という感じです。