日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(304)「私が大野です(大野は私です)。」は「既知・未知」とは関係がない。

2019-07-21 12:41:30 | 「は」と「が」

(01)
1   (1)∀x{大野x→ ∃y(私y&x=y)} A
1   (2)   大野a→ ∃y(私b&a=y)  1UI
 3  (3)        ∀y(私y→a≠y)  A
 3  (4)           私b→a≠b   3UE
 3  (5)          ~私b∨a≠b   4含意の定義
 3  (6)         ~(私b&a=b)  5ド・モルガンの法則
 3  (7)       ∀y~(私y&a=y)  6UI<br>
 3  (8)       ~∃y(私y&a=y)  7量化子の関係
13  (9)  ~大野a              28MTT
1   (ア)  ∀y(私y→a≠y)→~大野a   39CP
  イ (イ)     私b→a≠b         A
  イ (ウ)  ∀y(私y→a≠y)        イUI
1 イ (エ)             ~大野a   アウMPP
1   (オ)     私b→a≠b →~大野a   イエCP  
   カ(カ)     私b&a≠b         A
   カ(キ)     私b             カ&E
1  カ(ク)        a≠b →~大野a   オキMPP
   カ(カ)        a≠b         カ&E
1  カ(ケ)             ~大野a   クカMPP
1   (コ)     私b&a≠b →~大野a   カケCP
1   (サ)  ∀y(私y&a≠y →~大野a)  コUI
1   (シ)∀x∀y(私y&x≠y →~大野x)  サUI
(02)
1  (1)~∀x∀y(私y&x≠y →~大野x) A
1  (2)∃x~∃y(私y&x≠y →~大野x) 量化子の関係
1  (3)∃x∃y~(私y&x≠y →~大野x) 量化子の関係
 4 (4)  ∃y~(私y&a≠y →~大野a) A
  5(5)    ~(私b&a≠b →~大野a) A
  5(6)  ~[~(私b&a≠b)∨~大野a] 5含意の定義
  5(7)   ~~(私b&a≠b&~~大野a) 6ド・モルガンの法則
  5(8)     (私b&a≠b&  大野a) 7DN
  5(9)   ∃y(私y&a≠y&  大野a) 8EI
 4 (ア)   ∃y(私y&a≠y&  大野a) 459EE
 4 (イ) ∃x∃y(私y&x≠y&  大野x) アEI
1  (ウ) ∃x∃y(私y&x≠y&  大野x) 14イEE
従って、
(01)(02)により、
(03)
② ∀x{大野x→∃y(私y&x=y)}
③ ∀x∀y(私y&x≠y→~大野x)
④ ∃x∃y(私y&x≠y&  大野x)
に於いて、
②と③は「対偶(Contraposition)」であり、
④は③の「否定」、すなはち、②の「否定」である。
従って、
(03)により、
(04)
② すべてのxについて、xが大野であるならば、あるyは私であって、xはyに等しい。
③ すべてのxと、すべてのyについて、yが私であり、xとyが等しくなければ、xは大野ではない。
④ あるxとあるyについて、yは私であり、xとyは等しくはなく、yは大野である。
に於いて、
②と③は「対偶(Contraposition)」であり、
④は③の「否定」、すなはち、②の「否定」である。
従って、
(04)により、
(05)
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
④ 私大野です。
に於いて、
②と③は「対偶(Contraposition)」であり、
④は③の「否定」、すなはち、②の「否定」である。
然るに、
(06)
命題「AならばB」の真偽とその対偶「BでないならAでない」の真偽とは必ず一致する(すなわち真理値が等しい)。
(ウィキペディア)
従って、
(05)(06)により、
(07)
② 大野は私です(大野ならば私です)=∀x{大野x→∃y(私y&x=y)}。
③ 私以外は大野ではない(私でなければ大野ではない)=∀x∀y(私y&x≠y→~大野x)。
といふ「対偶(Contraposition)」は、「必然的に、等しい」。
然るに、
(08)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをで承けた。それゆえこの形は、
 大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 私大野です。
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
(ⅰ)私以外は大野ではない
(ⅱ)私以外も大野である
と言ふ「必要」がある場合には、それぞれ、
(ⅰ)私大野です(大野は私です)。
(ⅱ)私大野です。
と言ひ、さうではない場合には、
(ⅲ)私大野です。
と言ふ、ことになる。
然るに、
(11)
(1) 既知と未知
 私は大野です。
という文は、檀の上に立って私なるものが聴衆に見えている。それで、私なる存在については相手もこれをみて知っている、すると、それを既知扱いにして「私は大野です」という。この「大野です」という部分は実は未知の部分にあたり、「私は(ダレカトイウト)大野です」の意味である。
(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、24・25頁)
従って、
(11)により、
(12)
① 私(既知)は大野(未知)です。
である。
然るに、
(13)
① 私(既知)は大野(未知)です。
であるならば、
① 大野(未知)=私の名前(未知
である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
② 私の名前(未知)は大野(未知)です。
③ あなたの名前(は未知だから)は何(未知)ですか(と質問する)。
である。
cf.
③ What(未知) is your name(未知でなければ質問しない)?
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
①      私(既知)は大野(未知)です。
②   私の名前(未知大野(未知)です。
③ あなたの名前(未知 何(未知)ですか。
である。
従って、
(15)により、
(16)
(1)A(既知B(未知)である。
といふことには、ならない。