杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・従軍慰安婦裁判本人尋問~東京地裁15日午後2時から

2008-01-13 02:10:52 | Weblog
中国の海南島という、南の端の島に住む少数民族の女性たちが、戦中日本海軍によって、性奴隷にされたという事件です。
現在は控訴審で争っていますが、慰安婦事件で裁判を行っているのはこの裁判が最後のものです。おそらくは、この後には被害女性の年齢から考えても裁判はないだろうと思います。
最後の慰安婦裁判ということで、私たち弁護団もなんとか裁判所を動かしたいと思っています。

精神科医の聞き取りが昨年3月、6月の2回行われ、私たちが理解していた以上に、激しい精神的な荒廃があったことが分かりました。精神疾患を判断する世界基準となっているICDー10の基準によれば、生命の危険を感じるような危機的な状態が長期間続き、PTSDにとどまらない、「持続的な人格変化」にまで至っているということでした。

14才~17才の少女が、親元から引き離され孤独な空間に、食事も満足に与えられない状態で隔離され、人と話すことも出来ず、心身の虐待とともに多数人からの強姦という、人間として精神の破壊をもたらすような経験をしていたことを、もう一度裁判所に理解してもらいたい、その回復をはかるべきだったということを訴えます。
この女性たちにとっては過ぎたことではなく、この体験によってもたらされた心身の支障は、今なお存在するだけでなく、高齢になってさらにその深度を増すものだということで、夜中もよくねることができず、家族にも声を掛けられずに、じっと朝を迎えるという生活を戦後60余年送っています。

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10 コメント

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問題は (宇宙戦士バルディオス)
2008-01-14 21:32:17
>14才~17才の少女が、親元から引き離され孤独な空間に、食事も満足に与えられない状態で隔離され、人と話すことも出来ず、心身の虐待とともに多数人からの強姦という、人間として精神の破壊をもたらすような経験をしていたことを、

 でも、上記のような目に遭わせたのは、業者でしょう?売春が強姦なら、今日のソープ嬢もデリヘル嬢も、全て強姦の被害者です。

 実りある判決を得たいなら、上記の事実について、
1 我が国の公権力の故意又は過失によって引き起こされたのか?
2 しかし、河野談話によって、手を縛られている国側では、事実を解明することができないのではないか?
3 どのような事実認定が下されようと、既に最高裁判例で確立された、個人の請求権の否定は、動かないのではないか?
 という論点について、有利な判断を得る必要があるでしょう。最高裁における判例変更は、簡単にできないというのは、私でも知っていることです……
 私は、当時合法だった行為について、何故「戦争」に関係する行為に限っては、国家責任を認めなければならないか、全く納得できないのですが。
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現在も (ken)
2008-01-14 22:47:54
 風俗関係で働く女性には、人身売買で連れてこられた人たちが少なくないそうです。もちろん強姦ですね。
 戦争中の強姦を曖昧にしてきたのが、引きずられているような気がします。
 731部隊の関係者が薬害を引き起こしたということもありましたが。
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不思議です (杉浦ひとみ)
2008-01-14 23:30:59
なぜ、宇宙戦士バルディオスさんが慰安婦の問題にこれほど凝り固まった考え方をされているかが不思議です。
できたら、明日東京高裁に傍聴にいらしてください。
本人が事実を語ります。
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反対尋問を (宇宙戦士バルディオス)
2008-01-14 23:58:47
 国側が放棄した証拠調べで、何か史実(事実ではない)が明らかにされると信じるほど、私はお人よしではないからです(民訴を全く知らない訳ではありませんので)。
 裁判と違って、証拠の捜索と使用に限界がない歴史研究では、慰安婦の「証言」を覆す史実が、幾らでも出ております。
 それとも、河野談話という国の主張には絶対に誤りがないとお考えでしょうか?私は、国家の無謬を信じることはできません。

 本人の語ることが常に間違いのない事実であれば、我々史学研究者も苦労はしません。わざわざ時間とって、国会図書館の資料を調べたりする必要がなくなります。
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反対尋問を! (杉浦ひとみ)
2008-01-15 00:38:20
慰安婦裁判では、国の側は、ほとんど反対尋問を行いません。
法廷で、証言を反対尋問で吟味しないという国の態度には、私たちも国の不誠実を感じています。
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史学研究者ならぜひ傍聴を (盲愚螺)
2008-01-15 10:15:31
宇宙戦士バルディオス殿
「本人の語ることが常に間違いのない事実であれば」史学研究者のみならず、誰も苦労はしません。本人が語ることが「間違いない事実」であることもあれば、そうでないこともあるのは言うまでもありません。それはケース・バイ・ケースです。今回のケースにおいて、本人が語ることが「間違いない事実」かどうかは、それを聴いた人の判断によります。聴いた人によって、その判断が分かれることもあるでしょう。宇宙戦士バルディオス殿が、おっしゃる史学研究者としての苦労はよく理解しているつもりです。その上で、もし、今回のケースについて責任ある発言をしたいのであれば、ご自分で本人の語ることを聴いて、ご自分で判断をした方がよいと思います。暖かい血が流れる生きた証人の言葉を聴くことは、文献調査以上に史学研究には役に立つと思います。お時間があったら、ぜひ、傍聴にお出かけください。
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そこでえですね (宇宙戦士バルディオス)
2008-01-15 19:30:58
 「反対尋問」をしてくれる人士に公開討論を申し込んだらよいのではないでしょうか。
 例えば、慰安婦批判派の著名人、秦郁彦、中村粲、藤岡信勝といった人々です。相手にとって不足はないでしょう。もし、慰安婦に史実を語っているという自信があるなら、恐れるものは何もない筈です。こういった右派研究者が何を言おうが、論破出来るでしょう。裁判所や支援者の前なら過去を語れるが、反対派の前では、語れないということはおかしい。公開の場で決着をつけるべきです。それとも、反論されると、何か不都合なことでもあるのでしょうか?
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それは違う (kenさんへ)
2008-01-15 19:40:47
>風俗関係で働く女性には、人身売買で連れてこられた人たちが少なくないそうです。もちろん強姦ですね。

 強姦罪では、刑法176条(現行)により、「暴行又は脅迫を用い」ることが構成要件となっておりますので、慰安所で、利用者によるこの事実があったと刑事裁判で証明できない限り、強姦とはなりません。


>戦争中の強姦を曖昧にしてきたのが、引きずられているような気がします。

 「気がします」ですので、あくまで、貴方の主観ですよね。


> 731部隊の関係者が薬害を引き起こしたということもありましたが。

 731の人体実験は、法的には単なる殺人に過ぎませんので、過失事件である薬害とは関係ないでしょう。731にいた者が、一部関係していたに過ぎず、731には無関係だった者も、関与していました。
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被害者の立場で (ken)
2008-01-15 21:18:41
 反対尋問は証人を攻撃するような形になってしまうのでしょうが、それよりも無視するような態度の方がなおひどいと思います。きちんと事実を明らかにすることは大切です。
 
 法律上、いろいろ難しい問題はあるのでしょうが、被害者を速やかに救済する方向で、裁判所も知恵を絞って欲しいです。
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強姦が問題なのに (ken)
2008-01-16 22:21:20
 問題になっている証言は「強姦」ですね。それなのに、当時は合法的な売春があった、ということに話が逸らそうとする人の感覚がわかりません。
 今は売春は違法ですが、管理売春や常習でなければ罰則はない。でも日本は人身売買大国だそうで、拉致され、買われた売春婦も多いとのこと。こちらは大問題。
 「拉致」や「監禁」「強姦」は、当時でも犯罪でしょう。具体的に犯人を明らかにするべきですが、それができないなら使用者責任ということになるのではないですか。
 訴える方は相手の名前をわからないから、現政府を訴えるしかないですが、現官僚に直接責任があるわけではないのだから、のらりくらりと引き延ばしなんかしないで、犯人追及の努力をすると約束すればいいのに、と思います。
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