・半世紀前に行われたきりの「衆議院の法律案の再議決」

政府与党は、アフガニスタン復興を支援する海上自衛隊の給油活動を継続するために現行のテロ対策特別措置法（１１月１日に期限が切れる）に変わる新法案をこの臨時国会に提出し、衆議院通過後に参議院で否決されても、憲法５９条＊に規定された衆議院の再議決によって法律を成立させる方針を固めた、という報道がされています。

これは、法律の成立には衆議院、参議院の両方の可決が必要とされるのですが、衆議院で可決され、参議院で否決されたときに、衆議院で今度は３分の２という多数で可決したときには法律が成立する、とする規定です。

学校で習ったときには、法律については衆議院での再議決は当然のように行われているような思いで「覚えて」きていましたが、なんと、憲法制定後２８回しか行われたことがなく、しかもその最後に行われたのは、なんと１９５７年だということではないですか。

半世紀前に、行われただけの法律案の再議決！

弁護士になっていながら、なんと机上の学問をしてきたものかとあ然としております。反省


＊、
第59条〔法律案の議決、衆議院の優越〕

法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
②衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議　員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
③前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くこ　とを求めることを妨げない。
④参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて　六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したも　のとみなすことができる。