風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

佐野史郎

2018-04-16 15:01:33 | 名バイプレーヤー










そういえばこの方をまだ紹介していませんでしたね。




1992年にTBS系列で放送されたドラマ『ずっとあなたが好きだった』で、マザコン男桂田冬彦を演じ一大ブームを巻き起こしたのがブレイクのキッカケなのは、皆さんご承知のとおり。



私はこの方の実質デビュー作といっていい映画『夢見るように眠りたい』を観ているのですが、その時は普通の好青年といった印象で、後々冬彦さんの「凄げえ」演技を観るまでは、そんなに印象にはなかった俳優さんでした。申し訳ない。


1988年公開の映画『帝都物語』でもやはり、魔人・加藤保憲(嶋田久作)と戦う好青年役で、しかも途中でいなくなっちゃう。これもまたさほど印象に残らない役で、やはり冬彦さん役が廻ってくるまで、機会をまたねばならなかったようです。


ちなみに嶋田久作氏とは、かつて一緒にバンドを組んでいた仲でした。


冬彦さん以降は、ちょっと知的で狂気を讃えたような役が立て続けにオファーされ、ドラマ『はいすくーる落書』や映画『ぼくらの七日間戦争』の嫌味な教師や、オムニバス・ドラマ『世にも奇妙な物語』にはほとんど准レギュラーといって良いほどよく出演しており、変な人嫌味な人から真面目な人いい人に至るまで幅広く熟してらっしゃいます。



島根県出身で、その風土から小泉八雲の怪談話に興味を持ち、かなり深く研究されているとか。異界などへの関心も高いそうで、故・水木しげる先生や京極夏彦氏などと交流を持ち、映画『妖怪大戦争』にはこの御両名とともに、妖怪役で出演されておりました。


東宝特撮映画やウルトラマンなど、特撮モノへの造詣も深い。『ウルトラマンマックス』ではナレーションを担当し、また昭和38年公開の東宝特撮ホラー映画『マタンゴ』のリメイクを希望する署名運動を行ってもいました。この運動は結局頓挫したようですが。



こういう方は大概、海外のホラー映画にも造詣が深いもので、佐野さんもまた御多分に漏れず吸血鬼ドラキュラの大ファンだそうな。それもクリストファー・リー版ではなく、ベラ・ルゴシ演じるドラキュラが好きなのだとか。

私は断然クリストファー・リーですね。まあいいですけど(笑)


また高校生のころからバンドを組んでいたロック少年でもあり、ロック・ギタリスト山本恭司氏(BOWWOW)は高校の同級生だそうです。凄いね。




個人的にも好感が持てちゃう方ですが(笑)最近でもちょっと嫌味な警察官僚とか、やはりエリートで嫌な奴的な役は相変わらず多いようです。あの眼鏡ごしの冷たい視線とか、うまいんですよねえ。プロだから当たり前ですけど。



今年の大河では大老・井伊直弼役で出演しておりますね。佐野さんが演じる井伊直弼は、やっぱり見事に嫌味な奴になってますねえ。

正直、佐野さんと井伊直弼は、私個人としてはイメージが合いません。昨日の放送回では、一橋慶喜(松田翔太)に刺客を差し向けるなど、かなり悪辣なことを行っており、ここまで悪役にしたてちゃっていいの?と、今回の脚本・演出には違和感バリバリです。井伊直弼はこんな人じゃない!


ドラマなんだから、基本は面白ければいいわけですが、それにしてもこれはちょっと、気に入らないなあ。



今年の大河は全体的にも今一つ気に入らないんだよねえ。今年の大河は、よくない!



佐野さんは要求通りの演技を見事にこなしていらっしゃると思います。良くないのはドラマであって、佐野さんではありませんので、その点勘違いなきよう。



もっと良い役に恵まれることを祈りつつ、この名バイプレーヤーには心からのエールを送らせていただきます。