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ザ・マスターズファイター

2010-12-25 19:26:04 | ゲーム
聖なるクリスマス邪悪なソフトを紹介しますよ!



ザ・マスターズファイター(プレイステーション)
シネマサプライ
ジャンル:パチモノ格闘

 今更な紹介で恐縮ですが、略して「ザマス」と呼ばれている本作は、あの「修羅の門」とか「フィスト」とか「ファイティング・アイズ」とか「超人学園ゴウカイザー(プレステ版)」とかのような格闘ゲームが面白そうに見えてくるような出来です。そんな「ザマス」の負の魅力を語ります。

いろんな奴に激似のキャラ
 上のジャケット写真を見ればわかるかと思いますが、どこかで見たことのある連中ばかりです。主にネオジオ格闘シリーズが多いですが、部分的には「ストリートファイター」シリーズ等も含まれています。ざっと以下に挙げてみましょう。

・キム・カッファンそのまんまの主人公「北沢タクヤ」(テコンドー使いであるのもそのまんま)
・胴体がジャック・ターナーで顔がビッグ・ベアの「ビル・ガーデス」
・胴体がジョン・クローリーで顔がMr.BIGの「アザール・ウィッツ」
・ほとんどタン・フー・ルーの「カン・ティ・コン」
・ほとんど柳生十兵衛の「坂本辰之助」
二階堂紅丸の「J」
・ほとんどMr.KARATEの「Mr.DEATH」
・ほとんど(「龍虎の拳」時代の)ギース・ハワードの「カイン・ザハート」

 まるでどこか異世界の「ザ・キング・オブ・ファイターズ」です。
パラレルワールドは本当にあったんだ!

スーファミ以下のグラフィック
 キャラグラフィックを見ると、ものすごく画質が粗いのです。どうも小さい絵を無理矢理拡大しているようです。おかげでロード時間が比較的短いのですが、それが本作唯一の長所でしょうか。

キャラパターン全てパクり
 で、キャラがちょっと見で似ていたり画質が粗いというだけならまだいいのですが、例えば主人公タクヤの動きは「龍虎の拳」のリョウそのままです(テコンドー使いなのに)。ひょっとして製作者はゲーメストムックか何かに出ている技のグラフィックを模写してデータにしたのではないでしょうか。しかも想像される通り、動きも粗いのです。もちろんタクヤだけではなく、全キャラ何かの手動コピー&パッチワークです。

やる気のねえボイス
 代々木アニメーション学院の学生も吹き込んでいるようです。「ミシェール」という女キャラの声がそうですが、「らいとにんぐかったぁ~」「や、や、や、や」など脱力どころか全身の骨が抜かれたようなボイスが吹き込まれてしまったようです。

狂った日本語の勝利メッセージ
 主人公タクヤの勝利メッセージは
「あなたにテコンドーを教えてやろうか」
です。丁寧なのか粗野なのかどうにもわかりませんが、きっと今、皆さんはこう考えたでしょう。
「あなたに正しい日本語を教えてやろうか」と。

なくてもいいのに複雑なバックストーリー
 解説書のストーリー部分は「世紀末世界アメリカ」という言葉から始まっていますが、いきなり意味不明です。我慢して読んでみると、なんだかアメリカに渡ってきた主人公が組織に狙われてあーだこーだするというサウスタウンのような設定があるようです。そんなのどーでもいーし、と侮ってはいけません。なんとこの「ザマス」は小説やCDなども存在するのです。小説は読んだことありませんが、CDは(クソゲーマニアの)友人から聴かせてもらいました。そこにはCDドラマも収録されています。その冒頭のナレーションでの一言、「世紀末都市アメリカ」、って意味不明なだけでなく設定も統一されていません。そもそもアメリカが「世紀末」ならどこも同じだし、アメリカは「都市」じゃないです。

それでいてストーリーが語られるのはエンディングのみ
 別にいいんですけどね。特に知りたくもないし。ステージ間のデモまで手が回らなかったのか、頭が回らなかったのか、技術が回らなかったのか。

見たことのあるような人物相関図
 これもゲーメストムックによくあるようなやつです。しかも異様に複雑です。別に知らなくてもどうということもありません。でもこれだけ設定で盛り上げようとしているのに、ゲーム本編はえらく淡白です。

恋人がさらわれる主人公
 「龍虎の拳」主人公のようですね(妹がさらわれる)。コピーはキャラパターンだけではありませんでした。

ギースもどきの大切なものが「己自身」
 ジャケット写真最上段中央のキャラは敵組織のボスであるカインで、見た目だけでなく、動きももちろんそのまんまギースです。そしてカインもギースも大切なものが「己自身」です。あれ、やっぱりギース様ご本人ですか?

ギースもどきの嫌いなものが「キュウリ」
 そんな世界征服を目論む男カイン様が、「キュウリ」が嫌いって…。これはザマス制作者のオリジナルなセンスでしょうが、それにしてもなんというハズしっぷり。うっかりキュウリを食卓にでも出そうものなら、「ビリーよ、私がキュウリを嫌っていることを知らぬお前でもあるまい…。貴様の命で償ってもらうぞ」とか言われそうですが、ビリー・カーン関係ないか。

ボスが「チョイ・ボンゲ」+「ブランカ」
 キュウリが嫌いなカイン様、実は最終ボスではありません。最後は変な改造人間みたいなのが出てきます。見た目が「チョイ・ボンゲ」で、動きが「ブランカ」です。倒すとプレイヤーキャラとして使えます。やったね! ちなみにその正体は、二階堂紅丸が探していた弟です。このへんは「龍虎の拳」のキングの設定(足の不自由な弟がエンディングで回復)より救いがありませんね。

無意味なCPU観戦モード
 それを誰が求めているのでしょう? 「誰得」ってやつですね。

キャラが動かないオープニングアニメ
 キャラのイラストをスクロールさせたり、画面分割してみたり。編集ツールに慣れた人なら、元のイラストがあれば10分くらいで作成できるようなアニメーションです。しかも画質がすこぶる低いです。

嫌がらせに等しいボタン配置
 プレステのコントローラのボタン配置は
 △
□ ○
 ×
ですが、「ザマス」の初期ボタン配置は、□(弱P)、○(強P)、△(弱K)、×(強K)です。一応キーコンフィグもありますが、せっかくだからこのままでプレイしています。

正誤表が同梱
 ケースを開けると解説書の誤植の正誤表が入っていて、プレイ前から残念な気持ちになります。誤植をほったらかしているよりはいいのですが、せめて一度くらい校正したらどうよ?



あそらくって何だよ…。

正誤表すら間違っている技コマンド
 上の正誤表で顔壊拳(ヒドい名前だ)コマンドで大Pとありますが、小Pでも技が出ます。ちなみに解説書には大P小Pだけでなく強P弱Pなどの表記の揺れもありますが、本来は強P弱Pが正しい気がしますね。

「高速で瞬間移動」するという必殺技
 解説書にはこう書いてあったのですが、じゃあ「低速で瞬間移動」ってのもあるのでしょうか。他にもミシェールの技の「ライトニング・カッター」の解説には「軽くジャンプしながら足からソニックブームを出し、相手にぶつける」とありますが、ガイルの技を前提にするくらいなら、もう「ソニックブーム」でいいじゃないか。

 解説書ネタでもう一つ。ステージ紹介ページに「道場の地下神殿」とあります。私は武道のたしなみは全くありませんが、道場には地下神殿が設置されるものでしょうか?

起き上がりに重ねられる投げ
足払いだけでクリアできるゲームバランス
 こんなんだからクリアするのは簡単です。難易度上げても変わりません。格ゲーが苦手な方もプレイしてみてはいかがでしょうか。もっと苦手になるでしょうが。

ダサダサのタイトルロゴ
 上のジャケット写真のタイトルロゴを見てわかるように、昭和40年代くらいのセンスではないでしょうか。これもネオジオ系ロゴデザインを目指した雰囲気はありますが、あまりにも至らなすぎです。

わかるようでわからんタイトル
THE MASTERS FIGHTER
 私は英語がかなり不自由なのでどなたか教えてほしいのですが、この赤字で示した複数形の「S」の意味が分かりません。所有の「'S」だとしても分かりませんが。

おまけ:無意味なテクスチャ補間処理
 プレステ2にはプレステソフトに対してテクスチャ拡大時の粗さを補間処理する機能がついています。「ザマス」で補間機能オンにすると、ゴジゴジだったキャラグラフィックがボケボケになりました。やはり元々小さいキャラグラフィックを拡大して表示していたことが科学的に証明されました!



 動画もどうぞ。ちなみにこの動画ではKOしても試合が続行しているように見えますが、KO後も1秒くらいは操作可能なのです。なぜそのような仕様なのかは知りません。

 私がこれを買ったのはもう十年以上も前ですが、もともと「ゲーム批評」という雑誌で「最高・最低のゲームは?」という記事で複数のライターが最低側にその名を挙げていたのが気になったのが始まりです。「あまりの酷さに手放す気にならない」と書いてありまして、その気持ちを十二分に理解してしまいました。

 ところで、プレステオフィシャルサイトでは「アメリカやヨーロッパで大人気であった「MASTERS FURY」が、今、プレイステーションに「MASTERS FIGHTER」としてリメイク発売! 海外で作られたビッグスケールなキャラクター! 華麗な背景だけでも一見の価値あり! 3Dではだせないアニメーション感覚。連続攻撃の快感。さらに一打逆転の超必殺技も取り入れ爽快感も倍増!」などと書いてあります。エンディングを見てみると何ヶ所か「UNICO」というメーカー名がありました。このメーカーを調べてみると、韓国のUnico Electronics(現在はコナミ傘下となりKonami Koreaに社名変更)というところのようです。「アメリカやヨーロッパで大人気」というのはウソだとして、「MASTERS FURY」とやらが実在するかどうかも別として、情報を総合して推測すると、韓国製のパクリキャラグラフィックを使って日本側がでっちあげた、ということになりそうです(そうでないと、メディア展開や音声などが説明できません)。韓国のパクリはいつものことですが、「ザマス」制作は主導した日本側の罪が重いでしょう。

 「デスクリムゾン」「里見の謎」に匹敵するクソゲーといわれる「ザ・マスターズファイター」。ところが「デスクリムゾン」も「里見の謎」も愛すべきクソゲーなのに対し、この「ザマス」には情けなくなってきます。あそらく製作者達はネオジオ格闘が好きだったのでしょうが、ノウハウも無く技術が追いつかなかったのでしょう。それでもクオリティーが低いのは許せます。ですが、
志が低いのは許せません!
だから、負の遺産として永遠に笑ってやるために、二度と手放せなくなったのです。