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太陽の神殿

2019-03-23 22:36:26 | ゲーム


 なぜいきなり『太陽の神殿』なのかといえば、イースIVで「金の台座」や「太陽の神殿」が出てきたからなのでした。だいぶ以前に購入していたけど、この機会にクリアしようと。

 本作は例によってもともと8bit PC時代のゲームで、アドベンチャーゲーム『アステカ』の続編であり、尋常でない難易度で有名でした。そんな本作を作ったスタッフはその後、「今、RPGは優しさの時代へ。」とぶちあげたイースを作ったのだから、何かしらやりすぎた感があったのかもしれません。

 とにかくPC版はクリア不可能なハマリ状態に陥ることが多く、それなのに自分がハマっていることを知るすべがなかったのです。何かが起きてしまった後に、この状況をどうやって解決するか、などと考えているようでは永遠にクリアできません。その状況にならないように前もって対策をしていなければならないのです。

 そんな高難度だったもので、自力で解いた人は極めて少なかったのではないでしょうか。私も当時友人に借りてプレイしましたが全く歯が立たず、攻略本の走りである「チャレンジ!! パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム 2」を参照しっぱなしで無理やりクリアした覚えがあります。

 したがって具体的な謎の解き方なんか全く記憶にありません。それをいいことに、せっかくだからファミコン版は攻略情報なしでクリアしましょう!



 ファミコン版はストーリー仕立てになっています。ゲームの目的は伝説の「太陽の鍵」を手に入れることのようです。舞台となるチチェン・イツァーの遺跡は実在し、ゲーム中でも配置などがそれとなく再現されているようです。

 ところで本作は「アステカII」ではありますが、マヤ文明とアステカ文明は別物です。以前にも書きましたが。



 原作では一人旅でノーヒントだったのが、ファミコン版では幼馴染の女の子と現地ガイドの3人パーティーで、随所で仲間やシステムや神様からヒントがもらえるようになっています。



 チチェン・イツァーのマップ移動画面。PC版でも同様の雰囲気でした。なんとなくイースとの関連性を感じます。

 各建造物は斜め視点による描写になっていて、なかなか美しい描き込みになっています。この建物は尼僧院。ゲームスタート後に最初に来る必要があります。



 建物の中に入ると、コマンド選択画面になります。通常のゲームだとコマンド総当たりによって謎を解くことが可能ですが、前述のような罠が多数仕掛けられているのでよほど慎重にコマンドを選ばないとハマってしまうのです。

 上の写真はカスティーリョ(スペイン語のcastillo、英語ではcastle)と呼ばれる建物の財宝室。その中についに「金の台座」を見つけることができました! PC版では早めに金の台座を取ってしまうと、その後に泉で落としてしまってクリア不可能になってしまうという罠がありましたが、ファミコン版ではどうやっても金の台座を泉に落とすことはできませんでした。そうか、だからファミコン版のイースでは金の台座を泉で拾うイベントがカットされたのか!(多分違う)

 こちらでの金の台座はもちろん謎解きに使うアイテムで、とある場所でのアイテムを使う時に、台座がある場合とない場合で結果が異なるという謎が用意されています。このことはゲーム内の神様が「きんのだいざが あると ないとで おいしさ 2ばい。」とヒントを教えてくれます。



 こちらはゲーム内のチチェン・イツァーの中でも最大級の建物、戦士の神殿と千柱の間。ここにはゲーム内で最も厄介な罠があるところなのです。



 戦士の神殿でめぼしいものを取ろうとすると、像だったジャガーさんが突然動き出し襲いかかってきそうになります。ここですかさずアイテムを使ってジャガーさんを像に戻してしまうと、その後必要なアイテムが取れなくなってしまうのです。うまいことジャガーさんがいないタイミングを見計らって、とあるアイテムをゲットせねばなりません。しかもその時に使うアイテムがありまして、それをうっかり別のアイテムと組み合わせてしまっていたらもうクリア不可能です。私もこれでやり直しをさせられました。まあ知っていればここまでのプレイ時間は10分程度ですが。

 ファミコン版はセーブ方法がパスワードなので、途中段階のパスワードを幾つも控えておけば最初からやり直す必要もありません。パスワード方式のメリットですね。



 ゲーム中盤以降はこの球戯場に何度も足を運ぶことになりますが、ここの謎解きの手順がなかなか込み入っており、プレイしていて心配になる場面が多いのです。上の写真はうっかり閉じ込められた状況で、親切にもハマリであることを教えてくれています。ハマった場合に必ず教えてくれるわけではありません。



 なんとか多くの罠を避けてついに太陽の鍵を発見! ここではオカルト的なアイテムの効果で鍵を手に入れます。日本ファルコムの初期のゲームはオカルトっぽい雰囲気のものがあり、それがメーカーのイメージとして私には残っていました。デーモンズリング、アステカ、ドラゴンスレイヤー、ザナドゥあたりですね(前者2作はプレイしていませんが)。この路線の最後の作品が本作であるといってよいでしょう。



 PC版では太陽の鍵を手に入れたらクリアだったような気がしますが、ファミコン版ではなんと大魔王との決戦があります。勝敗はほぼ運であり、負けてもその場からやり直せるので、特に気合いを入れる必要はありません。

 ファミコン版では各建物に入った時に怪物が出てきます。怪物を倒せる順に建物を周れ、ということです。怪物を倒すことができるかどうかは、まず怪物を見ることで見分けがつきます。「かてそうにない」と出たら後回しにしましょう。



 大魔王を倒して幼馴染を目覚めさせるとエンディングで、魔王の神殿が崩壊していきます。そして生還した二人には意外な展開が待っていました。そこはプレイしてのお楽しみ(誰もプレイしないか)。



 エンディングの二人はなかなかいい顔しています。とても高校生には見えません。ちなみにここでコントローラをいじると目や口が開閉します。

 ところで下のキーワード、一文字飛ばしで読むと……、ってコレか!

 というわけで攻略情報なしで3日でクリア。さすがにファミコンユーザー向けにアレンジされていてクリアはある程度簡単でした。怪物との戦闘要素は蛇足的ではありましたが、展開にちょっとした変化がついたのはよかった気がします。ただ、よくわからない国籍不明の怪物を出すのではなくて、せっかくマヤ文明なんだからケツアルコアトルとか出せばいいのにとは感じました。

 全体的にちょっとヒントが多いようで、個人的にはもっと少なくしてもいいかなと。その代わりハマり状態の時にはゲームオーバーになってくれれば納得感もあるのではないでしょうか。まあ今時こういうアドベンチャーゲームってないですけどね。そんなレトロな形態の作品を久しぶりに楽しむことができました。



 おまけで、プレイ開始時に作った手書き白地図を掲載。左上の広場みたいなのが球戯場。ネットには綺麗なカラーのマップ画像もありますが、自分でマップを作ればゲームに対する思い入れは3倍増し。



 どうでもいい話ですが、私が最初にマヤ文明のチチェン・イツァーを認識したのは、幼少期に手塚治虫の『三つ目がとおる』を読んだ時です。上の写真の場面がそのままチチェン・イツァーというわけではないのですが、球戯場やいけにえの泉などを思わせるシーンがありまして、本作をプレイしている時にどこか知っている土地を歩いているような気になったのでした。『三つ目がとおる』は私のバイブルです。

イースIV MASK OF THE SUN

2019-03-11 23:04:23 | ゲーム


 私がリアルタイムにプレイしたイースはIIIまでで、IV以降は今回初めての挑戦です。イースIVに関しては、プレイ環境の都合でスーパーファミコン版となりましたが、このバージョンはイースIIIを移植したトンキンハウスによるもの。そもそもイースIVというのは、話によるとファルコムの原案をもとに2社が競作して別々のハードに発売したようです。したがって当時はファルコム純正のIVは無く、その後に原案に近い本作SFC版『MASK OF THE SUN』が正史となったらしいです。

 そんなイースIVをハードオフで400円(税別)で購入! イースIIIをクリアしてすぐの挑戦です。



 IIIでおかしかったアドルの顔が治った! というか本作はIIの直後でIIIの前の話。本来の「イース」にまつわる話(I&II)とその後のアドルの冒険(IIIおよびV以降)をつなぐ重要な作品となりました。



 画面はIIIの雰囲気を強く残しています。町を出た最初の地形は曲線的な山道で、特に初代イースを意識した作りです。また、ゲーム機の性能を活かして遠景と近景の二重スクロールになっています。

 ゲームシステムもIIまでとほぼ同様で体当たりによる戦闘。ただし敵がきっちり軸を合わせて来るため、半キャラずらしがやりにくくなっており乱戦になることが多かったです。敵の移動方向に対して横から攻撃する方がやりやすいかも。

 魔法は武器に付属の能力になっていて、アイテムでパワーアップが可能。この時点での魔法システムは荒削りであまり使いどころもなかったのですが、以降のシリーズではこれを発展させたシステムを採用しているようですね。

 武器の種類も従来の5種類から増えていて、強くなった感を何度も得られるのは良いところ。最終決戦では最強武器より一つ弱い装備が必要になるのは従来ファンもニヤリ。



 ここは峠を越えてたどり着くセルセタの樹海。一見複雑そうなマップに見えますが、実際はそうでもありませんでした。基本的に一本道で、分岐があってもすぐ行き止まりになる上に、アイテムがマップの分岐先にあることがほぼありません。行き止まりでなかったらそれは正解ルートで、アイテムやイベントの取りこぼしは(ほぼ)無いということです。そのために私のようにマップの全てを把握したい欲が旺盛なゲーマーにはプレイしやすいですが、一方で若干の物足りなさもありました。



 本編と関係無いですが、なぜかスクリーンセーバー機能も搭載されています。その名も(おそらく)フライングイースIV! 昔のMacintoshのスクリーンセーバーにあったフライングトースターのパロディでしょう。



 ゲームの中盤ではIとIIの舞台であったエステリアに戻ることになります。見知った村や草原を久しぶりに(私はそうでもないけど)駆け回るのはなかなかアツイ展開であったことでしょう。しかもここでフィーチャーされるのはあのリリア! 敵に狙われる立場でありながら、そんなことお構いなしにアドルを追っかけ、敵地の中心であるセルセタの樹海に勝手に突っ込んでいくという無謀の極致! リリアすごい見せ場っすなあ。

 過去作との関連性を持たせるために懐かしのキャラや村を出すのはなかなか効果的であって、ファンが作ったイースの続編という印象。これは素人くさいという意味ではなく、こういう展開があったら旧来のファンは納得するだろうというサービス精神と言えましょう。これがファルコム原案にあったものか、センス・オブ・トンキンなのかはわかりませんが、燃える展開なのは間違いありません。



 そんなリリアが敵ボスに見つかって人質として連れて行かれます。言わんこっちゃない! 敵ボスは古代に高度な文明を築いた有翼人の生き残り、エルディール。これら古代文明と有翼人の設定がこの後のシリーズの基幹となったようです。

 ちなみにこのちょっと後、リリアと引き換えに宝玉を渡せと言われるイベントがありまして、その時に「渡さない」という選択肢を選ぶと即時にゲームオーバーになります。イースではこれまでイベントの選択肢でゲームオーバーになることはありませんでした。



 リリアを助けるために、古代に有翼人と戦った英雄の霊に力を貸してもらいます。ここであの金の台座がフォーカスされるという意外な展開! 金の台座といえば、初代イースでアドルが泉で拾ってそれを換金したり(ファミコン版ではばっさりカットされたイベント)、古くは同社のアドベンチャーゲーム『太陽の神殿』でうっかり泉に落とされたりしたアイテム! それを買い戻すためにまたエステリアに行かなければならないのは面倒くさくてかなわん、と心で思っていてもなぜか顔はニンマリ。なかなかにイースファンをくすぐってきます。あれ、私はイースファンだったのか!



 前述の即死イベントで宝玉を敵に渡したら、なんとリリアは殺されてしまいます。その後のリリア復活の儀式が上の写真。これらの展開の際に、リリアを抱きかかえて移動したり、二人で走ったりなどのちょっとした例外処理による新しい要素がいろいろ入っています。もうリリアがゲームシステムやプログラムの中にまで干渉していると言えましょう。



 そしてエルディールとの最終決戦、ここでも珍しくイベント待ちのための避けに徹するプレイが必要になってきます。しかも2回も。正味の戦いはとにかく被ダメージが大きいのできっちり敵の攻撃を避けることが必須。

 ボス戦といえば、通常のボス戦とは異なり、アドル対多数の中ボスというシチュエーションも幾つかありました。これもイースとしては新しい要素です。



 ボスを倒すとエンディング。こちらは古代人のエルディールと唯一心を通わせたリーザさん。本作のヒロインの一人で、アドルがセルセタの樹海に赴くきっかけを作った人物です。悪に染まりかけたエルディールが倒れて傷心のようですが、頑張って生きてほしいものです。

 もう一人、カーナというヒロインもいるのですが、一枚絵なども無いため特に印象に残らないもよう。ちなみに武闘派。



 というわけでイースIVクリア。レベルはそこそこ上がりやすいですが、さほど頑張らなくても強い装備で先に進めるため、あまりレベル上げをさぼっているとボス戦で苦労するかもしれません。弱い敵を倒しても経験値が1しか入りませんが、ちょっと進むとすぐにちょっと強い敵が現れるので、常に経験値稼ぎができるようなバランスになっています。私のようにレベルをできる限り上げたい欲が旺盛なゲーマーには楽しいかもしれません。

 全体的に、とにかく従来のイースファンに楽しんでもらおうという姿勢で一貫した作品でした。その結果として、IIまでのイースの国とIII以降の世界との関連を示すことができたようです。エステリアに戻った時に、IとIIの村が地続きになっているのを見て思わずコーフンしてしまいましたよ私としたことが。懐かしのキャラ達も相変わらずで何よりでした。

 リリアがアドルの追っかけとして少々病んでいるような気はしましたが。

 次はファルコム純正のイースVに挑戦です。