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イースIII ワンダラーズ フロム イース

2019-02-24 23:17:57 | ゲーム


 イースIIIに関しては、X68000版を発売当初にクリアしたのですが、内容をほとんど覚えていませんでした。ハードオフでスーパーファミコン版が300円(税別)で売っていたのを見たとき、イースIIIってどんな展開だっけかと疑問に思ったこともあってつい買ってしまい、いっそのことシリーズを初代にまでさかのぼってもいいかと思ってプレイし始めてしまいました。もちろんIIもプレイ済み。

 スーファミ版はトンキンハウスによる移植。ファミコンで『太陽の神殿』や『ロマンシア』を移植した付き合いです。オープニングに紙芝居風のプロローグが追加されていましたが……。



 アドルの顔がなんかヘン! ちょっと健康状態を疑ってしまいます。ドギはまあこんな雰囲気でしょうけど。

 なんでも占いによるとドギの生まれ故郷に異変があるらしいとのことで、二人で向かうことにしました。その道中……。



 にゃー!

 ヤマネコもヘンになっています。遠近感も体のつくりもヘンです。アドルの顔といい、異変はドギの故郷にとどまらず、ゲーム製作現場にまで広がっている様子。



 こちらが本来のタイトル画面。町に着くやいなやドギの幼馴染のエレナに出会い、色々あって封印が解けた魔王ガルバランを倒すことになりました。

 改めてスーパーファミコン版をプレイしてみると、印象に残らなかった理由がいくつか考えられました。そのことは後述するとして、聞きかじったところによるとこのイースIII、開発段階ではイースとは関係のないアクションゲームだったけど、会社の方針でやむなくイースの名を冠することとなったとのこと。

 確かに従来のイースとは大きく異なるゲームで、サイドビューで剣を振り回すジャンプアクションRPGになっています。舞台設定もイースという国とは無関係で、過去作から連続しているのは相棒のドギのみ。詳しくは知りませんが、後に整備された設定ではイース発祥にも関連する古代人がらみの話ということになったらしいですが。



 街を出るとワールドマップに切り替わり、行き先を指定します。するとアドルが目的地に到着する直前からスタートします。上の画像は最初の地点である鉱山へ向かうアドル。当時のファルコムはこういう大胆な雲の表現を得意としていました。



 鉱山の中では岩肌に組まれた足場と階段をアドルが駆け回る画面構成。背景には地下の滝などがあり、多重スクロールを駆使した空間的な演出になっています。

 さてこのイースIII、1989年発売当時も前作ほどの盛り上がりはなかったような気がします。どちらかというと多重スクロールが話題の中心だったかもしれません。当時は8bit PC時代の末期であり、16bit機による高度な処理が可能になったゲームが増えてきていたからではないかと考えています。イースIIIのオリジナルは例によってPC-8801mkII(SR以降)ですが、ビジュアル的にあのハチハチで多重スクロールを高速に処理しているという技術は驚異的ではあったけれど、16bit機にしてみれば「まあこれくらいはできるよね」というものだったし、ゲームとしては枝葉の部分だったのです。サイドビューで剣を振り回すARPGには『トリトーン』などの前例もありましたので(スクロールではなく画面切り替え方式ですが)、システムが斬新ということもありませんでした。



 鉱山をさくっとクリアすると、次の行き先は火山の麓。あれこれとイベントがあって溶岩が泡立つ地下に落とされてしまいました。ここはボスを倒さないと閉じ込められたままの場所ですが、無限に薬草を拾うことができるので格好のレベルアップポイント。まだ序盤なのに私はここで最高レベルまで上げてしまいました。

 もちろんここの背景も多重スクロールです。8bit PCでの多重スクロールの重ね合わせ処理のやり方としては、近景やキャラごとにマスク用の「型」を別途用意しておいて、bit演算によって遠景を型でくり抜いた後に近景やキャラのパターンを順次足し合わせて表示しています。そんな手間のかかる処理をハチハチが画面の広範囲に対してリアルタイムに行っていた、というのが本作最大のみどころだったような気がします。逆に言えば、私がプレイしたX68000版では普通のゲームだった印象。時代の変わり目に限定された賞味期限付きの味わいだったのかもしれません。



 その後は雪山をちゃちゃっとクリアして、ガルバランを復活させようとする領主がいる城へ。時計台(?)の中では歯車を足場にしてルートを探ります。

 プレイしていてここらへんで感じたのは、「なんか単調だなあ」ということです。サイドビューですから基本的に左右移動が主体になります。それに上下移動を加えようとすると、どうしても舞台は地下の洞窟とか建物の中ばかりになってしまうのです。それに経験値制を導入しているということは、戦闘がひっきりなしに行われるということで、高度なアルゴリズムを持つ敵なんかと戦うのはしんどいために動きが極めて単純になっているのです。その割には剣を振るアクションをするためにボタンを押さねばならず、単調でありながら面倒くさいという印象になってしまっています。従来のトップビューだったら上下左右自在に動き回れ、体当たりだけで戦闘できたのに、と感じてしまいます。



 城をクリアすると次は舞台はもうガルバランの島でした。行き先は計5箇所ということで非常に短く、これまた印象に残らなかった理由の一つでしょう。

 ここでの画面効果は斬新で、アドルの位置にかかわらずサーチライトのように画面の一部が照らされるというものです。まあここにはその効果の特性を活かした謎解き(通路探し)がありますが……。

 もう一つ印象に残らない理由として、ワールドマップの存在そのものが挙げられるでしょう。従来のイースではステージが全て繋がっていて、アドルが自分の足で冒険したという実感がありました。ワールドマップで行き先指定すると、どうも目的地までタクシーですっ飛ばしたような感覚になってしまい、冒険したという印象が薄いものとなってしまっているのです。もちろんアドルの足跡を全てゲームとしろというのは無意味でしょうが、前述した単調さや短さを補うことはできたかもしれません。



 そしてまた色々あって最終ボスのガルバランとの戦い。スーパーファミコン版のこいつはどえらく強かったですね。ガルバランが弱点を露出したときにジャンプして剣を振ってダメージを与える手順なのですが、地面が上下動をしているためにジャンプ最高高度が安定しないのが難しさの原因。地面が上に動いたときにフルにジャンプするとガルバランに突っ込んで大ダメージ、それを恐れてジャンプを抑えてしまうと地面が下に動いたときには空振りして長期戦、そのうちにダメージ蓄積と集中力切れで負け続けでした。弱点露出の時間が短いのに対し、ガルバランの攻撃を避け続ける時間が非常に長いのもしんどさの要因。

 私の場合は使えるアイテムを全部使い、攻撃可能な瞬間を狙ってパワーリング(攻撃力を高める指輪)を装備するという短期決戦でなんとか勝つことができました。いちいちリングを付けたり外したりするのが面倒ではありましたが。そしてエンディングを迎えますが……。



 あいかわらずアドルがグロッキー状態! ドギの方が男前です。ゲーム中にかなり活躍したエレナが追いかけてきました。



 旅立つ二人を見送るエレナ。このグラフィックはなかなか良いですね!



 え? 誰? ていうか何? エレナの絵柄にも異変が出始めたようです。

 というわけで無事イースIIIもクリア。文中では批判的に書いてしまいましたが、実際には結構本気でプレイしており、十分に楽しむことはできました。イースシリーズはV以降で剣を振るアクションが中心になったらしいですね。また、イースという国との関連も問われなくなったようで、これらの意味で本作はイースを拡張するために必要な実証試験であったのかもしれません。

 次はスーパーファミコンのイースIVに挑戦です(本記事を書いている現在、最終ボス手前でセーブ)。

イースⅡ

2019-02-11 21:56:45 | ゲーム


 私はイースIIが好きではありませんでした。(またこのパターンか?)

 とは言っても、もうこのシリーズはアドル・クリスティンのものであると諦めはつきましたし、前作イースの半端なエンディングの続きも気になっていましたし、何よりPCショップのデモが革命的なクォリティだったため、X1turbo版のイースIIを発売直後に購入したのでした。

 そしてプレイを始めると、どうにも地下迷宮みたいな狭くてゴチャゴチャしたマップが多いのです。そんな雰囲気をしんどいなあと感じていると、終盤になってサルモンの神殿+地下水路という複雑&広大なマップにうんざりしてしまったのです。もちろんその後クリアして素晴らしいエンディングも味わいましたが、なんか再プレイする気が起きずに1回クリアしただけでお腹いっぱいになってしまい、それっきりプレイすることはありませんでした。

 そして先日、ファミコン版の前作イースをクリアしたので、その勢いでイースIIももう一度クリアしようじゃないかと考えた次第であります。



 ファミコン版の前作はチープなアレンジが目について、オリジナルのPC版を見直すきっかけになりましたが、ファミコン版の本作はなかなか忠実に移植されています。アニメーションを多用したオープニングも、尺は短くなっていますが頑張って再現されています。リリアも上の写真の通りの描き込み。



 おそらくマップは可能な限り原作に忠実であると思われます。もちろんバランスが整えられていたり画面の表示の都合で変更した部分もあるでしょうが、余計なアレンジや大胆なカットもないようです。前作に批判があった影響かもしれませんが、それはもう意地になって移植したのであろうと想像します。ところが、その意地によってアレンジの多い前作と矛盾する部分もできてしまったりしたのですが……。



 イースIIで私が一番問題視したマップの複雑さですが、序盤から廃墟や廃坑などの狭くて複雑なレイアウトで始まり、中盤の氷壁も隠し通路があったりでやっぱり難解です。前作では最初に草原で自由に走れたこともあり、それがイースのイメージともなっていたのに、どうにも狭っ苦しい地形ばかりです。その後の溶岩地帯は比較的広々と走れますが、地下空間であろう設定なので今ひとつ開放感がありません。そして終盤のサルモンの神殿と地下水路で複雑さはピークに達すると覚悟していましたが、ファミコン版ではやや楽になっていたような気がします。その理由まではよくわかりませんでしたが。

 神殿も地下水路も多層構造になっていて、2次元で描かれていながら3次元的に正確なつながりとなっており、よくもまあこんなマップを作ることができたと今になって感心しました。30年前も、正確な構造を把握しないと気が済まない私としては同じところを納得するまで何度も通ったりしたため、非常にプレイに時間がかかっていたのでした。ファミコン版にはある程度の省略や変更があったのかもしれません。だとしたらそういう調整は大歓迎です。

 蛇足ですが、PC版のプレイ中にこの地下水路で流れる音楽をあまりに聴きすぎてトラウマレベルになりました。ところが改めて聴いてみると、同社のソーサリアンの「呪われたクイーンマリー号」の船内BGMと構成がそっくりなことに気づきました。この曲は私がソーサリアンでベスト3に入るほど好きな曲なので、ゲーム音楽の好き嫌いにはプレイのシチュエーションも大きな影響を与えるんだなあと強く認識したのでした。

 イースII独自のゲーム性としては魔法が使えることが挙げられます。とくに戦闘に関してファイヤーの魔法は強力で、魔力消費量が少なく、アイテム装備によっては敵に向かって誘導するようになります。ボスもファイヤーで倒すことが前提となっているようです。まあ私はあまり使わず、終始「半キャラずらし」が主力でしたが。イースのゲームとしての面白さはテクニカルなボス戦だと考えていますが、ファイヤー使用を前提とした本作のボス戦はほとんど印象に残らず、ちょっと残念。

 謎解き要素は多いですが、何かありそうな場所で使えそうなものを使うのが基本パターンです。もう一つのパターンは、モンスターに変身できる魔法を入手したら敵と会話をすることができるようになり、そこで情報を得るというものです。この時の装備の付け替えが意外と面倒くさかったので避けていたら、幾つかの場所でいつまでもフラグが立たなかったということもありました。過去のプレイも覚えていなかったし。こういうのは総当たりするのは大変なので、ゲーマーとしての勘が必要なところですね。私もまだまだ未熟です。



 イースIIのキャッチコピーは「優しさから、感動へ。」であったと記憶しています。本作の「感動」の具体的な部分は、終盤の鐘つき堂イベントの盛り上がりとか、最終ボス直前にみんなが応援して送り出してくれることとか、エンディングでみんなが褒めてくれるとか、使命を帯びた女神との別れなどのことでありましょう。身も蓋もない言い方ですが。それでも「自分よく頑張った!」と言えるゲームは良いゲームなのです。

 ちなみに上の写真の鐘つき堂はゲーム中でイースが天空に浮いていることを示す唯一の場面ですが、もっと随所で天空感を出して欲しかった気がします。地下深くに潜っていったら急に視界が開けて雲が見え、はるか眼下に地表が広がっているとか、イースの根っこ部分に架けられた吊り橋や梯子を渡っていくとか。最終ボス直前もいつの間にかイースが地上に降りていることになっていて唐突感があります。イースが地上に降りた瞬間が(あとになって)わかるような効果やイベントあったらよかったのに。

 最終ボス直前のイベントでアドルが銀のハーモニカを渡されるというのがありますが、ファミコン版の前作では銀のハーモニカ関連のイベントが丸ごとカットされていて、ファミコン版しか知らないと「何の話?」となってしまうのでした。返す返すも前作で変なアレンジをしないで欲しかった……。



 最終ボスとの戦いは、持てるものを全て使い切るようなものになります。PC版では背景に巨大な炎のアニメーションがあって、ものすごい迫力でした。



 そしてエンディング。2人の女神、6人の神官の子孫たち、ついでにリリアが大集合。神官の子孫のうち2人は前作に登場しており、イースが地上に戻ったためにやっと6人揃うことができたという設定。神官の子孫だったという説明がない人物もいるようですけど。女神であるヒロインのフィーナとはお別れになりますが、ここでも前作での「フィーナの影が非常に薄い」というアレンジによって「なんでこんなに大層なお別れなんだ?」と思うことでしょう。



 そして地上へ。アドルの最初の冒険はこれでおしまい。久しぶりに観たこのエンディングで「イースをアドル・クリスティンの冒険として認めようじゃないか」という心境に至ったのでした。



 というわけで、アレンジ前作との齟齬がいくつか発生してしまったのはやや残念ですが、とにかく気迫のこもったできうる限りの忠実な移植であり、ファミコン特有の「軽さ」もなく原作に近いプレイ感覚がありました。もちろん原作が完璧だと言うつもりはありませんが、私にとっては全く違和感がなかったのは間違いありません。そして私は30年越しでようやくイースIIを受け止めることができたようです。次はスーパーファミコン版のイースIIIに挑戦です(最終ボスが強くてかなわん)。



 おまけでオープニングの比較



 上は原作となるPC-8801mkIISR版。当時の8bit PCだと、こういうアニメーションはメモリを食いまくるし、ハードウェアスクロールなんてできないのが普通なので、ここまでやるオープニングはなかなかありませんでした。音楽も高性能サウンドドライバによってかなりの表現力を持っているし、曲想も当時のゲーム音楽では聴いたこともないほど先進的でした。



 こちらはファミコン版。冗長な部分はばっさりカットされていますが、相当頑張って再現しています。

 ところでリリアってなんだったんでしょうか。IIならではのヒロインなのでしょうが、そもそもI〜II通してフィーナが話の核心だし、エンディングではなんかお邪魔虫っぽかったし。IIの直後の話だというIVにも出てくるのかな? そうでないとあまりに不憫や……。