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日野日出志作品紹介
   

日野日出志「地獄へのエレベーター」「がま」

2013-08-31 23:09:07 | 日野日出志
 今回はひばりヒットコミックス「まだらの卵」に収録されている短編から「地獄へのエレベーター」「がま」を紹介。この本に掲載際されている作品はどれも後味が悪くて素晴らしいです。

 「地獄へのエレベーター」は強烈な恐怖心を読者に植え付けた名作の一つ。舞台はマンモス団地の最上階。森本重光(13歳)は団地の野球チームに所属しており、その日は試合があるようです。



 この昭和の雰囲気にリアリティを感じますが、なによりも重光少年が死神に取り憑かれるプロセスに大変な説得力があります。まるで「機動戦士ガンダム」の第1話でアムロ・レイがガンダムに搭乗せざるを得なかったシーンのようです。会話は高密度でありながらテンポと間が絶妙で、どこの兄妹ゲンカでもあるような自然な流れで憑依されてしまいます。

 重光少年は気にせずに出かけて、エレベーターがくるのを待っています。家は15階にあり待たされたようですが、やっと来たエレベーターに駆け込もうとしたら先に乗っている人がいました。なんか不気味なものを感じていると、一瞬の間だけ停電が起きて明かりが消え、再び点灯すると一緒に乗っていた人がいなくなっています。すると、さっきまでいた人が13階から再び乗ってきて、重光少年は恐怖にとらわれます。さらに12階では老夫婦が乗ってきて、重光少年に対して死相があらわれていると言い放ちます。さらに下の階では、扉が開いたのに誰も乗ってこないのでおかしいと思って振り返ると、そこには牙の生えた少女が乗っています。ここで重光少年は妹の言葉を思い出し、次にエレベーターが止まったらいったん降りようと考えるのですが…。



 なんとエレベーターがずれていて降りることができません。しかも全員が示し合わせて乗ってきたようで、とぼけた会話をしながらも重光少年を殺そうとしているようです。逃げ場のないエレベーター内で刃物を持った人達に取り囲まれて絶体絶命ですが、もうすぐ1階に到着です。ところが扉は開かず、エレベーターは地下を通り過ぎてさらに下に向かっており、恐怖のあまり意識が飛んでしまいます。

 そして重光少年は目を覚まし、エレベーター内に誰もいないことを確認し、止まっているエレベーターから降りようとすると………。

 とにかく密室のエレベーターというシチュエーションで起きたら嫌な出来事の連続で、団地住まいの読者には大きな恐怖を与えたと思われる作品です。妹の言葉が尖っているのに対し、死神とおぼしき連中の言葉遣いはなぜかとぼけており、それがかえって強大なプレッシャーを発しているのです。日野日出志作品の中でも本作が印象的だと感じる人も多いかと思われます。


 もう一つの作品「がま」も兄弟のシーンから始まります。



 急に飛び出してきたがまがえるに驚いた兄は思わず木の棒で打ちつけてしまいます。そして驚かせた罰だということで、瀕死のがまがえるをおもしろ半分に解剖してしまいます。

 ところがそれ以来、兄の体中にイボができ、それらが増え始めたのです。弟はあのがまのたたりではないかと恐れます。そしてある夜…。



 がまの大群に兄は襲われて……、と思ったら悪夢だったのか幻覚だったのか、がまの姿はありません。このあたりの精神が蝕まれていく描写は日野日出志作品の最大の特徴です。このがまの大群の描写も生理的な嫌悪感を与えるもので印象的。

 兄は頭痛を伴うようになり、病院のレントゲンで診てもらったところ頭にふしぎな影があるとのことで開頭手術をすることに。手術室の前で待つ弟が見たものは、病院の池から手術室に向かうがまの大群。そして手術中、兄の頭蓋の中から出てきたものは………。

 その後、今度は弟の体にイボがあらわれ、手術を待つことに……。

 このように非常に読後感が悪く、それだけにホラーとして見事だと言える二作ですが、そこから何らかの教訓を得ようとするならその答えは簡単で、「人に対して呪いの言葉を吐くな」「生き物をおもちゃにするな」といったことが言えるでしょう。最近は「はだしのゲン」の騒ぎがあり、漫画の描写が持つ力が注目されています。これに伴って、ホラー漫画等における人間の暗黒面の描写にも目をそらすべきでない、という言説もちらほらと目にとまります。もちろん漫画が全て教育的になる必要なんてありません。しかし、恐ろしいものを恐ろしく描写し、残酷なものを残酷に描写することは、恐ろしさや残酷さを伝える効果的な方法でしょう。恐ろしいものを明るく、残酷なものを小奇麗に描写する方がよほど歪んでいると言わざるを得ません(もちろんその歪みを表現した「大人向け」の作品もありますが)。


日野日出志作品紹介のインデックス

石井眞木 現代日本の音楽名盤選12

2013-08-18 21:15:53 | CD


石井眞木:
・日本太鼓とオーケストラのための協奏曲「モノ・プリズム」 作品29

日本太鼓:鬼太鼓座
指揮:朝比奈隆
大阪フィルハーモニー交響楽団

・打楽器とオーケストラのための協奏曲「アフロ・コンチェルト」 作品50 ~バージョンA(2人の打楽器奏者のための)~

打楽器:百瀬和紀、山口多嘉子
指揮:岩城宏之
NHK交響楽団

VIctor: VDC-5512



 今ではどうか知りませんが、そのむかし早稲田大学のオーケストラがよく演奏していたのが、レスピーギ「ローマの松」、ストラヴィンスキー「春の祭典」、そして本CDに収録されている石井眞木の「モノ・プリズム」で、私も何度か聞きにいったことがありました。「モノ・プリズム」とは作曲者の造語で、「モノ」はモノラルやモノクロの「モノ」で「単一の」と言う意味。「プリズム」はあの光の色を分解するプリズム。ここでは、「モノ」は日本太鼓の単一的な音色、「プリズム」はオーケストラから放射される多彩な音色を意味しており、これら全く異なる二つの楽器群の音がぶつかり合う曲です。

 さて、このCDに収録されている「モノ・プリズム」と「アフロ・コンチェルト」はかなり類似したコンセプトの下に作曲された気がします。芸術作品は大抵の場合、その内外に対立構造を持っているものですが、協奏曲の場合にはそれが特に明確でしょう。この2曲はいずれもオーケストラに対する打楽器群の協奏曲のような作りで、変幻自在のオーケストラの音に対して、打楽器郡のある種不器用な音が浮かび上がるようになっています。

 「モノ・プリズム」の場合は、アトモスフェリックなオーケストラの音を背景に、日本太鼓がくっきりと無心に打ち鳴らされます。両者は異なるレイヤーに存在し、その焦点距離さえも異なって聞こえます。そして距離が近づくでもなく主張し合い、最後まで融け合わずに終わるのですが、それでも両者の方向性を合わせることができたという満足感が得られます。また、日本太鼓の演奏者達には完全なシンクロが求められる曲ですが、そのことが演奏者達の人生までも感じさせるような気がするのです。



 上の動画は岩城・N響の「モノ・プリズム」の演奏。ぜひ大音量でお聴きください。

 一方の「アフロ・コンチェルト」では、それこそアフリカンドラムによるアフリカ的リズムの反復が病み付きになる音楽。ここではアフリカの民族楽器「バラフォン」も登場し、2人の打楽器奏者によるバージョンAの演奏。「モノ・プリズム」と比較して、オーケストラはよりリアルな大自然のような音を発するのに対し、打楽器はそれをしなやかに乗りこなす野生の人間のような存在に聴こえます。

 二曲ともオーケストラ(西洋音楽)vs 打楽器群(東洋またはアフリカ音楽)という対立構造で、さらには人間 vs 大自然というもう一つの対立構造もあるように思われます。西洋音楽ではあまり大自然という概念はありませんが、それは恐らくキリスト教的な神という概念が大きくそびえ建っているからではないでしょうか。したがってこれら2曲は、まさに西洋のクラシック音楽では産みだされ得なかった音楽なのかも知れません。


クラシックCD紹介のインデックス

ウォリアーズ オブ マイト アンド マジック

2013-08-03 22:23:21 | ゲーム
 禁断の魔法を研究したために、罰として生きているようなマスクをつけられ地下に落とされた主人公アレロン、彼が地上に戻ってマスクをはずし、予言の通りに古代の神を倒す、というお話の「ウォリアーズ オブ マイト アンド マジック」。プレイステーション2で発売されたARPGですが、まあほとんど普通のアクションゲームと言ってもいいでしょう。

 「マイト アンド マジック」シリーズは世界三大RPGに数えられる(ことが多い)ほどメジャーですが、日本国内では「ウィザードリィ」「ウルティマ」ほど名が通っていないような気がします。私もシリーズをほとんどプレイしたことはありません(プレステ2の「M&M8」をちょっとプレイして積んだだけ)。そのシリーズのスピンオフ作品がこれになります。



 この動画はオープニングと序盤(ただし英語版)ですが、大体のシステムや雰囲気はこれでわかるかと思われます。

 禁断の魔法を研究、というからにはランクの高い魔法使いをイメージするのですが、アレロン様はご覧の通りムキムキの肉体派。棍棒を振り回してモンスターを叩き潰します。もちろん魔法も使えますが、呪文書がないと魔法を使えるようにならなくて、そんなんでよく罰せられるほど禁断の魔法に近づけたもんだと疑問。話の展開もなんだか無茶苦茶で、そういったものを期待しないほうがいいですが、箱庭的な舞台の中でひたすらモンスターをぶっ倒すのはそれだけで楽しいです。

 私は随分以前に通常難易度でクリアしていましたが、なんとなくプレイしたくなって今度は難易度ハードでチャレンジしてみました。さらに、前回は放ったらかしになっていたクエストやシークレットも全てクリアしておこうかと思ったんですが…、

 どうしてもシークレットが一つ見つかりません!
 情報求む!  → 見つかりました!

 mikeさま、情報ありがとうございました!


 全部で10のエリアがあり、それぞれのエリアは1~3つのサブエリアからなっています。サブエリア間はある程度自由に行き来できます。いつでも以前にクリアしたエリア(の最初)に戻ってプレイすることができます。その場合はレベルや装備は強いままなので、アイテム探し等は楽になっています。各エリアをクリアすると、倒した敵、拾った金塊、クリアしたクエスト、見つけたシークレットの数が表示されるので、このあたりに極めがいがあると言えます。ただし、敵の数の中には味方となるキャラも含まれてますし(倒すことはできる)、金塊集めの方も敵の倒し方が悪いと崖下に金塊が落ちてしまって取れないこともしばしばあるので、これら2つは妥協しました。

 敵との戦闘は、通常は剣か魔法を使うことになります。戦闘の仕方としては、まずガード態勢で敵に近づき、敵の攻撃を1回(敵によっては2回)ガード、その直後にガードを解いて2回ほど連続攻撃、というのを繰り返すと一対一ではまず負けなくなります。敵が多数いる場合は、うまく一体だけ誘導するか、逆に全部を一箇所にまとめるかするといいでしょう。敵や武器には属性があり、それによって彼我のダメージが決定されます。難易度ハードでは重要な要素になるでしょう。魔法は魔力があるかぎり使え、魔力は時間で回復します。敵多数をまとめて相手する場合に魔法を使うのが効果的だと思われます。体力回復は主に魔法か薬でできますが、序盤は薬に頼るしかありません。魔法は全部で23種あり、取り損なったら前のエリアに戻る必要があります。

 画面はそこそこ美しいですが、操作性はやや硬いかもしれません。ジャンプやガードの操作が遅い感じを受けるときがあります。また、カメラワークもいくらか不自由です。こういったゲームにありがちですが、壁の中にカメラ視点が入り込めないため、見づらい場面がよくあります。全体としてはいずれも酷いというほどではありませんが。

 それと、いくつか不具合があるようです。何でもない地形にひっかかって出られなくなることが何度かありました。あと、メモリーカードのロードで頻繁にフリーズしていました。

 洋ゲーの雰囲気が好きな人にはオススメです。慣れれば難易度ハードでもそれほど難しいというわけでもないですし、謎解きも単純なものばかりです。クエストのクリアやシークレット探しも楽しいですよ、というわけで以下はちょっとした攻略データ。



 クエストはゲーム内で依頼されたりする課題で、クリアには直接関係ないものも多くあります。けれどもクエスト達成によって経験値が得られるため、できるだけ達成しておくといいでしょう。とは言っても、適当にプレイしていればクリアできるものがほとんどです。

 私が苦労したのは、エリア9-1に6つあるクエストでした。以前のプレイでは4つしか達成できていなかったのですが、今回は結局3回もやり直しました。詳しい条件は不明ですが、捕らえられたローグと早い段階で会話する、鍵を持っている敵は全ての最後に倒す、という方針でプレイしていたらようやくパーフェクト達成。下の画像はその証拠写真。



 もう一つの攻略要素であるシークレットについては、さんざん探してみたのですが残念ながらエリア1の中で一箇所見つけられませんでした。いつもと違うプレイしなければ出ないのかもしれません。エリア1-3で、敵が見えないのに唸り声だけ聞こえる場所がありまして、それと関係があるのでしょうか。とにかく数えきれないほどプレイしましたが、疲れたのでとりあえず自力発見はあきらめました(2014/2/28にmikeさまのヒントをもとに発見)。以下にそれ以外のシークレットの場所のメモを収録。

1-1 罪人のピット
・下水道の突き当たりの壁
・オークが襲われている部屋の天井から机に落ちた梁の上
・寒がっている幽霊の部屋近くのレバーを動かして開く扉の中
・板をつたって進んだ先の部屋で床のスイッチ3つを踏んで開く扉の中

1-2 クローラーの巣
・3つの樽のある部屋で樽を使って上の足場に登りレバーを動かして開く扉の中
・床の牢がある部屋の奥の壁を破壊 NEW!!
・下水道に下りる部屋で松明を調べて開く通路の奥

1-3 オークの鉱山
・最初のオークの小屋の床下
・川の左の岩棚の上
・小屋の上から続く長い梁の端
・滝

2-1 ドラクロアの村
・族長の家の近くで左奥にある足場の下
・宝の鍵を使って開く部屋

3-1 エンロスのクエスト
・ステンドグラスの裏
・電撃の廊下の小部屋の壁を破壊

3-2 真実の柱
・最下層にある滝の裏

3-3 知識の守護者
・なし

4-1 絶望への道
・小川の石の上に見える蜘蛛の巣の中

5-1 異端者
・最初の建物二階ベランダの手すりから登る屋根の上
・滝の裏

5-2 闇の瞳
・なし

5-3 迷路へ
・なし

6-1 タリンスラクス
・なし

7-1 荒廃した修道院
・なし

8-1 通過の儀式
・なし

8-2 火山を抜けて
・なし

9-1 堕落の寺院
・スタート直後の動く足場の左にある穴
・足場を渡った先の右の岩の上の穴
・寺院の地下牢
・寺院右奥の足場の下

9-2 狂気の壁へ
・ベッドの横のついたての裏から入る隠し部屋
・ライブラリの通路の下でビリジアンの鍵を使って入る部屋

9-3 力の門
・なし

10-1 ダグラソーア
・なし



 この画像は最後のシークレット(エリア9-2)の場所ですが、これまでのゲームの展開をまるで無視して、なぜか巨大なホテル風のバスルームです。左側には便器も見えます。

 シークレット探しについては攻略サイトをかなり探したのですが、見つからずじまい。こちらをご覧の皆様、何か情報がございましたらお知らせいただけると幸いでございます。もし自分で探してみたいというのでしたら、中古屋なら300円程度で買えるかと思います。なにとぞよろしくお願いいたします!

→ mikeさまのヒントをもとに見つけることができました!
  ありがとうございました!




 エリア1-2の2つめのシークレットですが、硬い石の壁だと思っていたら裏側に回ってみるとベニヤに描かれた書き割りだった、というジョークでした!