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SuperLite1500シリーズ スリザーリンク

2013-06-30 23:22:44 | ゲーム
 以前に「SuperLite1500シリーズ おえかきパズル」をさんざんプレイしましたが、その勢いで買ったのがこの「スリザーリンク」でした。このパズルは0、1、2、3の4つの数字が書かれたマス目の辺をラインでつないでループにするパズルです。ニコリ制作の問題を100問収録。



 上の写真で大体のルールはわかるかと思います。数字のあるマス目には、その数字の数だけラインを引くというわけです。実際にはラインを引くだけでなく、絶対にラインが引けない場所に×印を置いていくことになります。

 もちろんラインの引き方には定石があります。例えば、縦または横に0と3が隣り合っている場合にはその周囲が全て確定します。そういう定石を見いだしていけばある程度はラインが引けます。その後にはラインの仮置きをして、矛盾が出たら仮置きが正しくなかったという手順で解答を絞っていきます。仮置きは赤いラインまたは赤い×印としてマークでき、それらを一発で確定または消去することができるので便利。このプロセスは結構時間がかかってしまいますが、パターンがわかってくると定石化できるものもあります。

 他のテクニックとしては、一つの閉じた領域の中にはラインの端が偶数個なければならい(奇数だったら端が余ってループにならない)、解答はただ一通りしかないことを利用して自由度のある置き方を排除する、などがあります。これらもプレイしていけばわかってくるでしょう。

 私がこのゲームを買ったのは10年以上前で、すぐに全100面クリアしていましたが、最近になってやたらとプレイしたくなり、せっかくだからタイムアタックをしていました。目標タイムは10×10マスのステージは10分、10×18マスでは18分としました。10×10マスの方は簡単だったのですが、10×18マスではかなり難しかったですね。そこで、ある程度解答を埋めた時点でそれを覚えてしまって、プレイをやり直して(経過時間をリセットして)覚えた部分を急いで埋めるという、もはやゲームの趣旨からはずれたやり方で全ステージ目標タイム以内にクリア。なんだか究極の時間の無駄遣いという気がしないでもないですが…。

 そんなアホなプレイをしているうちにクリアタイムが全体的に異様に早くなってきてしまい、これならひょっとして10×10で5分、10×18で9分でのクリアが可能なんじゃないかと考え、かなりのステージ数で達成していましたが、段々とバカらしくなって終了。気が向いたらまたやります。

 そしてそのプレイの副産物として、解答を完全に覚えてひたすら正確にラインを引くという、全く意味のないプレイまでやりだす始末。上の画面写真はステージ1のクリアタイムに34秒とあります。もうゲームでもなんでもない単なる作業ですね。

 このゲーム、単純なだけにハマりすぎて危険なゲームです。ある土曜日、嫁が外出しているのをいいことに、午後3時にうっかり始めてしまって9時まで食事もとらずに没頭し、その後も午前3時まで朦朧としながら遊んでしまいました。

 こういうパズルは携帯ゲーム機向けではありますが、今後は据え置きゲーム機では出なくなるのでしょうか。そうなるとちょっと寂しい気がします。

日野日出志「セミの森」「マネキンの部屋」

2013-06-25 21:27:33 | 日野日出志
 今回はひばりヒットコミックス「まだらの卵」に収録されている短編から「セミの森」「マネキンの部屋」を紹介。両作品とも大群に襲われるという共通点があります。


 「セミの森」ではセミの大群が襲ってくるという点が珍しい展開ですね。普段はセミに対して恐怖を感じることはまずありませんが、考えてみると樹液を吸うセミの口の針は凶器にも感じます。それに、あまり飛ぶのが上手とは思えないセミが襲ってくるというイメージに生々しさがあります。

 慎一と姉は毎年夏に別荘で過ごしていますが、この年はセミが大発生しているようです。



 優雅でいかにも楽しそうな夏休みですが、姉はもともと虫嫌いで、セミの抜け殻が気になっているようでした。慎一が再び昼寝をしていると、姉の叫び声が聞こえ駆けつけてみると、人間ほどの体長の巨大なセミが姉の首から血を吸っていました。姉を助けようとしたところ、巨大なセミは実は通常のセミの集合体であることがわかり、とりあえずは追い払うことができました。

 その夜、別荘で休んでいる二人のもとに、突然昼間のセミの大群が襲ってきました。



 動きのある始めのコマが恐怖を煽ります。最初の画像と比べて、二人の様子もやつれている感じが出ています。翌朝、気を失った慎一が気付くと、姉の姿がありません。森ではセミの声がまったく聞こえなくなっていたのでした。それから慎一は姉を捜し続けていましたが、三日目の晩に姉がひょっこり帰ってきました。慎一はホッとして眠るのですが、真夜中に姉がやってきて……。

 さて、なぜセミが姉を狙ったのかはよくわかりません。慎一よりは若々しいエネルギーにあふれているからかもしれません。あるいは最初にセミに対して気味が悪いというようなことをつぶやいたから、その恐怖心が付け込む隙をセミに与えたのかもしれません。

 ところで、セミは実際に大発生するメカニズムがあるそうです。セミは種によってお互いの発生に影響されないように、13年や17年などの周期で成長するものがいます。お互いにかち合わないような長い発生周期を持つことで大発生のリスクを小さくしているとのことです。セミが種によって住み分けているということは、種の間で何らかの意思疎通があったとも言えるわけで、大発生の非常事態にリスクの低下と新たな進化を求めてセミ達が一致して慎一の姉を襲ったのではないか、なんてことも考えてしまいました。


 「マネキンの部屋」は一転して都会の真ん中でのお話。少年のお父さんはマネキン人形を作る技術者で、家はマネキン人形の工房でした。少年の母は病死しており、父が母そっくりのマネキン人形を作ってそれに語りかけていました。家には身元不明の老婆が家事手伝いとして住み込んでいました。父は自分が気に入ったマネキン人形は手放さず、専用の部屋に並べていて、少年がその部屋に入るのを禁じていました。

 ある日、少年がその部屋の前を通ると何やら話し声が聞こえました。気になって入ってみたところ、マネキン人形の一体にぶつかってしまい、倒れた衝撃で人形の首がとれてしまったのです。そしてその夜から少年の身に恐ろしい出来事が起こるのでした。寝ている少年を、そのマネキン人形が襲ってきたのです。



 この右ページ最後のコマの笑い顔や、砕かれてもなお不敵に見上げる顔が禍々しすぎで、とても印象に残る見開きページになっています。

 次の日の夜中、トイレから帰ってきた少年を、今度はマネキン人形の集団が襲いかかります。



 はりついた笑顔の集団が襲ってくるこの絵面も恐ろしいものがあります。大ゴマの混乱した構図にもスピード感があります。

 当然、少年は父にこっぴどくしかられるのですが、三日目の夜にはバラバラにされたマネキン人形のパーツに襲われてしまうのでした。

 この事件の間、少年がマネキン人形に襲われる現場を見た者はいません。父や老婆の目からすると、少年が一人で人形達に対して暴れているように見えたでしょう。全ては少年の妄想か幻覚だったと言うこともできます。仮にそうだとして、じゃあなぜそんなものを見たのかというと、父の歪んだ愛情や日常風景を思い返し、ジワリとした恐怖を感じるのです。


日野日出志作品紹介のインデックス

アメリカ人ストラヴィンスキー THE COMPOSER, VOLUME IV

2013-06-17 22:09:01 | CD


イーゴリ・ストラヴィンスキー:
・祝賀会前奏曲
・星条旗
・ダンバートン・オークス協奏曲 変ホ長調
・15奏者のための8つのミニアチュア
・若い象のためのサーカス・ポルカ
・ロシア風スケルツォ
・バレエの情景
・バランシン-ストラヴィンスキーコラール
・バレエ音楽「アゴン」
・バッハのクリスマスの歌「高き天よりわれは来れり」によるコラール変奏曲の編曲

指揮:ロバート・クラフト
聖ルカ管弦楽団
グレッグ・スミス合唱団(合唱指揮:グレッグ・スミス)

MusicMasters: 0612-67113-2



 1882年の今日6月17日はストラヴィンスキーの誕生日です(ちなみに命日は4月6日でした)。というわけで、まずはこのディスクの冒頭にも収録されている「祝賀会前奏曲」の動画。これはストラヴィンスキーが指揮者のピエール・モントゥーの80歳の誕生日のために作ったもので、「Happy birthday to you」のメロディーが使われています。



 さて、ストラヴィンスキーは1939年に戦渦を避けるためにアメリカに亡命したのですが、そのために祖国ロシアやヨーロッパで出版された楽譜の収入が入らなくなってしまいました。そこでアメリカでのストラヴィンスキーは始めのうち色々な作曲の仕事をして小金を稼いでいたようです。それらのうちの幾つかの問題作がこのディスクに収録されています。

 2曲目の「星条旗」はもちろんアメリカ国歌のことですが、彼はそれを勝手に編曲して、「このバージョンで演奏されるように国会で法文化されれば儲かりまっせ!」みたいな手紙を添えて出版社に送りつけたそうです。もっとも当時のアメリカは国歌に対して改変を行うと罰せられたとのことで、このかどでストラヴィンスキーは警察から厳重注意を受けたそうです(逮捕されたとの説も)。自国・他国問わず、国歌や国旗は大切に扱わないといけませんね。

 もう一つの問題作として「若い象のためのサーカス・ポルカ」があげられます。これはサーカス団の象のために作曲されたものですが、これを聴いた象が暴れ出したという話もあります。曲の終盤でシューベルトの「軍隊行進曲」がパロディ的に引用されており、調子っぱずれの音楽に笑ってしまいます。



 上の動画では3分05秒からがパロディ部分。

 ストラヴィンスキーはカリフォルニア州ハリウッドのビバリーヒルズに住んでいましたが、同じくビバリーヒルズにはシェーンベルクという作曲家も亡命して住んでいました。ところが二人はまったく交流がなかったそうです。両者とも20世紀をリードした作曲家ですが、その作風は大きく異なっており、終生のライバル同士と言われていました。当時のストラヴィンスキーは新古典主義で、調性(いわば「ドレミファソラシド」)が明確で非常に乾いた音楽が特徴です。一方シェーンベルクは1オクターブの12の音をいずれも等しく使った十二音主義の音楽の開祖で、しかもドイツ音楽特有の内省的なジメジメしたものも受け継いでいました。

 ライバルのシェーンベルクが亡くなった後、ストラヴィンスキーがバレエ音楽「アゴン」(このディスクの9曲目)をこれまでの作風で作曲していたのですが、しばし中断していました。その後ストラヴィンスキーは今まで見向きもしなかった十二音音楽を取り入れて「アゴン」を作り上げてしまったのでした。なんと無節操な! 本当はよっぽど気になってしょうがなかったのでしょう。ただ、ストラヴィンスキーの音楽理念として「音楽を厳格なルールの中で構成する」というものがあったわけで、それが「ドレミファソラシド」から十二音に拡張されただけだとも言えます。シェーンベルクの死によって十二音音楽は音楽史において伝統の一つとして刻まれ、ルールに則るだけの価値があると判断したのかも知れません。



 上の動画は「アゴン」の1曲目。こちらはドレミが明確な新古典主義音楽ですが…。



 こちらは2~3曲目で十二音主義部分です。確かにこれまでの彼の音楽とは異なり、中心的な音程がない音楽になっています。ところがそうであっても音楽の構築力はそのままで、湿っぽいドイツロマン派の精神を引き継ぐ事なく技法だけを消化して自分のものにしているのが凄いところです。彼は何度も作風を転換していることから「カメレオン」と揶揄されましたが、根底のスタイルは何も変わっていないということがよくわかる作品の一つです。

 このディスクの指揮はアメリカでストラヴィンスキーの弟子になったロバート・クラフトですが、彼が十二音音楽に興味を示した事もストラヴィンスキーにとって強い印象があったようです。


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