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日野日出志「赤い蛇」

2012-09-30 22:53:43 | 日野日出志


 日野日出志「ホラー自選集」の第18話は「赤い蛇」です。以前にも書きましたが、日野日出志が漫画家人生をかけて「これらがダメだったら漫画家をやめる」と決心して描いたのが「地獄変」とこの「赤い蛇」だそうです。上の写真は絶大なインパクトの表紙。話の内容も、ほぼこの絵の通りと言ってもいい程の見事な絵です。



 冒頭からこの重厚な空間表現! 日本家屋ではありますが、洋館ホラーに通じるような導入部です。主人公の少年は巨大な屋敷に住んでいますが、その屋敷に恐怖を感じており、何度逃げ出してみても常にもとの場所に戻ってしまうのでした。



 その屋敷には無数の部屋があるのですが、使われているのはごく一部の部屋で、それ以外の部屋に繋がる廊下は鏡で封印されていました。そしてその封印の向うのずっと奥には「あかずの間」があると言われているのでした。そして誰かが「あかずの間」を見ると、家族に恐ろしい事が起るとの言い伝えがあったのでした。

 屋敷に対する恐怖もさることながら、少年は5人の家族にも恐怖を感じていました。全員が何かしら奇行を繰り返しており、それは正気の沙汰ではなかったのでした。

 ある夜、少年が寝ていると、夢の中で誰が呼んでいます。そして夢の中で幽体離脱をして封印の鏡を通り抜け、ついに「あかずの間」を目の当たりにしてしまいます。そして目が覚めると、封印の鏡が割れていたのです! それ以来、家族には恐ろしい事が起り続けたのです…。

 この先は理屈も何もない狂気と幻想の展開。あえて解説はつけませんが、じっくりご覧下さい。















 そして少年はいつの間にか「あかずの間」の目の前にいて、そこで赤い蛇に捕われてしまいます。



 少年が「あかずの間」の中に見たものは何だったのか、少年がこれまでに見てきたものはなんだったのか、全ての謎が残ったままで変わらない日常が繰り返されるのでした。

 狂気と幻想、脈絡のない猟奇的な描写、血に彩られたエロティシズム等、見所はたくさんあります。また何よりも、後味の悪い読後感がこの作品の恐怖を増幅しています。ひたすら不条理でストーリーも何もありませんが、絵は見事に描き込まれており、構図も考え抜かれ、人物の動きを感じさせるものになっています。日野日出志作品の中で「極限」の一つであると私は感じています。


日野日出志作品紹介のインデックス

リヴン ザ シークェル トゥー ミスト

2012-09-09 20:43:19 | ゲーム
 名作アドベンチャーゲーム「ミスト」の続きで、さらに難易度の上がった「リヴン ザ シークェル トゥー ミスト」のプレステ版をようやくクリアしました。

 前作同様、一枚絵のクリッカブルアドベンチャーで、美しい画面と高い難易度が特徴です。目的は、「リヴン」という閉じた世界に行って、ゲーンという人物を幽閉し、キャサリンという女性を救い出すというものです。世界の行き来や幽閉に「接続書」という特殊な小道具を必要としているのが本シリーズの大きな特徴で、本に書き込んだ内容が別の世界として現実化し、本を通じて行き来できるという設定になっています。

 さて、シリーズとしてゲーム中で解くべき謎としては、断片的に現れる情報の組み合わせを推理し、仕掛けを正しく操作するというものです。国産のアドベンチャーのようにフラグを立てて回る必要はほとんどの場合ありません。このような全体としての謎の作りは前作と似通っているのですが、本作では結構わかりにくくなっているような気がします。

 前作で謎は幾つかの世界(時代)ごとに独立していました。ところが、本作の舞台は5つの島であり、細かい謎は島ごとに独立しているものの、大きな謎に関する答えは全ての島から得られた断片的な情報を総合しなければなりません。しかも大きな謎が複数あり、どの謎のどの部分かを考える必要があります。その上、解くべき謎の他に、世界(あるいは社会)の作りやルールを説明するためだけの仕掛けがたくさんあって、解くべきなのか否かの判断がつき難いのです。

 私はノーヒントでのクリアを目指していましたが、残念ながら達成出来ませんでした。序盤で早々に詰まってしまって、ゲームに付属の「ゲーンの手紙」というヒント集を読んでしまったのでした。ヒントや答えがそのまま書いてあるわけではないのですが、とある一文が私にとって大きなヒントとなり、終盤間際まで一気に進める事ができました。ところがそこでまた詰まってしまい、長い事悩んでおりました。かなり疲れてしまっており、いずれ見る事になるかも知れないと思ってヒントが載っているであろうサイトを検索してみると、その扉のページに基本情報としてとある一覧表が載っていました。それを見た瞬間に自分が考えていた謎の解読ルールが間違っていた事に気づいたのです。いや、なんか違和感があると思ってはいたのですが…。

 そこから先はスムーズに解く事ができました。それにしても一番(と言っていいほど)大事な部分でヒントを見てしまったとはとても悔しいです。プレステ2に出ている続編「ミストIII:エグザイル」をプレイする事があったら、今度こそノーヒントでクリアしなければ気が済みません。

 プレステ版の「リヴン」はCD5枚組のボリュームで、5枚入りのCDケースは世の中に存在しないから4枚入りケースが2つ入った物理的にも大ボリュームになっています。島を移動するたびにディスクの入れ替えがあるため、特に終盤は煩わしいかもしれません。ディスク読み込みもそれほど速くないので、プレイする方はあせらずのんびりやるのがいいでしょう。



 ゲーム内の名所が見られる動画。前作「ミスト」と比較して格段のクオリティアップで、どの画像も大変な手間がかかってそうです。