ドラゴンスレイヤーシリーズとは、日本ファルコムに在籍していた木屋善夫氏が制作した一連の作品群のことで、シリーズとは言っても相互に関連はありません。エポック社が制作した本作「外伝」は、
シリーズの外伝ではなく、初代ドラゴンスレイヤーの外伝だと思われます。4つの王冠を集めるという目的、敵を倒すと墓から補充されるというシステム、十字架を持つと相互に攻撃が不可能になるというルールがあり、これらは初代ドラゴンスレイヤーから引き継いだものです。写真のタイトルロゴも初代と同じですね。
初代ドラスレはARPGというジャンルの源流の一つではありますが、非常に抽象的かつシュールなゲームでした。面クリア型でパズル性が高くドラマ性が皆無なので、当時としてもプレイヤー層が限られていたような雰囲気がありました。本作では初代のそういった難解さやとっつきの悪さを取り除き、「ドラゴンを倒して4つの王冠を集める」などの設定から当時風のわかりやすいARPGを作った、というところでしょう。
ゲームの雰囲気としては割とよくあるタイプのもので、フィールド上で剣や魔法で敵を倒すというものです。プレイヤーの職業は、ナイト、ウィザード、ハンター、タンカーから選ぶことができます。上の写真はナイトで、剣による近接攻撃を繰り出します。ウィザードはもちろん魔法攻撃、ハンターは弓矢、そしてタンカー(大食漢)は
体当たりからの捕食です。
上の写真の下の方にいるパックマンみたいなのがタンカー。ボスでもなんでもかじりついてダメージを与えます。職業によって攻撃範囲が異なるので、それぞれの職業を新しい感覚でプレイすることができます。難易度はどれもそれほど変わりませんが、ウィザードだけは魔力を消費して攻撃するので、ボス戦で回復を待つ必要もあり、やや上級者向けかもしれません。展開はどの職業もほぼ同じですが、ウィザードには比較的大きな独自イベントがあります。
ボスには上のネズミのようなコミカルなものの他に、このようなシリアスなドラゴンも登場。攻撃範囲が狭い武器しか持っていないと、ボスの攻撃を丁寧に避ける必要があります。レベルを上げてゴリ押しという戦法はできないようなバランス。
本作ではレベルアップのシステムが特殊で、ダンジョンなどにいるボスを倒すとレベルアップします。それ以外に、敵を100体倒すごとに体力か魔力が上昇します。したがって、敵が溢れ出てくる墓に向かって(あるいは重なって)攻撃し続けると、ゲーム開始直後からそこそこの体力を得ることができます。まあ上限が255なので、あまり早く上げても後のレベルアップの意味が薄れますが。
全体的にレベルアップにはさほどの重要性は無く、持っている武器の種類が攻略に大きな影響を与えるでしょう。武器や魔法によって攻撃範囲が異なるため、状況に合わせた使いやすい武器を選ぶと良いでしょう。武器の種類はそこそこの量がありますが、最終的には攻撃の瞬間に全画面にダメージを与えるというチート級の武器も手に入ったりするサービスぶり。
戦闘も謎解きも易しめではありますが、上の写真の謎かけだけはイカサマレベル! 手前で練習もできるし、回答に間違っても手前のマップに戻されるだけではありますが、謎に気付かない人はいくらやってもわからないのではないでしょうか。
全部で4体のドラゴンを倒すとゲームクリア。意味深な(といってもよくある)セリフを残してボスが消滅。そしてちょっぴり寂しい結末のエンディングを迎えます。
というわけで、4種の職業で立て続けにクリアしました。クリアの手順を把握しマップを知り尽くしていれば、2時間程度でクリア可能でしょう。
一点だけややストレスだったのが、移動にもたつくことでした。キャラが16×16ドットで、移動は16ドット=1マスごとになるわけですが、1マス移動するのに若干時間がかかるので慣れるまでは少しかかりました。
木屋善夫氏が作ってきたドラゴンスレイヤーシリーズはいずれの作品も尖った部分がありましたが、エポック社が作ったこの外伝はなかなか王道なゲームでした。
ただし、タンカーを除く。
ゲームの途中でプレイヤーを導く先代のドラゴンスレイヤーが現れ、その力を受け継ぎます。そして主人公は次代のドラゴンスレイヤーを導くための使命が待っているのですが、それがタンカーだったら嫌だろうなあ……。