おかもろぐ(再)

趣味のブログ

<< ようこそ! >>

主な記事のインデックス
ゲーム関連
ゲームクエスト投稿文
クラシックCD紹介
旅行記
日野日出志作品紹介
   

スターフォース

2016-12-11 22:11:09 | ゲーム
 1984年の夏、中学生だった私は友人とプールに行き、その帰り道にJR田町駅近くにあったゲーセンに入った時に出会ったのがアーケード版『スターフォース』でした。当時は『ゼビウス』のヒット後であり、それを超えるゲームが望まれていたのになかなか現れなかった時期でしたが、ついに本作によって「脱ゼビウス」が達成されたと言えます。本作こそが現代シューティングの原型ではないでしょうか。

 『ゼビウス』との差別化は以下のような点でなされています。
・空中物、地上物の撃ち分けを廃止、1ボタンで全ての敵を破壊可能
・狙って撃つだけでなく、連射による力押しも必要
・左右スクロールも導入してより広範囲の表現を可能にした
 (ただし同時期の『ジャイロダイン』や『バルガス』にも見られる技法)
・パワーアップによる爽快感の向上
・曲線を描く敵の軌道
・ゴールドを主体とした敵のグラフィック(当時のテーカン基板のウリ)
・ステージの長さが一定でなく、敵の撃破数によって変わる
・謎のヒエログリフと100万点ボーナスの存在
・宇宙空間に「浮遊大陸」という鮮烈なイメージ

 そんなスターフォースがハドソンによってファミコンに移植されました。縦画面と横画面の違いもあり、ファミコンの性能に合わせた調整もされていますが、アーケード版の雰囲気をよく捉えている見事な移植でした。当時ファミコンを持っていなかった私は友人の家などでよくプレイさせてもらっていましたが、いまひとつ上手にならないままゲーム機は次世代へと移っていくのでした。

 そして最近になって数百円でファミコン版を購入し、プレイしておりました。現在でも面白さは変わりません。今見るとシンプルすぎるかもしれませんが、それだけに腕前がダイレクトにプレイに反映します。攻略には単に反射神経だけでなく、敵の種類に対して動きを理論化していくことが必要になります。そして強い敵の出現順を覚えるのがかなり重要になります。



 マップに関しては、若干の省略はありますが長さはアーケード版と同様。敵の動きや出現テーブルもなかなか忠実に再現されています(ただしアーケード版出現テーブル終盤の変則攻撃はないもよう)。隠しターゲットも(破壊可能条件は異なるが)備わっています。



 敵を一定数倒すとボスであるエリアターゲットが出現。かなり弱いですが、左右どちらに動くかの条件を知った上で一瞬で倒すのが本作のテンポの良さに一役買っていると言えましょう。



 アーケード版の最大の謎であるヒエログリフは上の写真のように変更されています。謎の模様の右側にボーナスターゲット「B」が……。これが意味するものは……。



 それがこちらの地形ですね。右端に見えるのが100万点ターゲット。8発撃ちこむと出現し、さらに8発で破壊。アーケード版と同じ位置に出現しますが、アーケード版にあった左側のシーラカンスの化石は省略されています。それが目印だったのですが。



 エリア数はギリシャ文字の24(アルファ〜オメガ)で、それ以降はエリア・インフィニティ(無限)となります。先日ようやくクリアできました。ここまでに100万点ボーナスを2回取得。その後に数エリアクリアしたところでゲームオーバー。これでクリア認定しましょう。そのうち1000万点に挑戦したいところです。

 さてこのファミコン版はゲームとして面白いだけでなく、プログラムとしてもかなり高い水準のようです。まず、プログラムやデータが全部でたったの16kbしかないこと。当時のゲーム雑誌の記事に書いてあったことですが、これはコストの都合でそうしたとのこと。1日あたり数バイトのペースでデータを軽量化した、と記憶しています。今時16kbでいったい何ができるかを考えてみると、このカートリッジは世の中で最も価値ある16kbではないでしょうか。

 また、ネットの記事で読んだのですが、ファミコンはハードウェアスクロール方向をカートリッジ内部の配線で縦か横かを決定するらしいですが、本作では横スクロールを採用しているとのことです。確かに縦スクロールしている画面上端でBG画面を書き換えているのがチラチラ見えています。なぜ縦スクロールシューティングでわざわざこんなことをしているかといえば、恐らくですが、苦手な縦方向の画面書き換えを常に一定のルーチンワークとして安定的に処理しようとしたと考えられます。一方、左右スクロールはプレイヤーの移動に合わせて臨機応変に対応しなければならないためより高度な処理が必要であり、そこを軽減できるように横スクロールの配線としたのだと考えられます。もし縦スクロール配線としていたら、プレイヤーが横移動するたびにもっさり感が生じていたかもしれません。

 さらに背景の星についても何かで読んだのですが、これらはスプライトによって表示されており、表示の優先順位が非常に低く設定されているそうです。したがって優先順位の高い敵や敵弾が画面に現れたら星の数も減るのですが、そんな状況で背景の星を気にする人もいないので全く問題ないのです。背景のあるファミコンシューティングではどうしても画面が平面的になってしまうのですが、こうやって星を実装することで画面の奥行き感や「浮遊大陸」っぷりを実現しているのですね。

 これほど作り込まれたファミコン版スターフォースですが、続編に恵まれています。まずはハドソンが勝手に(?)作った『スターソルジャー』ですが、爽快感がさらにアップして、ハドソンをファミコンシューティングの一大ブランドに仕立て上げました。もう一つはテクモ(テーカン)自らによる『スーパースターフォース』で、こちらはなぜかアクションRPGにシューティングを足したようなハイブリッドゲームになっています。ゲームとしては斬新でありながら無理のないまとまりになっており、さらに『スターフォース』の雰囲気を強く残しているのが印象的。ただし難易度が尋常ではありませんでしたが……。

 ちなみにアーケード版には『ファイナルスターフォース』という続編もありました。ただしこちらはスターフォースというよりは『雷電』系、より正確には『サンダードラゴン』系といいましょうか、雰囲気もプレイ感覚も全くの別ゲーとなってしまいました。しかもプログラム的にこなれておらず、ちょっぴり残念な出来でありました。

 そんなわけで私にとってファミコンシューティング最大の傑作が『スターフォース』なのでした。現代の弾幕シューティング世代にも是非プレイしてほしい作品です。