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ロサンゼルス友人宅訪問 その2

2012-02-26 23:00:44 | 旅行
ロサンゼルス友人宅訪問 その1の続き

 ラスベガスに泊まった次の日の目的地は、250kmほど離れたアリゾナ州のグランドキャニオンです。



 まずはラスベガスの空港から飛行機に乗り込みます。正面の十数人乗りのセスナ機に向かいます。前の二人は操縦士と副操縦士。



 私の席はパイロットのすぐ後ろでした。いろいろな操作を見ることができて面白かったです。



 離陸すると、幾何学模様のようなラスベガス郊外の上空を越えて東へ。途中にはフーバーダムによって作られた人造湖のミード湖の上空を通りました。気流がかなり悪くて機体が大揺れでしたが、結構楽しいフライトでした。操縦士もノリノリだったようで。



 ミード湖からコロラド川をさかのぼっていくと、段々と谷が深くなっていきます。



 1時間程でグランドキャニオン国立公園空港が見えてきました。そこからバスで30分くらいで…。



 グランドキャニオンに到着! ここはコロラド川の南側にあるサウスリムという観光スポット。北側にはノースリムがありますが、サウスリムの方がメジャーだそうです。渓谷の下までは1000m以上。徒歩で往復するツアーもあるそうで、参加してみたい!





 何千万年もかけて侵食された何億年分もの地層が見事です。





 「野生の動物は野生のままに」と書いてあります。リスに餌をあげるなという表示ですが、ちょうどそこでリスが餌を求めていました。



 ネイティブ・アメリカンのホピ族の建築様式を再現したというホピ・ハウス。ワイルドながら、涼しそうな建物ですね。



 おまけ。友人が撮ってくれた私の写真。足下は絶壁で、落下するかと思いました。というのはもちろんウソで、むこう側にはちゃんと地面があるので恐くはないですよ。



 ラスベガスへ帰る飛行機からの眺め。グランドキャニオンは日本では見られない素晴らしい光景でした。また何度でも行ってみたいですが、友人は飛行機の揺れがイヤになったようで…。

つづく

アンタイル:ファイティング・ザ・ウェーヴス ジョージ・アンタイルの音楽

2012-02-19 22:58:34 | CD


ジョージ・アンタイル

・春 I
・バレエ・メカニック
・ファイティング・ザ・ウェーヴス
・ジャズ・シンフォニー
・リトアニアの夜
・ジャズ・ソナタ
・室内オーケストラのための協奏曲
・ヴァイオリン・ソナタ第1番
・春 II

指揮:HK グルーバー
アンサンブル・モデルン
テノール:マーティン・ヒル
ヴァイオリン:ヤグディシュ・ミストリー
ピアノ:ヘルマン・クレッチュマー

BMG: 09026 68066 2



 「音楽界の悪童」とか自称していた1900年生まれのアメリカの作曲家ジョージ・アンタイルの代表作は、何といっても「バレエ・メカニック」でしょう。バレエと言っても実際に舞台でバレエが上演されるわけではなく、機械が踊っているような音楽という意味らしいです。15分くらいの曲で、ピアノ8台、木琴、各種打楽器の他、プロペラ、サイレン、ベルなどの騒音が鳴らされます。後に楽器編成を縮小したバージョンが作られており、このディスクに収録されているのはその改訂版のようです。



 聴いてわかるように、騒音です。特に初期版で顕著です。まるでイタリアで興った未来派の音楽のようですが、アンタイル自身は未来派を標榜しているわけではないようです。初演の際には大変なスキャンダルになったようですが、騒音とはいえ現在の耳からすると比較的整った音楽に聴こえます。もっとも、ロマン派大好きリスナーにとってはそうでもないかもしれませんが。私はこういう20世紀前半の音楽、特に前世紀の肥大化したロマン派音楽をぶち壊すような作品が好きなのです。

 その他の作品も魅力的なものがそろっています。このディスクのタイトルにもなっている「ファイティング・ザ・ウェーヴス」では、テノールとコーラスが繰り返す長いグリッサンドが異様です。「ジャズ・シンフォニー」と「ジャズ・ソナタ」はタイトル通りジャズっぽいフレーズをコラージュしたような楽しい曲。弦楽四重奏による「リトアニアの夜」は異国情緒とミニマル的な動きが面白い作品。「室内オーケストラのための協奏曲」はまるで新古典主義時代のストラヴィンスキーの作品のようです。これらのように、一つの作風に陥らない所が「悪童」たるゆえんなのかもしれません。

 全体的にアメリカ的なインチキくささが楽しめるディスクですが、アンタイルの作品はどれもわざわざインチキくさく作られており、その意味でこのディスクはアンタイル入門には格好の一枚でしょう。交響曲も何曲か作曲しているので、ちょっとひねったインチキくさい曲が好きな方はそちらもぜひ聴いてみてください。


クラシックCD紹介のインデックス

ネオジオシューティングと私

2012-02-12 23:13:16 | ゲーム
 「凄いゲームを連れて帰ろう」というキャッチコピーで発表されたSNKのネオジオですが、アーケード用と家庭用の中身がほぼ同じという独創的なビジネスでした。ハード自体はシンプルな設計で特殊な機能はありませんでしたが、大容量メモリが扱えること、多数のスプライトを並べて表示できること、それなりの音源を搭載したことなどの要因によって、1990年以来15年に渡ってアーケードで現役稼働した奇跡のハードと言えるでしょう。

 ネオジオで発売された「餓狼伝説」はちょっとおかしなゲームという印象でしたが、続編の「餓狼伝説2」は劇的なクォリティアップによって大ヒットし、家庭用ネオジオを普及させた立役者になりました(私がネオジオを購入したのも「餓狼2」がきっかけ)。それ以来、ネオジオは格闘ゲームが得意なハードという認識が確立しました。これは上記のハードの特徴が格闘ゲーム制作に有利だったからと言えるでしょう。

 かといって、ネオジオは格闘ゲームだけのハードではありません。事実、発表当時は一通りのジャンルのゲームを揃えていまして、もちろんその中にはシューティングもありました。ネオジオ中期より様々なメーカーがシューティングを出しており、私も家庭用のROMを(基本的に安い物から)買い集めておりました。それらのROMを実家から持って来ておりまして、以下のようにゲームクエストに感想文を投稿していたのでした。読み返してみると変な文章ばかりですが…。

 ・ビューポイント
 ・パルスター
 ・ラストリゾート
 ・アンドロデュノス
 ・ASO II
 ・ゴーストパイロット

 アクションシューティングを除き、ネオジオ最初のシューティングは「ASO II」と「ゴーストパイロット」の2本です。ネオジオは家庭用との兼用ハードであるため横画面のゲームばかりなのですが、これら2本は縦スクロールとなっています。「ゴーストパイロット」はよくある感じの縦シューであり、当時の私の好みは複雑なものだったので全くプレイしませんでした。後に懐かしさもあってROMを買ったのですが、やはり横画面縦シューは慣れないと大変でした。



 一方、「ASO II」はその独特のゲーム性のためかあまり横画面であることが気にならない作りでした。上の動画はSNKプレイモアによるネオジオステーション版「ASO II」のオフィシャルプロモーション動画(あまり面白そうに見えないんですけど…)。本作は当時のネオジオの目玉であったのですが、同時に発売された「ゴーストパイロット」がちょっとかわいそうですね。

 とにかく「ASO II」はややこしいゲームでした。前作も好きだったのですが、当時はそのパワーアップシステムを十分に理解することができなかったために苦手意識があり、あまりやり込まずにいました。実は今でもノーコンティニューで1周クリアしていないのですが、アーマーの使い方次第でどこも楽に突破できるはずなので、またじっくり挑戦したい所です。



 参考までに、こちらはネオジオではありませんが、1985年の初代「ASO」の動画。このパワーアップ方式は同時期の「グラディウス」と比較しても複雑なものでした。画面は非常に冷たい印象で好みだったのですが、とにかくヘタクソで3面までしか進めませんでしたね。敵が撃つ誘導弾がとにかく強かったのと、パワーダウンパネルが邪魔だったのと、アーマーのパーツの形を憶えられなかったのとで、私にとってとにかく大変なゲームでした。

 「ASO II」の後くらいでしょうか、SNKにアイレム系開発者の流入があったようで、ネオジオ初の横シューティングでありR系の「ラストリゾート」が発売されました。アイレムシューティングについては「アイレムと私」の記事もご参照ください。本作はなかなか私の好みであったので結構プレイしました。ただ、当時のゲーメスト紙上に「ハイゴッグをパクっただけのキャラは許せない」というような投稿が載っており、そんなもんかしら?と疑問を感じておりました…。

 この次に発売されたのは、(純粋な)シューティングで初のサードパーティー製となるビスコ製の「アンドロデュノス」です。90年代の「軽さ」にちょっとだけ80年代後半の「複雑さ」をからめた作品でした。当時の私はあまりプレイしなかったことは以前書いたとおりですが、今プレイすると軽快で楽しく感じます。



 「アンドロデュノス」の後にすぐ発売されたのが、私の大好きな「ビューポイント」です。上の動画を観ていただければわかるとおり、大変な作り込みになっています。この動画は3面で、前半はゼビウスのような地形と敵が出ていると思ったら、だんだんとナマモノっぽくなってきて、ポリゴン風オームの後にボスが出てくるという変化に富んだステージです。音楽も男性用化粧品のCMで流れているような雰囲気で、全体的にスタイリッシュですが、難易度は結構高いのです。そういえば昔、秋葉原の店頭にFM-TOWNS版の本作がデモをしていて、私がノーコンティニューで最終ボスまで進んだところ、後ろでずっと見ていた人達が「よくあんなところまで行けるな」と会話していたのを思い出しました。残念ながらその時はクリアはできなかったのですが…。

 「餓狼伝説2」に続いて私が買ったROMがこの「ビューポイント」なのですが、この時「ネオジオシューティングは疲れる」ということを思い知ったのでした。家庭用のネオジオのコントローラはボタンのストロークが重く、連射するとものすごく手が疲れるのです。SNKの意向のためか、連射装置付きのコントローラも出ていませんでした。「ビューポイント」の場合は「ちょっとだけ溜め波動砲」が強かったので、できるだけ連射をしなくて済むようにパターンを作っていったのでした。それはそれで疲れる撃ち方だったんですけどね。

 この後しばらくしてサードパーティーが数多くネオジオに参入してきます。あの「ソニックウィングス」の続編がネオジオで発売されたのには驚きましたが、私の好みではなかったのでROMは買っていません。





 さらに間が空いて、次に発売されたのが「パルスター」です。これがまた私好みであり、グラフィックと音楽はネオジオの限界を超えたと言ってもいいでしょう。でも「アール・タイプII」にそっくりなのには笑ってしまいますが…。かといって全くのパクリゲームというわけではなくて、連射でショットパワーアップとか、ビットのような「イオ」の使い方が重要だとか、本作ならではの面白さも備えています。

 この翌年からはアクションシューティングの「メタルスラッグ」シリーズが展開されました。これもまたアイレム系製作者の作品と言われています。ネオジオROMでは一つも買いませんでしたが、プレステおよび2では全部揃えております。さらにADKからは「ティンクルスタースプライツ」という対戦型シューティングが出ました。こちらもプレステ2版を購入しています。



 そしてこちらの動画は(家庭用)ネオジオ最後のシューティングである「ブレイジングスター」。残念ながら私は買うことができませんでした。「パルスター」の続編ですが、全く違うゲームになっています。スピード感もあり、敵は弾幕を張って来るようになりました。先のステージでは画面全体を使ってじわじわと避けるような独特のプレイが要求されます。私はあまりプレイできず、3面までしか進めないうちに見なくなってしまいましたが…。

 グラフィック的にはネオジオ究極の作品でしょう。「パルスター」制作で手に入れた技術を酷使しており、もしネオジオに口があったら悲鳴をあげていることでしょう。オープニングの機体アニメーションとか、2面冒頭の奥行きのある背景とか、メモリ容量にモノを言わせて無理矢理スプライトのアニメーションで実現しています。ゲームの舞台も凝っていて、1面では高高度からスタートして徐々に高度が低下していったり、3面ボスと大気圏に突入しながら戦ったりとアツい展開が楽しめます。今からでも攻略したいと思っており、他のハードにぜひ移植して欲しいのですが…。

 家庭用は発売されませんでしたが、アーケード専用のシューティングとしてはNMKの「作戦名(オペレーション)ラグナロク」や、ビスコの「キャプテン・トマディ」、彩京の「ストライカーズ1945 PLUS」がありました。「ラグナロク」はぐにゃぐにゃと月面を走る2面ボス「ルナウォーカー」が印象的でした。「トマディ」は前代未聞のトマトが自機のシューティングで、見た目以上に小難しかった記憶があります。「ストライカーズ」は「ソニックウィングス」系で、私の苦手な系統です。

 ところで、上ではネオジオ最後のシューティングが「ブレイジングスター」と書いてありますが、実は「ラストホープ」というシューティングがネオジオでプレイできます。ネオジオゲームは2004年に供給が終わるのですが、この作品は2006年にドイツのチームが開発したとのことです。SNK(プレイモア)オフィシャルの作品ではなく、開発者はネオジオ用とは言っていません。きっと、たまたまネオジオでも動いたのでしょう。内容はR系で、動画を見る限りではかなりタイトな攻略が必要そうです。私の好みですね。DC版(こちらもオフィシャルではなく、ドリームキャストとは書いてありません)も売っており、秋葉原で見たことがあります。うーん、プレイしたい!

 というわけで、ネオジオシューティングはなかなか面白いモノがそろっておりまして、ぜひともパックにしてどこかのハードに移植して欲しいのです。その時はぜひソフト連射機能の搭載を希望!

日野日出志「毒虫小僧」

2012-02-05 23:02:00 | 日野日出志


 ついに来ました! 日野日出志「ホラー自選集」の第13話は、トラウマ少年少女大量生産の「毒虫小僧」ですよ! この作品は、ひばり書房の単行本として1975年に書き下ろされたもので、カフカの「変身」の影響を受けた作品だそうです。

 この作品では怪奇・猟奇シーンは実は少なめになっています。それでも日野日出志代表作の一つなのは、構成が整っており漫画としての完成度が高いからではないでしょうか。



 主人公の名は日の本三平。まさに日野日出志作品の主人公中の主人公の風格です。目つきや前髪は言うに及ばず、肩や背中のしわ、左手の表情、描き込まれたスニーカーなどに作者の愛を感じます。「何をやらしてもだめな子供だった」とは随分な言われようで、クラスメートからは嫌われ、いじめられ、家族からも冷ややかな眼で見られているのですが、全ての生き物を愛する心優しい少年なのでした。

 ところが春休みに入る前日、突然吐き気に襲われた三平少年は自分のゲロの中に真っ赤なイモ虫のようなものを発見します。それを指でつまみ上げたところ、指をトゲで刺されてしまうのです。翌日から三平少年の全身が腐って溶けはじめてしまいます。



 トラウマ漫画と言いつつも、グチャドロシーンはこの前後にしかありません。それでも少年はなかなかの溶けっぷりです。ベッドや枕、勉強机の昭和を感じさせるリアリティーも魅力です。

 その後、少年の体はコチコチに固まってきます。するとその中からついに……!



 毒虫小僧の誕生です! その顔つきは間違いなく三平少年です。賢い妹はこの化け物を見て兄の三平であるということを見抜くのですが、それでも当然部屋に押し込められてしまいます。そして三平少年の抜け殻は葬式に出されて、人間としての日の本三平の存在はなくなってしまうのです。けれども彼は、自分は現に生きているんだからなんともない、と妙なポジティブシンキングを発揮するのでした。

 ところが、三平少年を疎ましく思った家族は、三平少年の食べ物に毒を混ぜて殺そうとするのでした! 彼の体は庭に埋められてしまったのですが、死んだわけではありませんでした。家族が自分を殺そうとしたことを理解した三平少年は、そっと家族のもとを出て行くのでした。

 三平少年は街や自然の中で今まで味わったことのない自由を満喫します。ところが少年の正体が毒虫であることを本能的に察知した生き物たちは三平少年に近づこうとしません。今や少年の体には毒を持った角・トゲ・針が備わっているのです。このあたりの描写はかなりじっくりと念入りに描かれています。

 そしてある日、うっかり人間につかまったことをきっかけに、三平少年は自分が毒虫小僧であることを自覚します。それ以来、毒虫小僧は人間に復讐すること誓うのでした。



 マンホールの中を根城にした毒虫小僧は徐々に人間の頃の記憶を失ってきており、人を殺すことに快感を覚えるようになっていたのでした。三平少年のこの変わり様に、読者は恐怖と、哀しみと、そしてかすかな共感を抱くことでしょう。その感覚こそがこの作品を印象的なもの(トラウマ)にしているような気がします。

 毒虫小僧が多くの人を殺していることを知った三平少年の家族は責任を感じ、今度こそ毒虫小僧にとどめを刺し、その魂を救おうと考えます。家庭の懐かしい匂いに誘われて庭にやって来た毒虫小僧は、ついに父親と再会するのですが……。



 父親の手には猟銃が握られており、それが致命傷となって毒虫小僧はゆっくりと死を待つばかりに。その一方で人間だった記憶を取り戻します。最後のシーンはとても穏やかです。まるで漫画版「デビルマン」のような静かな最終シーン。奇妙な余韻を残して物語は終わります。

 彼はなぜ毒虫になったのでしょう。ゲロの中にいた虫の正体は何だったのでしょうか。なぜ毒虫が自らの体内から出て来たのでしょうか。結局、抑圧され続けてきた彼自身が毒虫小僧になることを元々望んでおり、それがゲロの中の毒虫という形で見えたのかも知れません。社会の速度が加速し、人との付き合い方がより複雑化した現代日本では、この毒虫小僧に共感する(つまり、そんな自分に愕然としトラウマとなる)人がより多いような気がします。

 後の少年少女漫画としてのホラー作品の原型とも言える本作。長編ということでコマが大きく整理されており、明確な起承転結の構成もあって読み易い作品になっています。それだけに心の闇をえぐり出された読者が多く、日野日出志の代表作の一つたり得たに違いありません。


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