「凄いゲームを連れて帰ろう」というキャッチコピーで発表されたSNKのネオジオですが、アーケード用と家庭用の中身がほぼ同じという独創的なビジネスでした。ハード自体はシンプルな設計で特殊な機能はありませんでしたが、大容量メモリが扱えること、多数のスプライトを並べて表示できること、それなりの音源を搭載したことなどの要因によって、1990年以来15年に渡ってアーケードで現役稼働した奇跡のハードと言えるでしょう。
ネオジオで発売された「餓狼伝説」はちょっとおかしなゲームという印象でしたが、続編の「餓狼伝説2」は劇的なクォリティアップによって大ヒットし、家庭用ネオジオを普及させた立役者になりました(私がネオジオを購入したのも「餓狼2」がきっかけ)。それ以来、ネオジオは格闘ゲームが得意なハードという認識が確立しました。これは上記のハードの特徴が格闘ゲーム制作に有利だったからと言えるでしょう。
かといって、ネオジオは格闘ゲームだけのハードではありません。事実、発表当時は一通りのジャンルのゲームを揃えていまして、もちろんその中にはシューティングもありました。ネオジオ中期より様々なメーカーがシューティングを出しており、私も家庭用のROMを(基本的に安い物から)買い集めておりました。それらのROMを実家から持って来ておりまして、以下のようにゲームクエストに感想文を投稿していたのでした。読み返してみると変な文章ばかりですが…。
・
ビューポイント
・
パルスター
・
ラストリゾート
・
アンドロデュノス
・
ASO II
・
ゴーストパイロット
アクションシューティングを除き、ネオジオ最初のシューティングは「ASO II」と「ゴーストパイロット」の2本です。ネオジオは家庭用との兼用ハードであるため横画面のゲームばかりなのですが、これら2本は縦スクロールとなっています。「ゴーストパイロット」はよくある感じの縦シューであり、当時の私の好みは複雑なものだったので全くプレイしませんでした。後に懐かしさもあってROMを買ったのですが、やはり横画面縦シューは慣れないと大変でした。
一方、「ASO II」はその独特のゲーム性のためかあまり横画面であることが気にならない作りでした。上の動画はSNKプレイモアによるネオジオステーション版「ASO II」のオフィシャルプロモーション動画(あまり面白そうに見えないんですけど…)。本作は当時のネオジオの目玉であったのですが、同時に発売された「ゴーストパイロット」がちょっとかわいそうですね。
とにかく「ASO II」はややこしいゲームでした。前作も好きだったのですが、当時はそのパワーアップシステムを十分に理解することができなかったために苦手意識があり、あまりやり込まずにいました。実は今でもノーコンティニューで1周クリアしていないのですが、アーマーの使い方次第でどこも楽に突破できるはずなので、またじっくり挑戦したい所です。
参考までに、こちらはネオジオではありませんが、1985年の初代「ASO」の動画。このパワーアップ方式は同時期の「グラディウス」と比較しても複雑なものでした。画面は非常に冷たい印象で好みだったのですが、とにかくヘタクソで3面までしか進めませんでしたね。敵が撃つ誘導弾がとにかく強かったのと、パワーダウンパネルが邪魔だったのと、アーマーのパーツの形を憶えられなかったのとで、私にとってとにかく大変なゲームでした。
「ASO II」の後くらいでしょうか、SNKにアイレム系開発者の流入があったようで、ネオジオ初の横シューティングでありR系の「ラストリゾート」が発売されました。アイレムシューティングについては
「アイレムと私」の記事もご参照ください。本作はなかなか私の好みであったので結構プレイしました。ただ、当時のゲーメスト紙上に「ハイゴッグをパクっただけのキャラは許せない」というような投稿が載っており、そんなもんかしら?と疑問を感じておりました…。
この次に発売されたのは、(純粋な)シューティングで初のサードパーティー製となるビスコ製の「アンドロデュノス」です。90年代の「軽さ」にちょっとだけ80年代後半の「複雑さ」をからめた作品でした。当時の私はあまりプレイしなかったことは以前書いたとおりですが、今プレイすると軽快で楽しく感じます。
「アンドロデュノス」の後にすぐ発売されたのが、私の大好きな「ビューポイント」です。上の動画を観ていただければわかるとおり、大変な作り込みになっています。この動画は3面で、前半はゼビウスのような地形と敵が出ていると思ったら、だんだんとナマモノっぽくなってきて、ポリゴン風オームの後にボスが出てくるという変化に富んだステージです。音楽も男性用化粧品のCMで流れているような雰囲気で、全体的にスタイリッシュですが、難易度は結構高いのです。そういえば昔、秋葉原の店頭にFM-TOWNS版の本作がデモをしていて、私がノーコンティニューで最終ボスまで進んだところ、後ろでずっと見ていた人達が「よくあんなところまで行けるな」と会話していたのを思い出しました。残念ながらその時はクリアはできなかったのですが…。
「餓狼伝説2」に続いて私が買ったROMがこの「ビューポイント」なのですが、この時「ネオジオシューティングは疲れる」ということを思い知ったのでした。家庭用のネオジオのコントローラはボタンのストロークが重く、連射するとものすごく手が疲れるのです。SNKの意向のためか、連射装置付きのコントローラも出ていませんでした。「ビューポイント」の場合は「ちょっとだけ溜め波動砲」が強かったので、できるだけ連射をしなくて済むようにパターンを作っていったのでした。それはそれで疲れる撃ち方だったんですけどね。
この後しばらくしてサードパーティーが数多くネオジオに参入してきます。あの「ソニックウィングス」の続編がネオジオで発売されたのには驚きましたが、私の好みではなかったのでROMは買っていません。
さらに間が空いて、次に発売されたのが「パルスター」です。これがまた私好みであり、グラフィックと音楽はネオジオの限界を超えたと言ってもいいでしょう。でも「アール・タイプII」にそっくりなのには笑ってしまいますが…。かといって全くのパクリゲームというわけではなくて、連射でショットパワーアップとか、ビットのような「イオ」の使い方が重要だとか、本作ならではの面白さも備えています。
この翌年からはアクションシューティングの「メタルスラッグ」シリーズが展開されました。これもまたアイレム系製作者の作品と言われています。ネオジオROMでは一つも買いませんでしたが、プレステおよび2では全部揃えております。さらにADKからは「ティンクルスタースプライツ」という対戦型シューティングが出ました。こちらもプレステ2版を購入しています。
そしてこちらの動画は(家庭用)ネオジオ最後のシューティングである「ブレイジングスター」。残念ながら私は買うことができませんでした。「パルスター」の続編ですが、全く違うゲームになっています。スピード感もあり、敵は弾幕を張って来るようになりました。先のステージでは画面全体を使ってじわじわと避けるような独特のプレイが要求されます。私はあまりプレイできず、3面までしか進めないうちに見なくなってしまいましたが…。
グラフィック的にはネオジオ究極の作品でしょう。「パルスター」制作で手に入れた技術を酷使しており、もしネオジオに口があったら悲鳴をあげていることでしょう。オープニングの機体アニメーションとか、2面冒頭の奥行きのある背景とか、メモリ容量にモノを言わせて無理矢理スプライトのアニメーションで実現しています。ゲームの舞台も凝っていて、1面では高高度からスタートして徐々に高度が低下していったり、3面ボスと大気圏に突入しながら戦ったりとアツい展開が楽しめます。今からでも攻略したいと思っており、他のハードにぜひ移植して欲しいのですが…。
家庭用は発売されませんでしたが、アーケード専用のシューティングとしてはNMKの「作戦名(オペレーション)ラグナロク」や、ビスコの「キャプテン・トマディ」、彩京の「ストライカーズ1945 PLUS」がありました。「ラグナロク」はぐにゃぐにゃと月面を走る2面ボス「ルナウォーカー」が印象的でした。「トマディ」は前代未聞のトマトが自機のシューティングで、見た目以上に小難しかった記憶があります。「ストライカーズ」は「ソニックウィングス」系で、私の苦手な系統です。
ところで、上ではネオジオ最後のシューティングが「ブレイジングスター」と書いてありますが、実は「ラストホープ」というシューティングがネオジオでプレイできます。ネオジオゲームは2004年に供給が終わるのですが、この作品は2006年にドイツのチームが開発したとのことです。SNK(プレイモア)オフィシャルの作品ではなく、開発者はネオジオ用とは言っていません。きっと、たまたまネオジオでも動いたのでしょう。内容はR系で、動画を見る限りではかなりタイトな攻略が必要そうです。私の好みですね。DC版(こちらもオフィシャルではなく、ドリームキャストとは書いてありません)も売っており、秋葉原で見たことがあります。うーん、プレイしたい!
というわけで、ネオジオシューティングはなかなか面白いモノがそろっておりまして、ぜひともパックにしてどこかのハードに移植して欲しいのです。その時はぜひソフト連射機能の搭載を希望!