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G8サミットと中国

2006-07-18 00:57:31 | 時事問題
G8サミットに今年も中国が招待された。毎日新聞の記事「サミット:招待の中国 エネルギー対話の好機と捉えた」(http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20060718k0000m030096000c.html)はこれをテーマにしている。。

記事のタイトルから分かるように、中国の関心はエネルギー対話であり、エネルギーに関連する「中国脅威論」の打ち消しである。

「中国など招待国を交えた拡大会合で、胡錦涛国家主席は演説の半分をエネルギー安保に費やした。この中で、エネルギー安保での国際協調の重要性を強調する一方、90年代から中国のエネルギー自給率が90%以上であることや、中国の省エネに向けた努力を紹介。自国の発展のためエネルギーを活用することの正当性を訴えながら、エネルギー消費が急増する中でわき起こる「中国脅威論」の打ち消しに努めた。」

記事では、中国をサミットのフルメンバーにする話も言及されるが、G8内では慎重論が強いということだけが述べられる。今回ブレア首相が、中国を含む五カ国を正式メンバーにすることを望んでいるという話は触れられない。

また中国の複雑な気持ちが表れた文章が続くが、極めて興味深い。

「人民日報海外版は17日、阮宗沢・中国国際問題研究所副所長の論文を掲載し、「中国が近い将来、G8に参加する可能性は低く、得策ではない」という強気の見解を述べた。論文は、G8には今も「富国倶楽部(金持ちクラブ)」の雰囲気が残っており、「発展途上国の居場所は今もない」と主張。ロシアはG8入りを果たしたが、「グループの中で2等公民だ」と断じた。」

また毎日新聞は「サミット:政治サミットに変質 中国の加盟論議必至」(http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20060718k0000m030094000c.html)という記事もウェッブに載せている。

今回のサミットは政治サミットに変質した。なぜなら「先進国とは「異質」のロシアが議長国になったことで経済討議の内容が変わったこともある。今回、ロシアはエネルギー安全保障をメーンテーマに選んだが、経済というより政治マターの面が強かった。」からである。

「一方、イラク問題に足をとられた米国の求心力が低下し、国際問題解決にロシアや欧州の協力を必要とした事情も見逃せない。とくに北朝鮮のミサイル問題では中露が結束し、強硬派の日米を妥協に追い込んだ。中国はサミットの正式メンバーではないが、米国の一極支配を嫌う中露の対抗軸が陰に陽に今回のサミットを揺り動かしたともいえよう。」

北朝鮮ミサイル問題のこのあたりの評価は、異論もあると思うが、中国が責任を負わざるを得ないということにかんしては異論はないであろう。

「とくに、中国の影響力はG8各国が無視できないほど強大になっている。中国、ロシアとの関係を強めているインドの参加を求める声も出ている。世界のグローバル化が進行する中で加盟国拡大が差し迫った問題になっていることは間違いあるまい。」

日本の方からもG8に中国を参加する方向に持って行って、もっと大きな国際的責任を中国に負ってもらう方が得策であろう。
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