国際学どうでしょう

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額賀財務相証人喚問をめぐる社説

2007-11-29 12:48:05 | 時事問題
守屋前防衛次官の収賄疑惑に関連して、参議院の財政金融委員会は、額賀財務相の証人喚問を12月3日に行うことを議決した。去る2006年12月の宴席に額賀氏が出席したかどうか、守屋氏の証言と額賀氏の証言が食い違っていることを調査するためである。この宴席には、守屋前次官と贈賄容疑で逮捕されている山田洋行前専務が出席していたのだ。守屋氏の証人喚問も議決されたが、守屋次官の逮捕のために、国会への喚問はできなくなった。

朝日・読売・日経が、29日付の社説でこの問題を直接的間接的に扱っていた。三紙とも民主の国会戦術に疑問を呈していた。なぜならば従来の慣例を破って、証人喚問が全会一致ではなく、民主党らの多数決で議決されたからである。

日経「収賄容疑者はなぜ次官になれたのか」
「…民主党の戦術には疑問が多い。証人喚問の議決は全会一致で、とする原則を崩せば、人権上の問題を生ずる可能性がある。…
 2006年12月4日の宴席への額賀福志郎財務相の出席に焦点を当てた追及も本質を外れている。宴席問題をめぐる自民、民主両党の主張を比べれば自民党に分がある。民主党が前次官から電話で聞いた情報というが、電話だけで座席表を確認できたのか。録音テープの公表など、より説得力のある説明が要る。 」

読売「新テロ法案審議 参院では本質的論議を聞きたい」
「与野党の論戦は最近、額賀財務相が山田洋行の元専務との宴席に同席したかどうか、という問題に集中している。参院財政金融委員会は、来月3日の額賀氏と守屋武昌・前防衛次官の証人喚問を異例の多数決で議決した。
 額賀氏は昨年12月4日の宴席への同席を否定している。民主党は、同席したと主張し、全面対決の構えを見せる。
 だが、仮に米要人を交えた多人数の会合に同席していても、額賀氏と元専務の癒着を意味することにはなるまい。全会一致の原則を崩してまで証人喚問を議決する必要があったのか、疑問である。」

朝日「額賀氏喚問―国政調査権の名が泣く」
「…疑惑の発覚後、額賀氏が財務相として国会の質疑で繰り返し野党の質問に答えてきたことは間違いない。自民党も写真などの「物証」を添えて、「額賀氏は別の会合に出ていた」とする調査結果を発表した。
 疑いが晴れたわけではないが、野党は引き続き通常の国会質疑で財務相にただすことができる。しかも、宴席に出ていたかどうかの問題だけで、あえて全会一致の慣例を押し切ってまで、喚問の場に引き出す必要があったのだろうか。
 証言に立たせたところで額賀氏が言い分を変えるとも思えない。もっぱら世論受けを狙った政治利用ではないのか、と言われても仕方あるまい。」

額賀財務相の説明をどう評価するかには温度差があるが、民主の戦術に対して、民主に対して好意的であった朝日までが批判するのは珍しい。民主は方針を変更した方が無難ではないか?
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ニコライ2世の皇太子と皇女の遺骨が発見される

2007-11-25 17:57:15 | 時事問題
1918年7月17日、エカテリンブルグのイパチェフ館の地下室で、拘束されていたニコライ2世、アレクサンドラ皇后、ならびにその5人の子供、付き添っていた医師、3人の侍女など11人が殺害された。

革命派は、亡くなった皇帝の遺体が、反革命派の結節点になることを恐れて、隠蔽工作を行った。初めは坑道に隠し、後に森に移された。さらに遺体の正体を隠すため、切り刻まれ、焼かれ、酸をかけられていた。

1991年、遺体が埋葬された場所が特定されたが、遺体は9人分しか確認されなかった。アレクセイ皇太子と皇女一人の遺体が確認できなかったのである。この二人の遺体はどうなったのかが、ミステリーとなった。

本日見たニューヨークタイムズでは、二人の遺体が発見されたという記事が出ていた(Amateurs Unravel Russia's Last Royal Mystery)。地元のアマチュア研究家たちが、1991年の発掘場所から70ヤード離れた場所で、二人の遺体を発掘したというのである。DNA鑑定の結果、遺体はアレクセイ皇太子とマリア皇女と確認された。もっともマリア皇女であるかどうかは、決定的ではないらしいが。

地元のアマチュア研究家は、殺害の責任者ヤコフ・ユロフスキーの文書を丹念に追った。ユロフスキーは、最初に発見された場所の近くに、二人の遺体を埋葬したと述べている。二人を別に埋葬したのは、全部で11人の皇族とその関係者の遺体を発見しようとする人物を混乱させるためである。

これでようやくロシア革命の悲劇の一つに終止符が打たれた。
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潮目の変化か?毎日新聞による小沢民主党への注文

2007-11-23 12:40:13 | 時事問題
「ねじれ国会」の打開を目指して、22日に福田康夫首相が、与野党の幹部と個別懇談を行った。とりわけ、野党第一党の民主党小沢一郎代表に対しては、新テロ特措法への協力を求めた。さらに安全保障や社会保障に関する与党と民主党との政策協議機関を設けるように提案した。小沢代表はこれらすべてを拒絶した。

これに関する『毎日新聞』23日付の「党首会談 意思決定のルール作りを急げ」は、興味深かった。そのなかで福田首相の提案に対して理解を示して、それを拒絶した小沢代表を批判しているからである。

「衆参両院の意見が真っ向から対立し、結果的に立法府が何も意思決定できないことは、政治の姿として危機的である。単に対立を繰り返すのではなく、ねじれ国会の下で新たなルール作りを模索したいと首相サイドが考えるのは、理にかなっている。
 にもかかわらず、小沢民主党が首相の提案を拒み、合意形成に向けた新ルール作りに貢献しようという姿勢を見せなかったことは、残念である。」
「日本の国会が足踏みしている間でも、国際情勢は大きく動いている。このまま国会が何も決められない状態が続けば、日本の国際競争力は落ち、国益を損ないかねないことを、野党側も深刻に受け止めるべきだ。」

政府の立場と距離を置いてきた毎日新聞がこのような姿勢をとったのは、民主党有利の潮目が変化していることを表しているかもしれない。
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偽装管理職

2007-11-22 13:01:12 | 時事問題
管理職とは、1)経営者と同じ立場、2)労働時間の自己管理、3)相応の報酬という要件を満たすものである。だが実態がないのに名目的に任命される偽装管理職というのが存在している。人件費を削減することがその目的である。管理職は労働時間の自己管理ができるというタテマエを利用して、偽装管理職者に残業手当なしに長時間労働を強いるのである。

19日のNHK「クローズアップ現代」で、この問題が取り上げられていた。紳士服の大手チェーンの元店長、大手コンビニチェーンの元店長がそれぞれ、偽装管理職問題の告発を行っていた。

同番組では、経営側にとっても偽装管理職問題は、コンプライアンスの点で問題があり、問題の解決に動いているということも指摘されていた。

名古屋の書店チェーンである三洋堂書店では、三年前から店長を管理職として扱わないようにしたという。三洋堂書店が上場を前に、企業イメージを重んじたからである。その結果、店長にも残業手当が支給されることになった。だがその残業手当総額を減少させるために、1店舗あたりのパートの数を増やした。

また外食チェーンのサイゼリアもこの関連で紹介されていた。ここでも四年前から店長を管理職から外した。長時間労働に耐えられず退社する店長が相継いだからであるという。

サイゼリアでは、問題解決のために、徹底的な調理作業の合理化を行った。調理のほとんどは工場で行われ、店舗では処理された食材を暖めるだけとなった。店舗には包丁すらない。また食材の発注も、コンピュータの予測システムを利用して、誰でもできるようになった。その結果、店長は店舗の繁忙時間帯でも帰宅できるようになった。パートだけでも店舗を管理することができるというのである。その結果、以前は正社員対パートの比率が51対49であったのが、22対78になった。

経営の論理からすれば結局は人件費の削減が鉄則である。それゆえに個別の労働者の労働条件の改善が、結果として労働の非正規化を促進するという皮肉な結果を生んだ。色々と考えさせられる番組であった。
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ようやく紅葉か

2007-11-15 16:36:21 | 雑談
11月半ばだというのに、勤務先のキャンパス内でアイスクリーム店が開店しても、全く違和感がない。今年は本当にいつまでたっても秋という実感がない。温暖化の影響か?

そうは言っても、キャンパス内でも紅葉が始まったようです。





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読めない展開

2007-11-06 23:17:59 | 時事問題
小沢一郎民主党代表は、4日(日)に辞意表明の記者会見を開き、その場で民主党の力量不足を指摘し、政権担当能力があるのかと国民から疑問され、来るべき総選挙では大変厳しい情勢にあると述べてから、2、3日もしないうちに、「本当に恥をさらすようだが、皆さんの意向を受け、もう一度頑張りたい」と前言撤回をした。

この展開は全く読めなかった。私の邪推によれば、今後の政局の要で、小沢氏は自己の配下を連れて連立政権に参加するだろう。そのときの名目が、自衛隊の恒久派遣法であると考えていた。

小沢氏は変わったのかもしれない。しかし、この数日間の言動だけを見ても、果たして彼が首相になったとき、彼の行動に信頼を持てるのかという新しい問題が突きつけられた。民主党も分裂覚悟で、新党首を選んだ方が、良かったのではないかという気がしてならない。
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大連立騒動に対する雑感

2007-11-04 16:28:35 | 時事問題
昨年春、小沢一郎氏は「生まれ変わらなければならない」と述べて民主党代表に就任した。それに対して「簡単に生まれ変われるわけがない」という批判が行われた。

今回の騒動で最初に感じたことは、人間は「生まれ変わる」ことがある程度できるが、しかし全く別なものに「簡単に生まれ変わることはできない」という、極めて当たり前のことであった。

小沢代表は、以前においては考えられないことであったが、社民党や共産党に対して低姿勢で臨み、参院選での野党共闘に努めた。しかし他方、従前通り、公の席での議論には必ずしも積極的ではなく、国会内での党首討論、代表質問、果ては国会出席に対しても消極的であった。それよりも地べたを這うような地道な全国行脚を重視したのであった。

2日に行われた福田・小沢党首会談の全貌はよく分からないが、この会談では「自衛隊恒久派遣法」と「大連立」の取引が行われたという。「自衛隊恒久派遣法」は、いわば小沢氏の一貫したテーマである。日本が国際紛争に対する自衛隊の派遣を真剣に考えたのは、90年代初頭湾岸危機である。このとき海部首相を支えたのは、当時自民党幹事長であった小沢一郎氏であった。

だが今回その小沢氏は、海自のインド洋での補給継続に対して反対した。小沢氏が「生まれ変わって」、孤立主義者に変貌したのだろうかと驚いた。しかし小沢氏は誠実であり、全く別なものに生まれ変わることはできなかった。小沢氏個人としては、雑誌論文において、国連決議のもとにおけるアフガニスタンのISAFへの参加を表明した。しかしこの見解には、民主党内には大きな異論があった。

最後に出てきたのが、小沢氏の昔からの悪評の原因である「強力なリーダーシップ」である。今回はそれが密室のボス会談での取引となった。このような批判を受けることが確実な行動をあえて行ったのは、来るべき解散総選挙において、自民党が大敗しないかもしれないという小沢氏の読みであろう。
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